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NVIDIA,“単体GPU”になった新世代IONプラットフォームを発表
Intelによってチップセットビジネスの道を閉ざされ,
PCIe x1接続のGPUとして登場した新世代ION
ここで重要なのは,現在,IntelとNVIDIAがクロスライセンスに関する係争を抱えており,NVIDIAがDMIに対応したチップセットを市場投入するのが不可能な状況にあることだ。FSBでCPUと接続される従来型IONプラットフォームの「GeForce 9400M G」は現行Atomと組み合わせられず,しかも代わりのチップセット製品を,NVIDIAは投入できないのである。
付け加えると,NM10は,PCI Expressを4レーンしかサポートしていない。4レーンなら,PCI Express x16接続のGPUを接続しても,帯域幅的になんとかなると思うかもしれないが,実際問題,NM10を搭載したNetbookやノートPCでは,PCI Express x1が無線や有線のLANコントローラチップ(あるいはそれを搭載したminiCard)などとの接続に用いられている。PCI Express x16接続が不可能であるどころか,NM10の仕様上限であるx4接続も,ハードウェア実装上,不可能に近いのだ。
そこでNVIDIAが取った策が,単体GPU「GeForce 310」――「GeForce 210」のリネーム版に当たる,CUDA Core 16基のDirectX 10.1世代製品――をベースに,PCI Express x1接続でもパフォーマンスを適切に発揮できるようにした「ION GPU」を,新世代IONとして投入するというものである。
アジア太平洋地域の報道関係者を対象として,発表に先立って開催された電話会議によれば,新世代ION(Next-Generation NVIDIA ION)は,DirectX 10.1をサポートし,16または8基のCUDA Coreを搭載する単体GPUだ。メモリインタフェースは64bitで,グラフィックスメモリは,DDR3/DDR2を最大512MB組み合わせられる。
NVIDIAは,二つのION GPUを,
- 16コア版:Nettopと,12インチサイズ以上の液晶パネルを組み合わせたNetbook向け
- 8コア版:10インチサイズの液晶パネルを組み合わせたNetbook向け
と位置づけている。GMA3150と比べて,DirectX 9世代の3D性能は15倍に達し,DirectX 10世代のベンチマークテストでも,現行のIONプラットフォーム比で2倍の性能を発揮するという。
なお,この新世代プラットフォームでも,「Optimus」テクノロジーにより,グラフィックス負荷が低い用途ではAtom内蔵のGMA3150を利用し,ION GPUを完全にオフにすることで,バッテリー駆動時間とパフォーマンスのバランスを高いレベルで両立させられるとのことだ。
新世代IONでは
Netbook&Nettopに注力
Netbook市場の規模予測。成長を続けるノートPC市場において,2010年はNetbookが4000万台出荷され,その後も「常に持ち歩く,2台めのPC」として,成長し続けるとNVIDIAは予測している |
Mobile World Congress 2010(MWC)で発表されたAcerのAspire One 532Gは,初の新世代IONプラットフォーム採用製品となる |
同社で新世代IONプラットフォームを担当するMark Aevermann氏は「次期IONは,90%がNetbook向けとなると見ている」と説明する。氏は,今夏までに30以上の新世代IONプラットフォーム採用製品が発売予定だとして,去る2月中旬にスペインで開催された「Mobile World Congress」で初登場のAcer「Aspire One 532G」に加え,ASUSTeK Computer(以下,ASUS)やLenovo,ZOTAC International(以下,ZOTAC)などから,NetbookやオールインワンNettop,単体Nettopが市場投入予定になっていることも明らかにした。
ION GPUを搭載したMini-ITXマザーボードや,PCI Express x1接続グラフィックスカードも,同GPUを搭載したminiITXマザーボードやPCI Express x1のグラフィックスカードも,NVIDIAのパートナー企業から投入される計画になっているようだ。
NVIDIAは,このION GPUを搭載する製品で,Windows 7 Home PremiumやAdobe Flash Playser 10.1,Blu-ray Discベースの製品を中心としたフルHDビデオコンテンツ,人気カジュアルゲームタイトルへの対応など,一般的なノートPCと同等のマルチメディア機能を提供することにより,「Pine Trail」(パイントレイル)とも呼ばれる現行のAtomプラットフォームとの差別化を図っていくことになる。
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