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[COMPUTEX]ハイスペックなUltrabookやSurface風2-in-1,そしてZenfone新作など。ASUSの「非ゲーム系」新製品を総ざらい
カンファレンスのタイトルは「Zen」と「Evolution」(進化)を足した造語「Zenvolution」。ASUSの進化をアピールするイベントのメインスピーカーは,同社会長のJonny Shih(ジョニー・シー)氏である。
ZenBook 3
トップバッターは,UltrabookのZenBook 3だ。「世界最高品質で最高の性能」のノートPCだと,Shih氏はアピールしていた。
アルミボディを採用し,12.5インチ,解像度1920
搭載するCPUは「Core i7-6500U」(2C4T,定格2.5GHz,最大3.1GHz,共有L3キャッシュ容量4MB,HD Graphics 520統合)もしくは「Core i5-6200U」(2C4T,定格2.3GHz,最大2.8GHz,共有L3キャッシュ容量3MB,HD Graphics 520統合)で,メインメモリは最大容量16GBのLPDDR3。ストレージは最大容量1TBでPCI Express接続のSSDと,モバイルノートPCとして過不足ないスペックを実現するのも見どころだろう。
Shih氏は,MacBook AirやMacBookと比べて薄いだけでなく,スペックも高いと畳みかけていた。
バッテリーは40Whのリチウムポリマー充電池で,9時間駆動が可能とのこと。急速充電に対応しており,バッテリー残量0%から60%まで49分で充電できるという。
バッテリー駆動時間の長さと,充電時間の短さアピール |
キーストロークはMacBookの2倍という0.8mmを確保 |
世界最薄という厚さ3mmのファンを採用。もちろんこれも本体の薄さに貢献する |
ベゼル幅が狭く,ディスプレイサイズの割にフットプリントが小さいのもウリ |
Zenfone 3 Deluxe
氏が最初に取り上げたのは,Zenfone 3 Deluxeだ。本製品では,背面と側面が一体化した金属製ユニボディ筐体を採用したのが大きな特徴という。
通常,金属は電波を通さないため,背面だけでなく側面まで一体成形してしまうと,スマートフォンには致命的なことになる。そのため,筐体の一部をくり抜いてそこを樹脂で置き換え,電波を通しやすくしているそうだ。
Chuang氏は,Zenfone 3 Deluxeで採用したこの特徴を「Invisible Antenna
Technology」(見えないアンテナ技術)と呼んでいたが,実際,本体上部に1つ,下部に2つ,計3つのスリットはあるものの,「背面と側面が一体成形の金属で覆われた」と評して問題のないデザインになっている。
ソニーモバイルコミュニケーションズのXperia Xシリーズも同様の仕組みを採用していたが,同シリーズの場合,日本国内における発売時には,電波感度を向上させるために,背面の一部を樹脂に変更するというマイナーチェンジが入っていた。
その点でASUSは思い切った決断をしたと言えるが,発表後に体験コーナーで話を聞いた説明員いわく「感度は十分出せる」とのこと。果たしてどこまで実用的かは,最終製品でぜひチェックしたいところである。
なお,搭載するディスプレイパネルは5.7インチ有機EL(Super AMOLED)で,コントラスト比は最大300万:1,NTSC比100%以上。ベゼル幅は1.3mmで,ボディ全体に占めるディスプレイの割合は79%まで高まっているそうだ。
IMX318は画素の一部に位相差AFセンサーを搭載しており,位相差AFによる高速なピント合わせが可能だ。屋内や暗所ではレーザーAFを併用することで高速なAFを維持でき,さらに,動体検出によるコンティニュアスAFもサポート。最速で0.03秒で合焦するという。これらをASUSでは「Tri-Tech AF System」と呼んでいる。
また,iPhone 6sにも搭載されている「DTI」(Deep Trench Isocatio)技術を採用して色再現性を向上。4K録画もサポートした。
手ブレ補正は4軸4段分の光学式機構を搭載しており,動画撮影時には,ジャイロセンサーによる3軸の電子手ブレ補正を利用できる。そのほかに,4枚の写真を連写合成して9200万画素の高精細画像を生成する機能も搭載するとのことだ。
ASUSは,カメラ関連のハードウェアや技術をまとめて「PixelMaster」と称しているのだが,Zenfone 3 Deluxeが採用するのは,第3世代の「PixelMaster 3.0」であるという。店頭では,PixelMaster 3.0というキーワードが躍ることになるのではなかろうか。
世界市場では2016年第3四半期中の発売予定。説明員によれば,日本でも同時期に発売となる見込みという。
北米市場におけるメーカー想定売価は499ドル(税別)から。Intelのモバイル向けSoCからQualcommへ移行したASUSだが,従来と大きく変わらない価格帯での製品化を実現したのは,大きなポイントだろう。
Zenfone 3
シリーズの標準モデルとなる無印Zenfone 3は,背面のクリスタルシャイン仕上げが外観上の特徴となっている。水をイメージしたという,ユニークな背面加工のモデルが用意されているのも見どころだ。
ディスプレイパネルは5.5インチで,解像度1920
搭載するSoCは「Snapdragon 625 MSM8953」で,統合するGPUは「Adreno 506」。メインメモリ容量3GBまたは4GBとなる。スペック表にはすでに「JP」の表記があるので,国内発売は大いに期待できるだろう。
世界市場では2016年第3四半期中の発売予定で,日本でも同時期の発売見込み。北米市場におけるメーカー想定売価は249ドル(税別)からとなる。
Zenfone 3 Ultra
ASUSは,Zenfone 3 Ultraの映像処理プロセッサを「Tru2Life+ Technology」と呼んでおり,表示する映像のコントラストとシャープネスを最適化したり,それと同時にコントラストレベルを200%に拡張したりといった映像補正が可能であるという。また,動き補償や動きベクトル検出による,ブレの少ない映像表示も行えるそうだ。
いわゆるハイレゾオーディオにも対応しており,アンプとしてはNXP Se
搭載SoCは「Snapdragon 652 MSM8976」で,統合するGPUは「Adreno 510」。メインメモリ容量は4GBと,スペック的にはZenfone 3 Deluxeを下回っている。内蔵バッテリー容量は4600mAhと大きく,USB Type-Cポートに接続した機器への充電が可能なチャージ機能も備えているとのことだ。
アウトカメラの機能は,Zenfone 3 Deluxeと同じPixelMaster 3.0であるとのことだが,光学式手ブレ補正は6軸,電子手ブレ補正機能は4軸に強化されている。
発売時期は台湾で6月中,日本では2か月遅れくらいで登場するのではないかと,説明員は語っていた。北米市場におけるメーカー想定売価は479ドル(税別)からとなっている。
Transformer 3シリーズ
新型の2-in-1ノートPCであるTransformer 3シリーズでは,「Transformer 3 Pro」と「Transformer 3」,「Transformer Mini」の3製品が発表された。いずれも,Microsoftの2-in-1ノートPCであるSurfaceシリーズによく似た,キックスタンドで自立するタブレット本体に,キーボードを取り付けて使う製品だ。
Transformer 3 Proは,Microsoftの「Surface Pro 4」対抗ともいえる製品である。アルミニウム素材のフラットボディでSurface Pro 4より薄い8.35mmを実現したことと,より広色域で高精細な,12.6インチサイズで解像度2880
CPUはCore i7で,メインメモリ容量は最大16GB。内蔵ストレージはNVMe接続型SSDで,記憶容量は最大1TB。世界市場では2016年8月の発売予定となっており,北米市場におけるメーカー想定売価は999ドル(税別)から。
家庭向けロボット Zenbo
音声認識などを駆使してユーザーの声に反応してさまざまな機能を提供できる仕様で,ASUSとしては,教育やエンターテインメント,ヘルスケア,スマートホームなどの分野での活用を想定しているという。北米での価格が599ドル(税別)と,安価なのもポイントである。
今後,開発者向けにも情報を公開し,対応アプリケーションの開発を促していくとのことだ。
ASUSのCOMPUTEX TAIPEI 2016特設ページ(英語)
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