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「1964 TOKYO VR タイムマシン体験会〜2018年・夏」をレポート。萩本欽一さんがPlayStation VRで1964年の渋谷駅前にタイムスリップ!
発表会ではではプロジェクトの代表理事を務める土屋敏男氏(日本テレビシニアクリエイター)と,齋藤精一氏(ライゾマティクス代表)が登壇し,その内容と進捗について解説した。
2017年10月に発表された「1964 TOKYO VR」プロジェクトだが,現在はその第1弾として「1964 SHIBUYA VR」が渋谷区や東急電鉄,パスコの協力のもと開発中だ。当時の空撮写真などから視差情報や陰影,コントラストなどを解析して3Dモデルを作り出す「フォトグラメトリー」という技術によって,渋谷駅周辺800m×500mエリアの3Dモデルを生成。さらに一般から募集した当時のスナップ写真から,より詳細なモデルとテクスチャを制作するという過程を経て,当時の景観や街並みを3DでVR空間上に復元している。
1964 TOKYO VRでの3D化はこの渋谷駅を基点に,表参道,神宮前,青山一丁目,国立競技場,丸の内,銀座を範囲としている。これは1964年の東京オリンピックで聖火が通ったルートをたどるものだ。
この1964 TOKYO VRは未完成の部分がほとんどで,渋谷駅周辺も30%程度の完成度なのだという。写真がないところは白い建物のままで,それを補完するための写真を一般・企業を問わず広く募集中だ。とくに渋谷周辺の写真を重点的に募集していて,渋谷区の出張所や区民サービスセンターに専用の受付が設置されているほか,公式サイトからも投稿を受け付けている。たまたま渋谷で撮影したスナップ写真や,家族で撮った記念写真なども重要な資料となるとのことだ。
ここで壇上には,当プロジェクトの賛助会員第1号の“欽ちゃん”こと萩本欽一さんと,渋谷区長の長谷部 健氏が登場し,1964 TOKYO VRをPlayStation VRにて体験した。
萩本さんは土屋氏に「面白いことをやるので,賛助会員になってくれ」と頼まれて会員になったが,その内容を知らなかったとか。「それはいい! と思って会員になったわけではございません」と続け,来場者の笑いを誘った。
一方,長谷部区長は,写真を提供してくれたシニア世代の人達がVRで渋谷の街を体験して,驚きつつも懐かしんでいた様子に好感を持ったことを伝えている。
体験を終えた萩本さんは「見ようと思っても見られないものを見られて,懐かしい気分になった」とコメント。また降壇後も「1964年の写真じゃなきゃダメなの? 1965年の写真を持ってる方はどうしたらいいの?」と,賛助会員としてのツッコミを入れ,「1964年から前後10年程度なら大丈夫です」と返答した土屋氏と齋藤氏に対し,「別にちょっと新しめの写真でもいいじゃない。その中から『俺に任せろ』ぐらいの気持ちで選別するぐらい,仕事を広げようよ!」とダメ出しをすると,会場からは大きな拍手と笑いが巻きおこった。
記者会見終了後の体験会では,Vive Pro+バックパックPCと,PS VR+PlayStation 4 Proによる1964年の渋谷の街歩きを体験できた。
Vive Proは2人1組のツアー形式になっていて,当時の渋谷ハチ公前から西武百貨店150m上空,渋谷駅東口,宮益坂下,道玄坂下,建築中の渋谷駅前ビル屋上と回って,最後にハチ公前に戻ってくるコースだ。当時のハチ公像はスクランブル交差点のほうを向いていて,その周囲はかなり広く,噴水などがあり,当たり前だが現在との違いを発見できた。また,現在は渋谷ヒカリエが建っている場所にあった東口の東急文化会館や,東急線ホームのかまぼこ屋根,現在はQFRONTが建つ場所にあった峰岸ビルなど,昔の渋谷を知っている人には懐かしい建物も見えていた。
PS VRのほうも同じ街並みを体験できるが,こちらはコントローラで自由に移動ができるようになっていた。
自由に動き回れるので,センター街や宮益坂の上のほうへも行けたが,まだ完成していないところだと,さすがに臨場感は今一つ。このあたりは写真が揃うことで再現されていくはずなので,今後に期待したい。
このVR体験は,8月に写真提供者に向けた体験会が行われ,その後も定期的に開催される予定だ。現状は2020年の東京オリンピックまでに渋谷周辺を完成させることが目標とのことだが,VRコンテンツとして完成させるためにはとにかく写真が足らない状況にあるという。1枚でもいいので,自宅の押し入れなどに眠っている写真を提供してほしいとのことだ。
「1964 TOKYO VR」公式サイト
- 関連タイトル:
PlayStation VR本体
- 関連タイトル:
Vive
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