ニュース
「シムシティ」について,ルーシー・ブラッドショー氏に質問。トラブルの原因は,そして対応策は,ソロプレイは可能になるのかなど,いろいろと聞いた
欧米で2013年3月5日,日本では3月7日,ついに発売されたオンライン都市育成シミュレーション「シムシティ」。昨年(2012年)のGame Developers Conferenceで本作のゲームエンジン「GlassBox」のレクチャーを受けて以来,ロンドンで開催されたElectronic Artsのプライベートイベントや,E3,ドイツのGamescomなど,しばしば開発の進捗状況を知る機会に恵まれ,記事を書いてきたということもあって,個人的に感慨もひとしおだ。それだけに,欧米での発売直後からトラブルが続き,Amazon.comの製品レビューやMetacriticの読者レビューがユーザーの批判で埋まっていくのを見るのは非常に残念なことだった。
現在も問題は完全に解決したとは言いにくく,依然としてトラブル報告もあるようだが,発売直後に比べて状況は安定してきた。
その間にも状況は変化し続けており,ブラッドショー氏も公式メッセージを2回ほど出している。というわけで,質問を行った段階と返事が戻ってきた段階,そして記事を掲載する段階では状況が違っていたりもするし,とっくにご存じという部分も含まれるとは思うが,質問と回答はそのまま掲載することにした。
トラブルが発生した北米時間5日から8日まで公式アナウンスがほとんどなく,いちプレイヤーとしてはElectronic Artsの対応にやや不満を抱いたのも事実だが,いきなり「答えるから,何でも聞いてくれ」とメディアに申し入れてくるあたり,個人的になんとなくMaxisっぽい気がする。ともあれ,シムシティの現状が気になる人はぜひどうぞ。
「シムシティ」公式サイト
4Gamer:現在の状況はどうなっていますか。
ルーシー・ブラッドショー氏(以下,ブラッドショー氏):
先週(2013年3月5日)の発売日以降,サーバーの許容量を120%以上拡大し,サーバーの反応速度も40倍まで上げることができました。また,ゲームのクラッシュ発生率についても92%減少し,目立った問題の大部分は解決しつつあります。プレイヤーの皆様には,ゲームをプレイし,楽しんで頂けているかと思います。
4Gamer:
完全復旧の予定は,いつ頃を見込んでいるのでしょうか。
ブラッドショー氏:
正常なサービスに向けて正しい道を歩んでいることは間違いありませんが,依然としていくつかの解決すべき小さな問題がいくつか残っています。我々は今後,休みなくゲームをモニターしていく予定で,完璧にゲームが安定したとファンの皆様に発表できるまでには,いましばらくの日にちがかかりそうです。
4Gamer:
サーバーの増強のほかには,どのような対応をしているのですか。
ブラッドショー氏:
単にサーバーの数を増やすだけではなく,サーバーのアップグレードも同時に行っています。増強したサーバーのキャパシティを広げることで,負荷に耐えられるようになっています。また我々は,アクセス過多に陥っているサーバーにパフォーマンス向上のための措置を講じ,クライアントの最適化も行っています。
さらに,実際に行われているゲームの状況がどういうものであるかを知り,サーバーの処理手順を改善するため,実際のプレイをモニターしています。
4Gamer:
どれくらいのスタッフが対応に当たっているのでしょうか。
ブラッドショー氏:
すべてのMaxis社員が休みなく働いています。発売以来,我々はパフォーマンスとゲームプレイ向上のため,おびただしい数のアップデートをクライアントとサーバーに対して行ってきました。使えるすべての人間で1日24時間。週7日,この問題をできる限り速やかに解決するために働いています。
4Gamer:
サーバー増強ですが,リージョンごとにどれくらい増えるのですか。
ブラッドショー氏:
先ほども言いましたように,発売以来,サーバーの能力は120%向上しており,さらに新しいサーバーを毎日のように増設しています。この作業は,プレイヤーのアクセス要求を上回るまで続ける予定です。覚えておいていただきたいのですが,サーバーはリージョンフリーであり,したがってこれからプレイを始めようという皆さんは,居住地に関わらず,世界中の空いているサーバーならどれでも利用できます。
4Gamer:
問題の原因はサーバーによるとアナウンスされていますが,詳しく説明してください。
ブラッドショー氏:
正直に申し上げて,我々はプレイヤーの皆さんの本作に対する熱意を過小評価しており,その熱意に用意したサーバーが耐えられませんでした。発売直後,我々はサーバーの能力を拡張し,その際,プレイヤーの皆さんがゲームにアクセスできないという状況を起こしてしまいましたが,それでもアクセス負荷は我々の予想を超えていました。サーバーはβテストやロードテストのときのようなパフォーマンスが出せず,我々は現実に起きている負荷に対処するためにサーバー群をアップデートする必要に迫られました。
我々が行ったのはまず,ハードウェア構成を拡張することでした。それからオリジナルのサーバーと新しいサーバーの運用を開始し,その後,オリジナルサーバーをアップグレードしました。
4Gamer:
プレイヤーにどのような問題が起きたのか,詳しく説明してください。
ブラッドショー氏:
最も多かった問題はプレイヤーの皆様がゲームを「開始できない」ということでした。現在は何万人ものプレイヤーがゲームをプレイし,合計でゲーム時間は800万時間を超えていますが,それでも十分ではありません。すべてのプレイヤーが支障なくゲームを楽しんでもらえるようになるまで,私たちは立ち止まりません。
4Gamer:
もし問題が発生したとき,プレイヤーにできることはなんでしょうか。
ブラッドショー氏:
まず,これらの問題がプレイヤーの皆さんに起因するもではないことは,ここで100%はっきりとお伝えします。そのうえで強調しておきたいのは,すべてのサーバーがリージョンフリーであることです。居住地に関わらず,どのサーバーを選んでいただいても大丈夫です。
4Gamer:
販売本数は把握していたはずなのに,なぜそれに備えられなかったのでしょう。
ブラッドショー氏:
クローズドβテストに対する皆様からの大変ポジティブなフィードバックのおかげで,ローンチ前にユーザーの関心が一気に高まりました。これは我々が事前に予測できなかったことで,発売初日の大きな売り上げ本数という結果を生み出しました。
もちろん,お伝えしたように,それが第一の原因ではありません。出荷前に社内で行ったテストでサーバーの弱点を見つけることができなかったことが問題だったと考えています。そのため,これらのトラブルに対処し,パフォーマンスを拡大することが最重要項目になりました。
4Gamer:
パッチなどでセーブデータをローカルに置く,あるいはオフラインでゲームができるといった変更は考えていますか。
ブラッドショー氏:
ご存じのとおり,我々は「世界とつながる体験」として本作をデザインしています。プレイヤーの皆様には都市と都市との関係を理解していただきたいと思っており,オンラインに接続するべきだと考えているのです。
4Gamer:
今回の件が,SimCityのセールスに与えた影響は,どれくらいだと思いますか。
ブラッドショー氏:
売上についてはここではお話できませんが,ファンの皆様から多大なサポートを頂いたことはお伝えしたいと思います。応援してくださる皆様にはできる限り情報を開示していくつもりでいますし,公式サイトでも継続的かつ頻繁に更新情報をお届けしていく予定です。
4Gamer:
こうしたトラブルを繰り返さないために,どのようなことを考えていますか。
ブラッドショー氏:
Maxisは素晴らしいゲームを作成しましたが,不本意なことにその発売日がやって来たとき,お客様に約束どおりのサービスを提供できませんでした。今週,我々は価値ある多くのこと,とりわけプレイヤーの要求を見きわめて,どのようにお応えすべきかを学ばせてもらいました。現在のような事態の再発が二度とないよう,我々にできることはすべて行うつもりです。また,我々を応援し続けてくださるファンの皆様に対して,敬意を表させていただきます。
皆様の応援への御礼として,「シムシティ」プレイヤーの皆様にEAのダウンロード版PCゲームを1本無料で差し上げることも発表いたしました。これについては,今後数日のうちにさらに詳しい情報をお知らせしますので,お待ちください。
4Gamer:
日本のプレイヤーに何かメッセージがありましたら,お願いします。
ブラッドショー氏:
日本のファンの皆様,中には20年以上も「シムシティ」シリーズを応援してくださっている人もいると聞いていますが,応援してくれるすべての人にお礼を申しあげます。まったく新しいシムシティを作るという夢を叶えることができたのは皆様のおかげですし,今回の発売において,皆様の信頼を裏切る形になってしまったことを真摯に受け止めています。
現在の問題を可能な限り早急に解決すべく,我々にできるすべてのことを行うと同時に,皆様のご理解とご協力に重ねて御礼申しあげます。
「シムシティ」公式サイト
- 関連タイトル:
シムシティ
- この記事のURL:
Maxis, SimCity, SimCity 2000, SimCity 3000, The Sims and Need for Speed are trademarks of Electronic Arts Inc. Mass Effect is a trademark of EA International (Studio and Publishing) Ltd. John Madden, NFL and FIFA are the property of their respective owners and used with permission. All other trademarks are the property of their respective owners.