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セガネットワークスの今後の事業展開や「ソニック ランナーズ」「ケイオスドラゴン」「オルタンシア・サーガ」の新情報が発表されたメディア向け発表会をレポート
このカンファレンスは2部構成となっており,第1部では同社の提供するマーケティング支援ツール「Noah Pass」の事業戦略と今後の展望が,第2部ではスマートフォン向けゲームの新作タイトル3本および同社の海外事業展開に関する発表がなされた。
本稿では,発表会全体のレポートをお伝えする。なお,新作タイトルのうち「ケイオスドラゴン 混沌戦争」については先日記事を掲載済みなので,「こちら」も合わせてご覧いただきたい。
セガネットワークスのスマホタイトルは“コンソールクオリティ”を目指す
順序が前後するが,まずは第2部で紹介された新作タイトルの情報から紹介していこう。
タイトル発表の前に登壇した,セガネットワークス 上席執行役員 事業本部長の岩城 農氏によれば,同社のゲーム事業展開は今後,「コンソールクオリティへの進化」という長期トレンドと,「マルチプレイ」「アクション性」「IP/世界観」という短期トレンドを軸に進めていくという。
長期トレンドでは,モバイル端末のハイエンド化がかなりの速度で進んでいること,そしてゲームの開発費が高騰し,取り組む規模も大きくなっていくことを踏まえ,スマートデバイス向けのゲームも,コンシューマゲーム並みのクオリティを追求していくそうである。
短期トレンドの一つめで挙げたマルチプレイは,競合他社の多くも取り組んでおり,昨今のスマートデバイス向けゲームで重要視される傾向にあるのは,説明するまでもないだろう。
二つめに掲げられたアクション性とは,アクションゲームそのものを意味するわけではなく,操作の面白さを意識したユーザーインタフェースおよびユーザーエクスペリエンスの創出をする,という意味であるという。
そして三つ目のIP/世界観とは,スマートデバイスから新しいIPを生み出す,または既存の著名IPの世界観をスマートデバイスによって広げていくというものだという。岩城氏はこれを「コンソールクオリティを追求する第一歩」と表現していた。
なお岩城氏は,セガネットワークスでは2015年上半期中に,10タイトル近くのスマートデバイス向けゲームのリリースを目標としているとコメント。その第1弾となるのが,「オルタンシア・サーガ −蒼の騎士団−」「ソニック ランナーズ」「ケイオスドラゴン 混沌戦争」の3タイトルであるとし,スピーチを締めくくった。
オルタンシア・サーガ -蒼の騎士団-
(2015年春配信予定)
「オルタンシア・サーガ -蒼の騎士団-」(iOS / Android)は,中世ヨーロッパの架空の国“オルタンシア王国”と“カメリア公国”の戦乱を描いた戦記RPG。ストーリーを重視し,主人公をはじめ登場キャラのボイスには豪華な声優陣を起用しているという。
“アクティブ・レーン・バトル”と名付けられた戦闘システムは,簡単な操作でありながら戦略性を追求したとのこと。
具体的には,行動可能となった味方キャラを画面上部のレーンにセットしながら進めていくことになる。レーンにはさまざまなイベントパネルが配置されており,そこにうまくキャラをセットすると戦闘が有利になるようだ。戦闘が面倒な場合には,オートで戦闘を進めることもできるという。
味方キャラは,3×3マスの中に配置することになるのだが,どんなフォーメーションを組むかが,戦闘のポイントとなるそうだ。また,“スキルバー”が溜まると,レーンと関係なくスキルを発動できる。このスキルはオートで遊んでいるときでも,プレイヤーが任意に発動可能とのこと。
そのほか,軍勢対軍勢の大規模戦争が存在すること,オープニングムービーがフルアニメーションで制作されており,主題歌を歌手のいとうかなこさんが歌うことが発表された。
なお先日「こちら」の記事で紹介したように,本作の事前登録キャンペーンがすでに始まっている。興味のある人は公式サイトにアクセスしてみてほしい。
「オルタンシア・サーガ −蒼の騎士団−」事前登録ページ
ソニック ランナーズ
(2015年春配信予定)
「ソニック ランナーズ」(iOS / Android)は,は,スマートデバイスで遊びやすように設計されたランニングアクションゲームである。ステージを“超音速”で駆け抜けるソニックらしい爽快なアクションを,指一本で楽しめるのが特徴だ。
4Gamerでは,本作のプロデューサーであるセガの飯塚 隆氏へのインタビューを掲載しているので,詳しく知りたい人は「こちら」の記事に目を通してほしい。
本作には,20年以上の歴史を誇るソニックシリーズのオールスターが登場する。プレイアブルキャラクターであるソニック,テイルズ,ナックルズの3人は,それぞれスピードタイプ,フライタイプ,パワータイプとして性格付けがなされており,その敵役にはお馴染みのエッグマンが用意される。またそのほかのキャラも,続々と登場する予定とのことだ。
さらに本作には,プレイヤーをサポートする「おとも」が用意される。おともはそれぞれ異なる効果があり,ソニックシリーズに登場したキャラだったり,本作で初登場するキャラだったりと,多数用意されるとのこと。
そして,本作のポイントとなるのが「ソニックレコード」である。これは,各プレイヤーが出したベストスコアが「フレンドランキング」や「グローバルランキング」に登録される,オンラインのランキング要素だ。その中でもメインとなる「ライバルランキング」はランク別に全21リーグに分けられ,リーグの昇格と降格をかけて,プレイヤー同士のバトルが毎週展開されることになる。
なお,現在公式サイトでは,レアおとも「金のブタ」がもらえる事前登録キャンペーンと,レアおとも「ヤッカー」が手に入るランニングキャンペーンが実施されている。詳細は「こちら」の記事や公式サイトで確認してほしい。
「ソニック ランナーズ」公式サイト
ケイオスドラゴン 混沌戦争
(2015年夏配信予定)
「ケイオスドラゴン 混沌戦争」(iOS / Android)は既報のとおり,TOHO Animation,星海社,セガネットワークスの3者によるメディアミックスプロジェクトの一環としてリリースされるタイトルだ。
「ケイオスドラゴン」プロジェクトは,星海社のWebサイト「最前線」で連載されていた,三田 誠氏,虚淵 玄氏,奈須きのこ氏,紅玉いづき氏,しまどりる氏,成田良悟氏らによるテーブルトークRPGセッションを通じて作り上げられたRPF(Role Playing Fiction)「レッドドラゴン」を原案としている。
このプロジェクトでは,始まりを紡ぐ物語としてテレビアニメ「ケイオスドラゴン 赤竜戦役」が2015年夏に放映され,テレビアニメの10年後の世界を舞台とするボードゲーム「ケイオスドラゴン 覇王春秋」,スマートデバイス向けゲーム「ケイオスドラゴン 混沌戦争」がリリースされる。
「ケイオスドラゴン 混沌戦争」では,記憶を失った主人公がさまざまな仲間と出会ったり,隠された記憶をたどったりすることでストーリーを紐解いていくような流れになるという。またゲームとしては,スラッシュアクションを採用し,攻略性の高いバトルが展開されるとのこと。
会場では,各国を束ねる領主的な存在の「スタープレイヤー」とともに,国の存亡を懸けて戦うような展開も予定していることが明かされた。
星海社の太田克史氏は,このプロジェクトは大きなスタジアムを作り,その中で才能あふれるクリエイター陣がいい試合を繰り広げるようなものであると表現。
今までのメディアミックスといえば,人気のあるIPをベースにそこからゲーム化なりアニメ化なりと派生するものだったが,「ケイオスドラゴン」プロジェクトでは,皆で作り上げていく新しい形のメディアミックスを展開していくのだと述べていた。
東宝の古澤佳寬氏は,このプロジェクトが足かけ3年にわたって入念に準備されてきたものであり,ようやく発表できたと感慨深げにコメント。セガネットワークスの秋山隆利氏は,「これだけのクリエイター陣が集まって面白くならないわけがない」とコメントし,「お客様に満足いただける内容を,丁寧に作っていきます」と,強い意気込みを見せていた。
「ケイオスドラゴン 混沌戦争」公式サイト
セガネットワークスの海外戦略
新作タイトルのプレゼン後には,再び岩城氏が登壇し,セガネットワークスの海外展開の強化に向け,欧米のゲームデベロッパへの投資を行ったことが発表された。
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・セガネットワークス,Demiurge Studiosの発行済み株式100%を取得。Space Apeの一部株式も取得しグローバル展開を強化岩城氏によれば,グローバルでトップ3に入る企業を目指すのであれば,欧米市場抜きには語れないという。セガネットワークスのタイトルはアジア方面で親和性が高いが,反面,欧米にはまったく異なるアプローチが必要と岩城氏は分析。きちんとしたカルチャライズが必要なのはもちろんのこと,欧米攻略のために現地の自立した拠点を軸とする戦略と経営体制が必須になると話していた。
まず,デミアージュ スタジオ(Demiurge Studios)については,発行済み株式の100%を取得し,完全子会社化したとのこと。スマートデバイス向けマッチ3パズル「マーベル・パズルクエスト」を手がけたこのデベロッパからは,早ければ2015年度第1四半期に新作がリリースされる予定だ。
オンラインゲームおよびコンシューマゲームの開発に実績のあるスタッフによって設立されたイグナイテッド アーティスト(Ignited Artists)には,2014年12月創業時に一部出資していたそうで,同社では欧米向けタイトルの開発がすでに進んでいるという。
そして,スマートデバイス向けストラテジー「Samurai Siege」(iOS / Android)を開発したスペース エイプ ゲームス(Space Ape Games)を子会社に持つSpace Apeにも一部出資している。こちらの新作は,日本でのディストリビューションが決まっているとのこと。
岩城氏は,従来の内製スタジオである北米Three Rings Designおよび英Hardlight Studiosに,これら3つのデベロッパが加わることで,欧米向け新規タイトルの開発と,日本からのタイトルを確実にカルチャライズする体制を強化できるとコメント。2015年度のパイプラインを2014年度の3倍にしたいとの展望を述べた。
第1部:セガゲームスの事業展開および「Noah Pass」事業戦略について
ここからは,セガゲームスの事業展開と,マーケティング支援ツール「Noah Pass」の事業戦略が発表された,第1部の模様をレポートする。
第1部で登壇したのは,セガネットワークス 代表取締役社長 CEO 里見治紀氏。
里見氏は,セガサミーホールディングスの構造改革以後は,サミーを中心とした遊技機事業,セガを中心としたエンタテイメントコンテンツ事業,そしてセガサミーゴルフやジョイポリスなどのリゾート事業,この3つのセグメントで事業を展開していくと説明。
現状のセガは,セガホールディングスとしてCS事業,AM事業,TOY・映像事業,施設事業という4つのセグメントに分かれ,それぞれでグローバルのトップを目指すと述べた。
このうち,里見氏が代表取締役を務めることになるセガゲームスではカンパニー制を導入し,従来のセガネットワークスと,コンシューマゲームおよびオンラインゲームを手がけるセガに分かれるという。両カンパニーのCEOは里見氏で,COOはそれぞれ別途にアサインするとのこと。この施策により,経営判断のさらなるスピードアップと資本投下の効率化を図るそうだ。
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・セガはスマホ/PCデジタルゲームを成長分野と位置付け。低迷するアミューズメント事業は構造の見直しへ・セガグループ再編により,セガを分社化して新会社3社を設立。コンシューマ事業部門はセガネットワークスを吸収合併してセガゲームスへ
続いては,里見氏に代わって登壇した岩城氏から,Noah Pass事業に関しての報告がなされた。それによると,2015年2月17日現在で,参加者数88社,参加アプリ数395,総ユーザー数8912万,MAU(Monthly Active Users)1072万件/月と,引き続き規模を拡大し順調に推移していることをアピールした。
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・「セガネットワークス メディアカンファレンス 2014 Autumn」が開催。4本の新作アプリや「チェインクロニクル」「サカつくシュート」の新情報,「Noah Pass」事業の新展開が発表にさらに会場では,今後の新しい施策として,2つのプロジェクトが発表された。
一つは,講談社の週刊少年マガジンとの提携だ。Noah Passでは,DeNAのコミックアプリ「マンガボックス」との取り組みを行い,コミック「恋と嘘」において20万件以上の相互送客を達成しており,このプロジェクトはその結果を受けたものだという。
ここで,講談社 第三編集局 週刊少年マガジン編集部の橋本 脩氏が登壇しスピーチを行った。
橋本氏は,講談社が全コミック誌の電子化を発表したことに言及し,Noah Passとのプロジェクトに関しても,セガネットワークスとの協力体制により魅力的な取り組みにしたいと意気込みを語った。
もう一つのプロジェクトが,Noah Passの機能を拡張する追加サービス「Dash Board」である。
このサービスは,Noah Passの持つ「ユーザータイプ分類」などのノウハウに,新たに業務提携したメタップスのデータ分析メニュー「Metaps Analytics」を融合させるという。これにより,アプリ内のユーザー構成や推移,マーケット情報や効果分析など,ゲーム運用に有用なデータを一括して提供できるものになるそうだ(関連記事)。
加えて,データセクションとの業務提携により,メディア別接触ランキングの可視化やDashboardで創出されるビッグデータの異業種交流を加速させる狙いがあることも発表された。なおDashboardのβテストは2015年4月1日にスタートする。
最後に岩城氏は,そう遠くないタイミングでNoah Pass事業の目指す完成形について報告したいとして,発表を締めくくった。
セガネットワークス公式サイト
- 関連タイトル:
ケイオスドラゴン 混沌戦争
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(C) SEGA Networks (C) STAR SEAS COMPANY / 「ケイオスドラゴン混沌戦争」製作委員会
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