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  • CD PROJEKT
  • 発売日:2020/12/10
  • 価格:8778円(税込)
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印刷2023/09/08 14:06

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「サイバーパンク2077」のオフラインイベントでは,会場がナイトシティに&造形作家IKEUCHI氏にサイバーパンク観を聞いた

 CD PROJEKT REDは2023年9月2日,「サイバーパンク2077」PC / PlayStation 5 / Xbox Series X|S / PlayStation 4 / Xbox One)の拡張パック「仮初めの自由」の魅力を伝える「Phantom Liberty Tour Tokyo」を都内で開催した。会場はナイトシティとなり,造形作家のIKEUCHI氏が作成したヘッドセットを装着したリズィー・ウィズィーが登場するなど,ファンにはたまらない空間となった。会場の様子と,同氏への合同インタビューの様子をお伝えしていこう。

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「サイバーパンク2077」公式サイト



Phantom Liberty Tourの会場はナイトシティに


 「仮初めの自由」は9月26日に配信される,「サイバーパンク2077」の拡張パックだ。好戦的な私兵組織に支配された街「ドッグタウン」に大統領専用機が不時着。主人公の「V」は,大統領の安全を確保するため危険なドッグタウンに潜入する。そこでは大統領のマイヤーズ,彼女の右腕であるネットランナーのソングバード,ベテランエージェントであるリード,ドッグタウンの支配者であるハンセンといった人物の思惑が入り乱れ,Vにさまざまな選択が突きつけられることに。誰を信じていいか分からない,スパイスリラーの醍醐味を楽しめるという。

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輝くゲーミングPCで「仮初めの自由」の試遊を楽しめた
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 そんな「仮初めの自由」の魅力を伝えるのがPhantom Liberty Tourで,8月5日のワルシャワを皮切りに,ケルン,東京,北京,ソウル,サンパウロ,パリ,ロンドンと世界8か所で展開される。Phantom Liberty Tour Tokyoでは,会場がナイトシティに早変わり。壁にはゲームでおなじみの広告が貼られ,そこを歌姫リズィー・ウィズィーが闊歩する。カウンターでは「ジョニー・シルヴァーハンド」や「ジャッキー・ウェルズ」といったアフターライフのレシピを再現したカクテルを頼むこともでき,(ジャンルとしての)サイバーパンクっぽいビニールパックで提供される。そしてテーブルには実食できるエナジーバー「Sojasil Machistador」が置かれ,あちこちの席では輝くゲーミングPCで「仮初めの自由」の試遊を楽しめる……と至れり尽くせりだ。

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ゲームの中にも登場した広告の群れが,ナイトシティ気分を盛りあげる
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バーカウンターでは「ジョニー・シルヴァーハンド」「ジャッキー・ウェルズ」「デイビッド・マルティネス」のカクテルを注文できた
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ビニールパックで提供される「ジョニー・シルヴァーハンド」。原作どおりにテキーラ,ビール,唐辛子が使われており,ストローで飲む。まるで宇宙食のようだ

エナジーバー「Sojasil Machistador」。飾りではなく実食できる
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 中でも目を惹いたのが,リズィー・ウィズィーが身に付けたヘッドセット「アミキリ・サウンドカッター」。造形作家であるIKEUCHI氏とCD PROJEKT REDが共同制作したもので,実際に着用できるうえ,IKEUCHI氏オリジナル解釈による収納形態への変形機構も備わっている。名前の“アミキリ”が魚類と妖怪のどちらに由来するのかは不明だが,鋭いフィンは漁村の網を切り裂く妖怪の伝承を思わせるクールなもの。同時に,フィンが広がったシルエットはヘッドドレス的にもなっていて,ゴージャスさが感じられるのも面白い。会場では,このアミキリ・サウンドカッターを制作したIKEUCHI氏への合同インタビューが行われたので,その様子をお伝えしていこう。

リズィー・ウィズィーがヘッドセット「アミキリ・サウンドカッター」を身に付けて登場
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「アミキリ・サウンドカッター」は,造形作家であるIKEUCHI氏とCD PROJEKT REDが共同制作した
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IKEUCHI氏インタビュー。サイバーパンクという懐の広いジャンルで,思うままに「アミキリ・サウンドカッター」を作り出す


──よろしくお願いします。まずは,これまでの経歴と,いつ頃から“サイバーパンク”をテーマに制作するようになったのかを教えてください。

IKEUCHI氏:
 自分は1990年という時代に生まれ,美術大学でデザインを勉強した後に,ああいった作品を作るようになりました。自分の作品はサイバーパンクとして分類されていますが,意識してサイバーパンク的なものを作っているということはまったくありません。
 サイバーパンクが流行したのは自分が生まれる前の1980年代で,ウィリアム・ギブスンさん()の意志を継いだ日本人アーティストによる「攻殻機動隊」などの作品からの影響で,ああいった作品を作るようになったのではないかと思います。ただ,サイバーパンクとして見ていただくことは全く問題ありません。

※ウィリアム・ギブスン
SF作家。1980年代に,コンピューターのネットワーク上に仮想の世界が広がる「サイバースペース」の概念を提唱。「ニューロマンサー」「カウント・ゼロ」「モナリザ・オーヴァドライヴ」といったサイバーパンク作品を執筆し,同ジャンルの発展に大きく寄与した。「サイバーパンク2077」もギブスン作品の影響下にある。


──IKEUCHIさんが作られるものは,立体作品として過剰なテクノロジーを扱っていると感じます。現在の作風に至るまでに,どのような変遷があったのでしょう?

IKEUCHI氏:
 きっかけは美術大学の卒業制作です。一応デザイン系の学部にはいたんですが,コンピューターグラフィックスはあまりやらず,模型を作ったりして過ごしてきました。そのため,卒業制作として4年の集大成を作るのであれば,趣味の模型と学校で学んだデジタル的なところを混ぜたものだろう……ということで制作に取り組んだのが転換点です。作品としては「スター・ウォーズ」から大きな影響を受けていますね。サイバーパンクに触れたのは大学に入ってからで,ウィリアム・ギブスンさんの作品を読んだりしたことはありました。

──IKEUCHIさんにとって,サイバーパンクとはどのようなものなのでしょう? コンピューター世界への没入,機械との融合などさまざまな可能性がありますが,どういったところに注目されていますか? また,ウィリアム・ギブスン作品からの影響や,ご自身が取り入れたエッセンスはどういったものでしょう?

IKEUCHI氏:
 ウィリアム・ギブスンさんが,都心ではなくスプロール(郊外)をテーマにしているところに共感がありますね。サイバーパンク=未来といわれることが多いですが,自分としては望郷や懐かしさのほうが強いのではないかと思います。スプロールという田舎にある実家に思いを馳せるというか,「自分が想像していた未来というのは,本当はこうだったな」という懐かしさのようなものなんじゃないかと。「ニューロマンサー」の舞台もチバ・シティ(千葉市)ですし。

──「サイバーパンク2077」の関連資料などに目を通されて,どんな印象を受けましたか?

IKEUCHI氏:
 これまで「ブレード・ランナー」や「攻殻機動隊」といった作品がサイバーパンクのイメージでしたが,「サイバーパンク2077」を見て「これが21世紀のサイバーパンクか」と驚きを感じました。主に色味やガジェットの形状について,昔のサイバーパンクよりももっとイマ風になっている。現在は,武器もP90やクリス ヴェクターといったSF的なものがたくさん出てきていますが,こうしたものからの影響を受けた21世紀のサイバーパンクとは,こういうものなんだと思いました。

──「サイバーパンク2077」の印象や感想はいかがでしたか?

IKEUCHI氏:
 21世紀のサイバーパンクでありつつ,ちゃんと懐かしさもある。自分は映画の「JM」()なんかも好きなんですが,ああした70年代の匂いも残っているのが良かった。個人的に強く影響された「スター・ウォーズ」も70年代ですし。

※「JM」
 1995年の映画。脳に埋め込んだデバイスで情報を運ぶ主人公・ジョニィは,ある時重大な情報を託されたことで,殺し屋から追われることになる。ウィリアム・ギブスンの短編「記憶屋ジョニィ」を原作としたサイバーパンク映画で,北野 武氏がヤクザ役として出演したことでも知られる。


──ヘッドギア制作の依頼があったとき,「サイバーパンク2077」や,その原作であるTRPG「サイバーパンク2.0.2.0.」などはご存じでしたか?

IKEUCHI氏:
 名前を知っているという程度でした。とくにTRPGについてはまったく知らなかったし,周囲にやっている人もいなかったので「本当に何をするんだろう?」という謎めいた印象を受けていましたね。よく分からないものではあるんですが,こうしたところに首を突っ込んでいくのがサイバーパンクの面白さだとは思っていましたから,深く詮索せずにサイバーパンクの懐の深さを信じて作ったら相性もいいだろうな……と思って進めていきました。

──コラボの経緯を教えてください。いつ,どのような形でこの依頼があったのでしょうか?

IKEUCHI氏:
 オファーをいただいたのは3年程前のことでした。制作期間は1〜2か月ほどです。確固とした3Dモデルのデザインがあったので,それに寄せるようなアイテムを集めつつ,自分がこだわりたいところも入れながら進めていきました。自分はプロトタイプを作れないので,お互いにやりとりをするというよりは,できあがったものをそのままお出しする感じでしたね。

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──制作過程で,とくに時間をかけたポイントについてお聞かせください。

IKEUCHI氏:
 色を塗るところですね。いただいたイメージが本当に細かいところまで再現されていましたし,ゲームではこれくらいの画質で表示されるというところも分かっていました。塗れば塗るほど,やればやるほどちゃんと反映してもらえることは分かっていたので,頑張って色を塗り分けていったんです。

──ヘッドギアのデザインにおいて苦労されたところはどんなところでしょうか?

IKEUCHI氏:
 デザイン自体はいただいたものを再現していったんですが,そこに自分なりのこだわりとして,箱の中にしまえる位コンパクトになる変形機構を入れました。変形を活かしたまま,あの辺(フィン)も生やしたかったですし,変形させて箱の中にしまう時もカッコ良く見えるよう非常にこだわりました。変形機構もゲームの中で再現してもらえればいいな,とは思うんですが,実際にどうなっているかは分からないですね。

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──これまでにさまざまなIPや企業とコラボレーションを行われてきましたが,「サイバーパンク2077」ではどういった部分を意識して制作されましたか?

IKEUCHI氏:
 このお仕事では,デザインが存在していたのが特殊だったように思います。作ったものがゲームに入るというのも初めてで,「変形機構もCGならできるんじゃないか」といったところや,写真と違って360度あらゆる角度から見られるので反対側もシッカリ作ったりといったところは意識しました。

──これまでもバレンシアガやランボルギーニといった多くのコラボ作品を手がけてきたかと思いますが,いままでの取り組みと今回のゲーム作品とのコラボで大きく異なること,新鮮だったことなどあれば教えてください。

IKEUCHI氏:
 先ほどの回答と重なりますが,最も新鮮だったのは,デザインが既に存在していたこと,そしてサイバーパンクというジャンルの中で作ることができたことです。今までは自分から「この作品はサイバーパンクです」とは言わないけれど,周囲の方からはサイバーパンク的なものとして認知されているという状態でした。逆に,今回はサイバーパンクというジャンル指定があったような状態なわけですね。
 普段はコラボレーション先のイメージに合わせて制作しますが,サイバーパンクはすごく懐が広いので,なんでもやっていいという許しを得たような感じでした。いわば,サイバーパンクのゆりかごの中,許容範囲が広いところから作れたわけです。
 これは私見なんですが,意味のないものがあったとしても,そこに意味を持たせられるのがサイバーパンクなんじゃないかと思います。例えば,ヘッドフォンを作るにしても,いつもなら部品の1点1点にちゃんと意味を持たせなければと思って進めますが,サイバーパンクなら例え部品に穴が空いていても意味があるように感じられるんです。見る側のリテラシーも高く,こちらが促さなくても想像してくれるので,本当に何をやっても全部理由になるだろうということですね。

──普段はどのようなスタイルで制作されているのでしょうか?

IKEUCHI氏:
 先行するイメージにものを当てはめる場合と,ものから始まってイメージが後からできる場合の両方があります。決まったスタイルがあるというよりは,ずっとアドリブを続けているような感じです。造形作家としての作り込みと機能,その両方からアプローチしつつ,落としどころを探りつつ……といったところでしょうか。

──制作をするうえでの楽しさはどんなところでしょうか?

IKEUCHI氏:
 制作するうえで「楽しい」と思うことはないですね。でも「前より上手くできたな」という変化は一応あるので,そこは楽しんでいると思います。

──KEUCHIさん作品には「目を隠す」というアプローチも多いかと思いますが,ここに込めた意味はありますか?

IKEUCHI氏:
 目に限らず,覆い隠すこと自体には意味があると思っています。作品に注目してもらうためのテクニックというよりは,隠すこと自体に意味を感じているというか,そこから感じ取れる意図は,自分と見る人ではまったく違うだろうということですね。

──サイバーパンクが生まれて数十年が経ちます。かつてのサイバーパンクが提示していたイメージと,現在の技術や社会の進歩は似ているところもありながら大きく異なるところもあります。現代のサイバーパンクアーティストとして気をつけていることはありますか?

IKEUCHI氏:
 自分でサイバーパンクをやっていることは意識していないけれど,そう見られているということは,いいところではあると思っています。あまりサイバーパンクに寄せすぎないというか,あくまで本物を作っているという意識で制作を進めてはいますね。そのうえでは「未来がこうなったらいいな」と「2023年の段階ならこうしたものが提示できる」のどちらにも寄らないようにはしたいと思っていますね。現実の世界を見ていても「サイバーパンク2077」みたいにはならないとは思いますので,むしろ懐かしさ,昔,通り過ぎたスプロールといったところを意識しています。

──現在取り組んでいること,今後挑戦したいと考えていることなどあれば教えてください。

IKEUCHI氏:
 今はコラボレーションやクライアントワークではない,本当に個人的なものを作っています。どうなるかは未知ですので,とりあえず完成させたうえで,その後どうするかを考えようかなと。あくまで自分がやりたいことなので,他の方が見て面白いかどうかも分かりません。機能を持った道具であることはコラボレーション作品と同じですが,作る動機や方法が全然違っていて,世に出るかどうかもまったく分からないですね。ただ,世に出る時は,自分が込めた実験的な意図なんかはまったくなくなっていて,世に出る形で出ると思います。

──これから挑戦したい作品はありますか?

IKEUCHI氏:
 「サイバーパンク2077」でヘッドセットを着けた状態のリズィー・ウィズィーが,背景とマッチしていて非常にカッコ良く感じられました。これまではガジェット単体を作ってきたんですが,世界観のほうも作っていきたいです。

──IKEUCHIさんはテクノロジーをテーマとしたアートを続けていますが,現在や近未来のテクノロジーがもたらす社会の変化などについて,どのように考えていますか?

IKEUCHI氏:
 テクノロジーに対しては良いイメージも悪いイメージもなくて,すべて折り合いの付いた弁証法的なところで使われるんだろうなとは思います。尖ったテクノロジーもじわじわと普及していき,いいようにも悪いようにも使われながら,当初思い描いたとおりにはならないでしょう。
 例えば,スマートフォンやスマートウォッチにしても,登場時には「世界を変えるな」と思ったんですが,実際には皆が皆使っているわけでもありません。本当にゆっくりゆっくりと良い落としどころで進んでいくんだろうな……という感じで,大きな希望もなければ,大きな絶望もありません。
 それよりは「サイバーパンク2077」の世界のように新しいテクノロジーが広まった後,どうやって動こうかな……というほうが自分は気になります。自分は作品を本物として作っていますが,全員が身に付ければ良いと思っているわけでもありません。小さなワイヤレスヘッドフォンなんかがある中で,アミキリ・サウンドカッターのようなものを作るのはアイロニカルかも知れないですね。

──「機動戦士ガンダム00」や「スター・ウォーズ」といった作品がお好きだそうですが,ゲームについてはいかがでしょうか。そもそもゲームをされるのか,ゲームをされるのであれば影響を受けた作品を知りたいです。

IKEUCHI氏:
 あまりゲームはしないですし,PCも大きなものは持っていないです。ゲーム機といえばPSPが最後でした。ただ,友人の家でPCゲームを遊んだり,教えてもらったゲームをSteam Deckで遊んだりはしますね。面白かったのは「Braid」や「Portal」「洞窟物語」「VA-11 Hall-A」で,最近は「Outer Wilds」や「The Witness」をプレイしています。反射神経で遊ぶものよりは,ゆっくり探索するほうが好きかもしれないです。

──IKEUCHIさんがインストールしたいサイバーウェアはありますか?

IKEUCHI氏:
 ないですね。今インストールする理由はないし,普及してからですね。自分の作品を身につけることはないですし。作品に取り入れたいから,最新のものを見てみたいという気持ちはあるんですが。

──では,読者に向けてメッセージをお願いできますか?

IKEUCHI氏:
 自分のアウトプットに関しての見方は自由ですので,見た印象のまま感じていただければ嬉しいです。

──ありがとうございました。

会場では「仮初めの自由」や「エッジランナーズ」に関するステージイベントも行われた
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「エッジランナーズ」の絵コンテや設定資料も展示された
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物販コーナーではTシャツなどさまざまな商品を販売
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