業界動向
Imagination,グループ全体の売却を検討中
2017年4月にImaginationは,同社大口顧客であったAppleが,将来的にImagination製のGPU IPコアを使わない決定を行ったと発表している(関連記事)。そのため,最大の顧客を失ったImaginationが事業を存続できるのか,懸念する声が上がっていた。
実際,Imaginationは生き残りを図るために,旧MIPS Technologiesから買収したMIPSアーキテクチャベースのCPU IP部門や,通信用プロセッサIPを扱うEnsigma部門の売却を交渉中であると,2017年5月に発表しており(関連リンク),経営資源をPowerVRに集中しようと試みていた。しかし,やはり単独での事業継続は困難であったのか,部門単位ではなく,グループ全体の売却へ舵を切ることになったようである。
機密保持契約に基づく交渉中にあるため,Imaginationは,交渉相手がどこかや,交渉の見通しといったものを明らかにしていない。考えられるのは,どこかの企業やグループの一部門として存続していくパターンや,PowerVRなどの知的財産を売却して会社を精算するといったパターンがあり得るだろう。
業界にとって――間接的には消費者にとっても――望ましくない結末は,所有する特許を武器に,特許権に抵触しそうな技術を有する他の企業を訴えて多額のライセンス料を得ることだけを目的とする,いわゆる「パテントトロール」の手にImaginationの知的財産が渡ってしまうことだが,こればかりはどうなるか分からない。
なお,Appleとの交渉決裂によって起こった知的所有権を巡る紛争解決手続きは現在も進行中とのこと。Imaginationが行っているさまざまな交渉がどのような結末を迎えるかは,未だ予断を許さない状況にあると言える。
Imaginationによる当該プレスリリース(英語)
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