プレイレポート
「まどか☆マギカ オンライン」は「ワルプルギスの夜」でどう変わったのか? プレイレポート&メールインタビュー
アップデートに先駆けて行った運営インタビューでは大きな反響をいただいた。人気IPを使ったタイトルの切り札的なコンテンツが投入されたわけだが,アップデートでは何がどうなったのかという部分をお伝えしてみたい。
末尾には,最近の動向に対する疑問点をプロデューサーの松岡比呂美氏にメールインタビューで聞いてみたので,あわせてお読みいただきたい。
さて,このアップデートでは,実にいろいろなことが変わった。大幅に変わった。まず,ゲーム内容を整理してみよう。
従来のまどか☆マギカ オンラインの主要なコンテンツには,
- 通常クエスト
- みんなでプレイ(対戦プレイ)
- みんなでプレイ(協力プレイ)
- 特殊クエスト
の4種類があった。このうち通常クエストは,シナリオが拡張されたときに集中してプレイされるものの,それ以外の時期にはあまり需要のないコンテンツだった。協力プレイは,サービス再開に向けてテストを繰り返していたが,まだ本格再開には至っていない。そして特殊クエストは,イベント的な扱いのものだったので,プレイの中心となるのは,対戦プレイだったと言ってよい。
しかし,ワルプルギスの夜の導入直前に,対戦プレイで常設イベント的に設定されていた報酬が廃止されたため,プレイヤーがあえて対戦を行うモチベーションがかなり低くなった。
プレイの中心は対戦から特殊ないしワルプルギスの夜に激変したのが昨今の状況だ。加えて言うと,最近導入された特殊武器(特定魔女専用武器)は特殊クエストで入手できるチケットで当たるようになっていたので,ますます対戦プレイの重要度は下がり,特殊クエストが主要コンテンツに格上げされた感じだ。
ゲーム内では,対戦プレイのみ,ほかのコンテンツと要求される装備仕様が異なるため,ワルプルギスの夜を大々的に展開していくなら,対戦を縮小していく必要があったのだろう。もし,あの状態で対戦プレイも続けなければならなかったら,あまりにも忙しすぎる。装備の切り替えはそれなりに面倒なのだ。
さて,実装された「ワルプルギスの夜」とは,さまざまなコンテンツの終了後に不定期で魔女が襲ってくるというものだった。序章では,舞台装置の魔女(いわゆるワルプルギスの夜)以外にも,影の魔女,薔薇園の魔女,ハコの魔女が登場した。これらの魔女は,プレイヤーが対戦して倒しきれなかった場合にはフレンドに救援を求めることができるという仕様だ。
救援要請に駆けつけた魔法少女は,通常の半分となるAP5の消費で魔女に挑むことができるのだ。こうして魔女を撃退して手に入るレイドポイントの総計を競うというのがゲームの内容となる。
なお,以前のインタビューでストーリー的に「ワルプルギスの夜が倒されてはマズい」という談話もあったように,ゲーム内では,
Win 舞台装置の魔女を追い払った
といったメッセージが出されていた(ほかの魔女では「Win」のみ)。
問題となる魔女の強さだが,序章でいうと影の魔女,薔薇園の魔女あたりは低レベルプレイヤーでも独力で撃退できるレベルだった。ハコの魔女も,ある程度の戦力があればさほど問題はない。舞台装置の魔女だけは,高レベルプレイヤーでも特殊武器(対舞台装置の魔女専用武器)を複数所有していなければ一度で討伐するのは無理だろうという設定になっていた。
レベルが低く,特殊武器を持っていないプレイヤーは,舞台装置の魔女にはお手上げなので,必然的に救援を求めることになる。戦力のあるプレイヤーにはレイドポイントを稼ぐチャンスであり,救援された側は撃破報酬(それなりに大きなレイドポイント)が手に入る。まさに,Win-Winな関係が構築できるシステムだ。
また,一度倒した魔女は次回登場時にはレベルを上げて戻ってくる。最初のうちはたいした変化ではないが,レベル50,レベル100と上がっていくと,さすがに一人では持て余すようになる。とくにハコの魔女は高レベルになると泣きが入るくらいのHPになってくる(同レベルなら舞台装置の魔女のほうが強いのだが,出現頻度からしてハコの魔女のほうが硬くなる)。また,高レベルな舞台装置の魔女だと,攻撃側の魔法少女が制限ターン数の10ターンを耐え切れずに返り討ちにあうことも少なくない。
こうなると,高レベルプレイヤー同士でもフレンドとの連携はそれなりに重要になってくる。AP消費を度外視すれば問題ないのだが,ある程度効率的に戦うには,協力したほうがよいわけだ。これは現在のメインクエストの流れとも合致しており,なかなか悪くない設定にはなっている。
とはいえ,やはりいま一つ協力のメリットは薄い。ゲームのコンセプト的には,協力する仲間が増えるとなんらかのボーナスがあってしかるべきだろう。明らかに複数アカウントを使ってのプレイと思われるケースも見受けられたので,単に人数を増やせば強くなる的なシステムも導入しにくいだろうが,うまくすれば誰にとっても協力プレイがおいしいコンテンツにもなりそうなので,今後の調整に期待したいところだ。
ちなみに第2夜では,協力(?)で,もっぱらフレンドの救援依頼待ちの人も増えてきたようだ。序章の頃もおすそ分けで救援依頼を出すと,もの凄い勢いで貪る人がいなくはなかったのだが,それがさらに極端になってきた感じだ。
第2夜も終盤となったワルプルギスの夜の問題点は
実績報酬のほうは,桁を間違えているんじゃないかと思うような設定だったので,目標にすらならなかったというのが正直なところ(ちなみに第2夜では本当に桁が一つ下がっていた)。
毎日更新されるランキングは,システムとしてはこれまでには考えられなかったくらいよくやっていたのだが,ちょっとプレイヤーを煽りすぎな気配はあった。同じペースでプレイしていても,フレンドによって出てくる魔女の当たり外れにはかなりの偏りがあった。こういった部分の公平性も課題だろう。大きなトラブルもなくイベントは無事終了したものの,ほぼ例外なく参加したプレイヤーは疲弊しきっていたように思う。
ランキング報酬の「体操服を着たさやか」(第2夜ではマミ)は,
〜10位 Uランク
〜50位 SSランク
〜100位 Sランク
〜500位 RRランク
〜1000位 Rランク
〜5000位 Nランク
のように設定されていた。とはいえ,これはコレクション要素としての意味が強く,実戦に投入されるのはUランクのものだけであろう。SSランクも一戦級ではあるのだが,これを取れる人はすでにレベルの上がったSS魔法少女を揃えていると思われる。N魔法少女であれば5000位という,簡単に手の届くところに設定されていたので,コスチュームコレクションだけが目的であれば,さほど気合を入れる必要はなかったのだ。
とはいえ,山があれば登るのが人間というものだ。待望の新コンテンツとあって,序章公開時にはかなりの活況を呈していた。
魔女を出すには,なにかのコンテンツをできるだけ多く回す必要がある。どれでもいいのだが,最短で終了できるのは特殊クエストだ。ワルプルギスの夜での魔女戦用に装備を付け替える必要が生じないことから,期間中は特殊クエストを周回していた人が大半ではないかと思われる。
多くのプレイヤーは,過去のイベント報酬などでAP回復薬のストックをかなり大量に持っていたと思われるが,ランキング戦上位の展開は激戦であり,AP回復薬の出番は非常に多かった。私の例でいうと,第1夜の最初の2週間で100本くらいあったストックを使い果たしている。
特殊クエストの所要時間は,1セット5戦として,5分ちょっと。極論になるが,概算では1時間で12セット,AP回復薬のコストでいうと,1000円分ということになる。1日5時間プレイすれば5000円,10時間プレイすれば1万円かかると言い換えてもよい。さすがにこれが続けば脱落者も増えるだろう。とりあえず第2夜でのテンションはいまいち上がっていない。
ワルプルギスの夜の内容自体は,結構面白かった。これまでまったく意味のなかった「フレンド」がようやく意味を持ち,コミュニケーションも深まり,共に戦った感はなかなかのもので,オンライン要素のほとんどなかった本作では,初めて成功したオンラインコンテンツと言ってもよかっただろう。障害らしい障害の話が出なかったのも快挙だ。終了後に,「スキルカードの数値が反映されていませんでした」といったアナウンスはされたが,まあ,みんな同じ条件なら大きな問題にはならない。
無制限にどんどん強くなる敵は手ごたえとしては十分で,悪くないのだが,やられても「繰り返して戦えば必ず倒せる」という設定は緊張感がない。結局のところ,なるべく特殊武器を揃えたうえで「AP回復薬をぶっ込む」という手ばかりになるのだ。
シンプルになっても,投資に見合うリターンがあるかには疑問がある。複数の武器を揃えて,それを鍛えるにはかなりのコストがかかるのだ。しかしAP消費を気にしなければ,そんなものはなくてもどうということはない。対魔女戦でのAPを抑えるためにコストをかけて特殊武器を鍛えるより,そこを無視して魔女戦でAPにコストをかければよいのではないかという考え方もできるのだ。
特殊武器は,インフレの限界が近づきつつある武器の性能アップに対する一つの回答なのかもしれないが,多くの人は一時期しか使わないものに,そこまでの投資はできないと考えるだろう。
結論としては,コンテンツの方向自体は悪くないが,改善しないとプレイヤーの疲弊が大きすぎ,報酬は労力に見合わない。たまにならまだよいのだが,2週間おきに開催されるとなると,とてもついていけないというのが個人的な感想だ。
それでも,これまでのアップデートの中では最高の内容であり,ゲームとしては大きな進化を遂げたといってよい。従来とは,プレイの中心となるコンテンツも変わってきた。まだまだ油断はできないが,運営の方向も変わってきている雰囲気はある。
ご存じの方も多いと思うが,ワルプルギスの夜は,西洋で言うお盆のようなもので,4月30日の夜のことを指す。本当のワルプルギスの夜を目前にして,第3夜では新たな改善が見られるだろうか? 引き続き展開を見守りたい。
「魔法少女まどか☆マギカ オンライン」公式サイト
「ワルプルギスの夜」実装記念ミニメールインタビュー
―― 「ワルプルギスの夜」の反響はいかがですか。
アンケートでよかった点として挙げられたのは,フレンド機能を生かせたこと,フレンドと一緒に楽しめたこと,獲得アイテムをフレンドと共有できることなど,フレンド関連がほとんどでした。逆に悪かった点としては,単調になりがちなこと,魔女が強くなるだけで旨みがないことなどが挙げられていました。
―― 特殊武器は今後どうするのですか? やはり序章用の武器などは,今後の魔女では効果のないものになるのですか?
ほかの魔女に序章の魔女の対魔女用武器の効果はありません。また,今後の「対魔女用武器」につきましては,別なものを揃えていただく必要がありますが,この点は,今後検討材料とさせていただきたいと思います。武器を揃えきれない,鍛えきれないといった問題についても同様に検討いたします。
―― 最近,収集系のイベントが行われなくなったり,武器確定のオープンキャンペーンがなくなったなど変化が出てきていますが理由はありますか。
お客様に楽しんでいただけるイベントやキャンペーンにつきましては,今後も実施をさせていただきますが,カードの収集イベントなどは,インベントリを多く使ってしまうなどの問題がございました。
このような状況を早急に改修すると共に,さらに楽しめるイベント,キャンペーンを行わせていただきたいと思います。
―― 協力プレイはどうなっているのでしょうか。また,トレジャークエストはどうなるのでしょうか。
協力プレイ,トレジャークエストに関しては,導入時よりお客様に多大なご迷惑をおかけしてしまいました。現在,両コンテンツとも改修,調整作業を行っておりますので,今後再開できるよう全力で対応を行っております。
―― 攻撃力の上限が見えてきているようですが,今後も攻撃力ランキングを続けるのですか。HPや防御力のランキングはやらないのですか。
ゲーム内ではATKが大きなウエイトを占めており,現状はATKの数値をもとにした攻撃力ランキングを行っておりますが,今後はHP,防御力も含めて検討いたします。
―― コンテンツによって装備や編成を変えるのにかなり手間がかかります。装備の呼び出し機能はつけられないのですか。
そのようなお客様の声は多くいただいております。前向きに検討したいと思います。
―― アンケートに書かれていた「魔女化機能」というのはどういうものを想定していたのでしょうか。
プレイヤーの能力をアップできるような機能を想定しておりました。
―― 今後の方針についてお願いします。
お客様にお楽しみいただけるよう,よりよいコンテンツにしていくとともに,安心して遊んでいただけるコンテンツを目指して,今後も努力をしていきたいと考えておりますので,よろしくお願いいたします。
- 関連タイトル:
魔法少女まどか☆マギカ オンライン
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