インタビュー
ゲームオンが2013年夏に提供予定のスマートフォン向けRPG「HELLO HERO」。その魅力やビジネスモデルについて,日韓のキーパーソン2人に話を聞いてきた
今回4Gamerでは,開発元であるFincon代表取締役社長のユ・チュンギル氏と,運営を担当するゲームオンの日本運営プロデューサーである池亀泰宣氏に,インタビューを行った。
本作のビジネスモデルや今後の展開など,さまざまな話を聞かせてもらったので,「HELLO HERO」に興味を持った人は,ぜひ目を通してほしい。
Fincon代表取締役社長,ユ・チュンギル氏 |
ゲームオン日本運営プロデューサー,池亀泰宣氏 |
「ゲームオン」公式サイト
4Gamer:
本日はよろしくお願いします。
まずは,「HELLO HERO」を日本でサービスする際に,運営会社としてゲームオンを選んだ理由を聞かせてください。
ユ・チュンギル氏(以下,ユ氏):
私は以前,WEBZENに所属して「C9」の開発に携わっていたのですが,「C9」の日本サービスでゲームオンさんと協業した際,信頼できる会社だと判断したからです。
池亀泰宣氏氏(以下,池亀氏):
最初に「HELLO HERO」を拝見したとき,我々のほうから,ぜひ日本でサービスさせてくださいとお願いしたんです。
ユ社長からは,「短期間でサービスを終了するのではなく,ずっとサービスを続けるつもりでやってくれるのであれば,一緒にやりましょう」と言っていただけたんです。
もちろん,我々も長い間サービスを続けるつもりでお話させていただいたので,ぜひお願いしますということで,今回の協業に至ったんです。
4Gamer:
韓国では,Android版が2013年2月から,iOS版が3月から「HELLO HERO」のサービスを開始して,セールスも好調とお聞きしました。ユさんは,ヒットの理由をどういった部分にあると分析していますか。
ユ氏:
まず,RPGというジャンルの楽しさは,キャラクターを育てて強くしたり,スキルを使って戦ったりするところにあると思います。「HELLO HERO」は,そうした部分にフォーカスを当てて作っているので,その部分が受け入れられたと考えています。
また,今回「HELLO HERO」をサービスして,イベントやアップデートの管理がとても大事だということに気付かされました。そこで,1週間に1度はイベントを実施し,大型アップデートも1か月に一度の頻度で実装するように運営を続けています。
4Gamer:
先ほどの発表会では,「HELLO HERO」では世界展開を目指しているとお話されていました。その第一歩として日本を選んだのは,どのような理由なのでしょうか。
ユ氏:
日本市場で成功を収めることには,大きな意味があると考えているからです。日本市場での結果を見て,そのほかの国への展開を考えていくことになると思いますので,あまり間を開けず,ほかの国にも展開していけるようにしたいですね。
■キャラクター
ナイト |
修道士 |
弓使い |
魔法使い |
4Gamer:
日本で展開する際はローカライズされることになりますが,スマートフォンのゲームでは,スピードが重要になります。韓国版からどれくらいの間隔でのローカライズを予定しているのでしょうか。
池亀氏:
PCオンラインゲームと同じように,サービスイン後しばらくは,韓国版の内容に徐々に追いついていく形になると思います。テキストなどの分量はPCオンラインゲームほど多くはないので,ノウハウが溜まれば,よりスピーディにローカライズできるでしょう。
ただ,お客様がコンテンツを消費するスピードは速いですから,できる限り早くバージョンを上げていきたいと考えています。韓国版に追いついて以降は,韓国で新要素が実装されてから半月から1か月後には,日本でも新要素を実装できるようにしたいですね。
4Gamer:
「HELLO HERO」は,韓国では基本プレイ無料のアイテム課金制でサービスされているそうですが,ゲームのどのような部分が課金対象となっているのでしょう。
ユ氏:
ゲームコンテンツはすべて,無料で遊べます。課金サービスは,ヒーローをより早く成長させたり強化したりといった,時間短縮系のアイテムがメインですね。
池亀氏:
例えば,「HELLO HERO」はプレイするとエネルギーを消費しますから,そのエネルギーを回復させるようなアイテムですね。
ユ氏:
エネルギーを使い切ってしまうと,普通は回復するまで時間がかかるのですが,エネルギーをアイテムで回復させれば,ヒーローをより早く育てられるわけです。
4Gamer:
韓国では,いわゆるガチャ系のコンテンツは導入されているのでしょうか?
ユ氏:
ガチャでしか出ないヒーローも存在しますが,ガチャには課金だけでなく,ゲーム内で手に入る「応援ポイント」を使うものもあります。
ガチャ限定のヒーローはそちらのガチャでも入手できますし,「転生」を利用すれば,ヒーロー同士を掛け合わせて新たなヒーローを生み出せます。ですので,課金しないと利用できない要素はないと言っていいでしょう。
池亀氏:
もちろん,日本でも同様のビジネスモデルを採用する予定です。
4Gamer:
「HELLO HERO」をプレイするには,どの程度の通信速度が必要なんでしょう?
ユ氏:
3G環境でも問題なく動作します。
我々は「HELLO HERO」を,切断があっても無に帰さない,ユーザーさんが喪失感を持たないように作りました。仮に通信が途切れても,再接続してその続きからプレイできるようになっています。ちなみに,ほかのアプリを起動するためにホームに戻ったりしても大丈夫です。
池亀氏:
現在は,日本から韓国サーバーにアクセスしてテストを行っているのですが,3G回線程度の通信速度でも,とくに動作に支障が出るようなことはありません。日本サービス時は日本にサーバーを用意しますので,回線が問題になることはないと考えています。
4Gamer:
ちなみに,韓国の「HELLO HERO」では,Android端末とiOS端末のユーザー比率は,どれくらいなのでしょうか。
ユ氏:
AndroidとiOSユーザーの比率は,だいたい9対1ですね。韓国では特定の機種に人気が集中しているんです。
4Gamer:
個人的に,韓国といえばPCゲームをプレイする人が多いという印象が強かったのですが,最近はスマートフォン向けゲームの人気は高まっているのでしょうか。
ユ氏:
韓国のモバイル市場は,「カカオトーク」でのサービスがスタートしたことをきっかけに,爆発的に大きくなっているんです。現在,韓国の人口は約5000万人なんですが,中には1000万ダウンロードというようなゲームもあるくらいです。
「カカオトーク」のゲームはライトなカジュアルゲームが中心なのですが,今までゲームをやらなかった方など,いろいろな層がゲームに触れることになって,おじいちゃんやおばあちゃんがゲームを遊ぶような光景も見られるようになりました。
4Gamer:
Androidは端末によってスペックがかなり異なりますが,「HELLO HERO」はどの程度のスペックがあれば遊べるのでしょうか。
ユ氏:
基本的に,Android OSのバージョン2.3以上に対応した端末であれば,円滑にプレイしていただけます。
韓国では,Galaxy Sシリーズ端末の人気が高いので,基本的にはGalaxy S1以上を最低限に,Galaxy S2以降の端末を推奨動作環境としています。
ユーザーが多い機種では事前にテストを行っていますが,端末によって搭載するメインメモリなどスペックに差があるので,円滑にプレイできない可能性も考えられます。もし問題が発生した場合は,迅速に対処していく予定です。
4Gamer:
Android OSのバージョン2.3以上対応となると,日本では対応端末はかなり多くなりそうですね。
池亀氏:
そうですね。Android版のサービスに関しては慎重に考えていて,サポート体制をしっかりとできるように準備をしています。
ただ日本では,各キャリアでワンシーズンに何種類もの端末がリリースされるような状態ですから,まずはシェアの大きな端末を中心にしっかりと動作検証を行っています。そのほかの端末もできるかぎり早く動作検証を行い,対応端末を増やしていきたいですね。
4Gamer:
今のところ,どのくらいの端末で動作の確認が取れているのでしょうか。
池亀氏:
日本の環境が整った状態でテストしてみないとなんとも言えないところもあるのですが,主だったメーカーの新しめの端末では,基本的に問題なく動作するという感じです。
カエル |
ゴーレム |
サボテン |
ドラゴン |
4Gamer:
先ほどの調印式典では,アニメなどとのコラボレーションをゲームオンの強みとして上げていましたが,「HELLO HERO」でもこうした取り組みを行う予定ですか?
池亀氏:
まだ具体的な話までは進んでいませんが,ぜひ積極的にチャレンジしていきたいと考えています。
「HELLO HERO」の世界観は,リアルからデフォルメまでいろいろなものを入れられる懐の広さを持っていますし,やりようによっては,イベントキャンペーンなどストーリー的な部分も含めて,フォローできると考えています。
4Gamer:
ちなみに,韓国ではすでに何かしらのコラボ企画は実施されているのでしょうか?
ユ氏:
現在は調整中で,いろいろな企業とお話をさせていただいているところです。
というのも,韓国市場では今まで,コラボという取り組みへの認識が薄かったんです。日本のゲームでさまざまなコラボレーションが行われ,実績を上げていることで韓国でも注目が集まり始めている,といった状況です。
ゲームオンさんがコラボレーションを実現してくれるのであれば,それを韓国でもぜひ実施したいですね。
4Gamer:
最近日本では,ゲーム間コラボが行われることも増えてきています。例えば「C9」とのコラボが計画されているようなことはありますか。
ユ氏:
認知度の高い,さまざまなゲームとのコラボレーションも実現したいですね。WEBZENの関係者とは良好な関係を保っていますし,日本ではゲームオンさんが「C9」を運営しているので,話が進めば,実現の可能性は高いと思います。
4Gamer:
それでは最後に,読者に向けてメッセージをお願いします。
ユ氏:
私もゲームユーザーの一人ですから,ユーザーさんの心を理解できていると考えています。だからこそ,面白いゲームをユーザーさんに楽しんでいただきたいという気持ちで,「HELLO HERO」を作りました。日本でサービスが始まったら,ぜひ遊んでみてください。よろしくお願いします。
池亀氏:
やはり,一人でも多くのユーザーさんに遊んでいただくためには,できる限り多くの端末に最適化されていることが必要です。我々が日本での運営を行う際,しっかりとしたサポート体制を構築しないといけませんから,これからサービス開始に向けて,より一層努力を続けていきます。
プレイ環境をきっちりと整えたうえで,ユーザーさんに楽しんでいただけるイベントなど,日本なりの企画も提供できる運営を目指していきますので,よろしくお願いします。
4Gamer:
本日はどうもありがとうございました。
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HELLO HERO (C) FINCON Co.,Ltd. All Rights Reserved.
(C) GameOn Co., Ltd. All Rights Reserved.
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