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[gamescom]ついにベールを脱いだinXile Entertainmentの「Wasteland 2」。アポカリプスな世界を描いた期待の一作
「Wastelandって,そもそも何?」という人には,アポカリプス世界を描いたRPG「Fallout」シリーズの元ネタとなったゲームだと言えば分かってもらえるだろうか。Interplay Productionsが手掛け,1988年に発売された「Wasteland」だが,パブリッシャのElectronic Artsが版権を持っていたために,Interplayは続編を作ることができず,その精神的な後継作品として「Fallout」を1997年にリリースした。
その顛末については,手前味噌ながらGDC 2012の「こちら」の記事に詳しいので参照していただきたいが,そのInterplayの社長だったのが,inXile Entertainmentのブライアン・ファーゴ(Brian Fargo)氏であり,Wastelandそのものも彼の手によって生み出された作品だったのである。
そんなファーゴ氏らが,2012年になってようやくWastelandの版権を取り戻し,制作を開始したのが「Wasteland 2」となる。2012年6月には,Kickstarterで300万ドル近い一般公募を獲得するなどファンの支持も多く,「独立系開発会社」の理想像を体現しているとも言える。
Wasteland 2のストーリーは,地球への隕石落下という大イベントを前に,パニックに陥ったアメリカとロシアが核戦争を始め,人類が築き上げてきた文明がほとんど消滅してしまったという,架空の1998年の世界を背景にしている。
主人公となるアメリカ陸軍兵士らは,ちょうどその時,アメリカの南西地域にある高地砂漠で強固な終身刑務所の建設作業に携わっていたことで生き延び,その刑務所の中で暮らしていた。核戦争から15年後,彼らは砂漠地帯を徘徊し,残された人々を救助する「デザート・レンジャーズ」となって,未知の世界へと踏み出すことを決意するのだ。
本作は,プレイヤーが4人のレンジャーズを率いていくパーティ制のRPGになっており,このほかに最大3人のNPCを仲間とし,7人までの大きなパーティを組むことができる。個々のレンジャーズのメンバーは,ゲーム開始時のキャラクター制作画面で与えられたポイントをさまざまなステータスに振り分けることで,個々のパーソナリティが与えられるというもののようだ。このステータスの1つに「カリスマ」が存在していたのが,Interplayの血を引くRPGらしさを感じるところだ。
ゲームプレイ自体はそれほど確認できなかったが,Unity Engineで開発されているゲーム画面は綺麗であるものの,クォータービューのカメラ視点やテクスチャの色彩感覚は,どこか初代「Fallout」を思わせる。左下には旧式のタイプライターのようなものが表示されており,それがストーリーや会話のログになっていた。かなり古臭いインタフェースだが,これはWastelandらしさを演出するためのものかもしれない。
マップ上での移動は,ポイント&クリックでメインキャラクターを移動させると,ほかのキャラクター達がついて来るという仕組みだった。その一方でアクションシーンはターン制になっており,プレイヤーが一人一人を操作し終わると,相手が何らかのアクションを行う。
今回のデモでは,岩陰に作られた野営キャンプのような住居を見つけ,そのベッドの上で寝込んでいる女性が,「病気が酷くて生きるのが苦しい。夫は薬を探しに行ったのに何日も帰って来ず,行き倒れになったようだ」と,彼女を銃で撃って“安楽死”させるよう懇願してきた。その望みを叶えるかどうかはプレイヤー次第だが,この女性を撃ち殺した場合には,直後に夫が帰って来て決闘を挑まれるという流れになっていた。
また,別の地点では地雷が埋まっている山道があった。その周囲には何匹かのヤギがおり,1人のプレイヤーキャラクターの持つスキル「Animal Whisper」を使ってヤギを呼び寄せることで地雷掃除の役目をさせるという,なんともブラックな味付けになっていた。こうしたプレイヤーチョイスも古典的なアイデアではあるものの,昔ながらのターン制RPGのファンにはたまらないゲームとも言えそうだ。
現時点では2013年10月のリリースを予定しているとのこと。しかし,約40万語にも及ぶ長大な脚本がさらに長くなりつつあるらしく,Kickstarterでもさまざまなボーナスを確約しているため,現状では本当に年内リリースに持ち込めるのかどうかは不明だ。そのため,Interplayの内部チームだったBlack Isle Studiosのメンバー達が立ち上げたObsidian Entertainmentにも開発協力を要請するなどしているようだ。日本語化されないとストーリーを理解するのはなかなか大変そうだが,年末のダークホース的作品として気に留めておくといいだろう。
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