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シューティングゲーム開発者達のぶっちゃけトークに会場は大盛り上がり。声優陣やトップスコアラーも駆けつけた,「カラドリウス祭り2014」レポート
8月28日に発売となる同作の魅力をアピールするべく,イベントではゲーム対決や声優トークショー,ライブ演奏といった多彩なプログラムが用意され,入場無料ということもあって大勢のゲームファンが来場した。ここでは,その模様をレポートしていく。
イベント開始前にはカラドリウス ブレイズの体験プレイができた。発売前とあって,多くの来場者が内容を吟味するかのようにプレイをしていた |
司会進行を担当したのは,カラドリウスシリーズのディレクター星野 仁氏(右)と,ゲーム中でセシリア役を担当する声優の中村豆千代さん。少し天然(?)な中村さんに星野さんがツッコミを入れる,息のあったトークでイベントにアクセントをつけていた |
「カラドリウス ブレイズ」公式サイト
ゲスト声優によるトークショー
イベントは凄腕シューターの太菱(ふとびし)氏による実演プレイから幕を開け,新要素であるエボリューションモードや,シンクロプレイが披露されていった。「人生的にソロプレイヤーな人でも,これを使えば寂しくありません」と星野氏が冗談めかして説明したシンクロプレイだが,1人の操作で2人分の自機を操作できる(しかも2P側は無敵)という遊びは,シューティングゲームが苦手な人や,2人プレイで変化するシナリオを全部見たいというライトなプレイヤーも満足させる新発明といえるだろう。
イラストレーター・ヤスダスズヒト氏がデザインするキャラクターが魅力的な本作だが,この日はそのキャラクターに命を吹き込む声優陣として,井澤詩織さん(マリア・テレーゼ・ブルームフィールド役),笹本菜津枝さん(アイラ・ジェナ・パルシオン/レイズ・ナージェ役および主題歌アーティスト),山本 綾さん(リリスの悪夢役)が登場。
アフレコ時の苦労話や初披露のエピソードをトークショー形式で語っていった。
「正直PS3版が出ると思っていましたか?」との最初のテーマに対して井澤さんは,「星野さんはXbox 360とPS3で出ますと言ってましたよね!」と,最初からぶっちゃけトークを展開。これには星野氏も額に汗しつつ「社長の駒澤には(PS3版についての)コンセンサスを取っていなかった(苦笑)」と,今だから話せる逸話を披露。しばらくPS3版発売の様子がないことに,声優陣はハード名を聞き間違えたかと思っていたそうだ。
続いてのテーマは「最初の収録から2年半が経過していますが,追加収録で苦労したことは」。井澤さんは「以前よりかわいい声が出せるようになってヨッシャやったるぞと思ったら,指示は“地味な声でいいです”」,笹本さんは「当時のディレクションでは“とにかく低い声で”と言われて苦労したので,今回頑張って挑んだら“低すぎです”と言われました」と,キャリアを積んだことが逆に仇になったと告白。
一方で山本さんは「リリスはギャーハッハッハといった笑い声が多くて,比較的ツルッと終わりました」と発言。ただし控室ではリリスの練習を目撃され「なんかヘンな人がいる」と警戒されてしまったのだとか。
次のテーマは,限定版特典のドラマCDについて。「殺伐とした本編と違ってほのぼのしたシナリオなんですが,収録はやりやすかったですか?」との星野氏の問いに対しては,「本編と全然テンションが違うので心を入れ替えて挑みました」(笹本さん),「別収録だったんですけど,掛け合いがうまくいっている」(井澤さん),「会話になるのかと思ってましたけど,リリスはあくまでもリリスです!」(山本さん)とそれぞれに感想を披露。
星野氏によると,一番アドリブを入れていたのは中村さんだったのことなので,入手した人はそのあたりにも注目して聞いてみるといいかもしれない。
「自分の声を聴くのに頑張ってゲームをプレイするんですか?」というテーマでは,「近くにじょうずな人がいたら“私のキャラクター出してもらっていい?”とお願いする」(山本さん),「自分はヘタなので,ダメージを受けているかわいそうな声ばかりでかわいそうな気持ちになる」(井澤さん),「焦って自分の声を聴くどころじゃない!」(笹本さん)とそれぞれ異なるスタンスで回答。
3人が収録時の様子を語った場面では,「敬語をしゃべるキャラクターを演じる機会がほとんどない」(井澤さん),「もうちょっと棒(演技)でお願いしますと言われてしまった」(笹本さん),「収録で笑う演技をやりすぎて,腹筋がつりそうになった」(山本さん)と,それぞれに取っておきのエピソードを披露し,来場者を多いに沸かせたままコーナーを終えた。
業界の未来を憂う発言に来場者がうなったシューティングゲーム座談会
続いてのコーナーは「緊急座談会 生き残れ!次世代シューティングゲームを考える」と銘打たれた,シューティングゲームに携わる名士達5人によるトークセッションだ。ちょっと趣向を凝らして,質問ごとに○×のプレートをあげて,それに対して星野氏がツッコミをいれていくスタイルでとり行われた。
最初のお題は「正直次世代機でいちばん興味があるのはプレイステーション4だ」というもの。サードパーティにとってはなかなかにデリケートな質問だが,これには,サカリPが○,Xbox Oneへの参入を表明している米沢氏と藤野氏は×を上げた(セガのALL.Net P-ras MULTI担当である宇野さんは,個人的な意見として○)。
サカリPは「MAGES.社内的には元ケイブの浅田 誠氏がXbox Oneの担当で,僕はPS4だから。でも個人の立場としては家庭用ゲーム機に頑張ってほしいので,どちらも興味がある」と素直な心境を熱っぽく吐露。その勢いのまま,マルチプラットフォームタイトルに発売順が生まれるのかについて説明を行った。
サカリPいわく「理想として両ハード同時リリースがやりたいが,マンパワーが足りないなどの理由で難しい。また傾向として,マイクロソフトさんは新作タイトルを欲しがり,SCEさんは追加要素を欲しがる。すると必然的にXbox→PSという順番になる」と,その理由を説明。こうした状況には,氏自身も疑問を感じてはいるものの,両プラットフォームにタイトルを提供することを考えると,こうせざるを得ないのだという。ただ,サカリPは「Microsoftさんに対し,先行でなくても発売できるようにしてはどうかと意見している」とも語っていたので,今後は変わるかもしれない。星野氏もサカリPの話に同意していたようなので,期待しておこう。
いずれにせよ,大人の事情が垣間見えるぶっちゃけトークに,会場の観客達も大きく納得していたようだった。
2つ目の質問は「アーケードにはしばらく新作が出ないと思う」。これに×のプレートを掲げたセガ・宇野さんからは「カラドリウス ブレイズをアーケードに戻してくれるんですよね?」というお願いがなされた。
そんな中で来場者を驚かせたのは,同じく×を上げた藤野氏の「だって(新作を)作ってるんだもん」という爆弾発言。具体的な内容こそ明かしはしなかったが「トライアングル・サービスは,元々ゲームセンターのシューティングゲームを作るために設立した会社。作らないなんてことはありえない」と宣言し,大喝采を浴びていた。
続くキュート米沢氏は「さきほどセガ・宇野さんとご挨拶しましたので興味はあります」と含みを持たせるにとどめたが,サカリPは「僕は元々アーケードを作っていたのでリリースはしたい。が,旧態依然のままではキビシイので,例えばメーカーの垣根を超えたネットランキング機能といった業界全体を巻き込んだ仕掛けが必要だろう」と持論を展開した。
また,藤野氏から星野氏へ「25周年になる雷電はなにかやらないんですか?」との逆質問が飛び出し,これに星野氏は「ずっとアーケードで展開してきたブランドなので出さなくてどうすると個人的には思うが,まずは今作っているモノを完成させろという話ですよね」と回答。既成事実化を狙ったかのような発言は,これまた来場者の体温を高めることとなった。
「若い人にシューティングゲームの話をしても,分かってもらえなくて悲しいことがある」という質問に「そもそも若い人とシューティングの話をすることがない」と語った藤野氏を皮切りに,「新入社員が3WAYショットを知らない」(星野氏),「会う人が“最近のシューティングゲームは難しくてできないんですよね”と先に壁を作ってしまうので」(サカリP)と,場内は一度暗めのトーンとなったが,「同人のシューティングゲームに負けていると思うことがある」という質問には,全員一致で×のプレートを出して会場を盛り上げた。
これは,藤野氏が「会社を背負うということは腹のくくり方が違う」と語ったように,各人がプロとしてのプライドを持って制作に取り組んでいる証明でもある。だがセガ宇野氏によれば「仕事柄同人タイトルの製作者と会うことがありますけど,みんなプロじゃないですか」とのことで,つまり“同人の皮をかぶったプロ”が多いのが現状というわけで,プロと同人の境界が曖昧になっている現状が指摘された。
こうして熱い議論が交わされた座談会。シューティングゲームを取り巻く現状は難しいが,そこで諦めずに知恵を絞っている人達のメッセージを,最後にお届けしておこう。
サカリP「MAGES.という会社でシューティングやアクションなど自分の好きなモノを作っていますが,それが皆さんに僕らの思いをうまく伝える手法だと信じて作っています」
米沢氏「キュートは最近になってシューティングを作り始めた珍しいメーカーですけど,まだまだシューティングを出したいし,出してほしいと思っています。Xbox One用シューティング『ナツキクロニクル(仮称)』を来年発売に向けて開発中なので今後の情報に期待してもらえればと思います」
藤野氏「Xbox Oneで新作シューティングを出すと発表していますが,モスさんは25年続いている雷電シリーズの新作を開発中だし,キュートさんは実直にHD機用のシューティングを作っている。そういう人達と同じ土俵に立てるのはすごくうれしい。僕も頑張ります」
宇野さん「シューティングゲームにかける皆さんの高尚な気持ちに対してジャンル違いで申し訳ないのですが,8月30,31日にはセガ主催のJAPAN GAMER'S LIVEという複数タイトルのイベントを行います。今回シューティングゲームは入っていませんが,このイベントが成功すれば,将来シューティングゲームの大会も行えるかもしれないので皆さんご協力お願いします」
熱いギターサウンドで盛り上がった「リブストロー Basiscape Band」ライブ
続いての演目は,カラドリウスシリーズの音楽を担当している“リブストロー Basiscape Band”によるライブ演奏となった。各ステージのBGMのメドレーに加え,カラドリウス ブレイズ用の新曲もバンドアレンジされて初披露。ギターを担当する工藤吉三氏の熱いリフと癒やし感満点のギャップトープに,来場者は熱狂。さらに,笹本さんを加えた主題歌までもが披露され,大きな盛り上がりを見せた。
<演奏曲目>
- 01.Uncanny Playground〜Valley Of Salvation〜Ominous Eclipse(メドレー)
- 02.Aerial Circuit
- 03.Silver Flames〜Wings Of Fate
- 04.終焉の交狂曲≪シンフォニア≫
ラストには,笹本さんをボーカルに加えて主題歌「終焉の交狂曲≪シンフォニア≫」を披露。工藤氏の奏でるギターの音色と笹本さんの伸びのある歌声が,見事なアンサンブルを響かせた
2人のスーパープレイヤーが変則ルールで対決!
イベントの大トリを飾ったのは,数々のシューティングゲームで全国一位のスコアを叩き出す太菱氏と,カラドリウス ACの全一スコアラーであるKTN-ほむら氏による公開対決コーナー。ただしそのルールは変則的で,対戦相手の使用キャラクターをお互いが指定してシンクロプレイにて戦うというもの。キャラクター(=使えるエレメントシュート)の能力で大きくスコアが変わるだけに,どのキャラクターを使わせるかが対戦に響いてくるゲーム性の高いルールということだ。
いざ対戦がスタートすると,横並びでの公開プレイという慣れない環境もあってか,KTN-ほむら氏が2連敗。太菱氏がリーチとなるも,KTN-ほむらはブレイズの新ステージとなる「エクスターナルステージ」を選択して接戦の末に1本を取り返し,場内を沸かせる。続く4試合目では,ボムを使う安定プレイに徹した太菱氏と,果敢にスコアを攻めるKTN-ほむらという図式となったが,ここでKTN-ほむら氏は痛恨のゲームオーバー。結果3勝1敗で,太菱氏が勝利となった。
イベントの最後には,出演者による大抽選会が行われ,直筆サイン色紙やスタッフTシャツ,直前の対決で使われた“羞恥ブレイク”ポスターなど,レアな商品がラッキーな当選者へとプレゼントされた。
締めとして登壇したモス社長の駒澤敏亘氏は「8月28日にPS3でカラドリウス ブレイズが発売できるのは,遊んでくれるみなさんのおかげです。今日はライブ,座談会,声優の皆さん,そして開発スタッフと,関係者の協力があってイベントが無事に行えました。今後もモスはシューティングゲームを作り続けていきたいと思いますので,よろしくお願いします!」と語り,来場者の大きな拍手に包まれたまま,イベントは幕を閉じた。
「カラドリウス ブレイズ」公式サイト
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