インタビュー
シンガー・彩音さんが主題歌に込めた想いとは? PS Vita版「STEINS;GATE 線形拘束のフェノグラム」発売直前インタビュー
そのPlayStation Vita版主題歌「邂逅のフェタリテート」を歌う,シンガーの彩音さんへのインタビューをお届けしよう。主題歌についてのアレコレはもちろん,自身も大ファンだと語る空想アドベンチャーシリーズについての想いを,たっぷりと語ってもらった。
彩音プロフィール
幼少の頃より音楽に親しみ,2004年に自らが作詞を手がけた「KIZUNA〜絆」でデビュー。ハスキーで高揚感のある歌声を武器に,その後も「ひぐらしのなく頃に」「メモリーズ オフ」といった人気タイトルのテーマ曲を多数担当。科学アドベンチャーシリーズでは,2013年4月の「劇場版 STEINS;GATE 負荷領域のデジャヴ」のエンディングテーマも手がけ,人気を博している。
「邂逅のフェタリテート」
歌:彩音
発売日:2013年11月27日(水)
品番:FVCG-1281
価格:1,260円(税込)
発売元:5pb.
販売元:株式会社KADOKAWA メディアファクトリー
(C) 2009-2013 MAGES./5pb./Nitroplus
彩音official web site:http://5pb.jp/ayane/
5pb.records公式:http://5pb.jp/records/
「STEINS;GATE 線形拘束のフェノグラム」公式サイト
STEINS;GATEらしいメッセージが散りばめられた「邂逅のフェタリテート」
4Gamer:
彩音さんが,この科学アドベンチャーシリーズと関わるのは,今回の「邂逅のフェタリテート」で3回目とのことですが,最初にオファーがあった当時のことは覚えていますか?
一番最初にお話をいただいたのは,2013年の4月25日に発売されたPlayStation 3版「STEINS;GATE 線形拘束のフェノグラム」の主題歌「フェノグラム」でした。ただそれまでも,私自身,いちファンとして科学アドベンチャーシリーズを楽しんでいたので,主題歌を歌うことになったときは,とにかくビックリしました。
4Gamer:
多くのファンがいる人気シリーズですし,ご自身もプレイされていたのなら,緊張もしたのではないですか。
彩音さん:
緊張しましたね。でも,原作者である志倉千代丸さんに,「どのように歌ったらいいですか?」って聴いたら,「僕は彩音の曲として作ったから,いつもの彩音で歌っていいよ」って言ってくださって,すごく背中を押してもらえた気持ちになりました。
4Gamer:
「フェノグラム」の作詞/作曲は,志倉千代丸さんが手がけたんでしたね。
彩音さん:
ええ。自分の持っている力の100%も120%も……とにかく全力を込める気持ちで歌わせていただきました。「いつもこの場所で」(劇場用アニメ「STEINS;GATE 負荷領域のデジャヴ」エンディングテーマ)の収録もほぼ同時だったので,本当に無我夢中でしたね。
4Gamer:
そして今回の「邂逅のフェタリテート」に至るというわけですね。
彩音さん:
はい。PlayStation Vitaに移植されるということで,新たなオープニング曲を歌わせていただくことになりました。またSTEINS;GATEに関れることへの喜びと,ファンの皆さんへの感謝をこめて,収録させていただきました。
4Gamer:
同じゲームの主題歌を二度歌うというのは,ちょっと珍しいかもしれませんね。
彩音さん:
実は,「フェノグラム」のときは,まだゲーム本編が開発中だったので,限られた情報を膨らませながら歌わせていただいたんですよ。今回はしっかりゲームをプレイして,世界観を踏まえたうえで収録に臨むことができました。
また,今回作詞を手がけていただいたMAKOTO-OMPさん,作曲の藤井雄大さんは,私自身,どちらも初めてご一緒させていただく方だったこともあって,アーティストとしても,すごく勉強になりました。この2曲も,これからも大切に歌っていきたいですね。
4Gamer:
ところで,曲名にある「フェタリテート」って,どんな意味なんでしょうか。
彩音さん:
これは,実は造語なんです。英語の「fate」とドイツ語の「Fatälitat」の二つを組み合わせたもので,どちらも「宿命」という意味……だと聞いています。
4Gamer:
歌詞をご覧になったときの印象はいかがでしたか?
彩音さん:
難しい漢字がたくさんあるところが,STEINS;GATEっぽいですよね(笑)。
実は今回の歌詞は,収録中に変わっていったんですよ。なのでレコーディングが進むにつれて変化していくワードが,私をどんどんとSTEINS;GATEの世界に導いてくれたような気持ちでした。
4Gamer:
えっ。歌詞が途中で変わるって,そんなことってあるものなんですね。
彩音さん:
プロデューサーさんの判断で,そうなる事もあります。レコーディング中は常に集中しているので,楽曲が良くなるのなら,という判断のもとに作詞家さんとやりとりをするんです。その中で,今回はそうなった箇所がありました。
4Gamer:
なるほど。ちなみに,お気に入りのフレーズはありますか?
彩音さん:
一番好きなのは,曲終わりの「誓いよ空に届けって」いう言葉なんです。歌詞もなんですが,実はサビのメロディーが変化していくんですよ。
4Gamer:
おお,そんな仕掛けが。
彩音さん:
1番2番は同じなんですけど,最後に繰り返すサビの部分で変わるので,そこに注目してもらいたいです。歌詞カードだけでは伝わらない,メロディと一緒になったときの歌詞というものに,ぜひ触れていただきたくて。
4Gamer:
作曲が藤井雄大さんということで,ロックチューンのかっこいい曲調になっていますね。
彩音さん:
ええ。先ほどのサビのメロディが変化するところもそうですが,私の中にないメロディラインを持っていらっしゃる作曲家の方で,すごく勉強させていただきました。
4Gamer:
ご自身も作詞を手がける彩音さんだけに,そういったクリエィティブな出会いは刺激になるんでしょうね。
彩音さん:
そうですね。曲の出だしが静かなバラード調だったので「おとなしい曲調なのかな?」と思ったんですけど,そこからどんどんと加速して壮大さを増す,すごいストーリー性のある曲だなって。なので,レコーディングがすごく楽しみでしたし,今までにない自分の引き出しを開けてもらえたような気がしています。
原作への思い入れで涙が
4Gamer:
ではちょっと話題を変えまして。「線形拘束のフェノグラム」はプレイ済みとのことでしたが,感想はいかがでしょうか。
彩音さん:
STEINS;GATEは,最初の作品からプレイしてるんですけど,キャラクター達の話す言葉やBGMだけで,色々なことを思い出してしまって,すぐ泣いちゃうんですよね(笑)。なので,今回は「レコーディングで泣かないようにしよう」っていうのを目標にしてました。
4Gamer:
確かにレコーディングで泣くわけにはいかないですね(笑)。
彩音さん:
でも,プレイヤーとしての気持ちがあるからこそ,強い気持ちで歌えるんだと思うんです。それで曲を受け取った皆さんが「いいね!」って言ってくれることで,そこでやっと笑顔になれる。そんな関係がいいんじゃないかって思ってます。
4Gamer:
原作のファンも,そうであってほしいと思っているはずですよ。ところで,彩音さんのお気に入りのラボメンとか,いるのでしょうか?
彩音さん:
一番最初に好きになったのは,まゆしぃなんです! オカリンのことを想ってる気持ちがすごく健気で。自分が持ってきた「ジューシーからあげナンバーワン」を,自分の分までみんなにあげる優しさとか,そういうところにキュンときてしまいました。でも……。
4Gamer:
でも?
彩音さん:
途中からダルに惹かれていっちゃって(笑)。あの強さもなんですけど,鈴羽との関係性とかがいいんですよね。でも劇場版を見たら,紅莉栖ちゃんが好きになっちゃうし,オカリンの真似をして厨二病になってた時期もあるくらいです。だから,今はもう一人は選べないですね。私もラボメンに入りたいって思うぐらいに。
4Gamer:
では,作中で印象的なシーンをあげるとしたら?
彩音さん:
それこそ語りだしたらキリがなくなってしまうんですけど。劇場版でいうと,オカリンと紅莉栖ちゃんが電車のホームでベンチに座ってるシーンは,何度見ても泣いてしまいますね。あと,オカリンに手を引かれて走っていくまゆしぃとか……やっぱりありすぎて絞りきれないです(笑)。
4Gamer:
思い入れたっぷりなんですね。では作品にちなんで,もし過去にDメールを送れるなら,誰にどんな内容で送ります?
彩音さん:
私,野球ファンなんですけど,昨日(取材日は11月1日)好きなチームが大事な試合を落としてしまって。だから,選手に「監督のサインを見逃すな」って送りたいです。その前に,選手の方の連絡先を知らないので,Dメールは送れないですけど(笑)。
4Gamer:
日本シリーズのお話ですね(笑)。
彩音さん:
ええ。だけど,それはあまりにプライベートすぎますよね(笑)。そうだ,今年10月のバースデーライブで,「邂逅のフェタリテート」を初めて皆さんの前で歌わせていただいて,それはすっごく盛り上がったんですけど。
4Gamer:
おお,それはとても良いことなのでは?
彩音さん:
ええ(笑)。だから歌う前の自分に,「初めて聞いてもらう曲でも,みんな盛り上がってくれるから安心して歌えよ,緊張しないで大丈夫」って,Dメールを送ってあげたいですね。
4Gamer:
ああ,なるほど。それならよりノビノビと歌えたでしょうね。
カップリング曲「掌の迷宮」にも注目
4Gamer:
カップリング曲の「掌の迷宮」についても伺わせてください。こちらは,彩音さんご自身が作詞されたということですが。
そうなんです。実はこの「迷宮のフェタリテート」は,私のシングル通算20枚目にあたり,さらに来年2014年は,デビュー10周年の年でもあるんです。そういう節目の時期に収録する曲ということもあって,たくさんの気持ちを歌詞に込めたいと思いました。
4Gamer:
例えば,どんな気持ちでしょうか。
彩音さん:
ファンの皆さんからの声援やお手紙で,私は元気をたくさんもらっているので,それにお返ししたいという気持ちですね。誰かが“辛いな”と思っているときに,私の歌詞で元気づけられればいいなって。
4Gamer:
ファンへの恩返しだと。確かに歌詞を見ると,「その手で掴め!」「全てを抱け!」といった,力強い単語が並んいますね。
彩音さん:
ええ。今回はあえて,一人で困難に立ち向う人に向けた,力強い言葉を選んでみたんです。いつもの私だったら「掴んで」「掴もう」みたいに,一緒に頑張ろうよって感じになってたと思うのですが,バースデーライブ開催時期に書いたこともあってか,パワフルな感じになりました。この曲がちょっとでも,皆さんの背中を押してくれるなら嬉しいです。
4Gamer:
やっぱり,その時の状況や環境,気持ちが,作詞に及ぼす影響は大きいものなのでしょうか。
彩音さん:
大きいですね。これまで自分が歌詞を書いてきた楽曲を振り返ると,一曲ごとにその時の気持ちを思い返せます。私にとっての,アルバムのようなものですね。今回の歌詞だって,来年だったらきっとこうはなっていなかったし,去年でもまた違っていたはずです。「今だから伝えられるメッセージを,今伝えたい」って,いつも考えて歌詞を書いてます。
4Gamer:
歌詞の中に,いろいろな想いが詰め込まれているんですね。
彩音さん:
これが恋愛だったら,重たい女だなと思われちゃうかもしれないですけれど(笑)。
私は歌でメッセージを伝えることしかできないですし,CDだって自分の好きなタイミング出せるわけでもないじゃないですか。だから自然に,想いが篭もっちゃうんですね。
4Gamer:
では最後に,彩音さんのファン,そしてSTEINS;GATEファンの皆さんに,一言お願いします。
彩音さん:
はい。今回もまたSTEINS;GATEという作品に関わらせていただくことができました。2013年を締めくくる20枚目のシングルが,この作品のオープニングテーマ曲であることを,すごく嬉しく思っています。
また,2014年1月29日には,NEWアルバム「Luminous Flux」もリリースすることになりました。すごく気持ちを込めて歌わせていただいたので,STEINS;GATEで私を知ってくれた人にもぜひ聴いていただければと思っています。作品と合わせ,今後もぜひ応援をお願いします。
4Gamer:
本日は,ありがとうございました。
「STEINS;GATE 線形拘束のフェノグラム」公式サイト
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