ニュース
「セカンドノベル 〜彼女の夏、15分の記憶〜」彩野が語る“物語”の矛盾や,ストーリーに登場する“分岐”についての情報を確認しよう
本作は,15分ごとに記憶を失ってしまうという記憶障害を負ったヒロインの“彩野”と,プレイヤーである“直哉”の会話によって,実際に5年前に何が起こったのかを探っていくアドベンチャーゲームだ。高校生活の中で彩野が自分達をモデルにして作った「物語」と,現在や過去の記憶が入り混じりながら展開していく,ちょっと不思議なストーリーとなっている。
前回は,その15分ごとに途切れる記憶と,その途切れた記憶からキーワードなどによってさらにその前の記憶を探り出す,記憶の壁を越えてゲームを進めていく方法を紹介したが,今回は「物語」の中に現れる“矛盾”や,会話の中で突然出てくる選択肢による“分岐”について紹介しよう。
前述の通り,彩野が作っていた「物語」は,自分達の学生生活をモデルとして作られており,登場するキャラクターも彩野本人を中心に描かれている。ところが,実際の学生生活を元に作られた物語のはずなのに,なぜか身近に居たはずの「“直哉”が登場しない」という“矛盾”に気付くことになる。これが何を意味するのか……ストーリーにどのように影響していくのか,直哉が登場しない意図とは。
◆『物語』は矛盾する
『物語』の前提がゆらぐとき、彼と彼女のこころもゆれる−−
「『物語』は学生時代の彩野が自分たちをモデルにして書いたお話。これをたどれば、彼女の高校生活を追体験できる。その中には、主人公が知らなかった真実が隠れているかもしれない」
これは繰り返し説明してきた物語の前提です。
しかし、『物語』を集める直哉たちは、この前提と矛盾する物語の側面に気がつきます。 それを象徴的にあらわすのが 彩野の語る『物語』には直哉が登場しないことです。
直哉本人もうすうす気がついていた事実。千秋に指摘されることによって、目をそらすことの出来ない具体的な疑問へと成長していく。
かつて、彩野とユウイチと直哉は、仲の良い友人でした。彼らの関係は、当事者たちだけでなく、当時を知る由加里や彩野の母の話からも伺えますが、大きな負の要素は見当たりません。 それでは、なぜ、アヤノと、ユウイチの隣に、友人として登場すべき『ナオヤ』が存在しないのでしょう――?
ユウイチと楽しげに過ごすアヤノの姿が『物語』にはたびたび描かれるが、本来なら2人とともにいるはずのナオヤについては、触れられない。
『ナオヤの不在』には、どんな作者の意図が こめられているというのでしょうか。
『物語』の聞き手である直哉は、 作者の意図に想像をめぐらせ、煩悶することになります。
この『ナオヤの不在』が物語中で占める意味は未知数です。 しかし、これをきっかけに、ひとつの事実が浮かんできます。それは、『物語』がそのままイコール『過去』ではないということ。
『物語』には作者の意図により過去とは違った部分、創作によって生み出された部分が多少なりともあるのです。彩野は『物語』を語ることは出来ても、それが生まれた詳細な背景は語ることは出来ません。それゆえ、直哉たちは『物語』の破片を拾い集め、そのピースが持つ意味と、こめられた作者の意図を、今まで以上に深く考える必要が出てきます。
矛盾を感じながらもストーリーを進めていくと,ある程度「物語」が進んだところで複数の展開を見せる場面に遭遇することになる。これが「分岐」だ。
小説などでは,基本的にストーリーは1本道なのだが,彩野の語る「物語」はそうではなく,どうやらあちこちに枝を伸ばした特殊な構造になっているようだ。
この途中で現れる選択肢は,それまでに手に入れてきた物語のキーワードを書きとめたメモ「カード」の内容によって異なってくる。つまり,彩野の語る物語の中から,どのような内容に注目してキーワードを集めてきたかによって,その後の話が変化していくことになるのだ。
そうして選んだ選択肢によって,物語の展開が複数用意されている本作。空想と現実が入り混じる複雑なストーリー展開の中で,実際に本作の開発者が望むエンディングとは何なのか,本作をプレイして自身の手で解き明かそう。
『物語』は分岐する
『物語』は異なる可能性を孕む
物語がある程度のところまで進むと、 彩野が複数の展開がある可能性を匂わせることがあります。 『物語』の中には、その後の展開が何パターンも 用意されている場面があるようなのです。
ふつうの小説であれば、『物語』は一本道であるはずですが―― 彼女の語る『物語』は四方にその枝葉を広げた、特殊な構造をあらわし始めます。
『物語』は、アヤノを主人公に据えた選択肢型テキストアドベンチャーだと言えます。
『物語』中に登場する選択肢は それまでに手に入れたカード(単語を書きとめたメモ)の内容に左右されます。 物語を聞いている直哉が、選択肢を選ぶことで続きが語られていきます。
『物語』は選んだ展開によっては思わぬ終わりを迎えることもあります。さまざまな展開を体験しながら、 虚実入り混じった『物語』をお楽しみください。 何が過去の事実で、どれが作者が望んだ虚構なのか―― 見極めた先にある 『この物語の本当の終わり』にたどりついたとき そこには、過去の事件への答えがあるはずです。
――そして『物語』は結末を求める。
また,本作にはゲーム中にメインストーリーとは異なる「ゲーム内小説」が登場する。ストーリーを進めることで入手できるこの小説は,いつでも自由に読むことができ,単純な読み物として楽しめる内容となっているので,ゲームを進めていくうちに見つけたら読んでみよう。小説の内容が本編シナリオに何らかの示唆を含んでいる可能性もあるようなので,気に留めておくことも忘れないようにしよう。
なお,このゲーム内小説は,「ファーストノベル文庫」という形で1冊の本になり,予約特典として配布されるとのことなので,本作に興味を持った人はぜひ予約して手に入れよう。
◆ゲームの中のお話たち
メインストーリーとはまた違った魅力が詰まったゲーム内小説
本タイトル中には、ゲーム内で楽しむことの 出来るゲーム内小説が登場します。 ストーリーを進めることで入手できるこれらの小説は、いつでも自由に読むことができます。 純粋に読み物としてお楽しみいただけるだけでなく、本編シナリオへの 何らかの示唆を含んでいることも――?
ゲスト作家・イラストレーター陣(後述)が手がけるゲーム内小説では、深沢豊氏のシナリオ、もりちかさんのイラストとはまた異なった作品の魅力をお楽しみいただけます。 『二十一番の喪失』や『終わらない階段』など、題名を聞くだけでも内容のイメージが膨らむ人もいるのでは?
ゲーム内小説を読むときはPSPを縦持ちに。現実の本さながらに、作品ごとにカラーの扉絵やモノクロの挿絵も収録しています。
◆予約特典情報
ゲーム中に彩野が語る『物語』のほかにも登場する不思議なお話の数々が一冊の本になります。その名も『ファーストノベル文庫』 アヤノやユウイチたちが登場する『物語』のほかにも、本タイトル中に魅力的なお話が登場します。この作中作は、当時彩野が読んで影響を受けた小説なのだとか。各作品ともに気鋭の作家陣と豪華イラストレーターの強力タッグでお送りいたします。これらをまとめた短編集を文庫本にし、予約特典にいたします。
【参加作家・イラストレーター陣】
『二十一番の喪失』
市川環
イラスト:いとうのいぢ
『終わらない階段』
田中ロミオ
イラスト:o-ji
『音の色』
唐辺葉介
イラスト:若月さな
『夏影』
海猫沢めろん
イラスト:亜方逸樹
『たまねぎ現象には理由がある』
元長柾木
イラスト:kashmir
(以上、敬称略)
「セカンドノベル 〜彼女の夏、15分の記憶〜」公式サイト
※画面は開発中のものです。
- 関連タイトル:
セカンドノベル 〜彼女の夏、15分の記憶〜
- この記事のURL:
(C)2010 Nippon Ichi Software, Inc./TEXT.