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ハロー!Steam広場 第124回:生命エネルギーを操り,大自然の荒廃を食い止めるアドベンチャーゲーム「Valley」
「すちーむ」ってなぁに?というよい子のみんな集まれー! 「ハロー! Steam広場」は,PCゲームのダウンロード販売サイトSteamでリリースされた気になるタイトルやニュースを,筆者が独断と偏見でピックアップして紹介する,とっても有意義なコーナーだ。毎週欠かさずチェックすれば,ゲームを始めたらまずトイレの作り込み具合を確認する上級Steamerにジョブチェンジできるかも。
ハロー!Steam広場 第124回は,「Valley」をメインに紹介しよう。本作は,自然が死滅しつつある謎の渓谷を舞台にしたアクションアドベンチャーだ。プレイヤーは死滅の原因を探るべく,パワードスーツを装備して大自然を駆け巡ることになる。このほか,ラグドールの腕力だけでステージを進んでいく物理シミュレーション「City Climber」もあるので,お見逃しなく。
パワードスーツで大自然を駆け巡るアドベンチャーゲーム「Valley」
今回はカナダのインディーズ系デベロッパ,Blue Isle Studiosが手掛ける「Valley」を紹介しよう。
本作は,ロッキー山脈に位置しながらも地図には載っていない謎の渓谷「Pendulum」を舞台とする一人称視点のアドベンチャーゲームだ。ここでは,第二次世界大戦当時に米軍による謎の研究が行われていたようだが,すでに施設は破棄され,そこから何十年も経っている様子で,大自然が広がる美しいロケーションになっている。
しかし,この土地は1つの大きな問題を抱えている。それは,研究施設を中心に生物や樹木が死滅しつつあるということだ。ゲームは緑豊かな大自然の中で始まるわけだが,歩を進めるに連れて,枯れた植物や息絶えた野生生物がちらほらと目に入るようになる。この土地ではいったい何が起きているのだろうか。
かくしてプレイヤーは,この大自然が死滅しつつある原因を探るべく,Pendulumを探索することになり,ゲーム開始地点から少し進むと,当時米軍が開発していた「L.E.A.F. suit」と呼ばれるパワードスーツが入手できる。
スーツとは言っても強化されるのは脚力のみで,逆関節の脚部パーツを取り付けるだけの設計なので,見た目はちょっと滑稽である。ただし,そこから得られる脚力は本物で,ただのジャンプが10メートルの跳躍になり,坂道を走れば車を凌駕するほどのスピードに達する。まあ当然,車なんか走ってないんですけど。
序盤は,このパワードスーツを着てピョンピョンと跳ねまわりながら,美しい大自然を駆けまわることになり,この躍動感溢れるゲームプレイがとても気持ちいい。どんなに高いところから落ちても一切ダメージはなく(痛そうな声は溢れるが……),これぞパワードスーツという感じだ。ただし,水にはめっぽう弱いようで,ちょっと足先が浸かっただけで壊れてしまう。ゲーム的に言うなら,水に入ったらゲームオーバーだ。
またパワードスーツは,探索中に発見するアップグレードパーツによって,どんどん強化されていく。二段ジャンプやグラップリングフックなど,アクションの幅がテンポよく広がるので,マンネリを感じることなく進めていけるだろう。
ただし,このスーツには身体能力の強化とは違った方向のギミックも搭載されており,そこに米軍が当時行っていた研究の闇が垣間見える。それは,「生命エネルギーを操る」というもので,より具体的に言うのであれば「生命エネルギーの吸収と放出」を,右腕に取り付けたデバイスが可能にしているのだ。
この生命エネルギーは,研究施設の装置やパワードスーツの動力源にもなっており,必要な時は木々や生物から補充することになる。当然ながら生命エネルギーを奪われた生物を死ぬことになり,このパワードスーツの研究内容こそが,自然荒廃の原因になっていると,筆者のカンは告げている。
しかしながら厄介なことに,足場の崩れた場所が多い渓谷や,稼働を停止している研究施設を,パワードスーツなしで探索するのは不可能である。自然荒廃の原因を突き止めるためには,プレイヤー自身が,木々や動物からエネルギーを吸収していかなければならないのだ。なんという皮肉。
ただ,生命エネルギーを放出するという機能は,稼働を停止している装置に動力を与えるだけでなく,死滅した動植物を蘇らせることもできる。木を蘇らせると,謎の力で封印された扉を開けるカギ(金色のどんぐり)を落としてくれるので,攻略という面から見ても有用なのだ。動物に関しては不明だが,甦らせた動物の数がエンディングに絡んできたりするのかもしれない。
パワードスーツを登場させることでアクションのテンポを高めつつも,ゲーム自体は謎解きがメインになるのでじっくりと腰を据えて遊べる本作。しっかりとストーリーが用意されていながら,雰囲気ゲーとしても楽しめるので,興味のある人はぜひ遊んでみてほしい。
「Valley」Steamストア(1980円)
ラグドールモデルの腕力だけを使ってステージを進んでいく物理シミュレーションゲーム「City Climber」
「こんなゲームをリリースしたい」という開発者に対して,ユーザーが賛成か反対かを投票できるサービスがGREENLIGHTだ。今回はスロバキアの若きゲーム開発者Ondrej Angelovic氏が手掛ける「City Climber」を紹介しよう。
本作は,身体の関節がグニャグニャと曲がるラグドールモデルを操作して,腕の力だけでステージを進んでいくアクションゲームだ。腕の力というのは,ゲームの腕前のことではなく腕力という意味で,腕だけを使ってフリークライミングをするようなゲームプレイになる。
ゲーム内容自体はアクションというより,「I am Bread」のようなおバカ系物理シミュレーション寄りの作りになっており,右腕と左腕を交互に操作して,高いところに登ったり,前に進んだりするのがこのゲームの軸となる。
当然ながら,高いビルを登っている途中でグリップポイントを掴みそこねれば,地上まで真っ逆さまだ。ここで面白いのがラグドールの挙動で,地面に到達するまでにさまざまなオブジェクにぶつかることで,身体の関節があらぬ方向へと曲がり,まるでアクション映画のやられ役のごとく派手に落っこちていく様子が楽しめる。
また建物に登るだけでなく,アスレチック施設のような場所を,腕だけを使って横方向に進むといったステージも用意されているほか,ほかのプレイヤーと一緒に遊べるマルチプレイモードなども搭載されているようだ。
そんな本作は,GRENNLIGHTを通過すれば2016年内にリリースされる予定となっているので,この手の物理シミュレーションゲームが好きな人は,“いいね”を押しておこう。
「City Climber」GREENLIGHTページ
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