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[SIGGRAPH]複合現実やプロシージャル,3Dスキャナなど,最先端技術を使った「製品」を紹介する,一般展示セクションレポート(2)
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印刷2010/08/12 20:46

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[SIGGRAPH]複合現実やプロシージャル,3Dスキャナなど,最先端技術を使った「製品」を紹介する,一般展示セクションレポート(2)

 SIGGRAPH 2010の一般展示セクションレポート後編をお届けしよう。2010年8月10日の記事ではAMDとNVIDIAのブースをレポートしたが,今回はそれ以外のブースの注目展示を紹介していきたい。

パッシブ型でフル解像度の3D立体視や“CG操り人形”システムに注目。一般展示セクションレポート(1)



複合現実が切り開く次世代エンターテインメントの形

〜キヤノンITソリューションズ


キヤノンITソリューションズは複合現実のデモを行っていた
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 仮想現実(VR,Virtual Reality)という用語の説明は今さら不要だろう。最近話題に上ることが多い拡張現実(AR,Augmented Reality)も,そろそろ周知されてきたように思う。ARとは,現実世界の視界にCGなどを合成して,現実世界とのインタラクションを強化するものだ。

 そしてもう一つ,近年,研究が盛んなのは複合現実(MR,Mixed Reality)である。「着想自体は拡張現実と同じだが,インタラクションの対象が,仮想現実と現実世界の双方になったもの」がMR。「仮想現実+拡張現実」あるいは「仮想現実×拡張現実」といったものが複合現実に相当する。
 キヤノンITソリューションズ(以下,キヤノンITS)は,MRの本格的なビジネス化を目標に研究開発している企業であり,今回のSIGGRAPH 2010では二つのブーススペースを確保して気合の入った展示を行っていた。

 さて,会場では被験者にキヤノンITS担当者よりヘッドマウントディスプレイ(以下,HMD)が手渡され,これを被ってブース内を覗くことで五つのMR体験ができるようになっていた。
 写真を見てもらうと分かるのだが,ブース内には六角形を単位とした模様が記載されたマトリクスコードが多数貼り付けられており,これらは被験者のいる現実世界と仮想世界との対応を示す位置を指し示している。HMDに取り付けられたカメラでの,このマトリクスの写り具合から判断して,被験者がどこにいて,どの方向を見ているかを判別する仕組みである。ちなみに,この六角形マトリクスコードはキヤノンITSの特許技術だとのこと。

ブース内に貼りまくられている六角形を基調にした模様のマトリクスコードは現実世界のジオメトリ情報を取り込むためのマーカーとして機能する。この六角形を使ったパターンはキヤノンITSの特許技術
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 行われていた展示は,前述のとおり全部で5種類。

 一つめは,地球と月の関係を3D CGで図解したバーチャル展示であった。
 液晶画面上の映像を見るのとは違って,HMDを通して見た視界内では,目の前に立体的なミニチュアの地球と月が浮遊しているように見える。さらにしゃがんだり回り込んだりすれば,さまざまなな角度から眺められるようになっている。

はたから見ると何もない部屋の隅だが,被験者の視界にはミニチュアの地球と月が見えている
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箱に無数の六角形マトリクスコードが貼り付けられている。これをHMDを通してみるとCGが合成されて立派なコピー機に見える
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 二つめは,コピー機の3DモデルとMRとでインタラクトするというデモだ。現実世界側の実体物としてのコピー機(の模型)は,実際のところただの箱で,外装には無数の六角形のマトリクスコードと,ボタンのギミックが取り付けられているだけ。だが,HMDを通すと,CGでできた立派なコピー機が見えるという仕掛けだ。
 先ほどの「地球と月」と異なるのは,この“コピー機”には触れるということ。実体物の箱型模型にCGが合成されているため,被験者がCGで再現されたコピー機に触ろうとすると,その手は実体としての箱に触ることになる。CGで再現されたコピー機のボタンまでもが高精度に実体物のボタンギミックと合成されているので,HMD越しだと,自然にコピー機に対してのボタン操作まで行える。

 担当者によれば,これは「MRを用いたプロトタイプ評価体験」に相当するのだという。どういった操作感&使用感になるのか,実際にプロトタイプを製作する前にMRで確認できるので,何台もプロトタイプを試作するよりもコストは安くて済むというわけだ。
 現に,今回のデモも,CGで再現されているコピー機のモデルデータは,試作デザインのCADデータをそのままMRに流用したものだという。

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「CGに触れる」というMRのデモ
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被験者の視界。実際にボタンを触るとコピー機のカバーが開閉する。被験者の手とCGとの合成ラインはやや粗めか

 三つめは,現実世界に実物大の恐竜がやってきたら……という「もしも」体験できるデモ。
 HMDを通して見ると,現実世界を映した視界内に巨大な恐竜が合成される。現実世界の対象物とCG恐竜との大きさの対比を実感できるため,あらためて恐竜の大きさを「実感」可能というわけである。こらちは,マトリクスコードではなく,磁気センサーを用いて,被験者が被っているHMDの向きや角度を検出していた。

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被験者の視界には現実世界とCG合成された恐竜が見えている
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被験者の視界。SIGGRAPH 2010展示ホールの通路に恐竜がいるように見える。3D的な位置やスケール関係はマッチした状態での合成であり,さらに立体視となっているので,その臨場感はなかなか感動的

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被験者の視界。実体化した恐竜は動き回る
 四つめは,恐竜デモの別バージョンといった感じで,動き回る恐竜をブース内で追いかけ回して見られるというものになっていた。
 CGの恐竜が,現実世界に置いてある実体の障害物に隠れるさまが見られるようになっており,隠れている場所まで移動すれば,そのCG恐竜を見つけることもできる。内容はかなりゲーム的で,MRの面白さを堪能できるデモだといえるだろう。

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ブースに展示された,実体物としての恐竜の骨格化石
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これをHMDを通して見ると……
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骨に肉が付いていくCG演出がなされ,恐竜は台から飛び降りる
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動き回る恐竜を追いかける被験者達

立命館大学が開発した「百鬼面」体験ブース。キヤノンITSとの共同展示ブースとなっていた
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 五つめは,もっとゲーム的というか,まさにMRを用いたゲームそのもの。立命館大学の研究グループの開発による「百鬼面」と名付けられたこのMRゲームでは,被験者――というかプレイヤーは忍者となって,迫り来る小鬼を手裏剣で倒していく,シューティングゲーム的な内容になっている。

 プレイヤーは両手に米Polhemus製の磁気センサーを取り付け,手のひらをこすり合わせるという,マンガやアニメでよく見かける“手裏剣投げ”のジェスチャーで小鬼を撃退することになるのだが,このときゲーム空間となるブース内には六角形マトリクスコードが配置されており,これでプレイヤーがどこを向いているかを判別。さらに,磁気センサーが手裏剣の発射(=ジェスチャー)を検出することになる。

 HMDを通した視界では,ブース内を所狭しと小鬼が動き回っているように見え,ときどき,小鬼達は走ってこちらに体当たりをしてこようとする。ゲームでは,こうした攻撃型の小鬼を含めてすべての小鬼を殲滅できればクリアだ。
 筆者も実際に体験させてもらったが,小鬼は背が低いため,やや屈み気味で小鬼に照準を合わせることになるうえ,さらには動き回る小鬼を追いかけるために首や身体を左右に動かす必要もあったりして,アクション性はけっこう高い。FPSをMRでやっているような感覚であり,実際かなり楽しかった。

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手裏剣で迫り来る小鬼達を撃退していくMRゲーム「百鬼面」。手をこするジェスチャーで手裏剣発射!
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現実世界の視界を動き回る小鬼達が,プレイヤーには見える。これぞ本物の一人称シューティングだ

 キヤノンITSでは,こうしたMR研究を8年前から行っており,次世代のコンピューティングパワーの応用先として市場開拓に臨んでいるのだそうだ。恐竜がらみのMRデモは,2009年の千葉県・幕張メッセで開催された恐竜博「恐竜2009−砂漠の奇跡」で公開された実績もある。

 なお,今回の一連の展示で用いられていたHMDには「VH-2007」という型番が与えられていたが,これはキヤノンITS自社開発のプロトタイプになる。VH-2007が持つ一眼あたりのマイクロディスプレイ解像度は1280×960ドット(アスペクト比4:3),水平視界範囲60°,垂直視界範囲47°で,1.5m先に100インチ画面があるような視界を再現できる。表示映像の大きさと距離感再現にはキヤノンが持つ光学技術の産物である特殊な非球面レンズが利用されているとのこと。

 MRでは,被験者の視界をビデオカメラで撮影してCGと合成することになるが,このビデオカメラのイメージセンサーには,解像度33万画素,1/3インチのCCDを採用している。解像度自体はさほど高くない。
 ビデオカメラで撮影した映像は,ホストPC側でキャプチャされ,現実世界の3D情報と仮想世界の3D情報とのマッチングを行い,CGを生成して合成する。ホストPCには「Xeon X5570/2.93GHz」を2基,DDR3 SDRAM計12GB,グラフィックスメモリ1.5GB版の「Quadro FX 4800」を搭載したHewlett-Packard製ワークステーション「Z600」が用いられていた。

 キヤノンITS担当者いわく,「今年から始まった立体視対応テレビは,いずれこうしたMRに発展していくのではないか」。テレビ画面から飛び出す映像を見るだけではなく,飛び出した映像に囲まれる体験が“次世代の3D立体視”として来るのではないか,と予測しているわけだ。
 MRが次世代のエンターテイメントとして台頭してくることに期待しよう。


プロシージャル技術による都市生成ミドルウェア

「CityEngine」〜3Dconnexionブース


小さいながらも,人だかりの絶えない3Dconnexionブース。来場者のお目当てはCityEngineの展示だった
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 Logitech傘下の“3Dマウス”メーカー,3Dconnexionブースで注目を集めていたのが,プロシージャル技術ベースで開発された都市生成ミドルウェア「CityEngine」だ。

 プロシージャル技術とは,コンピュータで実装したアルゴリズムによって自然界に存在するものを再現したり,人間が興味を持てるほどの知的なコンテンツを自動生成したりする技術のこと。3Dゲームグラフィックスの分野では,数年前からプロシージャル技術によるテクスチャ生成などの手法が研究されており,これらはとくに「プロシージャルテクスチャ」と呼ばれている。
 ちなみに,プロシージャルテクスチャ生成機能は,任天堂の3Dゲーム機「Nintendo 3DS」のGPUでもサポートされていて話題を呼んだので,記憶に新しい読者もいることだろう。

 話を戻そう。CityEngineは,その名のとおり,適当な条件を設定するだけで街並みの3Dモデルを自動生成する機能を持ったミドルウェアだ。

 CityEngineを使った街並みの生成にはさまざまな手法が用いられており,例えば,当該3Dシーンに対して土地の起伏を設定して,川や海,大通りを適当に描き,人口密度分布を設定し,国のタイプや時代区分といった「作りたい都市/街の趣向」を選択すれば一丁あがりとなる。

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「2010」という大通りを描いて街並みを生成
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独自の都市生成知識モデルアルゴリズムにより,道を敷くことも区画整理することも自動的に行える
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 条件を指定すると,CityEngineは瞬く間に小さい道を自動生成し,自動的に区画を整理し,建物を建てていってくれる。まるで「SimCity」を見ているようだが,これはデタラメに生成しているのではなく,ここには「人間の住む街を自然に再現する独自のアルゴリズム」が用いられているのだ。



 人口密度の高いところ同士は太い道で結ばれたり,細い道は,坂道を避けるため,なるべく等高線に沿ったように敷かれたりする。規則に従った道ができあがると,今度は道で区切られた土地の広さに応じて,妥当な高さの建物が建っていく。
 CityEngineでは,建てる建物,一軒一軒のデザインについてもプロシージャル技術が適用される。建物の基本形状のボキャブラリーがあって,これらを組み合わせて建物を建造するイメージだ。

建物の形状生成には植物形状のプロシージャル表現手法であるL-system理論が応用されている
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 この「建物の建造アルゴリズム」には,植物のプロシージャル表現を目的として生物学者のAristid Lindenmayer氏が開発した「L-system」の拡張版が用いられているとのこと。「自然界の多様な植物の形状には『細部の形状と全体の形状が似ている』という『自己相似性』があり,その成長メカニズムを記号の変換法則で表現する」のがL-systemなのだが,CityEngineの開発グループは「建造物には植物と同じように自己相似性がある」ことに気づき,このアルゴリズムで建物を表現することを思いついたのだという。

 生成した都市シーンは,3Dモデルデータとして,「Autodesk 3DS」や「Autodesk FBX」「COLLADA」といった主要3Dデータ形式でエクスポート可能。
 価格はライセンス形態によって495〜4950ドルまで幅があるが,ソースリストの提供を行うようなライセンスプログラムはない。現在のところ,CityEngineは都市や街並みの3Dモデリングツールとしてのみ提供され,CityEngineの都市生成ランタイムを自社ゲームに組み込めるようなライセンスプログラムは提供されていない。

フロアプラン生成,窓枠/ドア生成のモデル生成,あるいはテクスチャの生成もプロシージャル技術によって自動生成される
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箱モデルにテクスチャでディテールを付加することも,ジオメトリレベルでディテールを付加することもできる

主要DCCツールへのエクスポートが可能
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各建物のボキャブラリーはカスタマイズ可能
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 都市生成アルゴリズムの調整や,L-systemベースとなる建物の形状ボキャブラリー追加などはユーザー側で自在に行えるため,古代都市や未来都市のような街並みの生成も可能だ。ブースでは,こうした拡張性を応用して,同一の街並みに対して「破壊された建物の形状ボキャブラリー」に置き換えることで,「戦争によって破壊された街並み」を簡単に生成する実演を行っていた。ゲーム制作などにおいて,平和な街と戦争後の街のシーン作成や,全盛期の街と朽ち果て廃墟と化した街を対比して表現するといったことに応用ができそうだ。

カスタマイズの仕方次第では,破壊された街並みに作り替えたりもできる
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道路脇の街灯や木々の植え込みまでもサポート
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 ところで,このCityEngine,元々はスイス・チューリッヒ工科大学の研究グループによって2001年から学術研究プロジェクトとして開発が始まったものである。2007年からは商業ソフトウェアとしてのリリースを開始しており,現在リリースされている2010年バージョンは,商業リリース版として,第3版にあたる。主要開発チームのメンバーは現在約10人とのことだが,現在はPixarやDreamworksなどといった大手映画スタジオ,THQ,スクウェア・エニックス,Blizzard Entertainmentといった大手ゲームスタジオをクライアントに抱える世界レベルのミドルウェアメーカーに成長している。今後の進化が楽しみなエンジンである。

最新版の「CityEngine 2010」ではレンダリングのクオリティもアップした
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一眼デジタルカメラで実現する3Dモデル取り込み

「Pico Scanner」〜3DDynamicsブース


パーソナル3Dスキャナとして人気を集めるかもしれないPico Scanner。製品ロゴだと「pico scan」になっている
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 粘土模型や人面までの実体物の3D取り込みを安価に実現する3Dスキャナ「Pico Scanner」を展示していたのは,ベルギーに本拠地を構える3Dスキャナ専門開発会社,3DDynamicsだ。

 Pico Scannerがユニークなのは,イメージの取り込みにキヤノンの一眼レフデジタルカメラ「EOS 1000D/Rebel XS」(日本名:EOS Kiss F,以下 EOS Kiss)を使用し,メッシュ投影にLED光源のピコプロジェクタを使用するという点だ。

 ピコプロジェクタとは,ビジネスプレゼンテーション向けに開発されたポケットサイズの小型プロジェクタのことで,Pico Scannerでは,汎用製品であるピコプロジェクタを,EOS Kissに用意された外部ストロボの取り付け位置に装着して使用する。
 ピコプロジェクタからはメッシュパターン(網目模様)などを投射してこれをEOS Kissで撮影し,その画像の歪み具合などを認識して3Dモデルの頂点データ(3D形状データ)を生成する。

キャプチャ風景
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さまざまなメッシュパターンを投射し,これをEOSで連続撮影していき,ホストPCでこれらの撮影写真の情報から3Dのジオメトリ情報を取得する
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デモで用いていた石像。この表面のわずかな凹凸までを的確に取り込める
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 得られる3D形状データの精度は誤差0.1mm以内,頂点解像度は0.16mmと,なかなかのもの。
 頂点データのほか,カラーテクスチャマップ,法線マップ,デプスマップなどのテクスチャデータも得られ,さらに,ターンテーブルを利用して複数回のキャプチャを行えば,片面だけでなく,閉じた3Dモデルを得ることも可能だ。

 レンズはキヤノン純正の18-55mmのズームレンズを採用し,最短キャプチャ距離は150mm,再遠キャプチャ距離は800mmとなっている。キャプチャ範囲は800mmの距離で400×500mmまで。最短キャプチャ距離はレンズ性能から来る制約,再遠キャプチャ距離はピコプロジェクタの性能からくる制約のようだ。ちなみに,Pico Scannerに同梱されるピコプロジェクタは,解像度800×600ドット,40ルーメンの投射性能となっている。

 製品はEOS Kiss F本体と18-55mmレンズ,ピコプロジェクタ,三脚込みで提供され,北米市場での価格は1999ドル。SIGGRAPH 2010期間中に販売が始まっているが,日本での発売は未定で,現在は代理店を探しているところだとか。この価格帯ならば,パーソナルな3Dスキャナとしても人気を集めるかも?

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テクスチャも同時に取得可能
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法線マップも得られる

0.1mm精度の凹凸情報までを正確にキャプチャできる
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組み込み機器向けの新グラフィックスIPコア 〜Vivante


David Jarmon氏(VP Sales & Business Development, Vivante)
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 2000年のDirectX 8登場を機に始まったプログラマブルシェーダ時代。新時代の幕開けと時をほぼ同じくして,Number Nine Visual Technology,3dfx,Matrox,3DLabsといった,3Dグラフィックス業界の名だたるメーカーがPC向けGPU市場から消えていった。以降,PC向け単体GPU市場はNVIDIA対ATI Technologiesの戦いで歴史が紡がれていくというのは4Gamer読者もよく知るところだと思うが,偶然か必然か,2000年以降は,組み込み機器向けGPUメーカーが活気を見せ始めた。
 例えば,英Imagination Technologiesの「PowerVR」は,2001年にセガのドリームキャストが終焉して以降は組み込み機器向けGPUコアの開発に注力し,結果,IntelのAtomプラットフォーム(の一部)やAppleのiPadやiPhoneなどに採用されるに至っている。先だってNintendo 3DSへ採用されると発表され注目を集めた日本のディジタルメディアプロフェッショナルも,創立は2002年だ。
 そして,SIGGRAPH 2010に小さなブースを構えていたVivanteも,2004年創業と,まだ若いグラフィックスIPコア開発メーカーである。本拠地は米カリフォルニア州サニーベール市だ。

 VivanteのグラフィックスIPコアは「GC」シリーズと名付けられており,消費電力あたりのパフォーマンスの高さを第一に開発を行っている。効率重視の設計を採用しながら,プログラマブルシェーダアーキテクチャを採用しており,OpenGL ES 1.1&2.0に対応している点が最大の訴求ポイントになるだろう。担当者によれば,パフォーマンスはともかく,将来的にはデスクトップPC向けAPIであるDirectX 11やOpenGL 3.0にも対応予定だというから驚きだ。

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Vivante GCシリーズのロードマップ
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Vivante GCシリーズの基本スペック
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Vivante GCシリーズのアーキテクチャブロックダイアグラム

ブースでは「Quake III」を1024×768ドット解像度,約30fps程度にてリアルタイムに動かす実機デモを公開していた。Quake IIIなのでプログラマブルシェーダベースのグラフィックスではないが
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 GCシリーズで,シェーダコアは最大16基搭載可能で,最小構成のGC400とGC800が1基,GC1000が2基,GC2000が4基。2010年第4四半期に投入予定のGC4000が8基,2011年予定のGC8000が16基搭載する。
 Vivanteが持つもう一つの特徴は,近代的な「統合型シェーダアーキテクチャ」を採用しているという点。各シェーダユニットは,4要素ベクトル対応の浮動小数点SIMD演算器であり,その時点におけるレンダリングエンジンの負荷率に応じ,頂点シェーダとして起用されたり,ピクセルシェーダとして起用されたりする。さらに,OpenCL(Embedded Profile)ドライバーを利用することで,各汎用シェーダユニットはGPGPU用途にも流用できるのだ。

 守秘義務の関係で採用製品の詳細は明かせないそうだが,今年後半以降,続々登場してくるという。今後,Vivanteのロゴを目にする機会が増えてくるかもしれない。楽しみだ。

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Vivante GC400によるレンダリングサンプルより
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法線マップベースのさざ波付きの水面表現。しかも鏡像表現とフレネル反射あり
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モーションブラーは,画面外周に行くにしたがってブレ量を大きくした疑似効果とカメラブラーの二段構え
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