［G-Star 2012］アニメ調のキャラ表現が目を引く「Project NT」はどういったMMORPGになるのか。カンファレンスの模様をレポート

　G-Star 2012の初日となる2012年11月8日，NEXONは新作オンラインゲーム「Project NT」を紹介するプレス向けカンファレンスを行った。
　11月5日に掲載した記事にもあるが，Project NTは韓国Thing Softが開発中のMMORPGだ。2010年にスタートしたプロジェクトで，現在は45人で開発を行っているという。

　まだ不明な点の多いタイトルだが，何よりも目を引くのは，自社開発のトゥーンレンダリングを使ったというグラフィックスだろう。本作のプロモーションムービーを見て，アニメのようなキャラクター表現に驚いた人もいるのではないだろうか。

今回本作を紹介した，Thing Softの代表取締役ジョン・サンウォン氏。過去に，Neowiz Gamesの開発総括副社長，NEXONの代表取締役を務めた経歴を持つ

　Thing Softの代表取締役ジョン・サンウォン氏は，本作でこのようなグラフィックスを採用した理由として，「ほかとは違うゲームを作りたい」という考えがあったのだと述べる。昔はそれなりに存在していたトゥーン系のタイトルだが，2000年代半ばからリアル系のグラフィックスが主流になり，その数は段々と減ってきてしまった。そこであえて本作では，現在の主流とは真逆の方向に舵を取り，トゥーン系の可愛らしい雰囲気を今の技術で作り出そうとしているのだ。
　ちなみに，本作のグラフィックスについては，日本のテレビアニメを参考に開発されており，レベルファイブの「二ノ国」に負けないような表現をしようという考えもあるとのことである。

　もちろん本作はグラフィックスだけの作品ではない。ゲーム部分の特徴として，キラナという敵キャラクター（おそらくはモンスターのこと）を，説得などを通じて味方に迎え入れられることが挙げられる。集めたキラナをうまく編成して敵を倒していくのが戦闘のキモとなり，戦略性を重視したものにするつもりだという。キラナは戦闘だけでなく，親密度を上げていくような仕組みも用意する予定だそうだ。


　また，ジョン氏は，本作を戦闘中心でレベルを上げるだけのゲームにするつもりはなく，プレイヤー同士のコミュニティ面も重視した作品にするとのことだ。例えば，プレイヤーの投票による政治システムや，詳細は不明ながらプレイヤーが地形や村を作れるといった要素が構想にあり，実現に向けて開発を進めているという。


　戦闘以外も重視したいという方向性，さらにはグラフィックスの雰囲気やプロモーションムービーでの食事風景などから，「マビノギ」のイメージを連想した読者もいると思うが，カンファレンスではメディアから実際にそういった質問が出た。これに対してジョン氏は，マビノギの方向性は支持するが，それがProject NTに影響を与えているというわけではないと返答。ただ，「生活系」の要素は入れていきたいと述べていた。

　まだ構想段階の部分が多いのか，カンファレンスでは全体的にそれほど具体的な話は出ず，あくまで概要の紹介どまりだったという印象だ。ただ，トゥーン系の可愛らしいキャラクターや，プロモーションムービーと紹介内容から伝わってくる，いわゆる「生活系MMORPG」っぽさには，“刺さる”人が多いのではないだろうか。
　気になるのは，実際このゲームに触れられる状態になるのはいつ頃かだが，今のところ，2013年冬に公開できるよう開発を進めているとのこと。まだちょっと先の話ではあるが，まずは続報に期待したい。