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Thermaltake初のゲーマー向けキーボード「Tt eSPORTS MEKA G1」レビュー。黒軸採用で安定感は良好
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印刷2011/03/18 12:05

レビュー

Thermaltake初のゲーマー向けキーボードは,クセのない完成度がウリ

Tt eSPORTS MEKA G1

Text by fumio


Tt eSPORTS MEKA G1
メーカー:Thermaltake Technology
問い合わせ先:問い合わせフォーム
実勢価格:1万4000円前後(※2011年3月18日現在)
画像集#002のサムネイル/Thermaltake初のゲーマー向けキーボード「Tt eSPORTS MEKA G1」レビュー。黒軸採用で安定感は良好
 Thermaltake Technologyのゲーマー向け周辺機器ブランド「Tt eSPORTS」。一般ゲーマー向けとハードコア&プロゲーマー向け,2種類のプレイヤー層に向けた製品ラインナップを展開するという方針で話題を集めた同ブランドだが,国内参入第1弾製品群のなかで,実際に両方のゲーマー層に向けた製品が投入されたのはキーボードだった。

 今回取り上げる「Tt eSPORTS MEKA G1」(以下,MEKA G1)は,そんなキーボード製品のうち,ハードコア&プロゲーマー向けと位置づけられるほうのデバイスだ。ZF ElectronicsのいわゆるCherry黒軸スイッチを採用し,英語配列のフルキー仕様になるという,一見して渋めの印象だが,本気でゲームをプレイしたいと考えている人達をどこまで満足させられるのか。今回はそのあたりをチェックしてみたい。


目立って邪魔な要素はなく,質実剛健という印象

直径10mmの布巻ケーブルが目を引く


 では外観から見ていこう。本体は基本的にツヤ消しの黒一色で統一されており,LEDインジケータも,Num LockにCaps Lock,Scroll Lockと必要最低限。「Tt」の赤いロゴが目立つものの,総じて,おとなしい雰囲気を醸し出している。

よくある英語フルキーボード然とした外観のMEKA G1。3連のLEDインジケータがやや強めの赤色なのと,Ttのロゴがなければ,一般PCユーザー向け製品と言っていいほど落ち着いた外観である
画像集#003のサムネイル/Thermaltake初のゲーマー向けキーボード「Tt eSPORTS MEKA G1」レビュー。黒軸採用で安定感は良好

左[Ctrl]キーと左[Alt]キーに挟まれる格好で[Fn]キーが置かれる。一般的な英語104キー配列だと[Windows]キーは2個用意されるが,MEKA G1では[Enter]キー側の1個のみとなるわけだ
画像集#004のサムネイル/Thermaltake初のゲーマー向けキーボード「Tt eSPORTS MEKA G1」レビュー。黒軸採用で安定感は良好
画像集#005のサムネイル/Thermaltake初のゲーマー向けキーボード「Tt eSPORTS MEKA G1」レビュー。黒軸採用で安定感は良好
 キー配列も同様で,ゲーマー向けを謳うキーボードでこれ見よがしに取り付けられているマクロキーやマルチメディアボタンなどは一切なく,「普通の」英語104キー配列になっている。一見しただけでは,ゲーマー向けキーボードと分からない人もいるだろう。
 違うところといえば,標準的な英語104キー配列における左[Windows]キーの場所に[Fn]キーが置かれていることくらいだ。

 [Fn]キーという名前と,上の写真に見えるファンクションキー部の刻印で想像がついた人も多いと思うが,これは単体だと機能せず,[F1]〜[F7]キーと組み合わせることで,マルチメディアボタン的に利用できるというものだ。Windowsのサウンド出力音量調整とスピーカーのミュート,そしてメディアプレイヤーの簡易操作が行えるようになっているものの,ゲーム関連で使う機会があるとすればボリューム周りくらいなので,ここは先行するいくつかの他社製品と同様,ゲーム中に[Windows]キーを“誤爆”する問題に対処したという理解が正解だろう。

本体底面には,横長の滑り止めゴムが4個貼られており,安定感はかなりのもの。チルトスタンドにこれといった滑り止め処理はなされていないが,重量が十分にあるので,チルトスタンドを立てていても十分な滑り止め効果は得られた
画像集#006のサムネイル/Thermaltake初のゲーマー向けキーボード「Tt eSPORTS MEKA G1」レビュー。黒軸採用で安定感は良好
 本体サイズは430(W)×160(D)×40(H)mmで,ゲーマー向けが謳われる多機能キーボードと比べると明らかに小さいが,ここは「一般的なフルキーボードとほとんど同じ」と評したほうが分かりやすいかもしれない。
 一方,重量は1.4kgあり,ずっしりとした重みを感じる。本体底面に貼り付けられた滑り止めのゴムがやや大きめということも相まって,机に置いた状態でゲームをプレイしていても,操作中にキーボードが動いてしまうような心配はまず無用だ。

製品ボックスには専用のパームレストが付属しており,本体底面に引っかけて固定できる。パームレストの底面4か所にも滑り止めのゴムが貼られているので,チルトスタンドを立てた場合など,安定感不足が気になる場合は,パームレストを取り付けるといいだろう。ただし,取り付けると本体の奥行きは62mm長くなる
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 キーの並びはシリンドリカルステップスカルプチャ仕様になっており,そのため,キートップの高さは場所によって異なる。実測では7mm弱〜10mmといったところだ。最近は,ノートPCよろしく,キーが平らに並んでいるキーボードも少なくないが,ゲーム用途で「キートップの並びに段差があるかどうか」が操作性を左右することはほとんどないので,ここは正直,好みの問題ではなかろうかと思う。ただ,長文を打つことまで考えると,筆者はシリンドリカルステップスカルプチャのほうが好みであり,その点でMEKA G1には好感が持てる。

シリンドリカルステップスカルプチャ仕様のためキートップの高さは場所によって異なるが,写真一番左で実測7mm弱。その右隣が10mmで,さらにその横は低いところが7mm,高いところが9〜10mmといった具合だ。本体右端の高さは20mmあるので,上で紹介したパームレストは,この高さに慣れない場合にも重宝しそう
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本体側が地味めなだけに,直径10mm,全長1.5mあるケーブルが目を引く。取り回しにはさすがに難あり
画像集#011のサムネイル/Thermaltake初のゲーマー向けキーボード「Tt eSPORTS MEKA G1」レビュー。黒軸採用で安定感は良好
画像集#012のサムネイル/Thermaltake初のゲーマー向けキーボード「Tt eSPORTS MEKA G1」レビュー。黒軸採用で安定感は良好
 ……といったわけで,全体的に奇をてらっていないMEKA G1だが,それだけに個性を感じるのが,直径約10mmの太さを持つ布巻ケーブルだ。
 このケーブル,見た目どおり相当に固く,取り回しは結構大変。付け根の部分をある程度回せるようになっているので,そこで調整できなくはないものの,キーボードの位置を頻繁に動かすようなケースでは気になる部分だといえる。

 なぜこんなに太いケーブルなのかというと答えは簡単で,本体をPCと接続するためのUSBケーブルとは別に3本のケーブルが用意され,4本が束になっているからだ。MEKA G1の本体奥部には2ポートのUSB 2.0ポートと,アナログヘッドセット用となるミニピンのヘッドフォン出力&マイク入力端子各1が用意されるため,それらのケーブルも一緒に布で巻かれているというわけである。

本体右奥部には,アナログ接続型やUSB接続型のヘッドセット,あるいはマウスを引き出すための接続端子が用意され,各機能はそれぞれ専用のケーブルでPCと接続されることになる
画像集#013のサムネイル/Thermaltake初のゲーマー向けキーボード「Tt eSPORTS MEKA G1」レビュー。黒軸採用で安定感は良好 画像集#014のサムネイル/Thermaltake初のゲーマー向けキーボード「Tt eSPORTS MEKA G1」レビュー。黒軸採用で安定感は良好


黒軸採用で良好かつ反応の早いキータッチ

Nキーロールオーバー対応で同時押しに強い点も魅力


黒軸という通称どおり,黒い軸のスイッチを採用するMEKA G1。キーピッチは19mmと,大きくも小さくもない一般的なサイズであり,「キーの大きさによる使用上の違和感」などはまったくない
画像集#015のサムネイル/Thermaltake初のゲーマー向けキーボード「Tt eSPORTS MEKA G1」レビュー。黒軸採用で安定感は良好
 冒頭でも紹介したとおり,MEKA G1が採用するスイッチはCherry黒軸――ZF Electronics製の「MX linear action」だ。1キーあたり公称5000万回のキー押下に耐えるとされるスイッチは,押し込むほど反発力が強くなるという特性がある。そのため,底打ちするまで押し込もうとすると抵抗感がやや強いものの,入力が受け付けられたタイミングで指を戻しやすく,押下距離が短くて済むというメリットもある。
 実際,MEKA G1の場合,ストロークが4mmあるのに対し,入力は2mmほど押し込んだところで受け付けられることと,リニアに変化する反発力もあって,高速タイプがしやすい印象だ。ただ,キーを底打ちするクセが付いている場合は,慣れるまでの間,スイッチを重く感じたり,それによって指が疲れたりする可能性もつきまとう。公称押下圧が60gなので,慣れるまでは大変かもしれない。

ちなみに動作はいわゆるドライバレス。設定ユーティリティなども付属しない割り切った仕様なので,USBかPS/2でPCに差せばそのまま利用できる
画像集#016のサムネイル/Thermaltake初のゲーマー向けキーボード「Tt eSPORTS MEKA G1」レビュー。黒軸採用で安定感は良好
 気になる動作音は,これも黒軸らしいという表現がぴったりくる印象だ。押し込むときカサカサという小さな摩擦音こそすれ,いかにもメカニカル的な,あからさまにうるさい音にはならない。同居人に気を遣う必要のある住環境であっても,心配はおそらく無用である。

 さて,ゲーマー向けキーボードで最も気になるのは,複数のキーを同時に押したときの挙動だが,MEKA G1はNキーロールオーバーに対応しているため,しっかりと認識してくれる。下に「4Gamer Keyboard Checker」(Version 1.0 Beta)を使って挙動をチェックしたものを示したとおり,PS/2接続時は全キーの同時押し,USB接続時は修飾キーを除いて6キーの同時押しが可能であると確認できている。いずれの場合もキーの組み合わせに制限はないため,ゲームをプレイするうえで同時押し周りの不都合に見舞われる心配はなさそうだ。

画像集#017のサムネイル/Thermaltake初のゲーマー向けキーボード「Tt eSPORTS MEKA G1」レビュー。黒軸採用で安定感は良好
付属のPS/2変換アダプタを介してPCに接続し,4Gamer Keyboard Checkerを実行した結果。Nキーロールオーバー+PS/2接続ということもあり,多数のキーを同時押ししても問題なし
画像集#018のサムネイル/Thermaltake初のゲーマー向けキーボード「Tt eSPORTS MEKA G1」レビュー。黒軸採用で安定感は良好
一方,こちらはMEKA G1の標準インタフェースとなるUSB接続時の実行結果。[Shift]や[Ctrl]といった修飾キーを除いた6キーまでの同時押し対応を確認できた


安心感のある使い勝手

キーは多少重いが許容範囲か


画像集#019のサムネイル/Thermaltake初のゲーマー向けキーボード「Tt eSPORTS MEKA G1」レビュー。黒軸採用で安定感は良好
 では実際にゲームで使ってみるとどうなるか。
 PCゲームの定番ジャンルであるFPS&TPSから,今回はオープンβテスト中の「トイ・ウォーズ」と,筆者がマウスレビューでも用いている「Warsow 0.6」をプレイしてみたが,「しゃがみ斜め移動しながらリロード」といった,複数キーを使う必要のある操作が,どのようなキーバインド設定でもこなせる。これはやはりNキーロールオーバー対応製品の強みといえそうだ。
 また,ほんのわずかに押し込んだだけで入力を受け付けてくれるレスポンスの良さがあるので,「反発力が強すぎるせいで操作が遅れ,ミスしてしまう」といったことはまず起こらない。

 連打というよりは,むしろキーを押しっぱなしにして移動したりしゃがんだりといったアクションをすることが多い関係で,よりキー入力頻度の多いWarsow 0.6では60gという荷重の重さが多少気になるものの,許容範囲だろう。

一般的なPC用キーボードで音楽ゲームをプレイしていて,特定のキーの組み合わせで同時入力が効かないという経験をしたことのある人は多いと思うが,MEKA G1でその心配はほぼ無用だ
画像集#020のサムネイル/Thermaltake初のゲーマー向けキーボード「Tt eSPORTS MEKA G1」レビュー。黒軸採用で安定感は良好
 また,「複数のキーを同時に入力できる」ことが快適なゲームプレイの必要条件となる音楽ゲームの場合だと,Nキーロールオーバー対応は,最大限の効果を発揮する。今回は「Lunatic Rave 2」のβ3版を試したが,PS/2接続時に全キーの同時押しがサポートされるというのはやはりありがたい。
 ただ,実用上の問題はないと言えるものの,もし「7キーすべてとターンテーブルを同時に押す」ような譜面があった場合,USB接続時は支障が出る可能性もあるので,この点は気にしておいた方がいいかもしれない。

 ちなみにLR2では,バスドラムの16分連打のような,「同一キーを小刻みに連打」するシーンで黒軸の強みを実感できる。総じて良好な操作感だ。

画像集#021のサムネイル/Thermaltake初のゲーマー向けキーボード「Tt eSPORTS MEKA G1」レビュー。黒軸採用で安定感は良好
 ところで,性能を左右するスペックという観点では,ポーリングレートが1000Hzに設定されており,Tt eSPORTS側が「一般的なキーボードの125Hzと比べて8倍速く操作できる」とアピールしている点も注目すべきだが,こちらは体感的に違いが分からないというのが正直な感想だ。もちろん,厳密に測定装置を用意して計測すれば数値としての違いは出るかもしれないが,筆者が普段使っている「Happy Hacking Keyboard Professional」と比べて,明らかな違いがあるとは認められない。


安定感と操作感には合格点を与えられる

1万4000円という価格は高いが,相対的には妥当


製品ボックス
画像集#022のサムネイル/Thermaltake初のゲーマー向けキーボード「Tt eSPORTS MEKA G1」レビュー。黒軸採用で安定感は良好
 ゲーマー向けを謳うキーボードにありがちな“余計なキー”を持たず,フルキーボードとして必要最低限のサイズに抑え,重量と安定性を確保すると同時に,Nキーロールオーバーに対応し,定評ある黒軸スイッチを採用。メカニカルスイッチを採用したゲーマー向けキーボードとして,押さえるべきポイントをきっちり押さえたらこうなった,というのが,MEKA G1という製品に関するまとめとなる。
 
 そんなMEKA G1の実勢価格は1万4000円前後(※2011年3月18日現在)。パームレストが付属する点や,キーボード側にUSBやアナログサウンド入出力を引き出せるという点も含めてほぼ同じ仕様となる「SteelSeries 7G」の実勢価格が,日本語配列版,英語配列版とも1万5000〜1万7000円程度(※2011年3月18日現在)ということを踏まえるに,価格的にはMEKA G1のほうが優位といえる。ゲームにおける操作感を重視して1万円台半ばのゲーマー向けキーボードを選ぶとき,MEKA G1は有力な選択肢の1つとなるだろう。

Tt eSPORTS公式Webサイト

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