プレイレポート
「マスエフェクト3」を,一足お先に体験。待望のマルチプレイも実装されたシリーズ最終章にして最高傑作。開発者へのインタビューも掲載
本作は2007年に第1作が発売され,銀河を舞台にした壮大な世界観や,多彩な選択肢による高い自由度が話題になり,世界中で大ヒットした「Mass Effect」のシリーズ最新作だ。三部作の完結編となる本作では,最大4人のプレイヤーが楽しめる待望のオンラインモードを搭載。さらに,よりバリエーションの増したカスタマイズ要素,アップグレード可能な数多くの武器など,すべてにおいて,前作,前々作を大きくパワーアップしたものになっている。
今回は,そんなマスエフェクト3のシングルプレイを先行してプレイできたほか,本作のアソシエイトプロジェクトマネージャーを務めるRobyn Theberge氏に短時間ながら話を聞くことができた。ここで,マスエフェクト3のインプレッションとTheberge氏へのインタビューをお届けしよう。なお,今回プレイしたのは開発バージョンだが,製品版とほぼ変わりがないとのことだった。とはいえ,微細な変更点などは生じるかもしれないので,それについては注意しておいてほしい。
本作には,大きく分けて「アクションモード」「RPGモード」「ストーリーモード」の三つが存在する。RPGモードとストーリーモードは,基本的にこれまでのシリーズを踏襲しており,主人公のシェパードを操り,会話を選び,戦いに挑みつつストーリーを進めていくことになる。後述するアクションモードは戦闘を中心に楽しみたいプレイヤー向け,ストーリーモードは本作の物語を楽しみたい人向け,RPGモードはその中間という感じだ。そのためか,戦闘の難度は,RPGモードよりもストーリーモードのほうが,やや簡単になっているという印象だ。
本作から追加されたアクションモードは,会話の選択肢をぐっと減らして,話がテンポ良く進むようにしたもので,主人公シェパードの見た目もカスタマイズすることはできない。「Mass Effect」シリーズ大きな特徴である「選択肢」を除外するのは作品の魅力を大きく削ってしまうのでは? という疑問が頭をよぎった人もいるかもしれないが,実際にプレイしてみるとこれが予想以上に遊びやすく,RPGというよりはアクションゲームのような雰囲気になる。
また,アクションモードはシネマティックな部分に重きを置いて作られており,視覚的にも激しい戦いが楽しめる。本作で初めて「Mass Effect」シリーズに触れるという人は,まずアクションモードでマスエフェクト3全体を楽しみ,RPGモードかストーリーモードでじっくり物語を味わうという選択もできるだろう。ちなみにアクションに関しては,オーソドックスなTPS(三人称視点のシューティング)スタイルを踏襲しており,この手のジャンルの作品に親しんでいれば,違和感なくゲームを操作できるはずだ。
物語は,シェパードが上司のアンダーソンに呼び出されるシーンから始まる。アンダーーソンによれば,正体不明の敵が銀河で猛威を振るっているという。シェパードはその敵が“リーパー”であることをいち早く察知し,死を覚悟して戦わないと生き残れないとアンダーソンに訴えるが,アンダーソンはどうも今一つ実感が持てない様子だ。ところが次の瞬間,辺りが光に包まれ大爆発が起こる。なんとか致命傷を避けたシェパードは,アンダーソンと共に応戦する……と,このような感じで物語はスタートする。
冒頭からアクション満載で,こうしたドラマチックなストーリー展開は,これまで数々の名作RPGを手がけてきたBioWare作品ならではだろう。個人的には,「Mass Effect」シリーズのストーリーをすべて把握をしているわけではない筆者でも,序盤の急展開から,気づいたら本作の世界にドップリと浸かっていたという感じだ。SF的な世界観が好きなこともあるのだが,ストーリーが秀逸であるところが最大の理由だろう。
「Mass Effect」シリーズは設定や世界観にこだわり抜いて作られているため,未プレイの人にとっては難しそうなゲームに映ってしまうかしれないが,まったくそんなことはないと述べておきたい。
前作や前々作に比べて戦闘やグラフィックスがパワーアップし,手軽なアクションモードも,面白い。スペースオペラに興味がある,あるいはRPGが好きだという人は,この機会にぜひ手に取ってみよう。
さてここからは,冒頭にも書いたようにBioWareで,本作のアソシエイトプロジェクトマネージャーを務める,Robyn Theberge氏のインタビューを掲載する。
4Gamer:
本日はよろしくお願いします。それではまず,「マスエフェクト3」のセールスポイントを教えてください。
Robyn Theberge氏(以下,Theberge氏):
マスエフェクト3では戦闘の仕組みやカスタマイズの要素が大きく進化しています。プレイヤーの皆さんにはそういう部分に注目してほしいですね。
4Gamer:
本作には,これまでなかった「アクションモード」が追加されています。このモードには,選択肢やキャラクターカスタマイズの要素がありませんが,「Mass Effect」シリーズの大きな魅力といわれている,これらの要素をカットしたのはなぜでしょう。
Robyn Theberge氏 |
アクションモードは“映画を観ているような感覚”でプレイできることを目指したモードで,そういう仕様になっています。キャラクターカスタマイズや,会話の選択を楽しみたいプレイヤーには,「ストーリーモード」と「RPGモード」を用意しましたので,より広い需要に応えられていると思います。
4Gamer:
ちなみに,アクションモードは社内で検討されたのですか? それともユーザーからのフィードバックで?
Theberge氏:
アクションモードは「選択肢のないバージョンも遊びたい」というプレイヤーの要望によって生まれたモードです。複数のモードを用意することによって,より多くの人に楽しんでもらいたかったのです。
4Gamer:
今回はシリーズ3作目になりますが,シリーズ未経験でも楽しめますか?
Theberge氏:
実装されたマルチプレイはシリーズ初なので,これまでプレイしていなかった人でも気にすることはありません。RPG/ストーリーモードについては,初めてのプレイヤーでも理解しやすいようなセリフや,言葉の言い回しをたくさん用意しています。
本作にはJames Vegaという新キャラクターが登場するのですが,彼がプレイヤーに代わっていろいろな質問をするので,それを通じてもゲームに関するさまざまな事柄といったことを理解できます。
4Gamer:
なるほど。ビギナーが置いてきぼりにはならないのですね。
Theberge氏:
もちろんです。マスエフェクト3は,これまで積み上げてきたものが一気にまとまっていきますので,初めてプレイするにはかえってタイミングがいいと思いますよ。
4Gamer:
さっきも出ましたが,マスエフェクト3では,シリーズ初となるマルチプレイモードが登場します。3になって実装された事に,何か理由はありますか。
Theberge氏:
Mass Effectはストーリーを非常に重視した作品ですが,これまでも,マルチプレイによってシングルプレイに何らかの価値を与えられるのであれば,ぜひ搭載したいと考えてきました。今回は,マルチプレイの結果によってシングルプレイのキャラクターを強化できるようになっています。
4Gamer:
なるほど。マルチプレイによって,作品全体のボリュームはアップしているんですか?
Theberge氏:
ボリュームはかなりアップしています。「Mass Effect」シリーズだけでなく,BioWareにとっても初のマルチプレイモードになりますので,限られた時間の中で,精一杯のことを吸収しつつ制作しました。もちろん,シングルプレイだけでもボリュームは十分あると思いますよ。
4Gamer:
BioWareとしても初めてなんですね。マルチプレイモードについてもう少しお聞きしたいのですが,具体的にはどのような遊び方ができるのでしょう。
Theberge氏:
マルチプレイには,最大4人で楽しめるCo-op(協力モード)が実装されています。シングルモードと同じ種族とクラスがあって,さらにエイリアンとしてプレイすることも可能です。マップ数などに関しての詳細はまだ明かせないのですが,一つの波を撃退したら,また別の波が襲ってくる,エキサイティングな内容になっています。マルチプレイに勝つことでエリアを勝ち取っていけば,それがシングルプレイでの戦力となりますので,ぜひ,プレイしてほしいと思います。
4Gamer:
マルチプレイをたくさんプレイしていると,シングルプレイのバランスが崩れてしまうようなことはないですか?
Theberge氏:
バランスが崩れるということはありませんね。なぜならマルチプレイで強化した事柄はシングルプレイの最後の部分に関わってくるからです。ですから,シングルプレイの途中でマルチプレイの影響が出ることを心配する必要はありません。
4Gamer:
ファンも気になっていると思うのですが,マスエフェクト3はシリーズの最終章という位置づけですね。ということは,もうMass Effectの新作を遊ぶことはできないのでしょうか。
Theberge氏:
「Mass Effect」シリーズは非常に深い世界を持っていますので,今後もいろいろな展開を期待してもらっていいと思います。
4Gamer:
分かりました。期待しています。本日はどうもありがとうございました。
「マスエフェクト3」公式サイト
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