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ハロー!Steam広場 第196回:NPCを演じるスパイvs.それを見破るスナイパー。高度な心理戦が短時間で楽しめる対戦ゲーム「SpyParty」
「すちーむ」ってなぁに?というよい子のみんな集まれー! 「ハロー! Steam広場」は,PCゲームのダウンロード販売サイトSteamでリリースされた気になるタイトルやニュースを,筆者が独断と偏見でピックアップして紹介する,とっても有意義なコーナーだ。毎週欠かさずチェックすれば,寝付けない夜に「Euro Truck Simulator 2」で高速道路を走って眠気を促す上級Steamerにジョブチェンジできるかも。
ハロー!Steam広場 第196回は,「SpyParty」を紹介する。本作は,パーティー会場を舞台に,2人のプレイヤーが「スパイ」と「スナイパー」に分かれて対戦するゲームだ。スパイは,AIが操作する一般人に紛れて任務を遂行し,スナイパーはそれを見破り狙撃するという,高度な心理戦が短時間で楽しめる。
4Gamer公式キュレーター
NPCをうまく演じられるか,そしてそれを見破れるか。スパイとスナイパーの心理戦を描く対戦ゲーム「SpyParty」
アーリーアクセスとは,開発途中のゲームを購入して,デバッガー兼プレイヤーとして参加できる,Steamの販売形態の1つだ。今回は,「Quake」のゲームエンジンや「SPORE」の開発などに関わったプログラマーChris Hecker氏が手掛ける「SpyParty」を紹介しよう。
本作は,2人のプレイヤーが「スパイ」と「スナイパー」に分かれて対戦するゲームだ。スパイは,一般人で賑わうパーティー会場に紛れ込んで任務の遂行を目指し,スナイパーは一般人の中に紛れ込んだスパイを見つけて狙撃するのが目的となる。
スパイの勝利条件は,指定されたすべてのミッションを制限時間内にクリアするか,スナイパーが一般人を誤射すること。対するスナイパーは,任務を達成される前にスパイを特定して狙撃するか,スパイが制限時間を使い切れば勝利となる。
このゲームの醍醐味は,リアルタイムで行われる高度な心理戦にある。スパイは,自分がスパイであることを隠しながら,AIが操作している一般人に紛れて,銅像をすり替えたり,エージェントと接触していくことになる。
ただ,スパイの任務内容と,誰がエージェントなのかはスナイパーも情報として持っているので,安易に任務を遂行しようとすると,スナイパーにばれやすい。とくに人が操作する以上,AIの動きを完璧に再現するのは難しいので,もしスナイパーに目星をつけられて注視されれば,動きだけでばれてしまう可能性もある。
そうならないためには,ブラフをかけることが重要だ。たとえば,銅像を一度手に取ったあと何もせずに戻せば,スナイパーはその人物をスパイ候補から外してくれるかもしれない。
エージェントと秘密の暗号をやり取りするときも,エージェントが一般人と話しているタイミングを見計らって暗号を言えば,スナイパーの疑いの目がその一般人に向き,そのまま誤射してくれる可能性もある。
ただ,ブラフをかけてもスナイパーに気付かれなければ意味がない。ではスナイパーが自分のことを見ているかどうかはどう判断すれば良いのだろうか。
実は,スナイパーがおおよそどのあたりを注視しているのかは,ライフルの照準器から照射されるレーザーで分かる。
当然ながら,このレーザーが近くにあるときに銅像のすり替えなどをしてしまうと,かなりの確率でスパイであることがばれる。上述したとおり,スナイパーはスパイの任務内容を知っているので,任務対象となる人物やオブジェクト周辺はとくに警戒していると思ったほうがいい。つまりブラフをかけるときは,それを逆手に取るわけだ。
一方のスナイパーにも,相手の心理を利用した戦術がある。それは,スパイが意識しているもの,すなわち視線である。実のところ,スナイパーの視界はそれなりに広く,マップによっては照準がどこにあっても,全体が見渡せてしまうのだ。
要するに,任務対象となる人物やオブジェクトがギリギリ画面の端に入るよう照準を別のところに合わせておけば,スパイが油断してそれらに接触してくる可能性が高くなる。このように,照準が見えていることを逆手に取った戦術が,スナイパーの強みになるので,スナイパー側のときはうまく活用していきたい。
一試合が5分以内に終わるという手軽さがありつつも,その短い時間で密度の濃い心理戦が楽しめる本作。マップによってスパイ側ないしスナイパー側の有利不利はあるものの,ゲームバランスはそこまで悪くない。アーリーアクセスの期間は約2年と長めに設けられているが,そのぶんじっくりとアップデートが行われていくはずで,製品版としてリリースされる頃には,より洗練された対戦ツールになるはず。
リリースされたばかりで,オンラインロビーもにぎわっており,対戦相手には困らない環境なので,興味のある人はぜひ遊んでみてほしい。
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