インタビュー
生活系コンテンツ開放と「城争奪戦」実装で,よりMMORPGらしく! 「英雄島」運営プロデューサーインタビュー
この8月に異なるタイプのコンテンツを次々に投入し,新たな広がりを見せようとする英雄島の“今”を,GMO Gamesで運営プロデューサーを務める吉田哲朗氏に聞いた。
日本市場に合わせて操作系や対人戦のルールを変更
初心者にも親しみやすい内容に
4Gamer:
本日はよろしくお願いします。英雄島も,正式サービスの開始から3か月近く経とうとしていますが,最近の動向はどうですか?
はい。まず先日のアップデートで,多くのプレイヤーから指摘を受けていた操作性を改善しました。現在は,もともとの操作体系を「タイプA」,昨今のオンラインゲームで一般的なものに近い操作体系を「タイプB」として選択できるようになっています。この改善で,操作性に関する不満はほとんど見られなくなりました。
4Gamer:
なるほど。
吉田氏:
また,7月21日から8月25日までのほぼ1か月間,毎週アップデートを行っています。基本的にはゲームを続けてきた方に向けた内容ばかりで,大きな反響とまではいえませんが,おおむね好評です。
最も反響があったのは,聖地略奪戦のルール変更ですね。
4Gamer:
聖地略奪戦といえば,英雄島のメインコンテンツですね。どんな変更がなされたんですか?
吉田氏:
これまでのルールは中国版と同じで,プレイヤーの途中参戦が可能になっていました。そのため,長いときには勝負がつくまでに3時間以上かかることもあったんです。でもたとえ勝利を収めても,得られる報酬は,そのほかのコンテンツを1時間ほど普通にプレイしたときと大差ありませんでした。この仕様では,日本のプレイヤーにはなかなか受け入れてもらえません。
4Gamer:
確かにここ数年,日本では,プレイヤーを長時間拘束するようなコンテンツは敬遠されがちですね。
吉田氏:
また以前の仕様が採用されていた頃は,お互いに砦に篭って,攻めてくる敵を迎撃するといった戦術が定着してしまい,プレイしてもあまり面白くなかったんですよ。
そこで制限時間を設定し,最大45分で決着がつくようにしました。さらに,開始から10分経過した時点で途中参戦できなくなるようにもしています。制限時間いっぱいまで勝負がつかなかった場合は,破壊したオブジェクトの数が多い方の勝ちになりますから,とにかく最初の10分はお互い攻めまくるようになり,ゲームとして盛り上がるようになりました。新ルールはとても好評です。
5ギルドが城の権利をめぐって争う「城争奪戦」が登場
よりMMORPGらしい対人戦に
4Gamer:
それでは,直近のアップデートについて教えてください。
吉田氏:
これまでは聖地略奪戦を中心に展開してきました。こちらは,言ってみれば,MO的な楽しさを提供する内容といえます。
一方,8月18日のアップデートでは,英雄島のMMORPG的な側面をより強く打ち出すために「城争奪戦」を実装する予定です。これは,一つの城をめぐって五つのギルドが争うという内容で,毎週1回開催されます。
4Gamer:
いわゆる攻城戦ですね。ギルド同士は敵対しているんですか?
吉田氏:
これも中国版の仕様を変更し,1時間程度で決着がつくようにしています。
4Gamer:
城を所有したギルドが得られる特典はどんな内容ですか?
吉田氏:
城を所有している期間は,獲得経験値が通常より多くなります。英雄島の場合,経験値はキャラクターのレベルアップだけでなく,各スキルの強化にも割り振る必要があります。ですから城を所有すると,キャラクターの能力の全般的な底上げがぐっと楽に行えるようになるんですよ。
4Gamer:
そうなると,最初に城を取ったギルドが有利になってしまいませんか?
吉田氏:
城を持つ防衛側のギルドは,同時に四つのギルドを相手にすることになりますから,守り抜くのはなかなか困難です。
なお,城争奪戦には「城壁」の概念があり,プレイするうえで,その使いこなしが重要となります。城を防衛する側は,事前に収集しておいた資源を使い,城壁を強化したり修理したりできます。逆に攻撃する側は,城壁の破壊に役立つ戦車を護衛しながら攻める必要があります。
この仕様のおかげで,一概にレベルの高いキャラクターが揃っていれば勝てるというものではなくなっていますし,レベルの低いキャラクターでも城争奪戦に参加し,味方に貢献できるようになっています。
城門をNPCの戦車を上手く誘導して破壊すれば城の内部へ侵攻が可能になる |
城壁は全部で8つあり、防衛するギルドは城壁の外へ出て撃退することが可能 |
砦を破壊するにはNPCの戦車が鍵、破壊されると王者の剣が出現 |
王者の剣を抜くには時間が掛り、最中に倒されると王者の剣は元通りに戻る |
王者の剣を抜くと城主ギルドとなる |
城争奪戦開催場所となる最前線マップ |
城争奪戦 ルール
1.城争奪戦申込期間毎週土曜日21:00〜23:00
2.城争奪戦開催時間毎週日曜日22:00〜23:00
3.防衛1ギルド、攻城4ギルドの最大5ギルドで行われる
4.城争奪戦開始後は中央の砦を破壊し、王者の剣を抜いたギルドの大元帥が城の主人となる
5.城争奪戦終了の時点で城を保有しているギルドが次回の開催まで毎日報酬を獲得できる
城争奪戦 報酬
1.城主ギルドの大元帥は総督となる
2.城主ギルドは毎日報酬として経験値を獲得できる(大元帥:200000EXP、元帥:150000EXP、メンバー:100000EXP)
城争奪戦の申込はユニオン側ナサ湿地、エンパイア側ひのいり農村にて行える
4Gamer:
なるほど。ほかにも城争奪戦の特徴があれば教えてください。
吉田氏:
城争奪戦は,最初に実装される内容がすべてではありません。現在,2010年内の実装を目標に,城に攻め入る敵を撃退する「守護モンスター」を飼育するシステムを開発中です。そのほか,税金を徴収したり,消費アイテムを割安で購入したりできるようにもなります。
対人戦と並ぶ柱「荘園」システムの機能を開放
生活系ゲームとしても楽しめる
4Gamer:
そのほか,アップデートされる内容はありますか?
吉田氏:
すでに8月11日にアップデート済みですが,荘園システムのさまざま機能を開放し,家を増築したり,畑を増やしたりできるようになっています。
荘園システムは,対人戦と並ぶ英雄島の大きなコンテンツで,当初から期待していた人も多かったんです。でもこれまでは,対人戦に重きを置いて運営してきました。実をいうとこれまでの荘園は,体験版程度の内容に過ぎないんです。
4Gamer:
というと,今後の荘園は,これまでとはまったく違う姿になっていくわけですか。
吉田氏:
ええ。最近は生活系システムが充実したブラウザゲームが流行していますが,英雄島本来の荘園システムは,それらを軽く超えるくらい充実したコンテンツなんです。またハウジングシステムも,力を注ぐほど見栄えがどんどんよくなっていくという内容になっていますし,対人戦をやりたくないという人は,そういった要素だけでも十分楽しめます。今後は,これまでの荘園に物足りなさを感じていたというプレイヤーに向けて,キャンペーンなどでアピールしていく予定です。
開発陣もかなり力を入れており,10月中の実装を目標に「ペット育成」といった新システムを用意しているところです。
4Gamer:
英雄島は,これからさらに本格的に展開していくわけですね。
ぜひ期待してください。なお8月18日には,新サーバーが開設される予定です。新たに英雄島を始める人はもちろん,もう一度最初から取り組んでみたいという人にオススメします。
実は,新サーバーのオープンについては,かなり早い段階から多数のリクエストが寄せられていました。これまでは,回線状況の問題があったため対応できませんでしたが,今回ようやく,安定したネットワーク環境の準備が整いました。
4Gamer:
荘園システムの拡充や,新たな対人戦コンテンツが登場したこのタイミングで,ゲームを始めてみるのもいいかもしれませんね。そのほか,今後予定されている展開について,教えてください。
吉田氏:
現在毎週行っているアップデートを,今後しばらく続けていこうと考えています。今,PCオンラインゲームを取り巻く状況は刻々と変化していますので,これまでのように1か月に一度,3か月に一度のアップデートで皆さんの注目を集めるのは困難になりつつあります。そこで週1回,既存のプレイヤーさん達に新鮮な楽しみを提供するとともに,まだ英雄島を遊んだことがない人にもアピールしていこう,と。もちろん,開発スタッフは相当シンドいようですが。
4Gamer:
ええ,まさに今,そのあたりについて聞いてみようと思っていたところです。
吉田氏:
開発チームは,非常に前向きに取り組んでくれています。日本のサービスに不調なところが出ると,すぐに「どうした?」と聞いてきますし。英雄島は台湾でもサービスを展開していて非常に好調なんですが,その分析をもとにしたアドバイスもしてくれます。
我々はそれを受け,イベントやキャンペーンをどんどん実施し,新規プレイヤーの獲得と定着に力を注いでいきます。GMの露出も,積極的に増やしていくつもりです。
4Gamer:
最後に,英雄島のプレイヤーや,4Gamer読者に向けてメッセージをお願いします。
吉田氏:
また,ほかのオンラインゲームを楽しむ時間がないという人も,英雄島ならブラウザゲームのような感覚でキャラクター育成を楽しめます。もちろんイベントなどにも力を入れ,より楽しめる場を提供する計画です。今回,新サーバーもオープンしますので,この機会にぜひ遊んでみてください。
4Gamer:
ありがとうございました。
インタビュー中に言及されているように,GMO Gamesと,英雄島の開発元である中国Shenzhen Domain Network Softwareの関係は,かなり良好だという。吉田氏自身,本作を日本でサービスするにあたり,何度も中国に足を運んだが,そのたび,同社のスタッフ一人一人のモチベーションの高さに驚かされたそうだ。
先に“広がり”と書いたが,英雄島はこの8月のアップデートを通し,正しくは“本来の姿”をようやく見せ始める。さまざまなタイプの対人戦や,それがなくとも楽しめる生活系コンテンツの両方を前面に押し出していくという,本作の今後に期待したい。
「英雄島」公式サイト
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