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[TGS 2013]ただライセンスを提供するだけではない。Playdekから発売されるモバイル向け「天外魔境」はレッド・エンタテインメントとの合作だ
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印刷2013/09/22 19:16

インタビュー

[TGS 2013]ただライセンスを提供するだけではない。Playdekから発売されるモバイル向け「天外魔境」はレッド・エンタテインメントとの合作だ

画像集#007のサムネイル/[TGS 2013]ただライセンスを提供するだけではない。Playdekから発売されるモバイル向け「天外魔境」はレッド・エンタテインメントとの合作だ
 1989年にPCエンジン CD-ROM2用ソフトとしてリリースされ,これまでにさまざまなシリーズ作品が発売された「天外魔境」。このシリーズをモチーフにした,モバイル向けデジタルカードゲーム「天外魔境」が,2014年後半に発売されることが,東京ゲームショウ2013の初日(2013年9月19日)に発表された(関連記事)。

 これまで,さまざまなボードゲームをモバイル向けに展開してきたというPlaydek。今回,「天外魔境」をゲーム化することが決まったわけだが,アメリカのパブリッシャということで気になるのは,そもそもどこに向けて作られるゲームなのかということだ。また,どのようなキッカケで制作が決まったのか。TGS会場を訪れていた,Playdek CEO Joel Goodman氏,レッド・エンタテインメント 代表取締役社長 名越康晃氏の両名に話を聞いてみた。

 なお,今回のインタビューは短時間のうえ,欧米メディアとの合同となったため,質問できることは多くなかったのだが,海外で「天外魔境」という作品をどのように認識しているのかを知るいい機会とも言えるかもしれない。

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Playdek CEO Joel Goodman氏
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レッド・エンタテインメント 代表取締役社長 名越康晃氏


ただライセンス契約を交わしただけではない

Playbekとレッドが作る新しい「天外魔境」


――本日はよろしくお願いします。今回,「天外魔境」を使ったモバイル向けデジタルカードゲームが2014年後半に発売されることが発表されました。

Joel氏:
 よろしくお願いします。
 天外魔境は,長い間愛され続けてきたIPです。キャラクター的にも,世界観的にも,多くの要素を持っているので拡張性もあります。そんなIPを使わせていただけ,オリジナルのデジタルカードゲームとして開発できるのは,喜ばしいことです。これを機会に,天外魔境の世界を多くの人に知っていただきたいと思っています。

――天外魔境は,アメリカでリリースされていませんよね。

名越氏:
 我々は,ずっと日本で商売してきましたから,英語版になった作品は初めてですね。アメリカを舞台にした作品(※「天外魔境 第四の黙示録」)はありますが(笑)。

――ですので,アメリカでは「天外魔境」は,あまり知られていません。この日本的なIPが,欧米で興味を持たれると思いますか。

Joel氏:
 以前,「ドラゴンクエスト8」がリリースされたとき,それなりの評価を達成してます。ですから日本的なゲームでも,アメリカにはマーケットが間違いなくあると確信しています。

――「天外魔境」シリーズがどんな作品なのか,もう少し教えてください。

名越氏:
画像集#004のサムネイル/[TGS 2013]ただライセンスを提供するだけではない。Playdekから発売されるモバイル向け「天外魔境」はレッド・エンタテインメントとの合作だ
 シリーズによって,時間軸が異なっているのですが,日本の伝承,伝説をモチーフにしている作品です。ですので,一言では説明するのは難しいですね。日本向けの設定資料集などはあるのですが……。

――そうした日本の伝承をベースにした作品を,海外でどのように普及させていくのでしょうか。

Joel氏:
 それは,やはり良いゲームにするしかありません。確かに,欧米では馴染みがない世界観ですが,それはゲームの中で補足できますから,すべてのプレイヤーに,とは言いませんが,その世界観に興味を持ってくれるゲーマーは必ずいると思います。

――その方法として,過去の作品をHDリメイクすることはありますか。

名越氏:
 最近では,Xbox 360でリメイク版を日本で発売しています。ですが,HDに合わせてリメイクするのは,簡単ではありません。とくに「天外魔境」シリーズの制作当時は,HDという概念がありませんでしから。もとになるグラフィックスもそうです。そう考えると,新しい天外魔境を作るほうがいいですし,レッド・エンタテインメントとしても,新しいことがやりたいんです。

――アメリカのパブリッシャであるPlaybekが開発するということですが,日本向けにはどのようにアピールしていくのでしょうか。アメリカでは,新規IPとして迎えられそうですが,一方の日本では,いま30代後半のゲーマーに直撃するような,懐かしいIPですよね。

Joel氏:
 いまお話があったように,天外魔境は日本の30代の方が,若いときに遊んでいた作品です。ですから,個人的に天外魔境を体験している,日本のゲームデザイナーさんに制作をお願いしています。

――そうなんですか。今回の発表で,てっきりアメリカで作られる作品だと思っていました。

Joel氏:
 デザイナーさんには,日本をターゲットにした自分の作りたい「天外魔境」を作ってほしいと任せています。そして,それは質の高いゲームになると考えています。もちろん,そのゲームデザイナーさんが作られるものがどういうものなのか,Playdek側と意見のやり取りは交わしています。この「天外魔境」は,IPは日本のもので,ゲームを作るのも日本人,さらにカード化するときのデザイナーさんも日本人にお願いして,それをアメリカで作るというものなんですよ。

――なるほど。では,これから制作されていくゲームは,どんなデジタルカードゲーム作品になるのでしょうか。

Joel氏:
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 それらを固めるのは,まだこれからなのですが,TCG的なカードを集める要素を入れるかもしれません。ただ,Playdekの考え方としては,何が出てくるか分からないものを買わせる,“ガチャ”的なことはしたくないんです。

――カードをコレクションするものというと,ガチャだったり,くじだったり,カードを得る手段が必要になりますから,なかなか難しいかもしれませんね。ちなみに,この作品を作ろうと決めた理由は何なのでしょうか。

Joel氏:
 Playdekは,すでにリリースされているボードゲームのライセンスを得て,デジタル化してパブリッシングしている会社なので,オリジナルのゲームが存在していませんでした。ですから,ただパブリッシングするばかりではなく,自分達でデザインしたものを出したいと考えたんです。

――なぜ,その作品が「天外魔境」になったのでしょうか。

Joel氏:
 オリジナルゲームを作るアプローチの一つとして,著作物として成立している作品をカードゲーム化するという考えがあります。なぜなら,世界を1から起こすと,とにかく時間がかかるからです。しかし,すでに「天外魔境」には立派な世界があるのです。それを,Playdekで出したかったんです。

――「天外魔境」のどのタイトルを扱うのでしょうか。全般になるんですか?

名越氏:
 全般を使うということで話を進めています。もちろん,いきなりすべてではなく,オンラインのゲームなのでアップデートで,いろいろなシリーズをモチーフにしたグラフィックスだったり,シナリオだったりをリリースしていくと思います。
 そしてこの作品は,我々がただライセンスを提供して監修するのではなく,世界観を構築するときに必要なテキストだったり,グラフィックスの一部だったりもお手伝いすることになっています。つまりPlaydekとレッド・エンタテインメントが共同に近い形で制作するタイトルになります。

――どのような作品になるのか,続報に期待しています。ありがとうございました。

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