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[GDC 2011]今年もやっぱり脳波だ。低価格になったNeuroSkyの新型デバイスを試してみた
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印刷2011/03/05 12:28

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[GDC 2011]今年もやっぱり脳波だ。低価格になったNeuroSkyの新型デバイスを試してみた

 大きなイベントを取材をするたびに,脳波関係のデバイスを紹介しているような気がする筆者だが,今年も懲りずにいってみよう。今回は,GDC 2009でも紹介(関連記事)したNeuroSkyの新製品を紹介してみたい。
 会場で展示されていたのは,従来のタイプからヘッドセット(イヤフォン部)を削ってコストを抑えた新型で,MindWaveと商品名も変更されている。お値段は99ドル(79ドルと書いてあるのはGDC会場価格)。GDC 2009で紹介したものの価格は199ドル(日本では2万4000円)だったので,新製品は戦略的なコストダウンが図られたモデルといえるだろう。

新製品MindWave。単体で見ると,なにがどうなっているのか分かりにくい
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耳たぶを挟み,額に電極を当て,このように装着する
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GDC会場特別価格で販売されていた

 ちなみに,脳波脳波と書いてはいるが,表示されているのはいわゆる脳波そのものではなく,脳波を総合的に判定した2種類の値。GDC 2009の記事では「集中度」「瞑想度」と書いたのだが,英語でConcentrationとRelaxation,ないしAttentionとMeditationなので,英単語からイメージしたほうが意味がつかみやすいかもしれない。以下では説明担当の人が使っていた「集中」「リラックス」という単語を使用する。

画像集#006のサムネイル/[GDC 2011]今年もやっぱり脳波だ。低価格になったNeuroSkyの新型デバイスを試してみた

 今年はデバイスが変わっただけではなく,デモも少し凝ったものが用意されていた。iPadを使ったデモでは(iPhone / iPadでも使えるということだ),何種類かのミニゲームが動いていた。試してみたところ,意外とすんなりと終わってしまう。
 デモをスタートすると,画面内の家が燃えている。眺めていると雨が降ってきた。……鎮火。このデモでは,集中している状態だと雨が降ってきて火が消えるという仕組みになっているわけだ。
 続いては,緑色のモノが盛られた丼とスプーンの絵。見つめているとスプーンが曲がっていき,ゲーム終了。これはリラックスしているとスプーンが曲がる仕組みらしい。

スプーンが……曲がる。ちなみに右は10秒後の画像
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 写真撮影時のタイムスタンプを見る限り,ミニゲームがいくつか集まったセットを終えて,さらにHARDモードにした2周めを終えるまでの所要時間は3分くらいか。集中が得意な人はリラックスが苦手,リラックスが得意な人は集中が苦手なことが多いのだそうだが,両方得意なのは珍しいと驚かれてしまった。

「なにかスポーツとかされていますか?」
「いえ全然」
「瞑想とか?」
「やってません」


画像集#012のサムネイル/[GDC 2011]今年もやっぱり脳波だ。低価格になったNeuroSkyの新型デバイスを試してみた
 うむ。みんなとくにキャリブレーションなどをせず使っているのだが,やっぱりキャリブレーションは必要なのかもしれない。とにかく,個人差も結構大きいようだ。

 しかし,集中とリラックスという,正反対の状態が同時に起きるなんてことは想像しにくかったのだが,ゴルフのパッティングデモを見てなんとなく納得。これは,脳波センサーを付けてパットの練習をして,どのような脳波状態のときに打っているかをモニタリングするというもの。うまい人は,集中とリラックスが共にピークになったときに打っているのだそうだ。

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グラフの下に「▲」のあるところがパットしたタイミング。集中しつつもいちばんリラックスしたところで打っていることが分かる
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こちらの人は,集中がMaxの時点で打っているが,リラックスは逆にMinで,かなりの緊張状態なのが分かる

 ちなみに,ゴルフのデモで使われていたデバイスは先ほどのものとはちょっと違って,額に2点と耳の部分に電極があり,見た目としてはサンバイザー型の機器になっている。バイオフィードバックがゴルフに有効かどうかは知らないのだが,ゴルフ練習用の機材として売り出すというのも面白いかもしれない。

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 さらに,映画のような映像型コンテンツを使ったゲームのデモも展示されていた。これは映像を見ていて,要所要所で集中ないしリラックスのどちらかのゲージを上げることでストーリー展開を変化させていくというコンテンツになっている。内容は,いわゆるエクソシスト系? といった感じのホラーもので,悪魔に憑かれた女性と戦うような内容になっている。このデモは10日ほどで作成したのだそうだ。撮影に2日,プログラムで1週間ほどといった内訳。

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 「ゲージを上げる」といった能動的な操作でゲーム仕立てにしてあるのだが,むしろ,見ている人の緊張度で展開を変えるだけにしたほうが面白いのではないかと,個人的には思った。気を抜いたタイミングでおどかすなど,見る人の状態にあわせて演出を変えていくこともできそうなので,21世紀の娯楽としては,それくらいまで頑張ってみてほしいところ。

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 最後に,ゲームそのものではないが,ゲーム作成中のQA(Quality Assurance)で使用する機材としての活用法を提示していたデモを紹介しよう。これはNeuroSkyではなく,同社の脳波センサーを使った別の機器を作っている,PuzzleBoxというところの製品。
 PuzzleBoxという社名と同じ名前の機器にはHDMIの入力端子/出力端子が付いており,ゲーム機からの映像出力を中継してディスプレイにつなぐようになっている。さらに脳波の状態も別途入力される。で,どうなるかというと,ディスプレイに映ったゲーム画像にオーバーレイで脳波の状態が表示されるのだ。
 これを使ってさまざまなデータを集計し,ゲーム制作に役立てようということらしい。集中,リラックスといった脳波からのデータのほか,ゲーム側のKill/Deathレートやポイント,ダメージ量などが利用される模様。ネットワークを介してサーバー側にデータを送るシステムを構築している。

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 精神状態というものは,能動的に変化させようとしてもなかなかうまくいかないので,ゲームそのものの入力機器というよりは,やはりプレイヤーの精神状態を計測する機器としての使い方が面白そうだ。筆者がやったときはゲームにならないくらいあっさり終わってしまったが,うまくいかない人だと全然コントロールできないものらしい。まだまだ機器側の調整が必要ではないかと思われるが,このあたりの完成度は時間とともに改善されていくのは間違いない。
 ちょっと買ってみてもいいかなと思えるくらいにぐんと価格が下がったことで,脳波デバイスも普及への準備段階に入りつつある。そろそろ世間を驚かせるくらいのキラーアプリを望みたいところだが?
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