プレイレポート
PS Vita「忍道2 散華」をさっそくプレイ。和の世界での気持ちの良いアクションを,Vitaの機能を取り入れたインタフェースが後押し
シリーズ1作目にあたるのは,2005年11月に発売された「忍道 戒」で,本作はその流れを汲んだ続編という立ち位置。舞台が室町後期の小国「宇高多」(うたかた)であったり,両作品に共通するキャラクターが登場したりと,前作の面影を感じさせる点は多々あるが,物語が繋がっているわけではないので,本作で初めて“忍ぶ”という人でも問題なくプレイできる。
今回は,ファーストインプレッションとして,本作の物語とゲームシステムについて,プレイした感想を交えつつお伝えしていこう。
八枚の天魔鏡を巡る“哀憎劇”
忍道2の主人公は「火祭のゼン」と呼ばれる一人の忍だ。同胞である「柏樹のシュウ」の裏切りによって彼らの故郷・風華の里が焼き払われるという悲劇が起こり,その中で大切な人も失ったゼンが復讐のために戦っていく,というのが本作のプロローグになる。
実は,シュウが風華の里を焼き払ったのには天魔鏡という鏡が関係していた。八枚の鏡を一か所に集めると天魔が降臨すると言い伝えられる不吉なアイテムが,本作の登場キャラクター達を戦いの渦へと巻き込んでいくのだ。
爪紅のサン ゼンの幼馴染でもある風華のくのいち。ゼンは彼女の姿を見て安堵を覚えるが…… |
黒鷹のザジ 瀕死のゼンを助けた飛鳥忍者の頭領。ゲーム内ではゼンにさまざまな助言をくれるガイド役を果たす。実は,前作にも登場したキャラクター |
柏樹のシュウ 元風華の忍者。里を焼いて抜け忍となってまで,彼が天魔鏡を求める理由とは |
銀蓮花のナギ シュウに思いを寄せるくのいち。ゲーム序盤から幾度もゼンの前に立ちはだかる |
ゲームの流れは,まずゼンの元へとやってくるさまざま依頼を任務という形で受領して,クリアしていく。そして,依頼をこなしていくうちに日数が経過していき,特定のタイミングで物語に関わる重要な依頼が舞い込んでくるという感じだ。
通常の依頼をくれるのは「一条家」「風天家」「阿無璃他教」の3勢力で,どの勢力からの依頼を受けたかで宇高多のパワーバランスが変わっていき,それによってストーリーの展開も変化していく。ちなみに,この物語の分岐システムは「ハラキリエンジン」と呼ばれていて,忍道シリーズおなじみの要素でもある。
ゼンの復讐劇を軸として展開していく本作の物語だが,戦乱の炎に包まれる宇高多の地での勢力争いも,一つの見どころというわけだ。
血祀殺法と斬刻
さて,アクション面で見る本作は“とにかく多彩”の一言に尽きる。大ジャンプ,壁走り,鉤鎖を利用しての高低差を無視する移動,多数の忍具を使用した陽動など,大胆ながら我々がイメージする“忍”らしさを損なわない動きは,華麗という表現がしっくりとくる。
そんな中でも鍵となるのは,やはり「血祀殺法」(ちまつりさっぽう)だ。これは,背後や頭上といった死角から敵に近づいたときに,一定のタイミングでのみ発動できる一撃必殺のアクション。音もなく忍びよって,すっと敵を始末するその手際からも,最も忍道らしい攻撃方法と言えるだろう。
そして,本作ではそれをさらに昇華した「斬刻」(ざんこく)というアクションも存在する。こちらは専用のゲージを使用し,一定時間“敵の刻を止めて”攻撃できる技。発動後はQTEのように,左スティック+△といったようなコマンド入力を求められ,これを時間内に入力できれば一撃で敵を葬れる。ゲージが残っている間であれば,複数の敵を次々に攻撃対象にできるので,相手が集団で固まっているときなどの一掃用としても優秀だ。
ちなみに,攻撃時の血しぶきなどもなかなか激しく,このあたりはさすがCERO:D(17歳以上対象)タイトルといったところ。マップ全体や,上記したような一つ一つのアクション,演出から醸し出される和の雰囲気は,シリアスな物語と相まってどこか儚く,美しいと感じられるものになっている。
屋根から屋根へと飛び回る高速移動もかなり気持ちがいい。ただ,調子にのっていると敵に発見されて痛い目を見る |
序盤は敵の索敵範囲も狭く,かなり大胆に動いても見つかることはないが,後半はその限りではないようだ |
Vitaの機能を利用した画期的なインタフェース
PlayStation Vitaのローンチタイトルだけあって,ハードの新機能を活かした画期的な試みも見られる。とくに前面タッチスクリーンを利用したインタフェースは非常に良く出来ているので,ぜひ紹介しておきたい。
本作では,敵に近づくと画面に「殺気アイコン」と呼ばれる瞳の形のマークが表示される。これは敵に見つかると赤くなったり,警戒されると黄色や紫になってキョロキョロと動いたりと,敵の状態を確認するためにも役に立つのだが,最も便利なのは,このマークをタッチするとゼンが敵の方向を向いてくれるということ。
タッチしている間はロックオン状態(ロックオンはLボタンでも可能)になるので,壁の向こうにいてもそちらを向いてくれるし,そのまましばらく観察して移動方向を把握すれば,屋根などを利用して背面から暗殺するのもたやすい。
また,このマークが画面の右端に表示されるのもポイント。Vitaのグリップを崩さずに,右手親指だけで触れる親切設計なのだ。
このほか,画面左上のマップをタッチすると全体マップが見られるのだが,タッチで反応するアイコンがすべて画面の端(触りやすい位置)に付いているのは非常に好感触だった。
ただ,背面タッチパッドを使ったエイム(鉤鎖などを使用する際に,たまに使う)は,これまでにあまり出会ったことのない操作なだけに,最初は戸惑う。プレイの際はこのあたりを練習して,なんとしても習得しておきたい。
ここでは語り尽くせないボリュームと数々の要素
忍道2には,序盤に触れただけでは語り尽くせないほど,さまざまなシステムが盛り込まれている。たとえば忍具を作り出せる素材調合であったり,nearを使って見知らぬ人と素材を増加/強化しあえる交信壺などがまさにそれだ。
ただ,肝となるのはやはり,今回紹介したゼンが中心となって織り成される復讐の物語と,和テイストの世界観,そして気持ちのいいアクションということになる。Vitaの機能を使ったインタフェースも好感の持てる仕様になっているので,ローンチタイトルをどれにしようか迷っている人は,本作を手にとってみてはいかがだろう。
「忍道2 散華」公式サイト
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忍道2 散華
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