プレイレポート
「Mount & Blade II: Bannerlord」プレイレポート。傭兵,国王,商人,野盗,どんなロールプレイも可能な自由度の高すぎるアクションRPG
本作は,中世ヨーロッパ風の世界である「カルラディア」を舞台に,自由気ままに生きていくアクションRPGだ。メインクエストは存在するものの,「カルラディア」でどう生きていくかは自分次第。大陸中で戦争が勃発する中,最強の傭兵団として活躍するも良し,はたまた商人として食料や道具を売って生きていくも良し,自分で国を立ち上げて大陸制覇を目指すことだってできる。ロールプレイをトコトン突き通せるゲーム性を持った作品だ。
本作はもともとPC向けに早期アクセスが実施されていたタイトルで,10月25日に正式リリースされている。本稿ではそのPC版をプレイしたうえで感じた「Mount & Blade II」の魅力に触れ,キーボード&マウスでの操作と,ゲームパッドを使った場合の操作感の違いについてもお届けしていこう。
圧倒的な自由度を誇る世界で好きなようにロールプレイを楽しもう
本作の舞台となるカルラディアは大きな大陸で,いくつかの国が存在している。プレイヤーはそのいずれにも所属していない状態で,大陸全土を渡り歩きながら,好きなように生きていける。マップ上には,大きな首都や城のほか,無数の村も配置されており,そこに住むNPCと交渉して仕事をもらったり,あるいは略奪などをしてお金を稼いだりするのが基本的なプレイサイクルとなる。
キャンペーンを開始してまず最初にすることは,詳細なキャラクリエイトだ。どの国を選んでもスタート地点に違いはないが,最初に得られるバフ効果に違いが出てくる。例えばヴランディアを選ぶと戦闘時に得られる名声や傭兵としての収入増加など,戦いをメインにしたいプレイヤー向けの支援効果が付与される。自分がどのようにして生きていきたいのか,ロールプレイの方向性に応じて国を選ぶのが良さそうだ。
キャラメイクについては,成人男性・女性という大枠は変えられないものの,身長や外観の幅広いカスタマイズが可能だった。目や鼻の形,髪型に顔の傷やメイクまで,細部を調整できる。
クリエイトはこれだけに留まらず,自身の生い立ちや成人するまでの生活環境まで自分で決められるのが本作の面白いところだ。
自分の両親がどのような人物で,幼少期は何をして過ごしたのか,思春期に費やした行動,青年期の仕事まで,1つずつ選択していく。この選択によって初期スキルレベルに違いが出るので,出身国と同じく自身のロールプレイに応じて調整していくことになるだろう。
本作では片手剣や弓など武器ごとの扱いをはじめ,騎乗,工学,知性,魅力などプレイヤーの行動のすべてがスキルレベルとして影響していく。あとから経験を重ねてスキルレベルは上げられるので取り返しのつかない要素ではないが,初期時点で多少ブーストをかけられるのは大きな利点なので慎重に選びたい。
また,この時点でゲームの難度選択もできた。難度は「こそ泥」「戦士」「Bannerlord」の3種類あり,こそ泥だとプレイヤーの被ダメージ量が25%に減少,戦士なら50%減少など,敵の強さやNPCの説得のしやすさ,味方の死亡率などが変化する。同ジャンルを初めてプレイする人なら,最初は覚えることが多いので,こそ泥か戦士で遊ぶことをオススメしたい。
最初のチュートリアルを終えると,さっそく広大なマップにひとり放り出され,あとは自由行動になる。基本的に何をしてもオーケーで,細かな縛りもなく思うままに過ごせるのだ。
メインクエストとして,最初に手に入れた遺物について貴族から情報を得て調査する目的は用意されているが,これは放置してもまったく問題ない。クエストの性質上,プレイしていると必然的に進行することはあるが,意識して進めずに遊び続けてもいいわけだ。
ともあれ当面は,村や首都などの人がいる場所を訪れてデナール(お金)を稼いでいくのが基本的な目標だ。商品を売ってお金を手に入れたり,NPCの依頼を解決して報酬をもらったりなど,お金を稼ぐ方法は多岐にわたるので,好きなようにお金を稼いで生きていこう。
マップでの移動方法はマウス,ゲームパッドのどちらでも変わらず,カーソルを合わせて目的地を選択するだけだ。あとは自動的にキャラクターが指定位置に向かってくれる。その途中,敵対,あるいは味方のNPCと遭遇することもあり,戦闘が発生したり,突発的な依頼を引き受けたりすることもある。
ここまで度々書いてきたように,本作では決められた行動はなく,何をするのも自由だ。とはいえ,ある程度最初にやるべきことは決まっており,まずは兵士を採用したり,雇うためのお金を稼いだりしないといけない。村に到着したらNPCから仕事をもらい,稼いだお金で兵士を採用して戦力を拡充していくのが序盤の動きとなるだろう。
どの村でも兵士の採用,商品の売買,略奪などの行動ができる。ただ,序盤に略奪すると痛い目を見るので最初は大人しくしておこう |
困っているNPCに話しかけると,仕事をもらえることがある。悪評が広まっていたり,仲が良くなかったりすると門前払いされることも…… |
商人や鍛冶師など,争いとは無縁の生活を送るロールプレイももちろん可能だが,それでも最低限の戦力を持たないとこの世界では生き残れない。というのも,カルラディアは弱肉強食の世界で,村から一歩外に出れば野盗などのNPCに絡まれてすべてを奪われてしまうからだ。
お金を稼ぐためには村や首都を転々とする必要があるため,必然的に略奪者に襲撃される頻度も増える。それらに対処するためにも,最低限立ち向かえる戦力はつねに抱えておかないと一方的に略奪されてしまう。
序盤はとくにプレイヤーに厳しい世界で,初見プレイ時は兵士を雇うために村に向かう途中,何度も略奪者に遭遇してカツアゲされてしまった。「全財産を奪われるよりはマシ」と少額を渡して見逃してもらう,惨めな生活から抜け出すためにも兵力は欠かせないのだ。
こちらを発見するや全力疾走してカツアゲしてくる略奪者たち。開始10分で3回お金を奪われたときは泣きそうになった |
戦って敗北すると囚われてしばらく行動不可に。時間経過で逃げ出せても所持品はほぼ奪われる |
略奪者から命からがら逃げだし,村で兵士を雇えたらようやく反撃が可能になる。プレイヤーは初期時点で最大20人まで兵士を雇えるため,お金に余裕があればドンドン採用したい。
ただし,兵士を雇うと毎日賃金を払う必要がある。そのため,下手に兵士を増やしすぎて,日給を払うためにギリギリの生活を送る羽目になりかねない。実際筆者はプレイ時に,しばらく毎日所持金が0になる生活を送っていた。
支払いが滞ると,部隊から兵士が抜けだしたり,仲間に苦言を呈されたりするなど悲しい思いをしながら資金集めに追われ続けるので,かなり心苦しい。兵士だけでなく,同じように部隊を率いることができる仲間や家族も増やせるのだが,あまり部隊を増やすとあっという間に赤字になるので,財務管理はしっかりと行わなくてはならない。
最初こそ兵力や資金に苦慮するものの,慣れてくると安定して動けるようになり,一気にできることも増えていく。こちらを発見するとすぐに駆け寄ってきた盗賊たちも,兵力が増えると立場が逆転してこちらを発見すると逃げ出すように。強さこそ正義な世界観なので,平和な生き方を望むにしてもやはり武力は欠かせないのだ。
今回プレイした限りだと,序盤はとくに兵力を増やして盗賊狩りをするのが効率的に感じた。敵部隊を壊滅させると,相手が持っていた所持品をすべて奪い取れるので,それらを売却してまた兵士を雇うというサイクルで簡単にお金を稼げるからだ。逃げ惑う盗賊たちを執拗に追いかけ回して,金になる物資を奪う,どちらが悪者なのか分からないプレイをくり返していくうちに,ようやく安定した資金繰りが可能になった。
この世界ではプレイヤー以外のNPCが常に活動し続けているというのも,本作の大きな魅力の1つだ。時間経過に応じてNPCの位置が移動しているのはもちろん,国同士が戦争を始めたり,村で略奪行為が行われたりなど世界が常に動いている。NPC同士が結婚して子供を産んでいたり,叛逆に失敗して投獄されていたりすることもある。
見えない範囲でも大きく物事が動いているため,プレイヤーもこの世界の一員として生活しているのだと強く感じられ,よりロールプレイが楽しくなっていく。商人や傭兵を目指すのであれば,戦争が始まった国に訪れて戦いに参加したり,馬や食料を売って商売をしたりするなど,世界情勢を見て動き方を考えていくのもやりがいを感じられる点だ。
最低限兵力を集め,外を移動しても敵に絡まれなくなったら,後は自由な生活が待っている。傭兵として戦争に参加してお金を稼ぐも良いし,競技場を回って伝説の闘士として名を残してみても良いだろう。
世界中の都市では競技会が開催されており,ここで勝利することで名声や賞品を獲得できる。戦いをメインに据えたいプレイヤーなら,都市をめぐって競技場の覇者を目指すプレイングもアリだ。ちなみに八百長試合を依頼してくるNPCもいるので,悪事に加担してお金を稼ぐというダーティな道も選べる。
商人として生きたいなら,仕入れた商品を高く売れる場所まで運ぶ方法などが挙げられる。所持できるアイテムの売却価格は一定ではなく,売却する村や首都によって価値は変動していく。例えば革が入手しづらい地域なら必然的にその価格は高騰するし,逆に有り余っている地域で売っても大した利益にはならない。
自分で店を買い取って生産する側に回ることもできるので,市場価値などを調べてお金を稼ぎ,自分は戦わず強い傭兵たちを雇って生きていくというのも1つの選択肢となる。
ほかには,素材を集めて自分で武器を作れる要素もあるため,鍛冶職人を目指してみてもいいかもしれない。鍛冶レベルを上げ,優秀な武器を作って売却すればそれだけで食い扶持になるだろう。もちろん自分で作った強い武器を戦場で試す,戦闘職との兼業もアリだ。本作のバトルでは,武器のリーチが有利さの大きな要因となるため,自分の戦闘スタイルに応じてリーチの長い武器などをこだわって作るのも楽しい。
初期時点ではどの国にも属さず,自分のクランを運営している状態だが,特定の国に加入して正式に兵士として戦うこともできる。国に加入すれば同国の兵士が力を貸してくれたり,戦果を上げれば領地がもらえたりすることも。もちろん自分で国を立ち上げて他国の領地を奪い取るという手段もあるが,それよりも手軽に兵力を集められ,領地を得られる方法として,国に加入するのは手っ取り早い手段だ。
なお,筆者が初見プレイ時に痛い目を見たので,あまりオススメはしないが,略奪者としての道を歩むことも不可能ではない。戦力が手薄な村を襲撃すれば,お金やその村の特産品を大量に奪い取れるので,それを売却して一儲けできるのだが……当然リスクは付きまとう。
一度村で略奪すれば戦争行為とみなされ,その村を治める国と敵対関係になってしまう。そうなると問答無用で大量の兵士が襲い掛かって,一度発見されると地の果てまで追いかけてくる。軽い気持ちで村を襲ったつもりが,何度も兵士に連行されすべてを失うことになったので,略奪行為をするにしても国を相手取れる兵力を集めてからにしたほうがよさそうだ。
ほかにもNPCとの結婚や,国に所属していれば外交や国政方針への干渉など,やれることは盛りだくさん。まだまだ紹介しきれないほど自由に遊べる要素が存在するので,一度クリアしても今度は商人を目指そう,次は大陸統一をしようと何周でもやりたくなってしまう。
資金繰りや常時動いていく世界での活動は,一度のめり込むと止め時を見失うほどで,気が付けば10時間通しで遊び続けてしまった。本作一本で数百時間は遊べるであろうボリュームと自由度だ。
大規模な攻城戦,騎馬戦などバトル要素も充実
本作のバトルは,敵対NPCとの遭遇時や,国同士の戦いなどで発生する。兵士ごとに強さ(Tier)が設定されていたり,プレイヤーが装備する武具にも性能差があったりするのだが,個々の性能よりも兵力が重視されるのがバトルのポイントだ。
強い兵士がいれば多少の戦力差は覆せるものの,基本的には兵士の数がものを言う。戦いによっては,500対500など大人数での戦争になることも少なくない。
バトル中はプレイヤー自身が行動するのはもちろん,部隊に対して命令を出すことも重要になる。指定した位置に兵士を突撃させたり,自分に追従させたりなど動かし方はさまざまだ。編隊ごとに命令を出せるので,例えば歩兵を前進させつつ,騎兵に横から奇襲させるといった作戦をその場で指示できる。
簡単な戦いならシンプルに突撃命令だけでもいいのだが,大規模戦闘になると兵士の立ち位置が重要となるため,指揮官としての動きも求められることが多い。
部隊への指示以外で特徴的なのは,攻撃時の視点移動だ。剣などで攻撃する際は,上下左右でそれぞれ攻撃モーションが異なり,プレイヤーがどちらに視点を動かしているかで攻撃方向が変化する。上を向いていれば剣を振りおろし,左を向けば左側から剣を振る形だ。
これは盾も同様で,ただ構えているだけでは一方向しか防げない。そのため,敵がどちらから攻撃を仕掛けてくるかを見極め,適切な位置に盾を構えないと攻撃を防げない仕組みになっている。幸い動きは遅めなので,見極めてガードすること自体はさほど難しくはない。
マウスの場合はそのまま攻撃/防御したい方向に視点を振り,ゲームパッドの場合もスティックを任意の方向に倒す。やや独特な操作性だが,慣れてくれば自然と動かせるようになるのでアクションが苦手な人も心配は無用だ。
敵の攻撃が左からくると思ったら,すぐにマウスを左に動かしてガード! |
騎馬戦時も操作は変わらず,敵のいる方向に視点を傾けてから攻撃をすると当てやすくなる |
このように,自分の兵士たちの進行方向を指示しつつ,相手のいる方向にしっかり視点を振りながら武器を振って倒していくのが,バトルの基本動作となる。人数が増えるほどに手応えも増していくので,慣れるまで何度も戦場で練習してみよう。
なお,自分で戦いたくない場合は,兵士だけを出撃させて戦闘をスキップし,結果を確認することも可能だ。もちろん自分が出撃したほうが勝率は上がるが,十分な兵力を用意して自らは武器を握らないという選択もできる。
自分のクランだけの戦闘は基本的に兵力のぶつかり合いなのだが,より要素が増えて面白くなるのが国同士の争いで発生する攻城戦だ。戦争中の国があれば,城まで接近して攻城戦を仕掛けられるようになる。攻城戦時はほかのNPCたちも部隊を率いて参戦してくれるため,大人数で城を攻め落とす,戦争らしい動き方が可能になるのが見どころだ。
攻城戦では兵士同士が直接ぶつかる戦いだけでなく,ハシゴをかけて城壁を登る,破城槌を使って門を破るといった特殊な行動も起こせる。戦争なので負傷者が出るのが前提の強行突破になりがちだが,これを指揮官気取りで後ろから眺めたり,一兵士として最前線で戦ったりすると心が沸き立つ。もし自分が倒されても戦闘自体は継続されるので,道を切り開いて,あとは味方に任せてしまうのも一興だ。
無事に城に侵入できたら,最後は少人数で城内に入り込んでの制圧戦が開幕。城に攻め込んで残った兵士を蹂躙する,侵略者らしい戦いで攻城戦に幕を引く。この攻城戦を指揮したり参加したりすることで,攻め落とした城を自分の領地として獲得できることがあるので,戦争勃発中は積極的に国に貢献したい。
まだまだ面白い要素を紹介しきれないほど,大ボリュームな「Mount & Blade II」。自分で目標を決め,成り上がっていくシステムは一度ハマれば病みつきになること間違いナシのクオリティだ。
今回,マウスとゲームパッドのどちらも操作した所感としては,コンシューマ版でも問題なく遊べるだろうという印象を持った。村から出るときのコマンドメニューにはショートカット用のボタン操作が割り当てられていたり,方向キーを使うとカーソル代わりに1つずつメニューを選択できたりなど,ゲームパッドでも操作しやすいよう,最大限に工夫されていると感じた。
ただ,キーボード&マウス,ゲームパッドの両方でプレイしたうえで,どちらの操作感が良いかと問われれば,前者と言わざるを得ない。マップ移動や村での売買などは問題ないが,戦闘中など使用コマンドが多くなるとゲームパッドでは操作が複雑になってしまうからだ。部隊の操作にF1,F2,F3キーと順番に使う場面もあるので,そのあたりはゲームパッドだと手順が増えて,若干やりづらさが感じられた。
一方,ゲームパッドは握っているだけで全操作が完結するので,戦闘をしないのであれば腕を降ろして気楽に遊べるのは利点になる。一長一短ではあるが,ゲームパッドの操作性が極端に悪いというわけではないので,コンシューマ版で遊ぶのも難しくはないはずだ。
「Mount & Blade II: Bannerlord」公式サイト
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