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イケメンシリーズを知らない人にもおすすめしたい。武将たちの過去が語られる「イケメン戦国 THE STAGE 番外編〜はじまりの物語〜」ゲネプロ公演レポート
2019年12月26日から30日にかけて,銀座博品館劇場にて「イケメン戦国 THE STAGE番外編〜はじまりの物語〜」が上演中だ。「イケメン戦国THE STAGE 番外編 〜はじまりの物語」公式サイト
本作はサイバードのスマホ向け恋愛ゲーム「イケメン戦国◆時をかける恋」(iOS / Android / BROWSER)の舞台化作品第5弾で,原作本編のヒロイン・水崎 舞が現代からタイムスリップする前の物語が描かれる。本稿では,初日公演に先駆けて行われたゲネプロ公演のフォトレポートと,メインキャストによる囲み会見の模様をお伝えしよう。
舞台は,本編の主人公(水崎 舞)がタイムスリップをする4年前。大学院で,宇宙物理学を専攻していたとある男性がいた。彼はタイムスリップの研究中,戦国時代に飛ばされてしまう。戦国の世で生きていくため,彼は“猿飛佐助”と名乗り,上杉謙信に仕える“忍者”になった。
同じ時代に生きる,織田信長や武田信玄など現代にもその名を残す武将たち。そして,顕如という名の僧――。4年前の彼らの間に何があったのかを,ときにシリアスに,ときにコミカルな要素を交えながら描いていく。
顕如(演:中村誠治郎) |
猿飛佐助(演:早乙女じょうじ) |
森 蘭丸(演:星元裕月) |
帰蝶(演:秋沢健太朗) |
上杉謙信(演:橘 龍丸) |
織田信長(演:小笠原 健) |
これまでの「戦ステ」では,ヒロインと武将の恋愛を軸に,戦国の世で繰り広げられる人間模様と過酷な戦いを描いてきた。今作はその恋愛要素がまったくない分,武将たちの友情や人間関係がじっくりと描かれており,彼らの想いがより強く伝わってくる。さらに,シリーズの見どころでもある殺陣は今作でもたっぷりと楽しむことができ,登場する武将ひとりひとりに異なる魅力が光り,舞台に釘付けとなった。
武田軍を率いる信玄と,彼に仕える真田幸村。彼らふたりの主従関係も見どころだ |
幸村VS.家康。見事なアクション! |
本作では「鬼と魔」と「龍と虎」という2つのエンディングがある。筆者が観劇した「鬼と魔」では織田信長と顕如の関係にスポットが当てられ,なぜ顕如は信長を恨んでいるのか,そのきっかけとなった出来事が描かれていた。
また,今作で初登場のキャラクター・帰蝶も重要な役割を担っており,彼の行動がきっかけとなって物語が大きく動き出していく。帰蝶は原作ゲームで2020年に公開予定の第2幕のキーキャラクターでもあるため,ぜひ彼にも注目しておきたいところだ。
本作はシリーズの前日譚となるため,言ってみればこの作品で描かれる“イケメン戦国の世界”は,原作ファンも舞台シリーズのファンも,誰も体験したことがない物語ということになる。そういう意味でも,本作はシリーズファンのみならず,イケメンシリーズそのものを体験していない人にも広くおすすめしたい。
魅力的なキャラクター,笑いあり涙ありの心揺さぶられるストーリー,手に汗握る見ごたえあるアクションの数々……。個人的には,“舞台ではこういうものが観たい”を叶えてくれる一作だと感じた。
チケットはすでに完売とのことだが,機材席の開放などでわずかながら当日券の販売が予定されているそうだ。また,千秋楽公演は生配信が決定したこともあわせてお伝えしておこう。多くの人にぜひ,本作の感動を味わってほしい。
囲み会見をレポート
ゲネプロ公演前には,メインキャスト6名による囲み会見が行われた。
――今回が「戦ステ」初登場となるおふたりは,参加してみていかがでしたか?
秋沢健太朗さん(以下,秋沢さん):
緊張しました。先輩方のチームワークのなかに入れるか不安だったんですが,初日に見た(中村)誠治郎さんの殺陣がめちゃくちゃ速くて上手すぎて,「あ,おれ死ぬな」って思いました(笑)。そんな誠治郎さんに声をかけたらどうなるんだろう? と心配していたんですが,実際に話しかけてみたら「嬉しい」と。そんな普段はチャーミングな方ばかりですが,稽古では鬼気迫る感じで,ギャップがありますね。負けないように頑張ろうと稽古に励みました。
中村誠治郎さん(以下,中村さん):
この座組は年齢が若く,僕はダントツで年上なんですが,稽古場では年齢に関係なくみんな役を愛している印象が強いです。覚えるのも早いし,レベルの高い稽古ができたのではないかと思いました。場当たりを終わって今日が初日ですが,今の2.5次元舞台のなかでも質の高い作品になったのではないかと思います。しっかり初日を終えて,千秋楽まで駆け抜けたいです。
――今作には「鬼と魔」,「龍と虎」の2つのルートがありますが,それぞれでメインとなる方から見どころをお聞かせください。では,「鬼と魔」の小笠原さんからお願いします。
小笠原 健さん(以下,小笠原さん):
今回は今までと違い,ルートによって戦いや愛の形が変わるわけではなく,ストーリーそのものが異なっています。僕と誠治郎さんの「鬼と魔」ルートが圧倒的に面白いので,お客さんにはぜひこちらを楽しんでいただきたいなと思います(笑)。
早乙女じょうじさん(以下,早乙女さん):
この「はじまりの物語」が終わったあとに,本編ヒロインの舞さんが来るわけですが,どちらもそれにつながるお話です。「龍と虎」ではなぜ謙信と信玄が同盟を組んだかというのが分かるので,こちらのルートのほうがいいかなあと……。
橘 龍丸さん(以下,橘さん):
「龍と虎」では,それぞれの主従のありかたや,お互いがどういう想いを抱いてその場にいるかというのが鮮明に描かれていて胸熱な展開もありますので,私としては「龍と虎」のほうが面白いと思います(笑)。
小笠原さん:
でも「鬼と魔」じゃないと見られない顕如の過去があるので,それも見てもらいたいですね!
中村さん:
……「鬼と魔」のほうが面白いね(一同笑)。でも,それぞれに違う「はじまりの物語」という見どころがありますね。
――ご自身が演じるキャラクターとしての見どころをお聞かせください。
中村さん:
今作は,「イケメン戦国」の顕如がどうやって生まれたかという内容です。今までゲーム原作の役を演じるときは“模倣”もしていたけど,今回に関しては“どうやってゲームの顕如になったのか”というのを強く意識して役作りと稽古をしたので,そこが見どころかと思います。
早乙女さん:
猿飛佐助が戦国時代にタイムスリップするところから始まるので,もう最初から見どころですね。佐助としてはなぜ謙信と出会ったのかも描かれているので。
星元裕月さん:
蘭丸は歴史上では信長の小姓ですが,「イケメン戦国」ではオリジナルの設定で,顕如と行動を共にしています。なぜ蘭丸が顕如とともにいるのか,原作ゲームでは語られない特別なストーリーです。その特別な「イケメン戦国」ならではの空気感を感じていただけたらと思います。
秋沢さん:
帰蝶という役が登場することによって,各キャラクターにどう影響していったのか。帰蝶はストーリーに影響を及ぼす役だと思っているので,キャラクターの心情が移り変わる様が見られたら,それが帰蝶の見どころになるかなと。僕自身というより,帰蝶が登場してストーリーがどう展開していくか,その後を想像していただけるようなお芝居が見せられたら僕の“勝ち”というか,目的が達成できるかなと思います。
橘さん:
初演からこの作品に携わらせていただいていて,謙信はヒール的なポジションのキャラだと思っていたら,今回の作品で「なんて根っこは……」みたいなところが感慨深いです。これまでの作品で顕如がやられたときに,必ず誰かが彼に寄り添うような言葉を与えていたのがここにつながっていくのかと。過去の作品からつなげてもう一回見てもいいなと思えるくらい,「はじまりの物語」は素敵な作品だなと思います。
小笠原さん:
今回は恋愛要素がないのが初めての試みなので,それがどうお客さんの心に届くのか,不安もありますが楽しみでもあります。僕個人としては,初演からなぜこんなに顕如に恨まれていたのかが,「なるほど,こういう過去があったのか」という気持ちで,そこはお客様も共感できるのではないかと。
織田軍では某舞台のような,僕らはコメディ担当だったのかな? と思うようなシーンがあります。すべるかもしれませんが(笑),楽しんでいただけたらと幸いです。
――最後に,ファンのみなさんに中村さんからメッセージをお願いします。
中村さん:
今作は,チケットがすぐに完売したと聞いています。とても注目されている作品だと思いますので,観に来てくださるお客様のためにもとにかく全力で演じ,全力で役として生きて,少しでもお客様に伝わるようにと思いますので,どうぞよろしくお願いいたします。
「イケメン戦国THE STAGE 番外編 〜はじまりの物語」公式サイト
(C)CYBIRD/イケメン戦国THE STAGE製作委員会