「FF」＆「メタルギア」の25周年を記念して作られた“究極のキャラ弁”がすごい。贈呈式には北瀬佳範氏や小島秀夫氏も登場

　「ファイナルファンタジー」と「メタルギア」という，PlayStationプラットフォームを牽引してきた2大シリーズが，2012年で生誕25周年を迎えた。これを記念して，ソニー･コンピュータエンタテインメントが，制作元であるスクウェア・エニックスとKONAMIに，2作品をモチーフとした“究極のキャラ弁”を贈るという，ちょっと変わったイベントが，2012年12月18日に行われた。

キャラ弁を贈呈したソニー・コンピュータエンタテインメント ジャパン プレジデントの河野 弘氏。自身はキャラ弁のことを良く知らなかったそうだが，社員の熱意を受けて今回のイベント開催を決めたという

スクウェア・エニックス「ファイナルファンタジー」プロデューサー北瀬佳範氏（左）
KONAMI 小島プロダクション監督 小島秀夫氏（中央）
同じくKONAMI 小島プロダクション アートディレクター新川洋司氏（右）

　まず，制作元の各氏が，自身の手がけるシリーズが25周年を迎えたことについて，コメントを述べた。

　「ファイナルファンタジーが登場した25年前，私はまだ大学生だったのですが，その革新的なビジュアルと感動的なストーリーに魅了されたのを覚えています。私が制作者になったのはその5年後のことですが，今でもそのときの気持ちを忘れずに，作り手として素晴らしいものを届けていきたいと思っています」（北瀬氏）

　「実は，ファイナルファンタジーとは違って，『メタルギア』は一度中断しています。『メタルギア ソリッド』は，3Dポリゴンの表現機能を持っているPlayStationが出ると聞いたときに，これで本当のかくれんぼができると思って復活させたタイトルだったんですよ。そこからSCEJさんと一緒に頑張ってきたからこそ，今があると思っています」（小島氏）

　「僕も25年前は，1人のプレイヤーとして『メタルギア』を遊んでいました。KONAMIに入社するときは小島監督に面接をしていただいて，入社後に初めて1から関わったのも『メタルギア』シリーズなんです。KONAMIで働き始めてからずっと『メタルギア』をやってますけど，こんなに長く続くとは思っていませんでした」（新川氏）


　そしてお待ちかねの「キャラ弁」の登場となった。キャラ弁はなんとPlayStation 3を模した弁当箱に入っており，箸置きがデュアルショックになっていたり，スライドを開けるとブルーレイディスク型のメッセージカードが出てきたりと，弁当箱からしてかなり凝った作りだったが，中身も相当にハイクオリティだ。

メッセージカードには“プレコミュ”ユーザーの声が詰まっていた

「ファイナルファンタジー」のキャラ弁は，1段目がクラウド，ザックス，セフィロスのキャラクター，2段目がチョコボとモーグリがモチーフ。写真には写っていないが，「きんのはり」をイメージした金色のつまようじも入っていたらしい。なんというか，徹底している

「メタルギア」のキャラ弁では，オールドスネーク，ネイキッドスネーク，雷電が再現された。2段目は，ダンボールの置かれたフィールドがモチーフだ。こちらは渋さ全開

　キャラ弁を見た各氏も，このクオリティには驚いた様子。

　「クオリティの高さにビックリしています。簡単なものを想像していたんですが，全然そんなことなかったです（笑）。モーグリの曲線も非常に良く出ていて，素直にすごいなって思いました」（北瀬氏）

　「こんなキャラ弁見たことないです。これはすごいですよ！　これだけすごいともったいなくて食べられないですね」（小島氏）

　「僕は『メタルギア』のフィギュア商品を監修することがあるんですけど，これはこのままフィギュアにしてもいい出来だなと，素直にビックリしました」（新川氏）


　贈呈式終了後には，ゲスト陣の合同インタビューが行われたので，本稿の締めとして掲載しよう。

――今日のキャラ弁を食べるとしたら，どこから手を付けますか？

北瀬氏：
　2匹いたモーグリから食べようかなと。1段目は崩すのがもったいないですしね。

小島氏：
　1段目は食べないで飾っておこうかなと思います。3Dスキャンで取り込もうかな（笑）。

新川氏：
　ダンボールのお弁当を開けたとき，すごくいい匂いがしたので，そこから食べたいです。


――キャラ弁の企画を聞いたときに，まず思ったことを教えてください。

北瀬氏：
　最初はどうなるのかなと思いました。実は会場で見たときに，出来が良くなかったらどうリアクションをとろうかと思っていたんですけど，まったく心配無用でしたね。

小島氏：
　最初は子供用のキャラ弁をイメージしていたんですが，これはもうキャラ弁じゃなくて，アート弁ですよね。先日，PS3の弁当箱を画像で見てちょっとビックリしたんですけど，弁当の中身にもかなりビックリしました。

新川氏：
　非常にSCEさんっぽい企画だなって思いました。さっき控え室で監督が「このままコンビニで商品化すればいいんちゃうの？」って言ってたんですけど……クオリティが高すぎて，難しそうですね（笑）。それぐらいすごい出来でした。


――両シリーズとも25周年を迎えたところで，それぞれの作品に対して，お互いがどのように感じているのか教えてください。

北瀬氏：
　小島さんは映像も中身も，かなりこだわっていらっしゃるので，非常に羨ましいですし尊敬しています。うちの息子がPSPで「メタルギアソリッド ピースウォーカー」をやっている姿を見たりすると，悔しいなって思います。俺の作ったゲームもやれよ，みたいな感じで（笑）。

新川氏：
　仕事柄，僕の中のファイナルファンタジーのイメージは，やっぱり天野喜孝先生のアート画です。本当に，ずっと憧れの人でした。

小島氏：
　ファイナルファンタジーという大きなゲームが，日本のゲーム業界を世界に引っ張っていきましたよね。映画的な作風のゲームがどんどん広まっていったのもファイナルファンタジーのおかげだと思いますし，ゲーム自体のレベルが3ステップ，4ステップと上がっていったのも，この作品があったからだと思います。