［E3 2011］バイオハザードの常識を壊しつつも，その世界観を最大に活かしたTPS。「バイオハザード オペレーション ラクーンシティ」プレイレポート

　バイオハザードシリーズのスピンオフタイトル「バイオハザード オペレーション ラクーンシティ」（PlayStation 3 / Xbox 360）が，E3 2011のカプコンブースにてプレイアブル出展されている。シングルプレイが主体のメインシリーズとは異なり，多人数プレイを強く意識したTPSとして開発されている本作のプレイレポートをお伝えしよう。

　今回の試遊でプレイヤーが操作できたのは，アンブレラ社の特殊部隊U.S.S.（Umbrella Security Service）だ。本作は最大4人でのCo-opが可能なので，会場内には4人プレイ専用のプレイアブルブースも用意されていたが，筆者は1人用のブースでプレイを行った。ちなみに，ソロプレイの場合はNPCが一緒に戦ってくれる。


　まずは戦闘前に，操作キャラクター・スキル・所持武器の3つをそれぞれ選択する。キャラクターは「SPECTRE」「VECTOR」「BERTHA」「FOUR-EYES」「BELTWAY」「LUPO」の全6名で，それぞれに特徴的な能力とスキルが設定されている。
　スキルは，各キャラが習得しているものの中から1つだけ選んでセットする仕組みだ。例えばLUPOの場合は「GUNS A'BLAZING」「SUPER SOLDIER」の2つがセット可能。スキル選択画面では計9つのスロットが確認できたため，ゲームの進行に合わせて新たなスキルが解禁されていく要素もありそうだ。
　武器はアサルトライフル，サブマシンガン，マシンガン，ショットガンなどの各カテゴリに分類されており，どのキャラクターでも自由に武器を1つ選択できる。現時点ではロックのかかっているスロットもあったので，スキル同様に武器のアンロック要素も用意されているのだろう。


　ステージの開始前に，「バイオハザード2」の主人公・レオンとクレアの乗ったパトカーがトラックに激突されるという，衝撃的なムービーシーンがいきなり映る。プレイヤーの操作するU.S.S.の任務は，このレオンの抹殺だ。レオンを追ってゾンビの徘徊するラクーンシティを行軍していくこととなる。
　最初のフィールドでは，屋外にたむろするゾンビの群れの中を突っ切って，シャッターの閉じた駐車場へと潜入する。ゾンビはたいして強くないが，数がとにかく多く，倒しても倒しても際限なく出現するため，一か所に留まって戦っているとこちらが消耗してしまう。そのため，目的地への進路を阻むゾンビだけをピンポイントに排除し，どんどん先へ進んでいくのが賢い攻略法だと感じた。また，シャッターの前に辿り着いても，シャッターが開ききるまでには時間が掛かるので，その間に寄ってくるゾンビたちにも注意が必要である。


　駐車場に入ると，ゾンビよりも強力な敵，リッカーが天井に出現。リッカーの舌攻撃をもろに受けてしまうと，プレイヤーキャラがT-ウイルスに感染することがある。感染状態では時間経過とともに体力が減少してゆき，体力が尽きると死亡・ゾンビ化してしまう。この状態を解除するには，マップ内で拾えるアイテム“Anti-Virus Spray”が必要だ。もし手持ちのスプレーが無く，周りにも落ちていなければ……ゾンビ化するのを，ただ待つしかない。
　なお，ウイルスの感染や敵の攻撃によってプレイヤーキャラクターの体力が無くなると，シリーズおなじみの「You Are Dead」のメッセージが画面いっぱいに表示され，数秒後にリスポーンできるようになる。ただし，ゾンビ化で死んだ場合は通常よりもリスポーンに時間がかかってしまう。


　駐車場を抜けて外へ出ると，雑魚ゾンビに加え，米国特殊部隊の“US Spec Ops”の狙撃兵が待ち構えている。しかも，狙撃によりプレイヤーキャラが出血すると，その血の匂いを嗅ぎつけたゾンビ達が寄ってきてしまうので危険だ。ただし，この性質は敵兵の出血に対しても有効なため，わざと敵兵を生かしておいて，自分たちに襲いかかってくるゾンビの注意を逸らすといったプレイも可能だった。
　うまくゾンビを敵兵に押し付けて進もうとしたところで，さらなる米兵の襲撃を受け，応戦している間に残念ながら今回のプレイは時間切れとなってしまった。

　今回印象に残ったのは，良い意味で“バイオハザードらしくない”ことだ。例えば，従来のシリーズにおけるナイフなどの近接攻撃は，基本的に“銃火器を使えない時の緊急手段”でしかなかった。一方本作の場合，近接攻撃の威力が高く，また目の前のゾンビを捕えて盾代わりに使えるなど，役立つ場面が非常に多い。バイオハザードの常識にとらわれない作りになっているため，これまでのシリーズにあまり馴染みのない人でも，新規のTPSタイトルとして楽しめるはずだ。
　また，ゲームバランスはCo-opを前提に調整されているようで，ソロプレイでは苦戦する場面も多かった（もちろん，ただ単に筆者の腕が悪かったという原因もあるだろうが）。本作ではステージ開始前に選択した1種類の武器しか携行できず，途中で武器を持ち替えることもできないため，ショットガンなどの近距離向け武器を装備しているプレイヤーが狙撃兵に単独で対応することが，非常に難しい。プレイヤー間でしっかりと役割分担を決めて挑戦しないと，なかなか厳しい戦いになりそうだ。

　以上のように，ゲームとしての手触りが従来のシリーズタイトルと大きく異なるため，その違いに戸惑いを覚えるプレイヤーはいるかもしれない。しかし，「プレイヤーキャラクターがT-ウイルスにかかってゾンビになってしまう」ギミックなど，バイオハザードの世界観や設定が本作ならではの形で取り入れられており，なかなか面白い。バイオハザードというブランドを考えると，どうしてもホラーゲームのイメージが強いが，本作は本作で魅力的な内容に仕上がりつつあるのではないだろうか。

「バイオハザード オペレーション ラクーンシティ」公式サイト