インタビュー
「チェインクロニクル3」リリース記念インタビュー。人気スマホRPGをこのタイミングで新作として仕切り直した理由を運営開発のキーパーソンに聞いた
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本作は,これまで第1部,第2部と続いてきた「チェインクロニクル」(以下,チェンクロ)に第3部にあたる物語を加えたもの。新たな物語では5人の主人公が活躍する5つのメインストーリーが展開され,かつ一部のシステムが追加・リニューアルされている。また第1部,第2部を遊んだことがなくとも,第3部から新規にゲームを始められる仕様となっている。
今回4Gamerでは,総合ディレクターを務める松永 純氏と,運営ディレクターの小林 央氏,そして開発ディレクターの山浦大輔氏に,「チェインクロニクル3」の展開について聞いてみた。
松永 純氏 |
小林 央氏 |
山浦大輔氏 |
「チェインクロニクル3」はチェンクロのナンバリング続編のような位置付け
4Gamer:
本日はよろしくお願いします。さっそくですが今回,チェンクロに第3部相当の物語を追加するにあたり,単なるアップデートではなく「チェインクロニクル3」とした理由について教えてください。
まず今回のアップデートは,第2部よりも大規模なものになっています。ゲームの内容はもちろんのこと,かなりの画面を新しく作り直しました。また世界観やストーリーも第2部の終わりから5年が経ち,新しい主人公達の物語が展開します。
これは言ってしまえば,コンシューマRPGでナンバリングの続編を出すようなものです。そこで今回は「チェインクロニクル3」という形でリリースすることにしました。
4Gamer:
今回は,5人の新しい主人公が,それぞれの物語を展開するということですけれども。
松永氏:
そこには,チェンクロを3年運営してきた中で「もう,こうするほかないだろう」というくらいの思いがあったんですよ。と言うのは,第2部が物語としてしっかりと,大団円という形でエンディングを迎えたからです。そこから先の物語をプレイヤーの皆さんに楽しんでいただこうと考えたとき,単純に内容をインフレさせたのでは限界があるだろうと。
4Gamer:
同じ主人公の話はもう続けられないというわけですか。
松永氏:
第1部ではユグド大陸を舞台に黒の王と戦いましたし,第2部では舞台が大陸から世界に広がり,大魔王のような存在と戦いました。仮にその延長で第3部を作るとすると,もう宇宙に行くとか異世界に転送されるとか,そして最後には大魔王の上を行く超魔王と戦うような無理やりな展開になってしまいます。それは嫌で。
そこで今回,チェンクロの続きを作るにあたっては一度仕切り直さないとダメだろうと考えたわけです。
4Gamer:
主人公を5人にした理由は何でしょう。
松永氏:
3年間チェンクロが続いてきた中で,第1部,第2部の主人公の存在は,ゲームの中でもプレイヤーの皆さんの中でもかなり大きなものになっています。そこに「仕切り直したので,今日からこの新主人公で遊んでください」と言われても,なかなか思い入れを抱くことはできませんよね。それにいくら別の物語と言っても,主人公=プレイヤーである限り,同じような物語体験になってしまうと思うんです。それでは,第1部,第2部を超えられない。
そこで物語の見せ方自体を変えることに決めたんです。主人公=プレイヤーではなく,複数の主人公を用意し,彼らの群像劇を描くことによって,新しい物語体験を提供しようと。
4Gamer:
単純に計算すると,シナリオ制作の作業量はこれまでの5倍となり,大変かと思うのですが。
松永氏:
ええ,5倍ですね……。ただ今回は,5つの物語をすべて違ったテイストにしたいと考えているのもあり,それぞれのシナリオを専任の作家が担当しています。ですから総量は確かに5倍ですが,ペースも5倍というわけではないですし,1人あたりの執筆の負担は,いくぶん楽になるようにできればと思っています。
やはり,きちんと時間をかけて良質な物語を提供するというのは何より重要なので。でもプレイヤーの皆さんを待たせることなく,テンポよく物語を提供していきたい。この両方を,今回はこのやり方で目指せればと思っています。
山浦大輔氏(以下,山浦氏):
実は第2部の時点でも大変な思いをしていたんですよね。第1部は終わりまでしっかり見据えた形でシナリオを制作していたのですが,第2部からはシナリオのプロットや最終地点は決まっているけれども,途中の展開をどうするかは制作しながら決める形に変わったんですよ。
松永氏:
そうですね。連載みたいなノリになったので,大変でした。大きな世界観とストーリー構成,あと重要なシーンのイメージだけを僕のほうで作っておいて。たとえば第2部だと,この大陸のラストではクロニクルの中で最後に○○と一瞬だけ邂逅して「××」という言葉を伝えるとか,最終章はフィーナが○○することによって……という見せ場は各章ごとに事前に全部決めていました。
逆に言うとそこをちゃんと先に考えておけたから迷わずにやれたというのもあるので,今回5つに増えたとしても,大元がちゃんと決められれば,なんとかやれるのではと思っています。大まかな展開はプロットの時点で決まっているので,それをどう盛り上げるか運営しながら考えていくんです。これは「チェインクロニクル3」でも同じです。
4Gamer:
そのうえで,今回は「マルチルートシナリオ」と銘打ち,5つの物語が要所で交錯していく仕掛けもあるわけですよね。
松永氏:
ええ,そこは面白さを追求するためにぜひチャレンジしたいと! だって5つの物語があるんですから。誰しもが交錯してほしいと思うはずで,じゃあやろうということになりました。
4Gamer:
新しい取り組みだけに,これまでにない苦労もあるんじゃないでしょうか。
松永氏:
目下苦しんでいる最中です(笑)。交錯する物語を構成するのは,パズルみたいな難しさがあるわけですが,そのうえで各作家がそのメインストーリーで描きたいこととの兼ね合いが生じます。
ルートのパズルを追求しすぎると,それぞれの物語の良さが減っていくんですよね。ただ僕としては,物語が交わる部分を面白くすること以前に,それぞれの物語が個別で面白いことが何より重要だと考えています。
たとえるなら,チェンクロというコミック誌があって,その中に5つの漫画が連載されているようなイメージでしょうか。更新されるたびに違う魅力が味わえる。それって今までにない感覚だと思うんです。さらにそれぞれの物語が交錯することもある。王道の冒険譚の途中に,理屈抜きの荒くれ主人公が乱入したり,SFチックな展開の中にトップスターを目指す少女が飛びこんできたり。それぞれが魅力的だから交錯することにもわくわくする。そういう新しいストーリー運営の形を今回実現したいんです。
交わる部分を際立たせるというよりも,ところどころにキャラクターの共演部分があるという感じで,運営型のゲームとして上手に提供していきたいと考えています。
また,あまり物語同士の交わりを複雑にしすぎると,途中で内容を忘れてしまうんですよね……。コンシューマのRPGなら「続きが気になるから一気に最後までやる」ということもできますが,運営型のゲームは週刊誌の連載のような展開になってしまいますから。その意味でも,うまく配信のペースに合わせたコミック誌のような盛り上げ方をしていきたいです。
4Gamer:
ちなみに5人という主人公の人数には何か意味があるのでしょうか。
松永氏:
それぞれの個性を明確に打ち出せる人数が5人くらいだろうと。たとえば2〜3人だと少ないですし,10人にすると「どんな奴だっけ?」となるキャラクターが出てきてしまいかねません。まあ特撮の戦隊ものも5人が主流ですし(笑)。
山浦氏:
1つの物語の中で,それぞれの主人公を差別化して際立たせるためには,メインキャラ5人がいいバランスなんでしょうね。
松永氏:
あとは運営型のゲームで,こうやって複数の物語を立体的に展開する試みは今までほとんどなかったと思うんですよ。皆さんに「チェンクロだからこそできる」と感じていただけると嬉しいですね。
またシナリオの進行を「シナリオルートマップ」で視覚的に確認できたり,シナリオが交わる部分に到達すると報酬がもらえたりといったシステムを用意し,演出が発生するようにもなっています。こちらも新しい要素として,ゲーム全体でこの新しい物語を楽しんでいただきたいですね。
これまでのチェンクロと新しいチェンクロの双方を大切にしたアプローチ
4Gamer:
「チェインクロニクル3」では,メインストーリーに登場するクエストすべてにおいて難度選択ができるようになりました。その意図を教えてください。
山浦氏:
今回,第1部や第2部の途中までしか進めていない,あるいはそもそも遊んだことがないという方でも,いきなり「チェインクロニクル3」を始められる仕様にしています。「チェインクロニクル3」から始める方は,当然アルカナを揃えていませんし,ゲームにも慣れていませんから,まずは初級の難度で遊んでいただこうと。
その一方で中級に関しては,第2部までクリアされている方に向け,バトルの内容や難易度も調整して,より遊び応えがあり,それに見合った報酬もきちんと提供する難度として用意しました。リリース時点では初級,中級の2つですが,それでも簡単すぎるという声が集まったら,上級が設置されるかもしれませんね(笑)。
松永氏:
今回の仕切り直しでは,誰でも「チェインクロニクル3」から遊べることを重視しました。と言うのは,これまでチェンクロを運営してきた中で,新しいシナリオを追加しても,それをすぐ遊べるのはダウンロードしたプレイヤーのわずか数%しかいないという状況が続いていたからです。
そうした状況を踏まえると,そのうえで第1部と第2部をクリアしていないと「チェインクロニクル3」が遊べないようにしてしまうのは,ハードルが高すぎるだろうなと。それは無理がありますよね。我々としては,新規の方にもゲームを触ってほしいのはもちろん,すでに楽しんでいるプレイヤーの皆さんとも盛り上がりたいという思いを抱いていますので,難度選択も含めて細かいところまで設計しています。
山浦氏:
たとえば第2部のイベントも,序盤は新規の方にも楽しめるよう配慮はしていたのですが,後半はどうしてもある程度やり込んでいる方でないと,遊びづらいバランスになっていました。それをどうやって仕切り直すか考えましたね。
また「チェインクロニクル3」から遊べることによって新作感が生まれますから,「この機会に始めてみよう」「もう一度遊んでみよう」と思う方が増えるだろうという期待もあります。
小林 央氏(以下,小林氏):
今回は最初から,ゲームの内容も情報の出し方も新作と同じ扱いにしようという目標を掲げていました。そうすることで,より多くの方にチェンクロを知っていただこうと。
そのため事前登録キャンペーンも実施しているのですが,おかげさまで11月21日時点で100万件を突破いたしました。
4Gamer:
ちなみに事前登録者5万人突破のプレゼントとして,SSR「ベルナデット」がプレイヤーに提供されますよね。彼女はどんな形で「チェインクロニクル3」に関わることになるのでしょうか。引き続き病んだ感じの展開になりますか。
病んでるかどうかで言うならチョイ病みですかね。5年経っても相変わらずです(笑)。肩書きが「恋する乙女」から「恋い焦がれる乙女」に変わっていたり,イラストでは第1部,第2部の主人公のぬいぐるみを身に付けていたりと,極まってきた感が出ています。
またすでにお伝えしているとおり,第1部,第2部の主人公やフィーナ達は「チェインクロニクル3」が始まった当初,ユグド大陸から離れており,5年間帰ってきていないという設定です。そうなるとベルナデットの想いも5年分溜まっているというか……。
ただベルナデットは第1部,第2部の主人公との関わりが強いキャラクターですから,新主人公達と大きく絡むということはありません。かつての義勇軍の1人だった彼女が,今どうしているかというところを楽しんでもらえると嬉しいですね。
山浦氏:
事前登録のプレゼントにベルナデットを選んだのは,おそらく第1部から遊んでいただいている方の多くが思い入れを抱いているキャラクターの1人であり,かつ成長した姿を面白く描けるキャラクターだからです。ですから,「チェインクロニクル3」で登場する際も,きっと皆さんが期待されるような展開をお届けできると思います。
松永氏:
ベルナデット以外のキャラクターも,これまでのファンの皆さんにきちんと刺さるような形で登場させます。決して雑な登場にならないよう,慎重に準備を進めているところです。
4Gamer:
確かに,そこのバランスを取るのは難しそうですね。あまり出しゃばりすぎると,「チェインクロニクル3」から始めたプレイヤーが置いてけぼりになってしまいそうですし。
松永氏:
そうですね。ただ物語本編は新主人公中心に主体で進んでいきますから,そこでバランスが取れると考えています。
それに今回は「チェインクロニクル3」を遊んでいる途中でも,並行して第1部を始められる仕様になっているんですよ。ですから「コイツ,やたら目立ってるし,今までにも出てきた風だけど,いったい何者?」と気になったら,そのタイミングで第1部に触れていただいても面白いかもしれません。
山浦氏:
シナリオは1つのコンテンツとしてしっかり作り込んでいますから,すでに第1部や第2部をクリアしているという方も,もう一度振り返って楽しんでいただけると嬉しいですね。
また第1部,第2部と「チェインクロニクル3」を並行して遊べる仕様にしたのは,長く遊んでいる皆さんの資産をどう活かすかについて,考えた結果でもあります。
松永氏:
プレイヤーデータには,プレイヤーの皆さんが積み重ねてきた3年分の想いが詰まっていますからね……。
正直なところ,もう一度新しさを感じてもらうということだけを目指すなら,完全な新作アプリを作るほうが遥かに簡単です。ですが,それでは意味がないので。チェンクロを遊んでいる皆さんが,これまでチェンクロに注いだ想いをちゃんと引き継ぎつつ,「新しい」と感じてもらえるものを両立させるのが,今回なによりもやりたいことだったんです。
その意味では,今回続きとなる「チェインクロニクル3」を作るのは,本当に苦労しました。スタッフ全員,「まったくの新規タイトルを作ったほうが楽だ」と思っていましたよ。それでも支持する皆さんがいるのだからきちんと応えようと,無理矢理アイデアをひねり出した感じです。
山浦氏:
7月末開催の3周年記念ファンミーティングで行った「チェインクロニクル3」のプレゼンテーションで,新世代の主人公達に加えて,伝説の義勇軍のメンバーも登場すると発表したときは,予想以上に大きな反響をいただきました。あのとき,これまで作ってきたものと新しいものの双方を大事にしながら進めてきた自分達のアプローチは間違っていなかったと確信できましたし,「最後まできちんと作ろう」と身が引き締まりましたね。
現時点では,狙い以上に第1部,第2部と「チェインクロニクル3」のハイブリッドが実現できていると自負しています。
第1部/第2部キャラの必殺技を新世代キャラに継承する「伝授」
4Gamer:
それでは,「チェインクロニクル3」で登場する新システムについても教えてください。従来のキャラクターと新キャラクターを結ぶという意味において,おそらくもっとも注目度が高いのは「伝授」ではないかと思うのですが。
松永氏:
伝授は,第1部/第2部のキャラクターと「チェインクロニクル3」の新世代キャラを同じパーティに編成すると,前者の技を後者が使えるようになるというシステムです。いわば,師匠と弟子の関係ですね。これは「新しい世代に想いなどが継承されていく」という「チェインクロニクル3」のコンセプトの1つを,ゲームシステムとして表現したものです。
また,これまでのチェンクロでは「敵に勝つ」という以外にパーティを組む理由がなかったんですけれども,「チェインクロニクル3」では「コイツとコイツを組み合わせて育てたい」といった育成要素も付加されることになります。皆さんがチェンクロの遊びに抱く印象も少し変わるのではないでしょうか。
これまでにも「絆アビリティ」システムがありましたけれども,伝授はその上位版的な位置付けです。弟子の絆アビリティとして伝授を受けた師匠をセットすることで,弟子が師匠の技を使えるようになるので,これまでチェンクロを遊んでいた方であれば,すぐに仕組みを理解できると思います。
また同時に習得できるのは1つのみですが,弟子は,いろいろな師匠から技を伝授してもらうことができますので,多くの師匠キャラクター達の中からどんな技を伝授させようかと,試行錯誤していくという遊びもできるかと思います。
小林氏:
さらに弟子は,自分自身の技と師匠から伝授された技をバトル中に切り替えて発動可能で,たとえば通常は範囲攻撃技を使い,ボスには強力な単体攻撃技を使うといったことができます。また支援系の技と攻撃系の技を組み合わせると,マナが余っているけれども敵がいないという局面では,支援系の技を使っておけば無駄を抑えられます。
したがって第1部/第2部のアルカナを多く持っているほど戦術の幅が増え,それだけ有利になりますから,全体のプレイフィールも結構変わってくるのではないでしょうか。
山浦氏:
たとえばバトルロワイヤルのイベントでは,これまでにも私達が想定していないような戦術が生まれてきたのですが,今後は伝授を使った新戦術も登場するでしょうね。
松永氏:
そういった,より効果の高い組み合わせを見つける楽しさは,かつて絆アビリティを実装したとき以上にゲーマー魂をくすぐるものになっていると思います。
4Gamer:
伝授された技を使った場合,モーションはどうなるのでしょう。
松永氏:
師匠のモーションを引き継ぎます。
4Gamer:
そうなると,たとえばゴツい男性キャラが女性キャラの歌うモーションで動くこともあるわけですか。
松永氏:
はい。「コイツにこの動きをさせたらどうなるだろう」といった感じの,ゲーム性とは別の楽しみ方もできるかと思います。エフェクトも引きつぐので,ゴツい男からハートが飛び散ったりもします(笑)。
4Gamer:
それでは伝授が発生する条件を教えてください。
松永氏:
まず伝授は同じ職業同士で発生します。弟子側の新世代キャラについては,新システムの親愛度が10以上になっている必要があります。また師匠側のキャラクターはLv40以上になっている必要があります。師匠側のキャラクターは,基本的に第1部,第2部のSR以上のキャラクターが対象ですが,コラボのキャラなど一部伝授できないキャラクターもいます。
誰が伝授できるのか,されるのかというのは,編成画面でアイコン表示されるので,確認しながら思い思いのパーティを組んでみてほしいなと思います。
またアルカナのレアリティが一定以上必要です。さらに一部の特殊なモーションを持つ技は伝授できません。
そして「チェインクロニクル3」に新しく登場するアルカナであっても,カインなど第1部/第2部のキャラクターのものは,弟子になることはできません。これはアルカナの枠などで見分けられるようになっています。
山浦氏:
このお話をさせていただいてる時点では,調整中だったりするのですけれども,同じパーティで戦っているからといって必ず伝授が発生するわけではありません。あまり頻繁に発生するようだと喜びも薄れてしまいますし,すぐにいろんな技を取っ替え引っ替えできるようだと,ゲームバランス的にもよろしくないですから,やり込み要素的にもちょうどいい頻度を探っています。
戦術の幅をさらに広げる「バディ」や,キャラ愛を誇示できる「親愛度」などが登場
4Gamer:
それでは同じく新システムの「バディ」について教えてください。
松永氏:
バディは,追加の武器種や技といった要素に近い位置付けのシステムで,1つのアルカナでメインキャラとサブキャラがセットになっており,シューティングゲームのオプションのようにサブキャラがメインキャラに追随して戦ってくれます。第2部にも同じような技がありましたけれども,バディの場合は体力の概念があったり,AIで動いたりと独立して動くキャラクターという印象が強くなっています,
まずはリリース時に『ウガガラ&プアア』という魔法使い&騎士バディのキャラが登場しますが,開発上はかなり自由な設定ができるので,以降も楽しみにしてもらえればと思います。正直なところ,どんなバリエーションが生まれるのかまだ全貌を把握できていないんですよね。
4Gamer:
事前にいただいた資料には,例として「ドラゴン使い」と「精霊使い」の名前が挙っていますけれども,ほかにもいろいろ出てくる可能性があると。
松永氏:
はい。またバディの登場によって,全体の操作感が既存のものとは大きく変わります。
山浦氏:
たとえば術者が自陣の奥にいて,バディを前方に出して戦わせているとします。しかしバディにも体力がありますから,敵の攻撃を受け続けているとやがて倒されてしまいます。それを避けるためには,ほかのキャラクターを操作してバディを守る,といった操作が必要になるわけです。
もちろんバディにもいろんなタイプがありますので一概には言えませんが,単純にバトル中にキャラクターが1体増えるだけという感じにはなりません。
松永氏:
バディの動きを計算しつつキャラを操作するという点で上級者向けの要素ですね。当然,新規の方が触っても面白いと思えるバランスを目指しますけれども。
4Gamer:
上級者の手の動きがすごいことになりそうですね。
松永氏:
ええ,イベントでタイムアタック大会をやると,小林の実況が大変なことになりそうです(笑)。
そうですね(笑)。パーティメンバー全員がバディを使うキャラで,かつ伝授でスキルを切り替えつつ,すべてのキャラクターの体力を管理するというような戦い方も出てくるんでしょうね……。新しいアルカナも続々と登場しますから,どんな戦い方が生まれるのか,まったく想像がつきません。まるでピアノを演奏するかのような操作をする方も出てくるかもしれませんので,私も楽しみです。
松永氏:
フレンドのバディまで含めると,パーティメンバーが最大10体になる可能性もありますから,画面が相当にぎやかになります。
小林氏:
バディに加えて敵がたくさん出ている状態だと,おそらく何が何だか分からなくなるでしょうね。そういうバトルも楽しめるのではないかと思います。
4Gamer:
それでは「親愛度」についても教えてください。
松永氏:
プレイヤーがお気に入りのキャラクターを使い続けていると上がっていくパラメータです。これを作ったのは,これまでのチェンクロだと育成を楽しむことが難しくなっているからです。というのは,長く遊んでいる皆さんは強化アルカナをたくさん持っていらっしゃるので,新しいアルカナを入手したらすぐにレベルをMAXにできてしまうからです。
自分のパーティはみんなレベルMAXなので,好きなキャラでパーティを組む育成の余地がないというのはすごく寂しいですよね。RPGの楽しさの1つであるキャラクターを成長させる感触が,上級者ほど味わいにくくなっているんです。
そこで,数字を上げるためにはとにかくキャラクターを使うしかないパラメータにしようと,親愛度を設定しました。あくまでキャラクターに対する愛着に主眼を置いたものなので,ほどほどにですが,ATKとHPも増えるので,使うとキャラクターの何かが上がっていくという感触を,あらためて楽しんでもらえればと思います。
また親愛度に応じて攻撃力と体力が上がりますから,それなりに育成する意味も生まれます。
山浦氏:
同時に推しキャラを設定する機能も実装します。さらに,フレンドにもどのキャラクターを推していて,親愛度がどのくらいになっているのか誇示できるようになります。
松永氏:
チェンクロはソーシャル的な要素をできるだけ排除してきたんですけれども,その一方でキャラクターに愛情を持って遊んでいる方が多いので,そこにはきちんと応えましょうと。親愛度には上限がないので,ぜひ推しキャラをたくさん使ってほしいですね。
また親愛度はキャラクターに紐付いており,同一キャラであればどのアルカナを使っても共有されます。成長したキャラクターのアルカナが新しく登場しても,同じキャラクターをずっと愛していく感覚というところを感じていただけるのではないでしょうか。
4Gamer:
イベントなどで親愛度ランキングを発表すると面白そうですね。
松永氏:
確かに,単純にどんなランキングになるのか知りたくなるパラメータですね。「何でこのキャラ?」と思うようなキャラクターが尋常でない親愛度でトップになったら盛り上がるでしょうね(笑)。
ちなみに,親愛度は伝授の発生条件にもなっています。入手したばかりのアルカナでは伝授が発生せず,弟子になる側のキャラクターの親愛度が10に達している必要があります。
4Gamer:
そのほか,システム的に新しい要素はありますか。
松永氏:
冒頭で少し触れましたが,画面のレイアウトや表示される要素を今のスマホに合わせて変更しています。また強化アルカナや育成アルカナは,キャラクターのアルカナとは別にスタックして管理できるようになるなど,全般に使いやすくなっています。これは今まで遊んでいた方にはすごく便利に感じてもらえるのないでしょうか。
山浦氏:
これまで第1部,第2部と続けてきた中で,そうした基本的な部分に手を入れるタイミングがなかったんですよね。そのため今となっては古くさく見える部分も出てきましたので,この機会に画面に動きを取り入れるなど,リニューアルを掛けたという次第です。
たとえば「チェインクロニクル3」のマップは,これまでのような単なる地図ではなく,キャラクターがピョコピョコ動いていたりもしています。
あとはホーム画面でマスコットキャラが表示されるようになりました。ここではストーリーの進行状況やイベントの情報,探索が終わったことなど,今プレイヤーが何をすればいいのかを教えてくれます。また推しキャラをホーム画面に設定できるので,心ゆくまで愛でていただけます(笑)。
松永氏:
また,「チェインクロニクル3」には「SPストーリー」という新要素があります。これは特定のキャラクターをパーティに入れていると,メインストーリーでイベントドラマシーンが追加されるというものです。すでに第2部のエンディングにもあった要素ですが,今後はメインストーリーでもこれをやろうと。SPストーリーがあるクエストに誰を入れておけばいいのかは,クエストのリストに「SPキャラクター」として表示されるようになっています。
山浦氏:
関連して,メインストーリーのクエストを繰り返し遊べるようにもなりました。したがって,一度クリアしたあとにSPキャラクターを入手した場合でも,追加されたイベントドラマシーンを楽しむことができます。
松永氏:
SPストーリーは,難度選択と合わせて楽しんでいただけるといいんじゃないかと考えています。
これまでのチェンクロは構造上,メイン酒場で出会った仲間キャラがあまり活躍できない内容でしたから,実のところ我々にはすごく歯がゆい思いがあったんです。そこで今回からは,メインストーリーに厚みを持たせるために,SPストーリーをがんばってみようと。今回リリースの時点で登場するキャラクターの何人かは,第1章でのSPストーリーが用意されているので,活躍を楽しんでもらえればと思います。
登場するキャラクターすべてに見せ場があるような展開を目指していますが,その一方で今回は物語が5本ありますから,開発現場はどうなってしまうんだろうという不安もありますね(笑)。
シナリオとキャラクターは月2回追加。テレビアニメ版も順調に制作中
4Gamer:
それでは,「チェインクロニクル3」のリリース後の展開を教えてください。
小林氏:
まず「チェインクロニクル3」がスタートする11月24日から,お得なキャンペーンと,主人公達のアルカナが手に入るフェスを開催します。通常のゲーム進行で入手できるのはレアリティがRの主人公なのですが,このフェスではSSRが手に入ります。
また12月8日には,追加シナリオの第1弾を配信します。
4Gamer:
シナリオ追加がずいぶん早いですね。
小林氏:
「チェインクロニクル3」には,ストーリーのボリュームを楽しんでいただこうという目標があるんです。そこで12月8日以降も,毎月第2木曜日と第4木曜日の月2回ペースで,シナリオを追加していく予定です。
4Gamer:
先ほどチラッと魔神の話が出ましたけれども,「チェインクロニクル3」では魔神襲来イベントはどういう扱いになるのでしょうか。
松永氏:
今後も魔神襲来イベントは続きます。世界観的には,黒の軍勢は衰退していく一方なんですけれども,まだ残ってはいますし,当時魔神となってしまった者達は,今も魂を囚われ世界を彷徨っています。皆さんの手で,あらためて魔神達を解放してあげてもらえればと。今後も魔神襲来イベントは続きますし,新魔神も続々登場しますよ。
小林氏:
最初の魔神襲来イベントは,12月後半を予定しています。内容も「チェインクロニクル3」版としてリニューアルされます。
またクリスマスイベントも用意しており,関連する新キャラクターなどを入手できます。
4Gamer:
高難度コンテンツ「深淵の渦」の展開はどうでしょう。
小林氏:
もちろん,引き続き2週間に一度のペースで更新していきます。腕に覚えのある方は,新キャラクターを入手しつつ従来のキャラクターを引き連れてチャレンジしていただきたいです。
松永氏:
「チェインクロニクル3」は,初めて遊ぶ人のために仕切り直していますので,どうしても序盤はわりと易しくなってしまうんですよね。ずっとチェンクロを遊んできた方にとっては物足りない部分もあるでしょうから,そこは「深淵の渦」で引き続き手ごたえを感じてほしいですね。
小林氏:
また「チェインクロニクル3」と並行して,チェンクロのアニメ展開もスタートします,12月3日より劇場版「チェインクロニクル 〜ヘクセイタスの閃〜 第1章」がイベント上映され,年が明けて2017年1月からはテレビアニメ版も始まります。ぜひゲームもアニメも楽しんでいただきたいです。
「チェインクロニクル 〜ヘクセイタスの閃〜」
山浦氏:
アニメ版は第1部と第2部の物語をベースに展開しますから,「チェインクロニクル3」から始めたという方がチェンクロの世界観を知っていただく良い機会ではないかと思います。クオリティも,私達が「ここまでやるのか」と驚くくらい高いですし。
小林氏:
逆にアニメ版でチェンクロに興味を持ったという方も,「チェインクロニクル3」のスタートから1〜2か月という絶好のタイミングですから,ぜひゲームも遊んでいただきたいですね。
松永氏:
おそらく皆さんが期待されているであろう,アニメ版と「チェインクロニクル3」のコラボもやります。詳細はあらためて発表します。
4Gamer:
「チェインクロニクル3」の物語に登場するキャラクター達のアルカナは,第2部までと同じようなタイミングで追加されるのでしょうか。
小林氏:
月2回のメインストーリーの追加時に,その追加した章の内容に合わせて,新キャラクターが追加されていくという形で運営していく予定です。基本的には,物語に登場するのと同じタイミングで入手できるようになります。物語の流れに沿って,順次紹介していくようなイメージですね。
これまでだと,物語に出てきた瞬間は「手に入れたい!」と思っても,実際に手に入るタイミングでは別のキャラクターに目が移ってしまっているというケースがありましたから。
松永氏:
第2部では大陸ごとに酒場を追加するという形でしたが,かなりの数の新キャラがまとめて登場することになり,なかなか全員を魅力的に活躍させるということができませんでした。今回は,ストーリー追加のタイミングを細かく取ることで,キャラクター1人1人をちゃんとピックアップできるので,各キャラをみんな魅力的に見せていきたいですね。
裏話をすると,「このタイミングでこのキャラクターをフェスに出すから,それに合わせて物語上で活躍させる」ということを,並行する5つのストーリーの中でやるのは,すごく大変なんですけどね。
4Gamer:
ですよね……。
山浦氏:
3年間続けてきた中で,運営を進めながら物語を作れるということを把握してしまいましたからね……。できると分かっているのであれば,やらないわけにはいかないだろうと。
4Gamer:
チェンクロチームが今まで以上の意気込みで「チェインクロニクル3」に取り組んでいることが伝わってきました。
それでは「チェインクロニクル3」に注目している人に向けて,あらためてメッセージをお願いします。
小林氏:
今回は新作として,大きなリファインを施し,大量のコンテンツを用意しました。まだチェンクロに触ったことがないという方も,ぜひこの機会に「チェインクロニクル3」を遊んでみてください。
山浦氏:
第2部の最後まで作っていた中で,その続きをどうするかずっと考えていました。今こうして,それを「チェインクロニクル3」という形で皆さんに提供できるのが,すごく嬉しいです。ずっとチェンクロを遊んできた方も,初めて触るという方も含めて,広くたくさんの方に「チェインクロニクル3」を楽しんでいただきたいです。
松永氏:
「チェインクロニクル3」を企画するにあたっては,新しくチェンクロを始める方や,途中で物語を止めている方を意識すると同時に,これまで遊んでいるファンの皆さんに「3年経ったゲーム」だと感じさせたくないという思いがありました。そして「チェインクロニクル3」では,これまでのチェンクロを抱いたまま,新作RPGを遊ぶときに感じるわくわくした気持ちや,ドキドキ感といった新しい体験を味わえるゲームになってほしいですね。
新しい方も,これまでの方も,ぜひ新たなチェンクロの物語を楽しんでください!
4Gamer:
ありがとうございました。
──11月9日収録
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