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「rain」は“姿を消して敵から隠れる”だけのゲームでも,雰囲気だけのゲームでもなかった。独特のプレイフィールをレポート
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印刷2013/05/30 16:00

プレイレポート

「rain」は“姿を消して敵から隠れる”だけのゲームでも,雰囲気だけのゲームでもなかった。独特のプレイフィールをレポート

画像集#001のサムネイル/「rain」は“姿を消して敵から隠れる”だけのゲームでも,雰囲気だけのゲームでもなかった。独特のプレイフィールをレポート
 2012年夏の発表以降,その独特の雰囲気が注目されている,ソニー・コンピュータエンタテインメントのPlayStation 3用アクションアドベンチャー「rain」。その概要や開発コンセプトなどは,開発陣によるプレゼンテーションのレポートでお伝えしたとおりだ。今回4Gamerでは,2013年6月に開催されるE3(Electronic Entertainment Expo)で出展される予定の本作のプレイアブルバージョンを,公開に先駆けて触る機会を得た。さっそく気になるゲーム内容やプレイフィールをお届けしていこう。
 なお,今回もSCEジャパンスタジオのプロデューサー鈴田 健氏とディレクター池田佑基氏に同席いただき,プレイに対するアドバイスや,先のチャプターについて解説してもらっている。

プロデューサーの鈴田 健氏(左)とディレクターの池田佑基氏(右)
画像集#002のサムネイル/「rain」は“姿を消して敵から隠れる”だけのゲームでも,雰囲気だけのゲームでもなかった。独特のプレイフィールをレポート

 プレイできたのは,ゲームのプロローグから最初のステージであるチャプター1の終わりまでだ。眠りから覚めた主人公の少年は,雨の中に透明な少女を見つけ,その姿を追って不思議な世界へと迷い込んでしまう。そんなプロローグを綴るムービーは,ゲーム本編の暗い画面とは対照的に,水彩絵の具で描かれた絵本のような明るい色彩で表現されていた。
 雨が降りしきる暗い街角へと場面が移ると,とくに説明などはないままゲームがスタート。プレイヤーが操作するのは,透明の姿になってしまった少年だ。画面にUIのたぐいは一切表示されおらず,操作方法も左スティックで歩き,[□]ボタンで走り,[×]ボタンでジャンプ,[○]ボタンで特定の場所を調べるという,非常にシンプルなものになっている。
 少年が向かうべき方向は,雨の中を走り去る少女や,「こちらに進め」というように特定の場所をアップで映すカメラが示してくれるほか,何もしない状態で立っているとヒントのアイコンが表示され,その状態で[SELECT]ボタンを押せば攻略のヒントがもらえるので,とくに迷うことはない。
 鈴田氏によると,少年を映すカメラは,迷子となったプレイヤーを導くための重要な存在であり,「重要なキャラクターの1人」にするような気持ちで,プレイヤーにストレスを与えないよう調整しているそうだ。実際,UIのない画面や半透明なキャラクターであっても,「何をすればいいのか分からない」という状態にはならなかった。

画像集#003のサムネイル/「rain」は“姿を消して敵から隠れる”だけのゲームでも,雰囲気だけのゲームでもなかった。独特のプレイフィールをレポート

 さて,しばらく少年が街をさまよっていると,格子扉を破って,雨によって姿を映し出された半透明の犬のような怪物が現れ,追いかけてくる。操作方法を説明した段階でお気付きの方もいるだろうが,少年は攻撃する手段を一切持っておらず,怪物の攻撃を受けると倒されてしまう。そのため,逃げることしかできない。慌てて屋根のある場所に逃げ込むと,雨によって姿が見えていた少年の姿は完全に見えなくなり,獲物を見失った怪物もどこかへ去っていってしまった。
 そう,屋根の下では雨が当たらないので,姿を失った少年は,敵から身を隠すことができるのである。ただし,この状態ではプレイヤーからも少年が見えなくなってしまうので,ぶつかって倒れるオブジェクトや足跡を見て,なんとかその位置を確認するという状態になる。ここまで透明なキャラクターを動かすというのは,なかなか新鮮なプレイフィールだ。ゲームを進めると,完全に姿を見失った状態で長時間操作をしなければならないシーンなどもあるそうで,かなり変わった体験ができそうである。
 また,この姿が見えなくなるギミックで面白いのは,屋根のある場所はあくまで少年の姿を隠すだけの場所であり,怪物が入れない安全地帯ではないということだ。怪物たちも屋根の下に入ってくることがあるだけでなく,その場所では少年と同様に姿が見えなくなる。「透明な敵」に注意して進まなければならない場面も出てくるかもしれない。

 この,雨によって姿が見えたり見えなかったりするというシステムだけを見ると,本作は敵から姿を隠して進むステルスアクション的な内容になっているように思われるかもしれないが,実はほかにも,ステージ中にはいろいろとギミックが用意されている。
 例えば,チャプター1の最後では,物が積み上げられていて進めない場所があるのだが,そこでは犬のような敵をうまくおびき出し,突っ込ませて破壊させるというギミックが盛り込まれていた。

 チャプター1は,基本操作とこの世界の「透明になる」というルールを確認するといった感じの内容なので,クリア自体はさほど難しくはない。ただ,これはあくまで序盤だからであって,チャプターが進むごとに段々とギミックも複雑になっていくという。
 せっかくなので,先のチャプターを鈴田氏に見せてもらったのだが,チャプター2では二足歩行の怪物に追いかけられるという,チェイスアクションが展開されていた。ここで面白いのは,チャプター1で学んだことを生かそうとすると「屋根の下に隠れて姿を消せば安心」と思ってしまうのだが,巨人の怪物は屋根を破壊してしまうため,屋根の下ですら安全ではないと思い知らされるということだ。鈴田氏によれば「どのチャプターにおいても,それまでに覚えてきたルールをもとに,新しいチャレンジがあったり,逆にそのルールを裏切るようなことがあったりする」とのこと。

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 また,このチャプターでは,「泥」というギミックが登場する。これは,水たまりなどにある泥が少年の体に付着することで,屋根の下に入ってもその部位が怪物に見えてしまうというもの。泥のある水たまりがあったら避ければいいし,少しついただけなら通常の水たまりに入ることで簡単に落とせるものの,ときには全身に泥をかぶってしまうこともあるようだ。そんなときは,水が張った場所などに自ら飛び込むことで泥を落とせるが,逆に,泥を体に付着させることで有利になるような場面もあり,どうやって進むかはプレイヤーの選択次第になるという。

 次に見せてくれたチャプター3では,巨大な廃工場へと迷い込んでいくことになる。大きくて冷たい重厚な建造物に迷い込むというシチュエーションに不安がつのる中,時折見える少女の姿に,追いかけなければというモチベーションをかき立てられるステージだ。
 ここでは,巨大な4本足の草食動物をイメージしたような怪物が新たに登場する。この怪物は主人公に危害をくわえず,ステージ内を歩き回っているだけなのだが,その大きな体が動く屋根のようになって,体の下では少年の姿を消せるのだ。もちろん怪物は動き回るので,身を隠したままでいるには,自分もそれに合わせて動かなければならない。
 ちなみに,チャプター3のマップは,チャプター1の3倍ほどの広さがあるそうで,一気にやり応えのあるステージになるのだという。

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 いわゆる“雰囲気ゲー”として本作に注目している人は多いかと思うが,先のチャプターを見せてもらうと,同じことばかりを繰り返す単調な内容ではなく,雰囲気だけのゲームでもない,きっちり作られたアクションゲームなのだということが伝わってくる。筆者は今回,最初の手触りを確認しただけだが,先の物語や新たなギミックなどが気になってしまい,じっくり遊べる日が待ち遠しくなったほどだ。リリースは2013年秋が予定されているとのことなので,続報を楽しみに待ちたい。

画像集#011のサムネイル/「rain」は“姿を消して敵から隠れる”だけのゲームでも,雰囲気だけのゲームでもなかった。独特のプレイフィールをレポート
池田氏によると,街の中にあるオブジェクトは「そこに人がいたかのように配置」されているという。例えば,剥がれかかったポスターを直そうとしたのか,その下にハシゴがかけられていたり,誰かがお茶でもしていたかのようにテーブルの上にカップが置かれていたりといった感じで,ゲームの本筋とは関係のないちょっとした物語を意識してみると,より楽しめそうである
画像集#012のサムネイル/「rain」は“姿を消して敵から隠れる”だけのゲームでも,雰囲気だけのゲームでもなかった。独特のプレイフィールをレポート 画像集#013のサムネイル/「rain」は“姿を消して敵から隠れる”だけのゲームでも,雰囲気だけのゲームでもなかった。独特のプレイフィールをレポート

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