プレイレポート
名作はスマホで遊んでも名作だった。スマートフォン版「ドラゴンクエストV 天空の花嫁」インプレッション
本作は,2014年4月より配信されているスマホ版「ドラゴンクエストIV 導かれし者たち」(iOS / Android 以下,ドラクエIV)から始まる“天空シリーズ”(IV,V,IV)の2作目にあたるタイトルだ。スマホ版ドラクエIVをプレイし,天空シリーズの続編にあたる本作の配信を,待ちわびていた人も少なくないだろう。
本稿では,そんなドラクエVのインプレッションをお届けしよう。
「ドラゴンクエストV 天空の花嫁」公式サイト
iOS版「ドラゴンクエストV 天空の花嫁」ダウンロードサイト
Android版「ドラゴンクエストV 天空の花嫁」ダウンロードサイト
タッチ操作は慣れるまで少し大変
コツを掴んで快適に遊ぼう
まずは,スマホ向けゲームといえば気になる要素,操作性/インタフェースの部分から見ていこう。本作は,スマホ版ドラクエIV(関連記事)と同様,画面下部に表示されたバーチャルパッドで操作を行うことになる。
バーチャルパッドは十字キー型ではなく,アナログスティックのような形をしており,中央の“点”をドラッグ操作することで8方向の入力を認識してくれる。
また,その“点”は決定ボタン(DS版のべんりボタン)としても使用可能。感覚としては,PS3のアナログスティックの押し込み([L3]ボタン / [R3]ボタン)が決定ボタンになっているようなイメージだ。
初期設定ではバーチャルパッドが画面下の中央に配置されているが,これはフィールド画面の「←→」ボタンで画面下の左右に変更可能だ。加えてバーチャルパッドの大きさも「せってい」から変更できるので,自分が操作しやすい環境を構築できる。
肝心の操作感だが,正直に言うと第一印象はあまり良くなかった。バーチャルパッドの反応がやや過敏で,慎重な操作を要求されるシーン(落とし穴を避けて歩く場面など)では,誤操作で失敗することもあり,ゲームパッドでのプレイと比較すると,さすがにストレスを感じてしまう。
しかし,5〜6時間も遊んでいると,バーチャルパッドでの操作が手に馴染んできて,プレイ時間が2桁に達した頃には完全に慣れてしまった。コツは“直線的に歩くこと”と“方向転換する際は指を一旦離すこと”で,これを覚えてしまえば,何時間でも快適にゲームを楽しめる。
さらに,もう1点。本作を遊ぼうと考えているプレイヤーには,より快適にゲームを楽しむために,爪を切ることをお勧めする。深爪をする必要はないが,指を画面に対して垂直に立てる感じでプレイすると,驚くほど誤操作が減るのだ。筆者の場合,親指の腹で操作するよりは確実に操作しやすかったので,どうもうまく遊べないという人は一度試してみてほしい。
あらゆる年齢層が感情移入できる
親子3代の波瀾万丈ストーリー
続いては,ゲーム内容についても紹介していこう。まずはストーリーについて。オムニバス形式で物語が進行したドラクエIVから打って変わって,本作では徹底して主人公だけに焦点があてられた,(シナリオの目線としての意味合いで)一人称的なストーリーが描かれる。
父親と共に世界を旅する少年時代から始まり,成長した主人公が自らの意志で世界を駆け回る青年時代を経て,最終的には自らの子供と肩を並べて戦う……という親子3代にわたるひとりの“人生”が,たっぷりと描かれるのだ。
ゲーム開始直後の少年時代。行方不明になった母を探す父・パパスと共に,世界を旅する |
青年となって自立した主人公が,父の志を引き継いで母を探すことになる。旅の途中で,主人公が人生最大の選択を迫られるのはこのパートだ |
自らの子供と共に魔王の脅威に立ち向かう最終章。子供は息子と娘の2人がいるので,親子だけでパーティーを組める |
ヒロインとして登場するのは,器量の良い幼馴染のビアンカと,良家の娘である清楚なフローラ,勝気で型破りなツンデレキャラのデボラ,という3人の女性。これが絶妙なラインナップで,多くのドラクエファンは「絶対ビアンカを選ぶべき」「いや,フローラだ」「むしろデボラがいい」と,ことあるごとに議論を繰り広げており,別ハード版を何度かプレイしているにも関わらず,筆者もあらためて苦悩させられてしまった。
そして,悩んで決めたぶんだけ,その後のストーリーが面白くなっていくのも重要なポイントだ。これから初めて本作を遊ぶ人は,ぜひ主人公になりきってゲームを進め,“人生最大の選択”に挑んでほしい。
システム面の快適度は高水準
再確認の削減でより快適に
お次はシステム面について解説していこう。本作の特徴的なゲームシステムといえば,のちのシリーズにも受け継がれ,モンスター育成RPG「テリーのワンダーランド」の基礎となった「モンスターを仲間にできる」システム(明確な名称はない)だろう。
基本的な仕組みは,以降に採用されたシステムよりもシンプルだ。条件(馬車の所有/モンスターじいさんとの会話)を満たしたうえで,戦闘で特定のモンスターを倒すと,一定確率で仲間になってくれるというもの。
なお,こちらの記事で紹介したように,モンスターが仲間になりやすくなる新アイテム「モンスターブローチ」が手に入るアイテムコードが,2015年1月1日 23:59までの期間限定で配布中だ。コードを入力するためには,物語を青年期以降まで進めておく必要があるので,ゲームの進行度合いと配信期間には注意をしておこう。
冒険やバトルに関するゲームバランスも良好だ。移動系呪文(ルーラなど)のMP消費が1に減少しているなど,スマホ版ドラクエIVからの変更点は本作にも適用されており,バランス面でストレスを感じる要素は少ない。
また,以前のスマホ版ドラクエIVで用意されていた“再確認”の要素は一部削除されており,戦闘のテンポが向上している点も見逃せない。設定でのON/OFF機能はないが,地味ながらも良い変更点と言えるだろう。
無料で遊べるゲームが多数配信されているスマートフォンアプリ市場の中で,1800円(税込)という値段設定は高く感じられるかもしれない。しかし,本作はその金額を出すだけの魅力を確実に秘めている。
過去の名作映画を観ると「自分はこれまで,なぜこんな良い映画を観ていなかったのだろう」という気持ちになることがあるが,本作を初めてプレイした人も,それに似た感想を抱くのではないだろうか。
「年齢に関係なく誰でも楽しめる作品」というキャッチコピーはありふれているが,それを正しく実現しているタイトルは一握りだ。筆者は今さらながら,本作がその“一握り”の中でもとくに優れた作品であることを,強く実感させられた次第である。本作に懐かしさを感じた人はもちろん,まだ未経験だという人も,この年末年始にぜひプレイしてみてほしい。
「ドラゴンクエストV 天空の花嫁」公式サイト
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- 関連タイトル:
ドラゴンクエストV 天空の花嫁
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