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東欧生まれのファンタジーRPG,「トゥーワールド2」レビューを掲載。魔法でさえ自分で作り出せる,高い自由度が大きな特徴
「トゥーワールド2」は,ユービーアイソフトから2011年2月17日に発売されたファンタジーRPGだ。欧米ではPC版もリリースされているが,日本語版の対応機種はPlayStation 3とXbox 360となる。2007年に発売された「Two Worlds」(PC/Xbox 360)の続編にあたる作品であり,前作同様,開発はポーランドのデベロッパ,Reality Pump Studiosが担当する。
ストーリーは前作を引き継いでおり,悪の皇帝ガンドハルの城に捕らわれた主人公と,その妹のカイラがピンチに陥っている場面からゲームが始まる。まさしく絶体絶命という状況だが,突然現れたオークの一団に命を救われた主人公は,彼らの協力を得て,ガンドハルの野望を阻止すべく冒険の旅に出かけることとなるのだ。
本作には,こうしたストーリーの進展に絡むメインクエストと,膨大な数のサブクエストが用意されており,ストーリーを追っているだけでもエンディングまでには15〜20時間のプレイが必要となり,さらにサブクエストに手を出せば,プレイ時間もどんどん増えていくという,ボリューム満点の内容になっている。
日本語ローカライズに関しては,メニューやユーザーインタフェース周辺が日本語化されているほか,英語音声に日本語字幕がつくという,一般的なスタイル。フォントのサイズや色なども見やすく,日本語版のクオリティには問題ない。
というわけで,ここではそんなトゥーワールド2を,とくにシングルプレイを中心にレポートしていこう。
「トゥーワールド2」公式サイト(要年齢認証)
舞台となるのは総面積60平方Km以上の広大な世界
どう生きていくかは,プレイヤー次第
ゲーム開始直後は,まずプレイヤーキャラクターとなる主人公の作成を行うことになる。体のサイズ,髪形,ヒゲの選択,顔の各パーツの調整など,かなり細かく作りこめるが,この辺は最近の海外産RPGではおなじみのところだ。面倒ならばランダム生成してしまっても構わない。
トゥーワールド2の世界にはエルフやオークなどさまざまな種族が存在するが,シングルプレイの主人公として選べるのは,人間の男性のみのようだ。
さて,冒頭でも触れたように,捕えられていたところを救出された主人公だが,城から脱出する際に攻撃方法や,ダッシュの仕方など,さまざまな操作を教えてもらえる。このチュートリアル部分はかなり丁寧に作られているので,ビギナーにとってはありがたいはずだ。ただし,会話シーンはそれなりに長い。テキストだけ読んでBボタンで飛ばしてしまうのもありだ。
無事にガンドハルの居城を脱出したら,助けてくれたオークの本拠地へ移動する。ここから,本格的な冒険が始まるのだ。
トゥーワールド2の舞台となる世界,「アンタルア」はいくつかの島で構成されており,総面積60平方Km以上という途方もない広さを誇る。ここを徒歩で移動するのは,正直,かなり大変。そこで,馬や舟に乗ったり,マップのあちこちにある転送装置を使ったりなど,さまざまな方法で移動するわけだ。
まあなにしろ広いので,たまにはメインクエストを無視して世界を放浪してみたくなる。あてもなく歩いていたら新しい町を見つけたので,訪問。そこでサブクエストが発生し,それをクリアすることで無数の宝箱の中身をごっそりいただいたという経験もある。遊び方によってさまざまな表情を見せるフィールドは,かなり作り込んであるという印象だ。
現在発生しているクエストは,「クエストログ」画面から確認できる。メインクエストは「第1章」「第2章」という具合にチャプター番号が振られているので,ストーリーを進めたいのなら,これを追いかければいい。
会話時には選択肢が出ることがあり,その選択がゲームのさまざまな部分に影響を及ぼすようだ。例えば,封鎖された関所を通過したい場合など,話し相手から偽造通行証を入手してもいいし,秘密の隠し通路を教えてもらって,それを使ってもいいという感じで,1つの問題に対する解決方法がいくつも用意されている。そして,そこで何を選んだかで,ゲームのその後の展開も異なってくるというわけだ。このように,本作の自由度は非常に高い。
さて,町にはNPCがいて,上記のように彼らと会話をすることで,たまにサブクエストが発生する。経験値だけでなくお金や装備品などアイテムも得られるので,余裕があればやっておきたいところ。やるかどうかは,クエストログで設定できるが,さらに,どのクエストをクリアし,どれをしていないかが一目で分かるようになっているのがとても親切だ。
なおサブクエストに関しては,ある程度ストーリーを進めてしまうとチャレンジできなくなるものも現れる。適度にセーブし,いざというときでも元に戻れるようにしておくといいかもしれない。
アクション性が高く,戦略を求められる戦い
スキルを選んで,望みのキャラクターを作りあげよう
悪の道に進むことを気にしないのであれば,錠を破って他人の家や施設に侵入し,置かれている箱の中身を盗んで売ったり,道行く市民の背後にこっそり近づいてスリを働いたりという方法も用意されている。ただし,これらはもちろん犯罪行為なので,誰かに目撃された場合,衛兵が飛んでくる。
このような法に触れる行為が見つかった場合,画面右上に剣のアイコンが表示され,犯罪を重ねるごとに血に染まっていくのだ。こうなったらしばらく目をつけられてしまうので,町から離れておとなしくしていよう。ほとぼりが冷めれば,再び町に戻っても問題ない。
戦闘は武器に応じた間合いをとって戦ったり,敵の攻撃をガードしてカウンターで反撃したりなど,アクション性が高いものになっている。敵のライフの上に,剣や炎のアイコンが表示されるが,これはその敵がその攻撃に対し耐性を持っているということだ。
装備は3つのパターンを作成できるので,バリエーションを登録し,状況によって切り替えるといったことができる。とはいえ,相手が苦手にしているはずの攻撃を加えても,ダメージが全然与えられないということもあり,これは,敵と比較したとき,こちらのレベルが低すぎることを意味する。こうなったら戦闘で勝つのはかなり難しいので,ときにはその場から立ち去る勇気も必要だ。
戦闘の話が出たところで,キャラクタービルドについて紹介しよう。プレイヤーのクラスは武器の違いによって接近戦に強い「戦士」,遠距離攻撃が得意な「レンジャー」(弓矢使い),そして魔法に長けた「魔術師」の3つに分けられる。
主人公には「筋力」「生命力」「精度」,そして「精神力」という4つのパラメータと,6種類のスキルがあり,レベルアップ時に得られるポイントを割り振って,それぞれを強化していくことになる。どういった戦い方をしたいかを考えて,パラメータやスキルにポイントを割り振っていこう。ちなみに生命力は,ライフの上限を上げるだけでなく,持ち運べる荷物の量にも影響するので,たくさんのアイテムを集めたいのなら,これを優先的に伸ばしてもいいだろう。
どのパラメータ/スキルを伸ばすかで,キャラクターの戦い方はかなり変わってくるが,最初はどれがどれやら分からないと思うので,ともかく,いろいろ試してみよう。
世界のあちこちにいる「魂の縫い人」というNPCにお金を払えば,割り振ったパラメータとスキルをリセットしてくれるので,ちょっとお金はもったいないが,安心だ。例えば,最初に戦士でプレイを始めたとしても,途中で「やっぱり魔術師のほうがいいな」と感じたら,レベルはそのままにやり直しが効くというわけで,これは嬉しいシステムだ。
武器やポーションは自前で調達
魔法を作り出せる自由度の高さも自慢
武器や防具をアップグレードすることも可能になっており,その際に必要になるのが鉄や布,木といった素材だ。これらは,使わなくなった武器や防具を解体することで得られ,例えば剣なら鉄と鋼,ブーツなら革になるといった具合だ。これらの素材を武器や防具と掛け合わせることで,装備品のレベルが上がっていく。
アップグレードによって攻撃力や防御力が上昇するほか,特殊な力を持つ「水晶」を埋め込むことができるスロットがアンロックされたりなど,メリットは大きい。また,一部の防具は染料で色を変えられるので,見た目のカスタマイズも楽しい。
アップグレードにはクラフトスキルの「治金」が必要で,これを強化することで,より高いレベルに持っていける。ただし,アップグレードを重ねるごとに,必要な素材はどんどん増えていくので注意が必要だ。
そのほか,フィールド上に生えている植物や,倒した獣やモンスターの体のパーツも素材として使用でき,これらの素材を組み合わせることでポーションを作れる。調合では,さまざまな素材を混ぜることができ,組み合わせによって回復用だったり解毒用だったり,多様なポーションができて面白い。
ちなみに,一度作成したポーションはレシピとして保存されるので,素材が揃えば,レシピを読み込んで量産することも可能だ。
本作で最も興味深いのは,魔法を作成できる点だろう。これには「魔法カード」というアイテムが必要で,魔法の核となる「形態カード」,「水」「炎」「大地」など魔法を構成する元素を決める「効果カード」,そして魔法の効果や性質に影響を与える「調整カード」という3種類のカードを適宜組み合わせて,本作ではオリジナルの魔法を作成することができるのだ。1つの魔法を作るためには最低限,形態カードと効果カードの2種類あれば大丈夫なのだが,多くのカードを組み合わせていくほど,強力な魔法ができあがる。
最初は炎の玉を1つ発射するなど,シンプルなものしか作れないだろう。しかし,カードを組み合わせることで,一度に放てる魔法が増えたり,魔法が自動的に敵を追尾したりなど,どんどん効果が変わっていく。どういったものができるのか,パターンは本当に豊富で,それを探すのが非常に面白い。
余談だが,魔法の試し撃ちは,一般市民のいないところで行うほうがいいだろう。町中でぶっ放すと,もれなく衛兵のきついお仕置きが付いてくるからだ。
魔法カードは商人から購入したり,クエストの報酬としてもらえることがある。魔術師にとってはこれが生命線となるので,ショップなどで持っていないカードを見つけたら,とりあえず購入しておく必要があるだろう。
マルチプレイの基本はストーリーモード
お金が貯まったら,ぜひヴィレッジモードを遊ぼう
本作のマルチプレイには,「ストーリー」「デュエル」「水晶ハント」「ヴィレッジ」,そして「デスマッチ」という5つのモードが用意されている。今回は,その中からストーリーモードとヴィレッジモードを簡単に紹介しよう。
シングルプレイの主人公をマルチプレイで使うことはできず,専用のキャラクターを作る必要がある。もっとも,人間以外に「エルフ」「ハーフエルフ」「ダークエルフ」「ハーフドワーフ」,そして「ハーフオーク」から1つを選択でき,バリエーションは豊かだ。しかも,女性キャラクターでプレイできるのも見逃せない。
用意されたマルチプレイモードの中では,ストーリーモードが重要になる。なぜなら,作ったばかりのキャラクターで対戦系のモードに挑んでも,おそらく高レベルプレイヤーに瞬殺されるだけだからだ。まずはCo-op(協力プレイ)であるストーリーモードでレベル上げと資金/アイテム調達しておこう。
ストーリーモードは全部で7章あり,マルチプレイ専用のシナリオに,最大8人のプレイヤーで協力しつつ進められるのが特徴だ。シングルプレイでは,広大なフィールドを行ったり来たりして1つのクエストをこなすのだが,マルチプレイ用のストーリーは比較的一本道で進み,順調に行けば1つのシナリオを1〜2時間程度でクリアできるはずだ。
1人でも遊べるものの,Co-opが前提になっているため出てくる敵の数がかなり多く,ソロでクリアするのはなかなか難しいバランスだ。また,複数のプレイヤーが協力することで開けられるドアがあったり(ソロプレイでも突破できるような仕掛けはある)など,全員で協力して遊んだほうが楽で,面白くなるように作られている。
ヴィレッジモードは,プレイするのに1万アウラ(トゥーワールド2のゲーム内通貨)が必要なので,これはストーリーモードをプレイしてお金を稼ぎ,それを使ってアンロックできるモード。
リアルタイムシミュレーション(RTS)といった雰囲気のかなり異色なモードで,プレイヤーは施設を建てて働く場を作ったり,酒場を作って憩いの場を提供したりと,住民の要望に応えて町を発展させていくのが目的だ。ときには洞窟にモンスターが発生し,その駆除を依頼されるなど,さまざまなイベントがも用意されている。
施設が増えると住民の数もそれに比例して増えていき,一定時間が経過すれば利益から維持費を引いた額がプレイヤーの収入として懐に入ってくる。もちろん,あとさき考えずに建物を建てても赤字になってしまう場合が多く,どういったものが必要なのか,しっかり考えなければいけない。また,ここで得た収益はマルチプレイ用のストーリーでも使えるので,うまくいけばいろいろと楽になる。プレイするのに,まとまったお金を用意しなければいけないのがネックといえばネックだが,充実したマルチプレイを楽しみたいなら,ヴィレッジモードにぜひ挑戦しよう。
洗練されてはいない部分もあるが
今後の展開にも期待したいシリーズ
広大なオープンワールドを舞台にしたトゥーワールド2。チュートリアルさえ終われば,あとはプレイヤーの好きなように行動してかまわない。ひたすらストーリーを追いかけてもいいだろうし,マップを隅から隅まで探検して,面白そうな場所に入ってもいいだろう。あるいはトレジャーハンティングに精を出すとか,とにかく自由。この投げっぱなしな感覚は,どちらかといえばコアゲーマーに受けそうだ。
幅広いキャラクタービルドや武器のカスタマイズ,オリジナルの魔法作成など,野心的な試みが数多く取り入れられており,個人的にはとても楽しかった。
世界観を前作から引き継いでいるためか,聞いたことのない固有名詞が唐突に出てきて,それに関する説明もないなど,不親切な部分がないわけではない。また物語のつかみもやや弱いかなと感じた。このへんがしっかりしていれば,もっと良くなったはずだ。
このように,垢抜けていない部分も見受けられないではないが,そこも作品の個性として愛したい。日本のRPGでは感じられない独特の雰囲気を味わいたい人は,ぜひプレイしてほしい。
「トゥーワールド2」公式サイト(要年齢認証)
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