インタビュー
「LINE GAME」10周年座談会。若手27歳から熟練52歳までプロデューサー陣の歩みと,LINEタイトルの代表者お祝いコメントも!
「ねえ,LINEって知ってる?」
知らない人はまずいない。
上も下もスマホを持っている人に尋ねてみる。
「ねえ,LINE GAMEって知ってる?」
全とはいかないかも。けれど。
「ねえ,LINE:ディズニー ツムツムなら知ってる?」
「ねえ,LINE ポコパンなら知ってる?」
「ねえ,LINE POP2なら知ってる?」
「ねえ,LINE バブル2なら知ってる?」
こう尋ねると,限りなく全に近い人数がうなずきそう。
そんな人気作をたくさん抱えるのが,近日のお誕生日さま。
めでたく10歳になる「LINE GAME」なのである。
LINEが展開してきたゲームブランド「LINE GAME」が,近日2022年11月19日に提供10周年を迎える。
LINE GAMEでは前述のとおり,1か月で最もたくさんの人が遊ぶゲーム(などのランキングで頂点常連な)「LINE:ディズニー ツムツム」をはじめ,LINE スタンプのオリジナルキャラクターを生かしたカジュアルゲームや,ゲーマー向けのゴリゴリなミッドコアゲームなど。
それはもう,たくさんの人気タイトルが提供されている。
というわけで「10年も続いた」。ゲーム業界ではそれだけでお祝いに値するLINE GAMEの特別座談会として,一部アプリのプロデューサー陣に,入社年月もまちまちな各々の歩みを聞かせてもらった。
若手27歳から熟練52歳まで。最初からいた,最近入った,あのころ学生だった。年齢は違えど立場は同じな4人の責任者たち。そういう人たちがLINE GAMEでどのようにお仕事してきたのかを見ていこう。
それと今回は「LINE GAME タイトルの代表者お祝いコメント」をもらったので,あわせて目をとおしてほしい。
これから新たな挑戦に羽ばたく意欲的な新作ゲームのほか,ずっと好きだったLINEゲームの10年目の意気込みに注目だ。
「LINE GAME 10周年」公式サイト
「LINE GAME 大感謝祭」特設サイト
■座談会の参加者一覧
○関 孝朗(2015年11月入社)
次世代ゲーム事業部 事業部長。
ゲーム業界歴は30年以上。
過去の担当タイトル:
「LINE 三国志ブレイブ」「LINE グラングリッド」
「LINE アキンド星のリトル・ペソ」「LINE リトルナイツ」
「LINE ブラウンストーリーズ」
○先崎 琢郎(2008年7月入社)
「LINE ポケクレ」アソシエイトプロデューサー。
LINE GAMEが生まれたころからのメンバー。
過去の担当タイトル:
「LINE クッキーラン」「LINE POP2」
「LINE 聖犬バトル」「LINE 釣り★マス」
「LINE パンチヒーロー」「LINE MapleStory Village」
○藤川 翔(2019年11月入社)
「ジャンプチ ヒーローズ」プロデューサー。
パブリッシングゲーム事業部マネージャー。
ゲーム業界歴14年,LINE歴3年。
過去の担当タイトル:
「ジャンプチ ヒーローズ」
○小田倉 早紀(2019年4月入社)
「LINE ポコポコ」プロデューサー。
LINE新卒入社,現場たたき上げの4年目。
10周年のLINE GAMEと,4人の歩み
4Gamer:
LINE GAMEが10周年とのことで,おめでとうございます。
人数もおりますので,まずは自己紹介からお願いします。
関 孝朗氏(以下,関氏):
2015年入社の関です。これまでいくつかのタイトルをプロデュースしてきましたが,現在は次世代ゲーム事業部の事業部長として,Web3時代の新しい仕組みのゲーム作りにチャレンジしています。
先崎 琢郎氏(以下,先崎氏):
2008年入社の先崎です。私はLINE GAMEが生まれたころから携わっていて,これまでさまざまなアプリのプロデュースを担当してきました。今は新作「LINE ポケクレ」のアソシエイトプロデューサーです。
藤川 翔氏(以下,藤川氏):
2019年入社の藤川です。僕は「ジャンプチ ヒーローズ」プロデューサーのほか,パブリッシングゲーム事業部マネージャーとして,LINE GAMEのなかでもミッドコアゲーム(カジュアルゲームよりも遊びの構造を深めたゲーム分類)を管理しています。
先日も例の取材ありがとうございました(笑)。
4Gamer:
その節は無理強いでお世話になりました。
最後に,小田倉さんお願いします。
小田倉 早紀氏(以下,小田倉氏):
はい,2019年入社の小田倉です。私は最近「LINE ポコポコ」のアソシエイトプロデューサー(※)からプロデューサーになったばかりで,それとLINEのゲーム事業には新卒入社だったため,この3年半ほど,ここにいる皆さんのような方々から日々勉強させてもらっています。
※プロデューサーの補佐役。一般的には中間管理などの意
4Gamer:
大変失礼なのですが,ご年齢をおうかがいしても?
小田倉氏:
27歳です。
4Gamer:
にじゅうなな。この数字に思うところは?
関氏:
27のころなにしてただろ……(笑)。
ちなみに自分がLINE GAMEの最年長,52歳です。
4Gamer:
あれ,それでもだいぶ若々しい。企業の事業部として見ても。
関氏:
なんだかんだ,LINE GAMEも“まだ”10年しか経ってませんしね。
4Gamer:
少し違和感があるのですが,LINEと聞けば誰もが巨大なイメージを想起しそうなものの,LINE GAMEだけ取ると,ここにいる人たちは実感として「まだまだこれからなブランド」と思っていたり?
関氏:
まだまだですねえ。売上の話ではなく,より多くの人たちにもっと遊んでもらい,楽しんでもらいたい。そこに着眼している身としては,この先の10年もまだまだ成長の余地しかないと思っています。
4Gamer:
それでも10年はゲーム業界では偉業の部類でしょう。
では,あらためて「LINE GAMEとはなにか」を教えてください。
関氏:
LINEは「CLOSING THE DISTANCE」(クロージングディスタンス),世界中の人と人,人と情報の距離を縮め,すべてのサービスで心地良い関係性を創出するという理念を掲げており,ゲーム事業もそれに則り,皆さまとゲームをつなげて,より楽しいと思っていただける体験を増やしていきたいと考えています。
当のLINE GAMEは,2012年11月19日に「LINE POP」など4タイトルをリリースしたことで本格始動し,より多くの人たちに楽しんでもらいたいと,これまでカジュアルゲームを中心に展開してきました。
4Gamer:
そこはやはり,LINEという誰もが知るアプリのターゲット層。
なかでも母数が大きいカジュアル層を狙ったという意味で?
関氏:
ここにいるメンバーで当時のことを見聞きしたのは先崎しかいないものの,そこはストレートにLINEのお客さま層とつなげたかったわけではなく,“より多くの人たちに遊んでもらいたい”。これをミッションとして,結果的にカジュアルゲームからはじめただけです。
4Gamer:
LINE拡大のためのLINE GAMEではなく,みんなのためのLINE GAMEだと。しかし10年前……スマホゲームってどうでしたっけ。
パズドラ(パズル&ドラゴンズ)の生まれ年……思い出せない。
藤川氏:
スマホゲームも増えはじめていましたが,まだ従来型のフィーチャーフォン向けのモバイルゲームもトレンドにあった時代でしたね。
4Gamer:
思えば,かなり早期から乗り込んでいたんですね。
さて,LINE GAMEには数あるアプリがあり,ここにいる皆さんもプロデューサーとしてそれぞれのタイトルを運用していますが,個人的ないし社風として“自分の担当外のゲーム”はどのように見ていますか。
関氏:
自分はこれまでいくつものタイトルを手がけましたが,担当外で話題があがったタイトルに関しては,なぜ人気になったのか,そのいいところを取り入れられないかの視点で見ることが多いですね。
それに外部のパートナーさんと話すとき,我々が「LINE GAMEは全体でどのような強みを持ち,生かしてくれるのか」を求められることが多いので,ブランド全体で共有すべきノウハウもよく考えています。
4Gamer:
そのノウハウというのは,LINEのゲーム作りの共通ルールですか?
藤川氏:
いや,ルールではないですよね?
関氏:
ですね。例えば「メッセージの使い方はこうがいいです」とか「報酬設計がこうだとライトユーザーに響きやすいです」とか,例外的な使い方をするタイトルもありますが,全体のルールとして定めているわけではなくて,あくまでサービスを向上させる再現性のためですね。
先崎氏:
秘伝のタレです。
藤川氏:
そう,秘伝のタレ。ゲームデザインそのもののノウハウというよりも,LINE GAMEだからできる一番大きなことは「メッセージアプリのLINEとどう連携させるか」で,これは他社さんじゃ僕たちほど注力できないことですので,作ったゲームにどうタレをかけるかの知見です。
やっぱり,使わないのはもったいないですからね。
4Gamer:
そのタレがもっとおいしくなるように継ぎ足すと。
ただ,ミッドコア領域だとタレも直がけとはいかなさそうな?
藤川氏:
そのとおりで,僕はカジュアルゲームが主流のLINE GAMEのなかでもミッドコアゲーム専門なので,タレの使い方はより考えます。
例えば,ツムツムのように「LINEでハートを送る」などの機能をそのまま取り入れても,カジュアル層とは違うゲーマー層にはそれを煩わしく感じさせてしまうケースも少なくありませんし。ミッドコアってだけで味が濃いめなので,どう味付けするかは日々思案しています。
4Gamer:
1人だけ毛色が違う藤川さんは,他タイトルをどう見ていますか。
藤川氏:
僕はLINE以前,ゲーム業界に14年ほどいましたが,経歴のなかでカジュアルゲームにはあまり関わってこなかったので,新鮮です。
ゲームの手軽な仕組みもそうですが,そこにLINEをどうひも付けていくのかは,いまだに学んでいる立場です。
小田倉氏:
逆に,私たちカジュアルゲーム側から見ても,ミッドコアのいいところを「いいなー」とそのまま取り入れても結果が出ないことが多いので,いいものがあっても,まずは私たちなりに“カジュアル風にアレンジ”してから取り込むっていう一工夫をよく考えますね。
先崎氏:
あと,ぶっちゃけタイトルごとに事情がバラバラなので,似たようなお客さま層だと思っても,求められることはぜんぜん違います。
売上がいいタイトルには相応の苦労があり,売上が振るわないタイトルにはまた別の苦労があり,ほんとそれぞれですから。
当然,それを踏まえて横の関係で情報交換をし,施策の効果を共有したりもしていますが,最終的にどう料理するかはタイトルごとの責任者,まさにプロデューサーが決めているので,プロデューサー同士のつながりも大切にしています。まあ,売上がすこぶるいいタイトルを見ると,個人的にはちょっと「イラ」っとしたりしますが(笑)。
4Gamer:
ツムツムくらいの超反響が担当外から出たら?
関氏:
そりゃ嫉妬しますよお(笑)。
でも大事なのは「それがどうして成功したか」なので,嫉妬しつつもおめでとうと言って,いいところを分析させてもらいますね。
藤川氏:
逆に,こっちの特徴をうまく落とし込まれたら「俺のタレうまく使いやがって……(ニヤニヤ)」ってうれしくなりますしね。
そういう現場同士のリスペクト関係はちゃんとあります。
先崎氏:
ひと言で,だいたいみんな仲いいんです。
4Gamer:
つまり,LINE GAMEは全体の理念,共通の認識,ノウハウ共有などはあれど,基本的には1人1人のプロデューサーが最終的にそれぞれのタイトルの舵取りを行っている,という構造ですか?
関氏:
そうですね。
藤川氏:
そのぶん新しい挑戦も多いですしね。
例えばカジュアルゲームやミッドコアゲームとは別に,スーパーカジュアルの領域,ゲームを遊んでポイントをためるポイントゲーム,関が挑戦しているWeb3時代のブロックチェーンやNFT,先崎の「LINE ポケクレ」はオンラインクレーンゲームだったりと,これまでのLINE GAMEとは違う,意欲的な試みというのは毎年いろいろやっています。
先崎氏:
次の20周年に“こっち側”に座るような若い世代も多いですしね。
これまでもそうでしたが,LINE GAMEはこれからも若い人たちの新たな試みのゲームがたくさん生まれていきそうです。
関氏:
やはり進化してかないとダメなんで。
そこはみんな意識してますよね。
4Gamer:
そのためにもチームの横関係の円滑さは大事そうですが。
なにか会社的な後押しだったり,仕組みはあるんですか。
関氏:
マネージメント層ががんばって定例会やナレッジ共有会などを行い,もり立てようとしていますが,上から「そことそこ仲良くして」と言われてどうこうなるものではないですからね。どちらかというと現場のスタッフ同士が自主的にコミュニケーションを取り合っている感じです。
藤川氏:
そこはけっこう,プロデューサー含むチームごとですよね。
カジュアル側と集まって話しすることも,カジュアル側だけの集まりもよくありますし,一方で僕らのミッドコア側はゲームとともに人生を歩んできたような生粋のゲーマーが多いので,この前も流行のゲームをみんなで一緒に遊んだりとか,ゲーム会をよくやっています。
小田倉氏:
私はプロデューサーからではなく,新卒入社で現場スタートだったので,カジュアル側にもミッドコア側にも仲いい子がいますね。それにまだプロデューサーに成り立てですので,どちらかというと一つ下のレイヤー,アソシエイトプロデューサー陣とのコンタクトがまだ多めです。
あっ,そういうのは正式な連絡というよりか,ちょっとした雑談だったり相談だったりですが(笑)。
関氏:
それ超うらやましいの。小田倉さんみたいな新卒のつながりは,経験者採用(中途の意)の自分らにはないコネクションですし。
小田倉氏:
たしかに,新卒つながりのグループっていくつかありますね。
でも,それらが社内的にすごく強いグループ関係にあるわけではなくて,そもそもLINEのゲーム事業部自体,誰とでも気軽に話したり,話しかけてくれたりする人が多いです。個人的に初めての会社としてはすごく心地いいですし,風通しのよさはあらためて実感するところです。
関氏:
LINE自体,スタンプとかミュージックとかマンガとかいろいろあって,他事業部からゲームにくる人もわりといます。ゲームとはまた別の知識を持ちつつ,同じLINE関係者として,別の味の秘伝のタレを持っていたりするので,新しい観点を得られることもけっこうありますね。
4Gamer:
事業ごとの人事異動もうまく働いていると。
それと何度もこすって恐縮ですが,27歳の小田倉さんと52歳の関さんは,年齢差はあれど同じプロデューサーとして,どんな感じで話し合っているのでしょう。一般社会で言う,年齢や立場の絡み的な話で。
小田倉氏:
あはは,関さんどうですか(笑)。
関氏:
普通だよね? 自分は新卒で入った子に,数日後からタメ口で話されるようになったこともありますし(笑)。
でもそれは悪い意味じゃなくて,社風ですかね。そういうことが許される会社で,そういうことも受け入れやすい場所なので。
藤川氏:
コミュニケーション面での年の差はあまり感じないかもしれませんね。僕と小田倉さんでも9つ違いますし,ジャンプチでアソシエイトプロデューサーをやってくれている子とはさらに12歳差ですが,ぜんぜん普通に飲みに行ったり,会話も盛り上がったりしますし。
先崎氏:
良くも悪くも,年齢差や上下関係はわりとフラットですよね。
4Gamer:
社風も含め,LINEに入ってくる人たちの肌感が近いんでしょうね。
関氏:
ただ,昔はもうちょっと激しめな人もいましたが(笑)。
先崎氏:
尖ってるクリエーターいましたよね(笑)。
関氏:
LINE GAMEもそうですが,スマホゲーム業界も若かったですしね。
従来型のゲーム業界の文法を持つ人と,ベンチャー的な観点で挑戦する人が混在する,エキサイティングで不確定な時代はうちにもありました。ここ数年は業界も成熟して,安定してきた印象ですけど。
4Gamer:
最近実感するのがそこで,昨今のスマホゲーム業界の人たちからは,昔は多少感じていた「土壌の匂いの違い」みたいなのがなくなって,大多数がみんな同じ業界の人として見られるようになりました。
私はものすっごく失礼な話,まさにLINEなどの渋谷周辺で次々と台頭していった新世代企業を一昔前,(渋谷ヒカリエに本社があったのもなぞらえて)渋谷系ゲームメーカーとひそかに呼んでいたんですが。
LINE GAME一同:
渋谷系(笑)。
4Gamer:
端的に,こういうスマホゲーム関連のインタビューでも今はもう,相手との毛色の違いを感じることがなくなり,同じゲーム業界のゲーム好きとちゃんとゲームの話をできていることばかりになってきました。
関氏:
そのあたりがまさに,一般化したってことなんでしょうね。
4Gamer:
これに近い話で,それぞれバラバラな入社月とあり,そのころの自分のLINEないしLINE GAMEへの印象などは覚えていますか?
先崎氏:
えー……ちょっと待ってください(笑)。
関氏:
先崎さん,14年前だもんね(笑)。
藤川氏:
僕はめちゃめちゃあります。昔は僕,PC向けオンラインゲームに携わっていて,そこからソーシャルゲームの流行に乗じてモバイル系のプロデューサーに移行したんですが,そのころ「あのLINEがゲームに参入するらしいぞ」と耳にし,カンファレンスが開かれると聞きつけたので,他企業ではありましたが気になって参加させてもらったんです。
だって,誰もが使いはじめていたあのLINEが,ソーシャルでゲームですよ? 絶対スゴいと思ったんです。それにすばらしい発表内容に反して,あのときの会場がめちゃくちゃ(気温的に)寒かったのが思い出深くて,いまだに一緒に行った人と飲むとき「あのときめっちゃ寒かったよね!」ってLINE鉄板話になっちゃってるくらいで(笑)。
4Gamer:
ありますよね。そういう体験からくる思い出。
藤川氏:
それからもしばらくソーシャルゲームを作っていたものの,今度はツムツムなどでカジュアル層を席巻していたLINE GAMEが「ゲーマー向けのミッドコアに参入する」と聞きつけて,2018年に配信されたジャンプチもすげえなって思い,門戸を叩いて,2019年に入社したんです。
僕自身の最大の理由としても,ゲーム会社なんだけどゲームだけじゃないと言いますか,ゲーム単体ではなくて,いつかLINEなどを用いたでっかいエンタテインメントサービスを手がけたいという思いがあり――ってなんか面接みたいになってますね(笑)。
4Gamer:
志望動機(笑)。
藤川氏:
当時の事業部長にも同じことを語った覚えがありますもん。
少なくとも,入社前のイメージとはかけ離れることなく,むしろ入社後のほうが面白くお仕事できているのは確かです。
4Gamer:
妙に思い出深かったLINEに,藤川さんが得意としていたミッドコアゲームの領域が生まれて,なら自分もと思ったわけですね。
藤川氏:
そうそう,それです。
小田倉氏:
私のLINE GAMEとの接点は,大学1年生のころでした。入学したてのころの講義中,友だち8人くらいと固まっていたとき,そのうちの1人がスマートフォンで「LINE ポコパン」を鬼のように遊んでたんですよ。
4Gamer:
すごい。LINE的にも顧客的にもいろんな意味でリアル。
小田倉氏:
そうなんですよ(笑)。
それで,大学に入学したてで,友だちもできたばかり,スマホも買ったばっか。当時はスマホでゲームを遊ぶ姿も珍しく思っていたので,「なにそれなにそれ」とみんなで仲良くなるためにポコパンをはじめたんです。それから月日が経って,就活で興味があったキャラクタービジネスを模索していたらLINEを見つけて,縁あって新卒入社となりました。
4Gamer:
そのときはゲーム志望で?
小田倉氏:
私のときはスタンプなどの部署も検討できたのですが,並べてみると「ゲームのほうが面白そうだ」と思ったんです。
ちなみに当時,私の周りでLINE GAMEを遊んでいた人たちって,現代ではありふれていますが「え,この人がゲーム遊ぶの?」みたいな感じの人ばかりでしたが,私が担当している「LINE ポコポコ」も,ユーザー動向としては同じくらい“ゲームを遊ばなそうな人”が多いと肌身で知って,あのころ大学生だった私たちのように,そういう人たちにちゃんとゲームを届けられているんだなってしみじみ思ったりもします。
先崎氏:
思い出しました。私ももともとはPCオンラインゲームの畑に携わっていましたが,入社時はそもそもLINE自体がなくて,LINEが生まれ,その後にLINEを生かしたさまざまなコンテンツを発信していこうという時期に,サービス構想の一つとしてゲームがあったので志望したんです。
当時は単純に研究が進んでおらず,タイトル数も少なかったですし,ゲーム内容もシンプルなものが多い時代でしたね。
ゲームでできることってこの10年,本当に増えました。
関氏:
私は渋谷ヒカリエからのLINE入社でしたが(※),第一印象としては率直に,若い会社でした(笑)。当時,同じフロアに社長室があって,重役がそのへんでゲームを遊んでいたり,こっちをのぞきにきたりと,あのころからすでにスタッフ間の距離感がとても近かったです。
今と比べれば人数も少なかったので,全社員一体で物事にチャレンジする,エネルギッシュな勢いを感じたのをよく覚えています。
※LINE本社はこれまで「渋谷ヒカリエ」→「JR新宿ミライナタワー」→2021年4月1日から「四谷タワー」にお引っ越ししている
先崎氏:
昔,関と「LINE 三国志ブレイブ」を担当していたころ,社内で普段ゲームを遊ばないような人たちが熱心に遊んでいるのを見て,直接フィードバックを受けたりもしてましたよね。
関氏:
あったあった。
4Gamer:
会社は会社それぞれ,チームもチームそれぞれあるとしても,単刀直入に,ゲーム業界のほかのゲーム企業と比べて,LINEだけは明確に違う空気が流れている……みたいな感覚はあるのでしょうか?
関氏:
ありますね。その感覚。自分はゲーム業界に30年ほどいますが,LINEは明確に違うと思います。例えばゲーム作りにおける比重は,昔ながらのメーカーさんは少なからず作る人の「感性」を大事していると思いますが,自分たちは「データ」で勝負しています。
どちらがいいかの正解はありませんし,どちらかだけという極論でもない。この両方を備えて高めているところが現代では最も強いと考えていますが,そのうえでLINE GAMEはデータに重きを置いています。
しかし,ゲームの数が莫大に増えたことで,近年では感性の部分にも力を注がないと手に取ってもらえなくなっているので,比重の差や溝をどのようにして埋めていくかは今後の課題ではあります。
藤川氏:
大手のコンシューマゲームを作っている人たちや会社さんも,ゲームシステムやゲームデザインのための秘伝のタレを持っています。
一方,LINE GAMEはまだ10年。データの蓄積こそありますが,ゲーム作りのためのノウハウの蓄積はまだまだです。僕も感性でゲームを作るタイプだったので,そこのギャップはとくに感じ取れます。
ただまあ,関の言ったとおりどっちが正解でもなく,先崎が話したとおり「普段ゲームを遊ばない人との距離感」が近いのがLINEの強みなので,そういった意味では僕らLINE GAMEも“ゲームを遊ばない人に楽しんでもらうための感性”は養えていますよね。
4Gamer:
あらゆるコンテンツは修練や積み重ねが面白さを担保しますが,よく言われるように,人間誰しも初心者の機会は一度だけであり,やり込んだらもうゲーマーになることを踏まえると,ゲームを遊ばない人たちに共感できる感性を共有しやすい環境なのだとしたら,それもタレ。
いや,それがLINE GAMEの秘伝のダシなのかもですね。
藤川氏:
ですね。僕もLINE GAMEらしいゲーム作りのためにデータを重用しますが,いろいろな人たちの意見の「なぜ面白いと思ったのか」「なぜアイテムを購入したかったのか」なども,こじつければゲームに感性を与えるためにデータを読み込んでいるとも言えるので。
4Gamer:
ただ1人,ユーザーであったころの自分が比較的身近であろう小田倉さん的には,ゲームを作る側になって思うことはありましたか。
小田倉氏:
相当ありましたね。
関氏:
ゲーム嫌いになった?
小田倉氏:
嫌いになったか?
やー,むしろ私,ゲーム苦手だったのが好きになりました。
関氏:
衝撃の事実(笑)。
先崎氏:
いいねー(笑)。
小田倉氏:
ゲームって詰め込めもうとすればいろいろ詰め込めるので,そこの取捨選択が大切なのですが,感性やデータだけで決めきれないところは,誰かの意見に頼ることも多いんです。選んだ結果は,遊んでくださる方々の反応で分かるので,それに合わせてプロダクトをより良くしていけるのが,現代のゲーム作りの面白いところで,やりがいを感じます。
まー,最初は正直,数値のあれこれの調整とかで「私なんのために仕事してるんだろ……」って思ってた時期もありましたが(笑)。
4Gamer:
そこもゲームを作る人の捉え方に変わったと。
小田倉氏:
なのかもしれませんね。
藤川氏:
ゲーム作りに長く関われる人もだいたいそう。口では「もうゲーム嫌いになったー!」って言いながら,やっぱり好きなんですよね(笑)。
僕も,僕からゲーム取ったらなんも残んねえなって思うくらい,ほんとにひどいくらいゲームをやりまくってきた人生ですし。
関氏:
でも,好きすぎても向け方を間違えちゃダメなんだよね。ゲーム作りはそれ自体がその人の好きで,作ることを楽しんでいるでもなければ,究極的には誰かを楽しませるための創作だから。サービスもそう。1人で盛り上がるんじゃなく,誰かと一緒に盛り上がるのが目的。
やっぱり最後は,CLOSING THE DISTANCEの理念につながるんです。
4Gamer:
収まりもいいようで。
話を膨らませすぎたので,手つかずのお題はまたの20周年になるまですっ飛ばしますが,LINE GAMEの10周年施策について教えてください。
小田倉氏:
では,10周年企画に携わる私からお話しいたします。
LINE GAMEでは“みんな、どこかでつながってる。”というタグラインのもと,めちゃくちゃ長いのですが,11月17日から1年を通して,10周年のお祝い企画を実施します。目玉の「LINE GAME 大感謝祭」特設サイトでは毎日引けるガチャを用意し,参加してくださると豪華賞品や各タイトルのゲーム内アイテムが当たるキャンペーンを実施予定です。
4Gamer:
1年間の10周年,隠し玉も期待できそうですね。
それでは最後に,それぞれの意気込みをお願いします。
関氏:
ゲームの歴史を振り返ると,1人で遊ぶゲームから友だちと遊ぶゲームへ,そして「友だちを作るゲーム」へと広がっていきました。
これからもゲームの進化発展は続いていきますし,次の進化はなんなのか,また我々がそこでどのような挑戦をしていくのか。ゲームという枠にとらわれず,みんなが笑顔になる仕組みを考えていきたいです。
先崎氏:
私はまず「LINE ポケクレ」に注力します。
またLINE GAMEの10周年ともども,私自身もここで10年以上やってきましたので,今後は単にLINEを活用するだけではない,さらに大きな枠組みにもチャレンジしたいと思っています。
藤川氏:
LINE GAMEのこれまでの10年は,関や先崎のような者が積み上げてきましたが,僕もこれからの10年の積み上げを担っていきたいです。
昨今,スマホゲームもリッチな作りが増えてきて,ミッドコアに求められることもどんどん増えています。そこで「LINE GAMEはカジュアルだけじゃないんだぞ!」という一面をアピールして開拓したいですし,LINEの幅広い取り組みを生かしたメディアミックスなど,ここからの10年でLINE GAMEとしての新たなあり方を見せていきたいです。
小田倉氏:
メッセージアプリのLINEは,日本国内でユーザー数9300万人を抱えていますが,LINE GAMEはまだまだ足りない。利用者数を2倍,3倍,5倍に10倍にと,まだまだ拡大できるポテンシャルがあります。
それに,ゲーム分野も徐々に定義があいまいになってきて,「遊ぶ」という行為は第一としても,現代では教育や株式のゲーミフィケーションのような活用法も広がっています。私はそんなゲームのことをアメーバのように,なんでも姿形を変えられるものだと見ています。
そう捉えると,もっとやれることが増えて,もっともっとたくさんの人を巻き込めるはずですので,この先は皆さまにより求められるサービスをご提案していく10年にしていきたいと思っています。
4Gamer:
……これほどしっかりした考えを持つ若手が目指してくるLINE GAMEなのですから,当面は盤石そうですね(笑)。
関氏:
頼もしい(笑)。
★LINE GAME タイトルの代表者お祝いコメント★
ここからは「LINE GAME タイトルの代表者お祝いコメント」と題して,近々の新作ゲームを含む,13アプリのプロデューサーなどから寄せてもらった,10周年の感想や意気込みを紹介していく。
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