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Radeon R9 Fury Xがついに発売も即売り切れ。秋葉原で開催された,注目集まる新GPUの特徴と魅力を解説する発売記念イベントをレポート
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印刷2015/06/25 00:00

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Radeon R9 Fury Xがついに発売も即売り切れ。秋葉原で開催された,注目集まる新GPUの特徴と魅力を解説する発売記念イベントをレポート

画像集 No.002のサムネイル画像 / Radeon R9 Fury Xがついに発売も即売り切れ。秋葉原で開催された,注目集まる新GPUの特徴と魅力を解説する発売記念イベントをレポート
 2015年6月24日,AMDの日本法人である日本AMDは,秋葉原UDXにて新世代GPU「Radeon R9 Fury X」の発売記念イベント「Feel,Fear,Fury」を開催し,国内初公開となるRadeon R9 Fury X(以下,R9 Fury X)の実物と,実機による多数のデモを披露した。本稿では,報道関係者向けに行われた説明会と製品展示の概要をレポートしたい。
 なお,R9 Fury Xそのものの詳細は,以下の解説記事に詳しいのでそちらを参照してほしい。

西川善司の3DGE:「Radeon R9 Fury X」とはいかなるGPUか。「Fiji」のアーキテクチャに迫る



解像度やゲーム別にお勧め製品が決まるRadeon Rx 300シリーズ


Richard Huddy氏(中央,Chief Gaming Scientist,CTO,AMD)とR9 Fury XのGPU「Fiji」を掲げるDevon Nekechuk氏(右,Senior Product Manager,Desktop Descrete Graphics Division,AMD)。左は日本およびアジア太平洋地域担当副社長のDavid Bennett氏(Corporate Vice President,General Manager - Asia Pacific and Japan,AMD)
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 説明会は,Windows 10で導入される「DirectX 12」や2015年6月18日に発表されたデスクトップPC向けGPUであるRadeon Rx 300シリーズの概要に続いて,R9 Fury Xを始めとした新型GPUの特徴が解説されるという流れで行われた。登壇したのは,AMDにてChief Gaming Scientistを務めるRichard Huddy(リチャード・ハディ)氏と,デスクトップGPU部門のSenior Product ManagerであるDevon Nekechuk(デヴォン・ネケチャク)氏である。

 Huddy氏はまず,DirectX 12によってもたらされるメリットを説明した。DirectX 12の詳細は西川善司氏による解説記事を参照してもらうとして,Huddy氏によるポイントは2つだ。
 1つめは,「マルチスレッド化されたコマンドバッファ」。GPUに渡すコマンドやパラメータの用意を,複数のCPUスレッドが並列で実行できるようになるため,マルチコアCPUの性能が効果的に活用できるようになるというものだ。
 2つめは,「Async Shaders」。こちらも詳細は2015年3月掲載の解説記事にあるが,簡単にいえば,グラフィックスの処理とGPGPU演算の処理を非同期(Asynchronous)に並列動作させられるというものだ。GPU内部に多数ある演算ユニットのうち,一部はグラフィックスの処理を行い,一部は物理演算のシミュレーションを実行するといったことが可能になる。
 これらはいずれも,AMDのAPUやGPUが持つ特徴が生きる要素であり,それゆえに,DirectX 12にはAMDのアーキテクチャが適していると,Huddy氏は説明していたわけだ。

マルチスレッド化されたコマンドバッファ(左)とAsync Shaders(右)による利点を説明したスライド。DirectX 12の特徴的な仕様をAMDのAPUやGPUはすでにサポートしているとアピールしている
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 さて,肝心の新製品だが,Radeon Rx 300シリーズ5製品のスペックはすでに発表されているので(関連記事),スペックに関する説明は省略するとして,ここではNekechuk氏による,各製品がどのような用途や環境に適しているかの説明をレポートしよう。
 まず,「Radeon R7 360」と「Radeon R7 370」は,オンラインゲーム(おそらくMOBAを想定している)のプレイヤー向けの製品に位置付けられており,解像度1920×1080ドット(以下,1080p)で60fpsの表示を実現できると,Nekechuk氏は述べている。比較的グラフィックスの負荷が低いゲームで,使用しているディスプレイの解像度も高くない場合に適するというわけだ。

Radeon R7 360とRadeon R7 370は,1080p/60fpsでオンラインゲームを楽しむプレイヤー向けに位置付けられている
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 同様に,Nekechuk氏は,「Radeon R9 380」を,解像度2560×1440ドット(以下,1440p)で144fpsといった,より高解像度かつ高フレームレートの表示で,リッチなグラフィックスのゲームを楽しむための製品,「Radeon R9 390」「Radeon R9 390X」の2機種を,解像度3840×2160ドット(以下,4K解像度)の表示でゲームをプレイするための製品に位置付けていた。
 これはある意味分かりやすい表現であり,ディスプレイに合わせて適当なGPUを選んでほしいというメッセージが明確に伝わったように思う。

Radeon R9 380(左)は1440p,Radeon R9 390やRadeon R9 390Xは,4K解像度でゲームを楽しむのに適した製品と定義された
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R9 Fury XのカードとFijiを国内初披露


Fijiのチップを掲げるNekechuk氏
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 続いてHuddy氏とNekechuk氏は,開発コードネーム「Fiji」と呼ばれたGPUと,それを使ったカードであるR9 Fury Xの実物を披露しながら,それらの特徴について説明した。冒頭でも触れたとおり,詳細は解説記事に譲るが,Huddy氏らが強調したのは,積層メモリ技術「High Bandwidth Memory」(関連記事。以下,HBM)がもたらす利点だ。

Fijiの上面(左)と底面(右)。GPUパッケージのサイズは55×55mm。巨大なGPUコアの周りに配置されたHBMは,1個のスタックで容量1GB分。それが計4基で4GBとなる。
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 FijiではHBMを採用したことにより,4096bitというかつてない規模のメモリバス幅を実現している。広いメモリバス幅という利点を生かして,逆にメモリクロックを500MHzと低く抑えたにも関わらず,メモリ帯域幅は512GB/sと,Radeon R9 390Xの1.3倍以上という広帯域幅の実現が可能になったという。
 演算ユニット自体は,既存のGPUコアである「Tonga」(関連記事)と同じマイクロアーキテクチャを採用しているものの,Radeon R9 390Xの2816基の1.45倍にもなる4096基を集積したことにより,大きな性能向上を実現したとされている。
 Nekechuk氏は,「これを超える演算性能とメモリバス帯域幅のGPUは存在しない」と豪語して,Fijiがいかに優れたGPUであるかをアピールしていた。

既存のGDDR5に比べて圧倒的に広いメモリバス帯域幅を実現できるHBM(左)。Fijiではこれを4基,計4GB搭載している(右)
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 ちなみに,Radeon R9 390Xなどがグラフィックスカード1枚に8GBのグラフィックスメモリを搭載しているのに対して,それより上位のGPUであるFijiが4GBに留まる点について,AMDの日本およびアジア太平洋地域の担当副社長であるDavid Bennett氏は,HDDとSSDの違いを例に挙げて説明していた。
 Bennett氏曰く,「SSDはHDDよりも記憶容量は少ないが,圧倒的に読み書きが速い。だからこそ,多くの人がOS用のストレージとして利用している。FijiのHBMもそれと同じであると理解してほしい」とのこと。多少こじつけ気味な気もするが,わかりやすい考え方ではあるかもしれない。

 Huddy氏とNekechuk氏は,FijiとR9 Fury Xのサンプルを披露したうえで,今後登場するFiji採用製品についても簡単に説明した。

既存の「Radeon R9 290X」(左)とR9 Fury X(右)の基板を掲げるNekechuk氏。グラフィックスメモリがHBMになったことにより,カードの面積は大幅に縮小された
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 E3 2015に合わせて行われたAMDのイベントで発表済みだが,Fijiを搭載するグラフィックスカードには,液冷クーラー搭載のR9 Fury X,空冷クーラータイプの「Radeon R9 Fury」,2基のFijiを1枚のカード上に搭載する名称未公開のデュアルGPUカード(※スライドでは「dual“Fiji”+HBM」と表記),そして全長6インチ(約152.4mm)とコンパクトな「Radeon R9 Nano」の4製品が存在する。いずれの製品も日本で公開されるのは,これが初めてだ。

R9 Fury X(上)と名称未公開のデュアルGPUカード(下)
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デュアルGPUカードの長さは23cm程度。デュアルGPUの製品としては驚くほど短く,HBM採用の利点が明確に現れている。R9 Fury Xも19cm程度と,これまた短い。発売時期は2015年末の予定
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 AMDの定義によると,R9 Fury Xは,さらなるグラフィックスパワーを求めるハイエンドユーザー向けの製品で,4K解像度を超える5120×2880ドットでの表示や,4K解像度ディスプレイを3台使ったマルチディスプレイ表示など,今までにない環境でのゲームプレイを実現する製品とのこと。期待どおりの性能を発揮できるなら,人気を呼ぶ製品となるだろう。

R9 Fury XにFreeSync対応のLG Electronics製ディスプレイ「34UM67-P」を3台つなげて「Sniper Elite 3」を動かすデモ。解像度は7680×1080ドット! しかも,3台すべてでFreeSyncが利用できるとのこと。
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 一方,Radeon R9 Nanoは,小型のゲームPCを検討する人から喜ばれそうな製品である。Mini-ITXマザーボードを使うような小型PCケースにも取り付け可能なサイズに加えて,PCI Express電源コネクタは8ピン×1と,消費電力も少ない。性能はさすがにR9 Fury X並みとはいかないようだが,「Radeon R9 290」よりも速く,消費電力は少ないとNekechuk氏はアピールしていた。
 発売時期は2015年夏の遅い時期とのことで,まだしばらくは待たされそうだが,登場すれば人気を呼びそうだ。

長さ15cm強というコンパクトなRadeon R9 Nano。8ピンの電源コネクタ1つで動作する製品としては,高い消費電力当たりの性能を誇るという
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試作機の披露はなかったが,Fijiを2基搭載するという小型PC「Project Quantum」も紹介された
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 HBMという新技術の導入によって,大きな進化を遂げたAMDのGPUを待ち望んでいた人も多いだろう。秋葉原の一部店舗では,24日21時からR9 Fury Xがごく少量が販売されたものの,税別10万円という高価な製品であるにも関わらず,あっという間に売り切れてしまったそうだ。Fiji搭載カードに高い期待が集まっている証拠といえる。
 性能面の評価は,今後のベンチマークテスト記事に委ねたいが,果たして期待に見合った性能を発揮してくれるだろうか。今から楽しみだ。

Oculus VRのヘッドマウントディスプレイ試作機「Crescent Bay」を使った,R9 Fury Xによる仮想現実デモも披露(左)。デモで使われたのは,Crytekが開発した技術デモ「Back to Dinosaur Island 2」で,デモ用のPCはマウスコンピューターが開発中のR9 Fury X搭載コンパクトPC「LITTLE GEAR」(右)である。筆者も体験してみたが,画面表示は滑らかで実に快適だった
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Project Whiteやユニットコムは,R9 Fury Xを搭載するゲーマー向けデスクトップPCを参考出展していた
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AMDのRadeon R9製品情報ページ


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