連載
夢の世界を冒険した男性が迎える結末とは? スマホ向け探索型RPG「ヒュプノノーツ」を紹介する「(ほぼ)日刊スマホゲーム通信」第793回
スマートフォンには相当な数のゲームが存在しているが,「じゃあ,どれが面白いの?」「そもそも,数が多すぎて好みのタイトルが探せない!」と思っている人も少なくないはず。そんな問題を解決すべく,スタートした連載が「(ほぼ)日刊スマホゲーム通信」だ。話題の新作タイトルからネタ要素多めのオモシロ系まで,スマートフォンのゲームを片っ端からプレイして(ほぼ)毎日お届けする。
本日の「(ほぼ)日刊スマホゲーム通信」では,主人公が自身の夢の中で冒険するRPG「ヒュプノノーツ」(iOS / Android)を紹介する。重くて切ないストーリーは一見の価値ありだ。
「ヒュプノノーツ」公式サイト
iOS版「ヒュプノノーツ」ダウンロードページ
Android版「ヒュプノノーツ」ダウンロードページ
主人公(30歳男性)はある日,魔法少女マッチなる人物から「DPD」と呼ばれる装置を受け取り,この装置を使って自分自身の夢の中へ旅立つことになる。
全5章で構成される物語には,それぞれに「時間」と「距離」が設定されており,制限時間内に指定された距離まで移動しなければならない。そして,章の最後に待ち受けるボスを倒すことができれば次の章に進めるという仕組み。進んだ道を戻ることも可能だが,前進と同様,1歩動くごとに時間が1つずつ加算されていく。
ゲーム画面は非常にシンプル。移動は前進か後退のみの一本道だが,どことなくダンジョンRPGを連想させる |
道中ではバトルがたびたび発生。攻撃を受けてHPが減っていくと画面にヒビが入る演出もある |
本作の物語は,1章なら小学生〜中学生,3章なら高校生といった具合に,進行に応じてプレイヤーの立場が変わっていく。目的地までの道中ではバトルやイベントも発生するが,章(年代)ならではのものが用意されている点がユニークだ。1章なら多くの子供が苦手であろう「野菜」や「読書感想文」,3章なら「英語」「ギャル」といったものが襲いかかってくる。プレイしていると「自分もこれ苦手だったなあ」とふと思い出して感傷的な気分になること請け合いだ。
上記の文章を読むと,「ノスタルジックな作品なのかな?」と感じる人もいるかもしれないが,そこまで和やかな内容ではない。ネタバレになるので詳しくは書かないが,とくに第1章終盤や,プレイヤーキャラクターがキーパーソンの“女の子”になる第2章には,かなり重苦しい展開が待ち受けているので,心を折られないよう,じっくりと向き合ってみてほしい。
物語の道中で待ち受けるバトルやイベントをクリアすると経験値やお金,ときにはアイテムを獲得でき,経験値が一定値まで溜まればステータスがアップする。お金は,ランダムで登場する「魔法少女マッチのお店」でアイテムを購入するのに必要なので,しっかり貯めておきたいところ。
本作のステータスは第1章だと「力」「自信」「運動」「知恵」となっているが,第2章なら「意地」「希望」「悲しみ」,さらに物語が進めば「技術」「金運」「人間関係」といった具合に変化していく。各章に出現する敵には「弱点」が設定されており,たとえば第1章に出てくる野菜は力,読書感想文は知恵が高いほどダメージを与えやすくなるのだ。戦闘が発生すると相手の弱点に対応するステータスが赤い枠で囲まれるので,攻撃時にはそれを目安にするといい。弱点に有効なステータスが低ければ苦戦を強いられるので,逃げるという選択も大事だ。
なお,主人公のステータスは,戦闘以外にイベントの成否にも関わってくるので,可能な限り高い数値を保ちたい。
敵と戦って経験値を獲得し,レベルを上げていこう。なお,ステータスは魔法少女マッチのお店で販売されているアイテムを使ってあげることもできる |
道中で発生するイベントは,積み木に挑戦したり,不良からの悪い誘いを断ったりと,さまざまなものが用意されている。パラメータの数値が高いと成功しやすいようだが,失敗するとダメージを受けるといったペナルティもある |
本作には“夢を旅する一次元ローグRPG”というキャッチコピーが付けられており,道中のイベントやバトルはランダムで発生する。また,HPを回復する手段はお店で購入できるアイテムを使うか,レベルアップ時などに限られており,戦闘は毎回気が抜けない。制限時間が存在するため,弱い敵が出現するエリアで延々とレベル上げをするのも難しく,ある程度育ったところで見切りをつけて進むしかないのだ。
道中で力尽きたら,有料のコンティニューをするか,それまでの成長をリセットして一からやり直すかの二択を迫られる。途中でセーブしておき,危なくなったらそこまで戻って再開するといったことはできず,全体的に難度は高めだ。
筆者もプレイしてはゲームオーバーを繰り返し,悔しい思いを何回もした。トライ&エラーを前提にしたデザインになっているため,適当に進んでいるだけではすぐに詰んでしまうだろう。どこでレベルを上げるか,どんなアイテムを購入するかなど,あれこれ戦略を立てる必要があるのだ。昨今のRPGに慣れた人からすれば不親切な面が目に付くだろうが,その分クリアできたときの喜びはとても大きい。
距離を進めるほど登場する敵が強くなる。勝てない敵に遭遇したら逃げて,来た道を戻ったほうがいい |
アイテムの中には「必殺技」もあるが,いずれも時間や最大HPを消費して繰り出すものが多く,連発するのは難しい |
どこか懐かしさを感じさせるゲーム性や個性的な戦闘システムが目立つが,本作最大の魅力は,やはりストーリーにあると言える。主人公が体験した過去の出来事,悲しみを乗り越える勇気など,全体を通してヒューマンドラマが展開され,1本の映画やドラマを見ているかのような印象を受ける。
上述したとおり,戦闘の難度が非常に高く,クリアするなら本作とじっくり向き合う根気と努力が求められるので,正直なところ,プレイヤーを選ぶゲームと言えるだろう。しかし,その困難を乗り越えた先には感動が待ち受けているのも事実。とくに終盤の展開にはグッと熱くさせられたので,興味を持った人はぜひチャレンジしてみてほしい。
ちなみに,本作の公式サイトに掲載されている告知によると,続編作品「ヒュプノノーツ2」が,2015年冬から2016年春の完成を目標に制作されているようだ。本作を遊んでみてファンになった人は,こちらにも期待していよう。
著者紹介:トリスター/目代将規
ゲームやアニメの書籍企画,編集,シナリオライティングや広告制作なども手がける編集プロダクション「トリスター」所属。スマートフォンならではのゲームや,一瞬で遊べてしまうゆるいゲームが大好物。好きなゲームのジャンルはRPGとアドベンチャー。“モンハン”好き。
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