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「GRAVITY DAZE 2」の実機デモが披露され,開発者への質疑応答から数々の新情報が飛び出した「GRAVITY DAZEニコ生記者会見」をレポート
PS4版GRAVITY DAZEと,2016年発売予定となっている「GRAVITY DAZE 2/重力的眩暈完結編:上層への帰還の果て,彼女の内宇宙に収斂した選択」(以下,GRAVITY DAZE 2)の解説や実機デモンストレーション,開発陣への質疑応答などが行われた会見の模様をレポートしよう。
会見に登場したのは,SCE JAPANスタジオで本作の開発を手がけるクリエイティブディレクターの外山圭一郎氏と,プロデューサーの五十峯 誠氏。司会はSCE宣伝担当の北尾泰大氏とタレントの遠藤 舞さんが務めた。
まずはこの会見の翌日,12月10日に発売されるPS4版GRAVITY DAZEが紹介された。2012年にPlayStation Vita用ソフトとして発売された作品をPS4へと移植した本作。グラフィックスは高精細化されただけでなく,60fpsで滑らかに動くようになり,独特の「重力アクション」をさらに美しく楽しめるようになっている。
PS4版は,PS Vita版でDLCとして配信されたサイドストーリーや主人公キトゥンのコスチューム3種を最初から収録。さらに,本作の開発に使用された資料やキービジュアルなど,計600点以上のコンテンツを閲覧できる「ギャラリーモード」を搭載している。
続いて,このPS4版とGRAVITY DAZE 2の発売にあたり立ち上がった「GRAVITY DAZE PROJECT」の続報が紹介された。
まずはソニーのウォークマン「『NW-A25HN』(16GB)GRAVITY DAZEコラボレーションモデル」の発売だ。タイトルロゴとキトゥンのシルエットがあしらわれたこのコラボモデルには,GRAVITY DAZEのオリジナルサウンドトラック全47曲がハイレゾ音源としてプリインストールされている。これに合わせて,ステレオヘッドホン「『MDR-100A』GRAVITY DAZEコラボレーションモデル」の同時発売も決定。五十峯氏は「聴き慣れたサウンドなのに,ハイレゾで聞いてみたら『うわっ!』と思わず声が出るほどの衝撃を受けた」と絶賛していた。
GRAVITY DAZEのスペシャルアニメーションが制作されることも発表された。ゲームのGRAVITY DAZE 2では前作の数か月後が描かれるが,この間に何が起きたのか,ファンのみならず開発陣も知りたいと思い,補完の手段として,以前からやってみたいと思っていたアニメを選択したという。
具体的な名前こそ明かされなかったが,国内の優秀な制作会社と組んでいるとのこと。気になるオンエア時期は,GRAVITY DAZE 2の発売前にするか,それとも後にするかといったことも含めて現在調整中とのことなので,続報を待ちたい。
続いて,いよいよGRAVITY DAZE 2の実機デモが初公開となった。本作はストーリー的続編というだけでなく,重力アクションという仕様のすべてを飛躍的に向上させているという。外山氏は「GRAVITY DAZEという作品の完成版」と自信を見せた。
本作をひと言で表す言葉として紹介されたのが「LIVELY EXPERIENCE」。舞台となる街やキャラクター,アクションなど,すべてが躍動感・生命力に満ちあふれ,激しく鮮やかなものになるという本作の方向性をそのまま表し,同時に現在の日本のゲーム制作における閉塞感を打ち破るという意味も込められているという。
GRAVITY DAZE 2では,その「LIVELY EXPERIENCE」にもつながる「生きている街」というコンセプトを早い時期から打ち出している。前作の舞台がヘキサヴィルという欧州的で黄昏れた都市だったのに対し,本作ではジルガパララオという南米や東南アジアなどの雰囲気を持った,色鮮やかで猥雑な活気にあふれる街が登場する。
「生きている街」を表す演出として,街が波間を漂うように動いているようなこともあり,ときには街そのものが巨大な敵として登場することもあるそうだ。
さらなる新要素として紹介されたのが,重力アクションを使ったバトルをもっと幅広く遊びたいというプレイヤーの要望に応える「アトリビュートチューン」というシステムだ。
これは重力特性を変化させるキトゥンの新しい能力で,従来のもの以外に,「ルーナチューン」「ユピトールチューン」という,異なる強さの重力モードを切り替えられる。
ルーナチューンは重力を弱めるもので,体が軽くなり,重力アクションに必要な「重力エナジー」を消費せずに高速移動や大ジャンプが可能になる。また,攻撃に使うキックも,短いワープを繰り返して繰り出すホーミング性の強い「ワームホールキック」となり,敵を狙いやすくなる。
ユピトールチューンは重力を強めるもので,動きが鈍くなる代わりに攻撃力が大幅にアップ。キックは「重力波動キック」になり,パワーを溜めて繰り出せば周囲の敵を巻き込んで倒せる。さらにガード能力も上がるので,敵からの強力な攻撃をガードし,そこから反撃ができるようにもなるとのことだ。
このように,前作から大幅にアクションの選択肢が増えているのである。
そして本作では,前作でのライバル,クロウがパートナーになってくれる。プレイヤーであるキトゥンをアシストして,必殺技を同時に放つなど,重力アクションをさらに多彩にしてくれるようだ。
クロウとの共闘時は,前述のアトリビュートチューンも反映され,キトゥンのモードによって,クロウも異なる攻撃を使うようだ。
クロウだけでなく,前作に登場したメインキャラクターはほぼ登場し,さらに新キャラクターも追加されるとのことだ。
ストーリーは,キトゥンがヘキサヴィルにて謎の都市消失事件に巻き込まれて異次元に飛ばされ,重力操作能力を失い,辺境の集落で過酷な労働生活を送っているというシーンから始まるという。もちろん今作でも彼女の成長が描かれることに変わりはないそうなので,心配になったファンも安心してほしい。
実機デモでは「写真モード」も紹介された。これはプレイヤーが街中で自由に写真を撮影して,それをフレンドなどと共有できるもの。単純にスクリーンショットを撮るだけでなく,写真モード専用のオブジェクト「フォトアイテム」を自由に配置し,景観を作り替えて撮影できるのがポイントだ。撮影用にポーズを付けることもでき,さまざまなフィルターも用意されるようなので,凝った写真が撮れそうだ。
また,宝箱が隠された場所をフレンドに教えるなど,非同期型のコミュニケーションツールとして使えることも紹介された。
また,番組中で視聴者から募集したアイデアが,このフォトアイテムとして採用されることも明らかにされた。番組の後半では,「逆さまの男」という像が採用されたことが発表され,開発チームが作りあげたモデルも披露された。
デモが終わったところで,メディアやプレイヤーからの質問に外山氏,五十峯氏,北尾氏が応える質疑応答のコーナーに。その模様を一問一答の形でお届けしよう。
――GRAVITY DAZE 2のフィールドは,どのぐらいの広さがあり,どのぐらい遊べるものなのでしょうか。
外山氏:
前作と比べてざっと2.5倍の広さがあります。さらに背景自体が動くといったギミックもありますので,密度もかなり高くなっていると感じていただけると思います。
――街の雰囲気や空の明るさなど,前作とはかなり異なっていますが,それが変わった経緯を聞かせてください。また,異次元の世界はありますか?
外山氏:
前作の街の雰囲気はフレンチコミックの影響がストレートに出ていて,フランスをはじめとするヨーロッパ的な建物が多くありましたが,この2ではパノラマ感やグローバル感を強調したいというコンセプトのうえで,青い空と白い雲が広がる見通しのいい世界を選びました。またPS4ということで,光源処理との相性なども考えたうえでの設定です。そして,異次元の世界は今回も存在しています。
――前作では,コミック調のイベントシーンが特徴でしたが,こちらに何かしらの変化はありますか。
外山氏:
前作のコミックデモは,本作のテンポにも合っていると考えて,引き続き採用しています。ボイス演出を若干強化していますが,テンポが落ちてしまう心配はありませんのでご安心ください。
――戦闘時以外にクロウと一緒に飛び回ったり,あるいはクロウを操作したりといったことは可能ですか。
外山氏:
戦闘時以外にもクロウと一緒に行動することはありますが,基本的にはストーリーの中での関わりです。アバター的にいつでも呼び出せるような存在ではありません。
キトゥンの物語に注力して開発していますが,クロウを操作したいという要望は非常に多くうかがっていまして,そこはチームとして重く受け止めているというところです(笑)。
――この2で初めてプレイするという方も楽しめる仕様なのでしょうか。また前作をプレイしていることでより楽しめる要素はありますか。
外山氏:
舞台もキトゥンの立場も変わっているので,2からプレイしていただくことはもちろん問題ありません。とはいえ,前作のキャラクターなども多く登場していまして,彼らのバックボーンなどを知っていることによって,よりストーリーを楽しめますので,ぜひ今回のPS4版GRAVITY DAZEからプレイしていただくと嬉しいですね。
五十峯氏:
PS4版GRAVITY DAZEのセーブデータとの連動も予定しているので,より楽しんでいただけるのではないでしょうか。
――フォトモードでダスティ(猫の姿をした謎の生命体)の写真をたくさん撮りたいのですが。
外山氏:
ダスティを撮ることはまだあまり考えていませんでしたが,確かにそれは撮りたいですね。ちょっと考えることにします。
――そうして撮った写真の共有はどのようにして行うのでしょうか?
外山氏:
ゲームの世界の中に「フォトゴースト」というシステムがあります。街中を歩いていると,写真を撮っている半透明のアバターがいて,そこにアクセスするとフレンドが撮影した写真などを見ることができて,それを評価すると互いにいいことがある,といった仕掛けです。もちろんTwitterなどのSNSで共有することも可能です。
――写真共有以外のオンライン要素はありますか。
外山氏:
写真以外にも,宝箱の場所を共有したり,タイムアタックミッションのゴーストを挑戦状としてフレンドに送って疑似対戦するといったこともできます。それ以外にもいくつかの要素を用意していて,追って発表していく予定です。
五十峯氏:
クリア後に長く遊んでいただく要素として,オンラインを使わせていただく予定もあります。
――それらはフレンド以外の相手でもできるんでしょうか。
外山氏:
とくにフレンドで縛ることはない仕様の予定ではいますね。
――ゲームのボリュームはどのぐらいになりそうですか。
五十峯氏:
前作はメインストーリーを通してプレイすると20〜25時間というところでしたが,当然それ以上のボリュームはあると思います。
外山氏:
前作でプレイヤーのみなさんから,クリア後にやることが少なくて残念だという声がありましたので,やり込み的な仕組みは用意させていただいています。
また前作では本筋から離れたコメディ的なエピソードなどがDLC以外でやり切れなかったので,本作では本編以外にも50前後のミッションを入れる予定です。
――サウンド関連で注目してほしい点はありますか。
外山氏:
サウンドは前作に引き続き田中公平先生にお願いしています。舞台が変わりましたし,前作以上の幅広いグローバル感で,本作ならではの世界を作っていただきました。前作もそうでしたが,何か特定のジャンルや地域の音楽に限定せず,郷愁を誘いつつも,世界のどこにもない音楽を,田中先生とともにこだわって作っています。
――先ほどボイスを強化しているというお話がありましたが,具体的にはどのように強化されているんでしょうか。
外山氏:
本作でとくに強調しているのが,インタラクティブの中でのボイスの演出でして,例えばクロウとの共闘中に掛け合いが入るなど,自然な形でボイスが入るようになりました。
――セリフはやはり日本語ではないんですか?
外山氏:
はい,GRAVITY DAZEでは,特有の言語を用意することで,遊んでいる方の想像の余地を残しているので,そこは本作についても同様です。
――2のサブタイトルに「完結編」とありますが,やはりキトゥンの物語はここで完結するんでしょうか。
外山氏:
はい,完結します。前作は,最初に書き下ろしたストーリーの途中で一段落,というところで終わっていまして,そこで解けていない謎や伏線などはプレイヤーのみなさんも気になっていたところだと思います。そこをクリアするということを提示したく,完結編というサブタイトルを付けさせていただきました。
――この世界をPlayStation VRなどで体験できたらすごいなと思ったんですが,そういった考えはありますか。
外山氏:
まず言っておきますと,本作がVRに対応するということは今のところありません。ただ実は開発中に,VRのテストキットで動く状態にしてみようという機会がありまして,それを試したときは,現実では体験できない体感的な感動を得られたので,本作の仕様で実現するのは難しいとしても,いずれ何らかの形でやれたらいいですよね。
――この生放送も含めて,プロモーションに力を入れているという印象を受けました。
北尾氏:
PS4版に関してですが,リマスター作品でこのように大がかりなプロモーションをするのは珍しいことなんです。3年前に外山がPS VitaのGRAVITY DAZEを,10年20年経っても色あせないゲームとして作ったということで,それをまだ体験していない方に触れてもらいたいと思い,SCEJAとしてこのようなプロモーションをさせていただきました。
もちろんこの流れは,来年のGRAVITY DAZE 2にもうまくつなげていきたいと考えています。
――「2」の開発進捗度はどのぐらいでしょうか?
外山氏:
今デモで見ていただいた本作のキーになるシステムやギミックの基礎は完成していて,今はそれの量産期に入っています。現状の数を考えると30〜40%というところになりますが,どんどん作り込んでいますので,ご期待いただければと思います。
――発売が2016年とのことですが,2016年のいつ頃なのか教えていただけますか。
外山氏:
今お話した進捗ですと,少なくとも2016年1月ではないと思います(笑)。
五十峯氏:
いつかはまだ言えませんが,来年はPS4の年と言えるぐらい素晴らしいタイトルが揃っていますから,その波に乗れるタイミングを狙って,一緒に盛り上げていきたいですよね。
――外山さんのトレードマークともいえるハンチング帽の中に,一体どんな考えが詰まっているのか知りたいのですが(笑),このGRAVITY DAZEも含め,ゲームを作るにあたってのインスピレーションがどのように湧いてくるのか,聞かせてください。
外山氏:
難しいですね(笑)。僕はどちらかというと何かアイデアをひねり出すというよりは,いつの間にか溜まっているということが多いです。何か日常のふとしたことで思いついたことが自然に溜まっていて,紙を目の前にするとその溜まっていたものがスッと出てくるイメージですね。あまり綺麗な言葉で説明できなくてすみません(笑)。
――前作のネコのコスチュームが好きだったのですが,2でもコスチュームは変えられますか。また,ハロウィンには新しいコスチュームをDLCで出してほしいです。
外山氏:
コスチュームについては前作以上にたくさん用意する予定ですので,ご期待ください。ハロウィンは正直考えていませんでしたが,まだ時間はあるので,善処したいと思います。
――GRAVITY DAZE 2でDLCは配信されますか。
外山氏:
DLCはもちろん考えています。今言えるのは,前作とはまた違った切り口の面白いものを考えているということだけですが,今後の発表をお待ちください。
――GRAVITY DAZE 2発売のときは,今回のような放送をやる予定はありますか。
北尾氏:
今回27時間なので,2となればやはり54時間でしょうか(笑)。どんなものになるかはまだ分かりませんが,開発チームが付き合ってくれるならば,今回のようにみなさんがビックリするようなことをやっていきたいですね。
質疑応答は以上となる。最後に外山氏は「GRAVITY DAZE 2は,自分のこれまでのゲーム制作人生の集大成になるような意気込みで挑んでいます。また,2をより楽しんでいただくために,PS4版GRAVITY DAZEからおつきあいいただければと思っています」と挨拶して,会見を締めくくった。
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