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ARMの新技術「DynamIQ」なら,とびきり速いプロセッサも,バッテリーが長持ちするプロセッサも作れる!?
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印刷2017/03/25 00:00

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ARMの新技術「DynamIQ」なら,とびきり速いプロセッサも,バッテリーが長持ちするプロセッサも作れる!?

3月21日に行われたイベントで,DynamIQについて説明するNandan Nayampally氏(Vice President of Marketing,CPU Group,ARM)
 去る2017年3月21日,ARMは,中国・北京で開催した独自イベントで,「DynamIQ technology」(ダイナミックテクノロジー,以下 DynamIQ)なる新技術を発表した。「人工知能(AI)の可能性を拡大」するという触れ込みの技術だが,簡単に言えば,ARM製のCPUコアである「Cortex-A」プロセッサの次世代版を使った,新しいマルチコアプロセッサを構成する技術のことであるという。
 本稿ではイベントでの発表内容をもとに,DynamIQの概要と,それが将来のモバイル機器にどんな影響を与えるかについて,簡単に解説しよう。



DynamIQの本質はマルチコアプロセッサの構成技術


ARMはDynamIQをAIに絡めてアピールしているが,実際にはAIに特化した技術ではない
Cortex-A
 冒頭で触れたように,DynamIQはマルチコア構成に関する技術というのが本質なのだが,その中には,次世代Cortex-Aプロセッサが搭載するAI用の新命令追加という話も含まれている。マルチコアCPUという話に比べれば,「AI処理の高速化」というほうが現在ではインパクトがあるので,ARMとしてはAI用途をアピールしているわけだ。
 ただ,AI処理の高速化は,DynamIQで導入する要素の一部にすぎない。DynamIQに含まれる新命令以外の要素は,とくにAIに関係があるものではないのだ。

 では本題であるDynamIQのマルチコア構成技術について説明しよう……と行く前に,Cortex-Aのマルチコアについて,簡単におさらいしておきたい。
 Cortex-Aプロセッサでのマルチコア構成は,最大4基のCPUコアを1つにまとめた「クラスタ」が基本だ。L2キャッシュはクラスタ内にあるが,ほかのクラスタや周辺回路,GPUなどによるメモリアクセスとの一貫性(コヒーレンシ)を維持する仕組みは,クラスタの外側(※通常はSoCの内部接続インタフェース側)に置かれる。ちなみに,電力管理などもクラスタ内で行われる仕組みだ。

 ARMはCortex-Aシリーズをリリースしたあとで,電力は多く消費するが高性能なCPUコアと,電力効率は高いが性能は低いCPUコアを組みあわせた「big.LITTLE」プロセッシング技術を導入した。
 big.LITTLEに対応するOSのタスクスケジューラは,負荷の高いタスクを高性能なbig側のCPUコアで,負荷の低い処理を電力効率の高いLITTLE側CPUコアで処理するように割り当てる。そして,処理の途中でCPU負荷が上がれば,big側に割り当て直すこともあるし,逆にCPU負荷が下がれば,LITTLE側に割り当て直すといった具合に,適宜タスク割り当てを切り替えられるのもbig.LITTLE技術の特徴だ。

 さて,現在のbig.LITTLE技術では,高速なbig側CPUコアと電力効率のよいLITTLE側CPUコアの2つにクラスタを分ける仕組みになっている。1クラスタに含まれるCPUコア数は最大4基だから,合計では8基までのCPUコアを組み合わせられるわけだ。
 これがDynamIQ世代になると,1つのクラスタで最大8基のCPUコアを集積できるようになる。そして,従来はbig側とLITTLE側が異なるクラスタである必要があったのに対して,DynamIQでは,1つのクラスタ内でbig.LITTLEによるタスクの切り替えられるようになるそうだ。

DynamIQでは,最大で8基のCPUコアを1つのクラスタに統合できるように
Cortex-A

 さらに,クラスタ内の8つのCPUコアをすべて同種のコアにする必要はなく,異なるタイプのCPUコアを組みあわせることも可能になる。たとえば,big.LITTLE構成における高速なCPUコアを1基と,電力効率のよいCPUコアを7基といった柔軟な構成も可能だ。
 逆に,big.LITTLE構成は採用せず,すべてを高速なCPUコアで構成することも可能であるという。たとえば,サーバー向けプロセッサなら高速なCPUだけを8基といった具合に,用途に応じたマルチコア構成のプロセッサを作れるわけだ。
 余談気味だが,現行世代のCortex-Aには,多数のCPUコアを集積したサーバー向けSoCを構成するために複数のクラスタを組み合わせる仕組みがあり,DynamIQ世代のプロセッサでも,この仕組みを利用できるそうだ。

DynamIQでは,1つのクラスタ内で,高速なCPUコアと電力効率のよいCPUコアを組み合わせた構成が可能に
Cortex-A

 1つのクラスタ内では,ハードウェアによる電力管理が行われるのだが,DynamIQでは,従来のARMアーキテクチャよりも細かく動作クロックや電源電圧の制御が可能になる。電源オフ状態やスリープ状態といった電力状態(パワーステート)の切り替えも,従来より高速になるとのことだ。
 短いサイクルでの電力管理が可能になるため,SoC(System-on-a-Chip)全体での温度を一定以下に保ちつつ,たとえばCPU側の発熱量に応じて,GPU側を一時的に高い動作クロックで動かす(=発熱量が大きくなる)といったことも可能になるだろう。
 このように,DynamIQとは,性能や電力効率を向上させる新たなマルチコアCPUの技術なのである。

DynamIQのクラスタ内では,ハードウェアによる電力制御が行える
Cortex-A


今よりも高性能,あるいは電力効率の高いプロセッサを実現


 なお,このDynamIQは,未発表の次世代Cortex-Aから対応する予定だという。次世代Cortex-Aについての話はほとんどなかったのだが,大きく変わるのは半導体の設計側で,ソフトウェア側から見れば,DynamIQに対応したCPUコアも現行世代の「ARMv8」アーキテクチャのままになるとのことだった。

 DynamIQは,現在のCortex-Aシリーズが持っているマルチコアにおける制限を緩和する技術だ。ARMがアピールするAI向けのサーバー用として,今よりも高い性能を発揮できるSoCが実現できるようになるだろう。
 一方,ゲーマーにとって重要なスマートフォンやタブレット端末といったモバイル機器向けSoCでも,さらなる性能の向上や電力効率の改善が期待できる。AI用途へのアピールを聞いて,「ゲーマーには関係なさそうだ」と思った人もいるかもしれないが,DynamIQは,将来のモバイル機器にとっても役立つ技術なので,そんな技術があるということを覚えておく価値はあるのではないだろうか。

ARMのDynamIQ 解説ページ


  • 関連タイトル:

    Cortex-A

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