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実写「地球防衛軍」で“トップグラドル”がペイルウィングを熱演。「地球防衛軍3 PORTABLE THE COMMERCIAL」の日本一B級な製作発表会をレポート
メガホンを取ったのは,「日本以外全部沈没」「ギララの逆襲 洞爺湖サミット危機一発」などの作品を手がけ,“日本一のB級監督”と言われる河崎 実氏。本日(2012年8月27日),河崎監督の経営する東京・中野のバー「ルナベース」にて開催された本作の“日本一B級な製作発表会”の模様をお伝えしよう。
「地球防衛軍」はサンドロットの開発による3Dアクションゲームシリーズだ。元々は廉価ソフトシリーズ「SIMPLE2000」の1タイトルだったが,当時から価格とは裏腹な爽快感とボリュームでファンから強い支持を受けていた。
今回発表となった実写版「地球防衛軍」は,劇場公開の超大作映画!……というわけではなく,「総上映時間2分ぐらい」という,シリーズ最新作のためのプロモーションビデオとなっている。正式タイトルは「地球防衛軍3 PORTABLE THE COMMERCIAL」。ウェブ上での公開がメインだが,9月26日にはソニー・コンピュータエンタテインメント本社(SSJ品川ビル)での試写会も予定されているそうだ。
そして,その実写版の監督に抜擢されたのが,数々のB級映画や特撮映画の製作実績を持つ河崎監督だ。発表会では河崎監督自ら登場し,“ほぼ”クランクアップしたという本作の製作秘話を明かしてくれた。
なお,今回の会場となった「ルナベース」は,特撮映画の月面基地をイメージしたバーで,店内の収容人数は15名。大体,広さにして,カラオケボックスの大部屋ほどの規模である。河崎監督いわく,今回の実写版の制作費がかかりすぎたために,発表会は河崎監督自身の店で行うことになった……とのことだ。
河崎監督は,デビュー作の「地球防衛少女イコちゃん」(1987年)から,「地球防衛ガールズP9」(2011年)に至るまで,「ずっと地球防衛をしているんですよ」と語る。そのため,今回の映像についても,ゲーム本編のスピンオフ的な内容を「真面目にふざけて」作っていったそうだ。
中でも河崎監督が見どころとして強調するのは,「特撮」としての手作りの部分だ。とくに,本作に登場する巨大生物については,「仮面ライダー」や「スーパー戦隊シリーズ」にも携わっている「特撮研究所」の協力のもと,昔ながらの方法で模型を操演しているという。また,ウルトラシリーズの“重鎮俳優”も出演しているそうだ。
また,特撮映画といえば,巨大怪獣から大勢の人々が逃げまどうシーンも名物のひとつ。本作では,その「逃げまどう人々」のエキストラを募集しているそうだ。撮影は9月2日に都内近郊で予定されており,プレコミュ内の特設ページから応募が行える。
抽選で当選した20名がエキストラとして,参加者はゲームの先行体験ができるほか,「地球防衛軍2 ポータブル」もプレゼントされるとのこと。
発表会の最後にメディア合同の質疑応答も行われたので,その様子もお伝えしておこう。
――「ウルトラシリーズの“重鎮俳優”」が出演しているというお話がありましたが,具体的にはどなたですか?
河崎監督:
……大体想像つくでしょ?(笑)
――2分間に内容をまとめるのは大変だったのでは?
河崎監督:
いやいや,面白いですよ。テレビシリーズでも特撮部分はCGが増えちゃったけど,今回は巨大生物や衣装をちゃんと作ってあるからね。だからお金はかかってますけどね……。
――予算はいくらほどだったんでしょうか。
河崎監督:
まあ,それなりの……(笑)。
――製作するにあたって,監督の中にイメージされていた映画などはありますか。
河崎監督:
「ウルトラセブン」の最終回的な,切羽詰まった感じですかね。どうしてもウルトラシリーズがベースになっているので。あとは「宇宙戦争」とかね。スピルバーグ版(2005年)も1950年代版も,侵略者が攻めてくるパターンですからね。
ただ今回は,着ぐるみじゃなくて,からくり人形の巨大生物を操演しました。これは日本でしかできないと思います。たとえばウルトラセブンでも,“吊り”の宇宙人が出てくるんですよ。「ビラ星人」とか「クール星人」とかね。映像的にはそういったものをやってみました。
――「スターシップ・トゥルーパーズ」などの作品も意識されましたか。
河崎監督:
僕は,怪獣を殺すだけの作品はいまいち嫌いなので。殺戮描写も,僕は基本的には爆発させてますから。切れるときにはスパッ!と切れてほしいわけですよ(笑)。僕の映画を観たら分かりますけど。
河崎監督:
いや,ゲームは苦手なんでね……。アクションゲームもたまには触るけど,基本的にはぶきっちょなジジイなので。(ゲームの中よりも)本物の怪獣と戯れている方がいい,変態ですからね(笑)。
――では,今回のお話が来たときにはどう思われましたか。
河崎監督:
「これも(PVではなく,劇場で上映されるような)映画にならないかな」,っていう期待感のもとに作っていきました(笑)。
――「重鉄騎」では押井 守監督がトレーラーを製作されていましたが,そういったものを調べられたり,参考にされたことは?
河崎監督:
一切なし!
(会場笑)
――ゲームの映像化,というよりも,特撮方面からのアプローチに専念された?
河崎監督:
そうそう! そういうことなんですよ。押井監督とか,頭いいからさ。俺,頭悪いんでね(笑)。ゲリラ的な感じでやってますから。
――ディースリー・パブリッシャーさんの方から,ゲームの魅力を語っていただけますか。
ディースリー・パブリッシャー担当者:
おそらく実写版の方でも出てくると思いますが,アリやクモ,巨大な怪獣,ロボットといった敵がとんでもない数で現れるんですよ。そういう「地球が危ない! 絶望だ!」というところから打ち倒していく爽快感が一番の魅力になっています。あとはやはり,どことなく感じられる“特撮感”が,ユーザーの皆さんに大きく指示されている部分だと思います。
河崎監督:
“特撮感”……。特撮も肩身が狭いんだよね。今,庵野秀明監督と樋口真嗣監督が「特撮博物館」をやっていますけど,特撮っていうのは,超巨大な「アニメ宇宙」の中の一つの星雲だからね(笑)。実は,どんどん消えてく運命にあるんですよ。悲しいことに。
――今回の撮影日数は?
河崎監督:
4日ですよ。2分で4日だったら贅沢でしょう?
――製作サイドは,そもそもどうして河崎監督にオファーを?
SCE担当者:
広い層のユーザーの方にゲームの世界観をどう認知していただくか,と考えたときに,「実写化」という一つのプロジェクトを立ち上げることが,一番効率的にイメージを伝えられるのでは,と考えました。河崎監督は日本の特撮監督であって,地球防衛軍も日本のゲームである。それが大きな共通点となったため,今回河崎監督にお願いさせていただきました。
――日本の特撮監督といっても大勢いらっしゃいますが,その中で河崎監督を選ばれた理由は?
河崎監督:
(スケジュールが)空いてたんでしょ?
(会場笑)
SCE担当者:
いや,実績を考えましても,地球防衛に関連したタイトルをすでに撮られていたことが一番の理由ですね。
河崎監督:
基本的に「ふざけている」と思われてますけどね,本当は真面目なんですよ!
――本日はありがとうございました。
以上で,今回の「日本一B級な製作発表会」は閉幕となった。取材陣と登壇者の距離があまりにも近く,非常に特撮的な“手作り感”あふれる発表会であった。先にも述べたように,本作ではエキストラの募集も行われている。興味のある人は実際に応募してみてはいかがだろうか。
「地球防衛軍3 PORTABLE」公式サイト
- 関連タイトル:
地球防衛軍3 PORTABLE
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