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[GDC 2012]Facebookが語る,50億台規模の次世代ゲーム市場に向けた7つの攻略法
現時点での世界中の携帯電話普及台数は約50億台。しかし,まもなくスマートフォンだけで50億台に達するだろうという予測も出ているそうだ。そして,それほどの勢いでスマートフォンが普及しているということは,同時に,スマートフォン向けアプリ市場の急速な拡大が見込まれることを意味している。
Facebookは,携帯電話(主にスマートフォン)のゲーム市場に向けて2009年10月から動き出しており,まずはシングルサインオンを実装,そして2011年にはiOSとAndroidでのソーシャルチャネルとWeb上での決済機能,オープングラフやモバイルタイムラインなどを追加している。さらに,現在は通信キャリア課金が実現されており,本格的に携帯電話用コンテンツを展開していく下準備が出来上がったといってよいだろう。
ソーシャルゲーム自体も好調で,毎月なんらかの新しいアプリあるいはゲームを導入する人は6000万人を超えており,Facebookが2011年中にアプリ,ゲーム会社へ支払った金額は14億ドル(約1138億円)に上るという。
また,PCでのFacebook用ゲームというと,ブラウザベースのゲームが主体となっているが,携帯電話用のゲームにはいわゆるネイティブなゲームも投入されており,実際,iPhone,Androidともに一定のユーザーを抱えているとDavis氏は語る。
その数はまだまだ少ないが,もしそうしたネイティブなゲームがiOSとAndroidの両方に対応してくるのならば,いずれ,とてつもない規模の市場になるのは確実だ。「携帯電話ではPCと比べて表現力で見劣りするのでは?」と考える人もいるだろうが,スマートフォンならではの機能を利用するなどネイティブな環境を使うことで,むしろPCよりリッチな表現が増えていく可能性すらある。
- Analytics 市場分析はしっかりやる必要がある。サービスでのキーパラメータはどれか,顧客維持はどうするのかなど,ソーシャルゲームにおいて必要となる事項は非常に多い。
- Engagement さまざまな方法で登録ユーザーを集めても,幽霊会員ばかりでは儲からない。いかにアクティブに活動させるかが重要になる。これには会員同士のつながりを深めることが有効とのこと。
- Virtual Goods いわゆる課金アイテムは重要。キーになるものの一つはその価格だ。安い価格で大量に売るか,高価で特別なアイテムを売るかなどの選択肢がある。
- Global Deployment Facebookは現在では日本や韓国でも運営されている。アジア市場向けにローカライズして市場を広げることの重要性を,主に欧米系の開発者に向けて強調していた。
- Multi Platform Facebookは多くのプラットフォームに対応している。さまざまなプラットフォームで展開することで,市場を広げることが重要。
そこで氏が大きな期待をかけているのが,HTML5だという。将来的には,デスクトップ環境に匹敵するような表現力を秘めた携帯プラットフォームとして躍進すると,氏は確信しているとのことだが,確かに,プラットフォームを問わず利用できるようなゲームを開発できれば,生産性や収益性も上がってくるだろう。
- シングルサインオンをサポートして,Facebookのブックマークと検索結果を取り込むこと
- さまざまなプラットフォームを使っている人でも,一つのFacebookアカウントで利用できるようにすること
- ゲームを拡散させるために,オープングラフを通じて公開すること
- リクエストや招待などはしつこくならないようにすること
- あらゆるソーシャルチャネルを駆使すること
- ネイティブなゲームに直接リンクを張ること
- ソーシャル性を理解してゲームを作ること
現在,携帯電話でFacebookを使っている人は4億2500万人。Davis氏は,スマートフォン用ネイティブアプリをマルチプラットフォームで用意し,ソーシャル機能を最大限に駆使していくことが成功の鍵だとしている。
日本ではまだ一般化しているとは言いがたいFacebookだが,巨大なゲームプラットフォームとして存在しているのは間違いない。日本のソーシャルゲームのツボとはちょっと違った視点とノウハウによる次世代ゲーム環境攻略法は,世界市場を目指す日本のメーカーにとっても有益なものかもしれない。
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Facebook向けアプリ
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