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隣り合わせの千頭 元とベニー松山。TGS 2012会場で偶然出会ったお二人に,ダンジョンRPGに関するお話をアレコレ聞いてみた
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印刷2012/10/03 00:00

インタビュー

隣り合わせの千頭 元とベニー松山。TGS 2012会場で偶然出会ったお二人に,ダンジョンRPGに関するお話をアレコレ聞いてみた

 今年もさまざまな話題を提供してくれた東京ゲームショウ(関連記事)。コンシューマゲームメーカーの出展タイトル数に若干物足りなさを感じたゲーマーもいたかもしれないが,ふたを開けてみれば大盛況で,最終的には,過去最多となる22万3753人もの総来場者数を記録したという。
 関連タイトルを出展していなくても,そんなTGS 2012会場へ視察に訪れていたゲーム業界人は少なくないだろうが,エクスペリエンスの代表取締役社長 千頭 元氏もその一人だ。今回4Gamerは,今なお高い評価を得ているWizardry小説「隣り合わせの灰と青春」の著者であるベニー松山氏と行動を共にしていた千頭氏とエンカウントし,わずかな時間ではあったが話を聞くことができたので,その内容をお届けしよう。エクスペリエンスの新作DRPGや,同社とベニー松山氏のコラボ企画に関する話題も飛び出たので,ダンジョンRPGファンはぜひチェックしてほしい。

「円卓の生徒 The Eternal Legend」公式サイト



エクスペリエンスは「分かってやがる」

ベニー松山氏も太鼓判を押す「円卓の生徒」


4Gamer:
 9月30日に実施予定(※インタビュー収録は9月20日)の「EXP Channel 公開放送」(関連記事)でベニー松山さんをゲストとしてお招きするそうですが,今回一緒にTGS 2012にいらっしゃったのも,それが縁で……ということなんですか?

ベニー松山氏
画像集#002のサムネイル/隣り合わせの千頭 元とベニー松山。TGS 2012会場で偶然出会ったお二人に,ダンジョンRPGに関するお話をアレコレ聞いてみた
ベニー松山氏:
 いえいえ,本当に偶然なんですよ。「モンスターハンター4」の試遊に並んでいたら,偶然千頭さんとお会いしまして。やっぱり近しい魂を持っている者の間には,引力が働いているんですかね。

4Gamer:
 おかしいな……偶然なのになんで角川ゲームスさんも同席しているんだろう……というところは置いておいて,「Wizardry」界隈というかダンジョンRPG業界では,お二人とも名の知れた存在だと思うのですが,親交は以前からあったんですか?

千頭氏:
 いえ,実はお会いしたのはつい最近なんですよ。以前から仲良くさせてもらっている忍者増田さん(古くからWizardryの魅力の普及に尽力してきたフリーライター兼自称忍者)との会話の中では,ベニーさんの話題は頻繁に出ていたんですけど,お会いする機会はなかなかなかったんですよね。

4Gamer:
 Wizardryに関しては,お二人ともエバンジェリストと呼べるレベルの有名人ですね。

千頭氏:
 ええ。そこで,だったら増田さんにも公開放送に出てもらおうということになりました。

4Gamer:
 ちなみにベニーさんは,千頭さん率いるTeam Muramasa,あるいはエクスペリエンスという会社のことをご存じでしたか?

ベニー松山氏:
 僕もゲーム好きなので名前は知っていたんですけど,実はTeam Muramasa作品には触れてこなかったんですよ。今回千頭さんとお会いして,「円卓の生徒 The Eternal Legend」をガーッとプレイさせてもらったんですが……「分かってやがるな」と。偉そうな言い方で申し訳ないんですけど(笑)。

4Gamer:
 私も古くからのWizardryファンなんですが,Team Muramasaの「ウィザードリィ エクス」を初めてプレイしたときは,「新しいWizardryが始まった!」と感動した覚えがあります。

千頭 元氏
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千頭氏:
 ありがとうございます……ウィザードリィ エクスは,始まってすぐに終わっちゃいましたけど(笑)。

ベニー松山氏:
 Wizardry的に言えば,Team Muramasaは転生して2周目の冒険をしているんですね(笑)。

4Gamer:
 ベニーさんは,やはりダンジョンRPGがとくに好きなんですか?

ベニー松山氏:
 もちろんダンジョンRPGも大好きだけど,試遊の行列に混ざるくらいに「モンスターハンター」も好きです。オンラインゲームも好きなんですが,そろそろ年齢的にやめたほうがいいかなと,自重しています。

千頭氏:
 ベニーさんのお話を聞いていると,やっぱりハック&スラッシュ(戦闘を通じて経験値やアイテムを得て,キャラクターを強化しつつより強い敵を求めるようなプレイスタイル/ジャンル)がお好きみたいですね。

ベニー松山氏:
 ほかにはサガシリーズも好きですね。以前手がけた「サガ フロンティア 裏解体真書」に小説を載せたんですが,執筆そっちのけでアセルス編を遊んでいました。最初のほうに強敵が登場するんですが,「こいつを倒さないと何かが見えてこないんですよ!」とかいって。倒しても小説に役立つ何かは見えてこないんですけどね(笑)。

4Gamer:
 あの名著の裏話まで聞けるとは……。と,話が脱線してしまいましたが,「円卓の生徒 The Eternal Legend」は,古くからのWizardryファンからすると,ちょっと違和感を覚える作品かもしれませんが,いかがでしたか?

「円卓の生徒 The Eternal Legend」
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画像集#004のサムネイル/隣り合わせの千頭 元とベニー松山。TGS 2012会場で偶然出会ったお二人に,ダンジョンRPGに関するお話をアレコレ聞いてみた
ベニー松山氏:
 予備知識なしに画面を見たときは,これはギャルゲーっぽいWizardryなのかな? と思いましたが,実際にプレイしてみたら,とくに違和感を覚えることなく楽しめました。僕はWizardry原理主義者じゃないのかな(笑)。コアなファンは,どういうところが気に入らないんですか?

千頭氏:
 いろいろあるとは思うんですけど,やはり「キャラクターメイキングができない」というところが大きいのではないでしょうか。
 弊社のゲームはもともと,キャラメイクもパーティ編成も自由にできる,比較的複雑なダンジョンRPGが多いんですが,ユーザーアンケートの結果,そういった部分がハードルになり,つまずいてしまう人が多かったんです。

4Gamer:
 なるほど,確かにあまりRPGに慣れていない人にとっては,6人分のキャラクターをバランス良く作るだけでも一苦労かもしれません。

千頭氏:
 そうなんですよ。そこで,ダンジョンRPGとしての面白さはキープしつつ,入口となる部分のハードルを下げたのが,「円卓の生徒」というわけなんです。

ベニー松山氏:
 うーん,そう言われると確かに。キャラメイク/パーティ編成込みのダンジョンRPGって,Wizardry的にいうと「妄想力が15以上」とかないと,隅々まで楽しむのは難しいのかなって思いますね。

4Gamer:
 昔のゲームは表現力に乏しかったこともあって,プレイヤーの妄想力もかなり訓練されているでしょうし。

ベニー松山氏:
 僕も相当,妄想力高いのかもしれないなぁ。

4Gamer:
 「隣り合わせの灰と青春」を生み出したベニーさんの妄想力は,間違いなくMaxでしょう……。

ベニー松山氏:
 僕の妄想を共有してしまって恐縮です(笑)。


学園モノではないVita向けタイトルの新情報も!


4Gamer:
 そんなお二人がこうして出会ったわけですから,今後「Team Muramasa×ベニー松山」のコラボレーション企画にも期待していいんでしょうか。

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千頭氏:
 実現するといいですね(笑)。エクスペリエンスは角川ゲームスさんにも協力してもらって,より多くの人にダンジョンRPGの魅力を伝えるべく,「円卓の生徒 The Eternal Legend」のような作品を作ってきました。
 一方で,そうした作品では満足できないというコアなファンもいるでしょう。そういうファンにも満足してもらうためには,世界観設定やシナリオ面で,ベニーさんにアドバイスを頂けると嬉しいなと思います。

ベニー松山氏:
 そういってもらえると嬉しいですねぇ。

4Gamer:
 それは,すでに発表済みの「剣の街の異邦人」や,「PS Vita用の完全新作ダンジョンRPG」関連記事)の「次」の話ですか?

千頭氏:
 もし実現するのであれば,そうなると思います。ベニーさんにこういう話をしたのは今回が初めてなので,これから要相談ですが(笑)。

ベニー松山氏:
 まずはエクスペリエンスオフィスまでの道のりを覚えるところから頑張らせていただきます!

4Gamer:
 期待しています!
 ところで,今ちらっと話題に出ましたが,「PS Vita用の完全新作ダンジョンRPG」の新情報についてもお聞きしたいのですが,特徴はどのあたりになりますか?

千頭氏:
 そこについては今のところ話せないんですが,もちろんあります。ジャンルはダンジョンRPGですけど,「円卓の生徒」とも「迷宮クロスブラッド」とも違うプレイ感覚になると思います。難度は調整中ですが,上記タイトルの中間あたりを想定しています。

「PS Vita用の完全新作ダンジョンRPG」のモンスターデザイン
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4Gamer:
 キャラクターメイキング/パーティ編成の要素は盛り込まれていそうな雰囲気ですね。

千頭氏:
 はい,そういうことになります。主人公はプレイヤー自身で,プレイヤーの分身をキャラメイクする形ですね。
 あと,これまでのエクスペリエンス作品と大きく異なる点としては,「学園モノ」ではないというところですかね。序盤の雰囲気はコメディタッチというか,若干ライトな印象になると思いますよ。

4Gamer:
 なんと,学園モノではないんですか!

千頭氏:
 「学園」「生徒」というキーワードでゲームを制作すると,ストーリーやイベントの展開が分かりやすいじゃないですか。分かりやすいから,ダンジョンRPGを普及させるのに適した題材だったんですよね。しかしVita用新作では,皆さんが理解しやすい新たな切り口を思い付いたので,思い切って「学園モノ」設定から外れてみました。

ベニー松山氏:
 学園モノではない……つまり,「生徒」から「学園生活」を切り離して,私生活を描くような感じ?

千頭氏:
 ……鋭いですね。Vita用新作の話は,このあたりまでとさせてください(笑)。とりあえず,PS Vita用タイトルということで,対象年齢層をやや上げたチューニングになると思います。

「PS Vita用の完全新作ダンジョンRPG」の背景アート
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4Gamer:
 なるほど,期待しています。それでは最後に,ダンジョンRPGファンに対して一言ずつコメントをいただけますでしょうか。

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ベニー松山氏:
 こうして東京ゲームショウに来てみると,やっぱり「ダンジョンRPG分」が足りないことが気になりますね。この物足りなさを満足させてくれるのは,やっぱりエクスペリエンスだと思います。来年あたりは角川ゲームスさんにも頑張ってもらって,TGS会場をダンジョンRPGで浸食してもらえると,個人的にも嬉しいですね。

千頭氏:
 10月4日には「円卓の生徒 The Eternal Legend」が発売されます。基本的にはPC版/Xbox 360版と同様の内容ですが,PSP用ソフトということで相当遊びやすくなっていますし,ボイスやエンディングテーマなども充実しています。他機種版を遊んだ人でも十分楽しめると思いますので,ぜひ試してみてください。そして,続く「剣 (つるぎ) の街の異邦人」や「PS Vita用完全新作ダンジョンRPG」にも期待していただけると嬉しいです。

4Gamer:
 Team Muramasa×ベニー松山のコラボにも期待しています。本日はありがとうございました!

「円卓の生徒 The Eternal Legend」公式サイト

「エクスペリエンス」公式サイト

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