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[GDC 2013]Free-to-Playモデルが圧倒するモバイルゲーム市場。それでも従来の有料アプリは終わらないとCapybara GamesのCEOが語る
Game Developers Conference 2013にて,「そうはならない」と断言したのが,「Superbrothers: Sword & Sworcery EP」(邦題:スキタイのムスメ:音響的冒剣劇)や「Critter Crunch」などのタイトルで知られるCapybara GamesのCEO,Nathan Vella(ネイサン・ヴェラ)氏だ。氏は,「Still Kicking: The Viability of Paid Apps in the Era of F2P」(まだまだイケるぜ: F2P時代における有料アプリの生存能力)というセッションを行い,その理由をアツく解説した。
Vella氏の紹介した統計によると,2012年にはモバイルゲーム市場にあるタイトルの3分の2がF2Pモデル,残る3分の1が有料モデルとなっているのだという。そのちょうど2年前は,立場がまったく逆だったというのだから,モバイルゲーム市場のビジネスモデルの移り変わりは非常に激しい。
そして,100億ドルと推定されるモバイル向けアプリの販売額のうち,3分の2ほどはゲームアプリが占めているとのことだ。Vella氏は大まかな試算と前置きしつつも,その中の3分の1,つまり20億ドル程度は有料アプリが稼ぎ出していることを考えれば,その実態は決して悪くないのだと述べる。そして,有料アプリにまだまだ成功のチャンスが転がっているのだと念を押していた。
Vella氏によると,成功の秘訣はニッチなジャンルや題材をターゲットにした有料アプリを作ることにあるのだという。その例として,2012年に120万本のヒットとなったFireproof Gamesのホラーアドベンチャー「The Room」や,スウェーデン民謡をベースにした「Year Walk」といったタイトルを挙げていた。また,Electronic Artsの「FIFA 13 by EA SPORTS」や「Dead Space」,Telltale Gamesの「The Walking Dead: The Game」など,もともとファンの付いているIPのタイトルでF2Pモデルを採用することは,ファン達が許さないだろうともVella氏は付け加える。
さらに氏は,「収益を出せるビジネスモデルを継続することが重要だ」と話す。その点で,開発や広報,ローンチからその後のコミュニティマネージメントまで,しっかりと計画を立てられる有料アプリが有利だというのだ。そもそも,F2Pモデルのタイトルはセールスに大きな変動がなく,さらにトップ25タイトルだけで全体の50%の収益を叩き出している状態なので,安易にF2Pモデルを採用しても,利益を上げるのは難しいと考えているようである。
また,F2Pモデルを前提としたゲーム開発では,リスク回避のために尖ったゲームを作りづらい。最初から完成度の高い有料のゲームをローンチして,その売り上げをもって次の新作へ取り組んだほうが,クリエイティブなパワーも持続できるのだと力説し,「サービスとしてのゲーム」が作られがちなF2P時代の風潮に釘を刺して,今回のセッションを終えた。
Game Developers Conference公式サイト
- 関連タイトル:
スキタイのムスメ:音響的冒剣劇(マイクロバージョン)
- 関連タイトル:
スキタイのムスメ:音響的冒剣劇(ユニバーサルバージョン)
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(C)Copyright Capybara Games Inc, Superbrothers Inc 2011
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