プレイレポート
「英雄伝説 閃の軌跡III」プレイレポート。リィンの新たな物語を描くシリーズ最新作は,より操作感と戦術性が向上したバトルシステムが魅力
本作は,その重厚な世界観やストーリー,そして戦略性に富んだゲームシステムが特徴である「英雄伝説 空の軌跡」から続く軌跡シリーズの最新作。トールズ士官学院の特科クラス「VII組」の生徒であるリィン・シュバルツァーを中心に物語が展開する「英雄伝説 閃の軌跡」の3作めとなる。
発売前に序章から第1章の途中までプレイできたので,ストーリーの流れとともに世界観やゲームシステムを紹介していこう。
「英雄伝説 閃の軌跡III」公式サイト
ストーリーは“英雄”となったリィンが教官となる
トールズ士官学院第II分校を中心に展開する
「序章」は「旧VII組」と,「トールズ士官学院第II分校」の生徒達が,第七使徒“鋼の聖女”の直属部隊である「鉄機隊」と,旧貴族連合軍の本拠地「ジュノー海上要塞」で対峙するシーンで幕を開ける。そこからゲーム本編は,リィンがトールズ士官学院を卒業後,新たに設立された「トールズ士官学院第II分校」の教官として赴任するため帝都西郊の街リーブスへ向かうという回想劇として展開していく。
学生の身ながら帝国の内戦を終結に導いた“灰色の騎士”として,帝国内外に英雄としてその名が知られるようになったリィン・シュバルツァーは,学生時代の先輩で同僚となるトワ・ハーシェルに案内された第II分校で,鉄道憲兵隊の少佐ミハイル・アーヴィング,大陸最強と言われる猟兵団「赤い星座」出身の元猟兵ランドルフ・オルランドといった教官達,そして分校長を務める,内戦時に貴族連合軍の総司令として圧倒的な戦果を挙げた“黄金の羅刹”ことオーレリア・ルグィンと出会う。
序章で対峙する「鉄機隊」をはじめ,学生時代の先輩トワ,同僚のランドルフ,そしてオーレリア分校長と,序盤からさまざまな「軌跡」シリーズ作品のキャラクター達が多数登場する。シリーズ通してのプレイヤーであれば,これまでとは異なる立場や,過去作品とは違う視点で彼らの姿が見られて,思わずニヤリとしてしまうだろう。
これまでの物語やリィンとの関係性などを示唆する会話も発生するが,それが分からないとゲームが進められないわけではないので,シリーズ未プレイの人でも楽しめるはず。本作には,「閃の軌跡」シリーズ2作品のあらすじや登場人物,世界観をまとめた「プレストーリー」も用意されているので,気になる点はこちらで確認しよう。
もちろん「世界観や登場人物達の関係性をもっと深く知りたい」という人は,実際に過去作をプレイして,「軌跡」シリーズの物語をたっぷりと味わうのもいいだろう。
皇太子の入学を受け入れ,本格的な軍事学校へと変革された本校に対し,訳アリの貴族子女や外国人,問題児,そして“英雄”と,教官と生徒そのどちらも扱いにくい立場の人間や,受け入れがたい人間といった“厄介者”が集められた第II分校。リィンが担当教官を任された少人数の特務クラス「VII組・特務課」所属となった3人の生徒も,故郷であるクロスベルを占領した帝国に反発心を抱くユウナ・クロフォード,帝国の武門ヴァンダール家の生まれであるクルト・ヴァンダール,そしてつい最近までリィンの監視兼サポート役を務めていた,帝国軍情報局所属のアルティナ・オライオンと,その出自や立場が異なる面々だ。また,リィンを良く知るアルティナ以外の2人は,リィンに対して複雑な思いを抱いている。
戦闘システムはシリーズ2作品をベースに進化
さらに操作感と戦術性が増したものに
シンボルエンカウントのコマンド方式で進むバトルは,画面左に表示されるAT(行動順)バーに準じて進行する,軌跡シリーズファンならおなじみの「ATバトル」をベースに各種要素が進化。各アクションが方向キーと[○][△][□][×]ボタンに振り分けられた「ダイレクトコマンド」方式の採用により,これまでの作品以上にスピーディかつ直感的な操作でバトルを進められる。
また,フィールドやダンジョンで敵と遭遇すると,その場所でシームレスに戦闘が始まるので,高低差といった場の形状を考慮した戦術も楽しむことができるのだ。
エンカウント時に「フィールドアタック」で敵を足止めしたり,「アサルトアタック」で奇襲攻撃を仕掛けたりして有利な状況を作ろう。
“戦術オーブメント”と呼ばれるARCUS(アークス)は,所有者と連動することによって,身体能力を強化したり,アーツ(導力魔法)を使えるようにしたりといった機能を持つ個人端末だ。「ARCUS II」にアップグレードされた本作では,マスタークオーツを2つセットできるようになっている。
地,水,火,風,時,幻,空という7属性が存在するアーツは,敵にはそれぞれに対する属性有効率が設定されている。弱点となる属性を見極めてアーツ攻撃を仕掛けよう。
敵には通常のHPとは別に「ブレイクゲージ」が設定されている。敵選択時に表示される「HP」のゲージ(黄色)の下に,青のゲージで表示されたブレイクゲージは,0にすることで状態異常「ブレイク」となり,被ダメージがアップしたり,能力上昇を解除させたりと,戦闘を有利に進めることができる。ブレイク時限定でレアアイテムをドロップすることもあるので,敵の弱点属性となるアーツや,ブレイク率の高いクラフトを使って,効率よく相手をブレイク状態にしよう。
「クラフト」(戦技)は,戦闘中に溜まるCP(クラフトポイント)を消費して発動させる,キャラクター固有の技だ。強力な攻撃や,特殊な効果を付与するもの,回復など仲間をサポートするものまで種類はさまざま。キャラクターの特性を見極めて有効に使おう。
さらに「Sクラフト」という,全CPを消費することで使用可能となる必殺技もある。[R1]と方向キーの入力で,行動順を無視して使えるSクラフトは,そのカットイン演出も含めて,非常に強力で迫力ある技だ。強敵を相手にしたとき,逆転の一撃や止めを刺すときなどに使用して,ドラマチックなバトルを楽しもう。
「閃の軌跡」シリーズ2作品で採用された「戦術リンク」は,もちろん本作にも登場。これはARCUS IIを通じて,パーティ内でリンク設定している仲間同士が連携し,さまざまな派生攻撃や特殊なアビリティといった発生するというもの。戦闘でリンク経験値を溜めるとリンクレベルが上がり,さらに強力な連携攻撃が使えるようになる。
バトルの新要素「ブレイブオーダー」は,各キャラクターの行動時にターンを消費せずに「オーダー(作戦指示)」を発動させられるというもの。戦闘中に溜まるブレイブポイント(BP)で使用できるブレイブオーダーは,味方の与ダメージを向上させるものや,敵の攻撃を反射するものなど,その効果もさまざまだ。臨機応変に使い分けて,戦況をコントロールしよう。
また,一部の強敵は「高揚」という特殊な状態になる。この状態になると,全ての攻撃のクリティカル化,被ダメージ減少,さらに行動順を無視したSブレイクを使うなど,プレイヤーにとってはピンチの場面となる。ブレイク状態にすることで高揚状態を解除できるので,ブレイクダメージを積極的に狙ってピンチを切り抜けよう。
銃機構付きの特殊警棒「ガンブレイカー」を武器とするユウナは,トンファーのように扱い,敵単体を狙った近接攻撃「ストライカーモード」,銃撃による範囲攻撃を得意とする「ガンナーモード」という2つの戦闘モードを切り替えることができる。
ボスなどといった単体で出現する強敵にはストライカーモードで,単体では弱いが複数で登場する敵にはストライカーモードといったように,状況によって使い分けると良いだろう。
戦闘システムには多くの要素があるので,いっぺんに覚えるというのは難しい。難度は「VERYEASY」「EASY」「NORMAL」「HARD」「NIGHTMARE」の5段階あり,「NIGHTMARE」以外はゲーム進行中でも変更が可能なので,慣れるまでは低い難度でプレイして,コツを掴んだとなったら歯ごたえのある難度に変更すると良いだろう。
このアインヘル小要塞で,実力試験を受けている生徒3人になった気持ちになり,一つ一つを試しながら自分のモノにしていこう。
新任教官として生徒と向きあい,
絆を深めてゲームを有利に進めよう
リィンと共に戦いその実力を目の当たりにしたことで,ユウナとクルトは複雑な思いを抱えながらも彼を認め,VII組で指導を受けることに。
「新米同士,教官と生徒ではなく,“仲間”として共に汗をかき,切磋琢磨していこう!」という,なかなかの熱血新米教師(?)っぷりを見せてくれるリィン。教官としての生活は,「第一章 再会〜白亜の旧都〜」より本格的にスタートする。
第II分校はクラス分けされているとはいえ,教官,生徒ともに少人数なので,授業は主に共同となる。リィンは,何か考えがあってか妙に絡んでくる「VIII組・戦術科」のアッシュ・カーバイド,“英雄”として流布されているものではないリィンの一面を知る「IX組・主計科」のミュゼ・イーグレットなど,個性の強い他クラスの生徒達とも交流を深めていく。
分校の関係者との会話やクエストなどを進めていくと,「分校充実度」が上がっていく。一定値を超えるとクエスト報告時に学院グレードがアップし,それとともに貴重なアイテムがもらえる。
さらにクエストを達成したり,適切な判断や行動が取れたりした際にはAP(ACADEMIC POINT)が入手でき,こちらは自身の教官としてのランクに関係するもので,分校充実度と同じくその結果によって貴重なアイテムがもらえるというものだ。
また,自由行動日は「絆行動ポイント」を使用することで,“!”アイコン(黄色)が付いたキャラクターと交流する「絆イベント」が見られる。
これはイベントを進めることで好感度がアップし,対象キャラクターのパラメータが上昇したり,特殊なアイテムが手に入ったりするというもの。生徒の悩みを聞き,分校の関係者やリーブスの街の人達などの手助けをし,教師として成長することで,分校の環境や生徒達との関係性も良好となり,さらにゲームとしてもさまざまなプラスが得られるようになっていくのだ。
さらに迫力と戦術性が高いものとなった
巨大人型兵器バトル「騎神戦」
「ヘッド」「アーム」「ボディ」の3部位から1つを選んで攻撃するのだが,ここで弱点部位の攻撃に成功すると,相手の体勢を崩し,通常バトルの「リンクアタック」と同じように追撃が可能となる。弱点以外を攻撃するとガードされたり,カウンターを受けたりするので,相手の構えを見極めて攻撃しよう。
校内での教練を終え,第II分校の一同は特別演習を行うため,帝都の西部にあるサザーラント州の旧都セントアーク近郊に向かうことになる。しかしこの地では,さまざまな動乱や事件の裏で暗躍していた謎の結社「身喰らう蛇」が活動し,また第II分校も,ただ演習のためではなく,なにかの使命を帯びて集められたようだ。
また歴史が大きく動き出そうとしている中で,果たしてリィンはどのような困難と立ち向かうことになるのか。そして,旧VII組と第II分校の生徒達が,鉄機隊と対峙するという冒頭部分にどうつながっていくのか気になるところだ。
それぞれの立場や心境が細かく丁寧に描かれたストーリーに,直感的な操作で戦略性の高い戦いが楽しめるバトルシステムなど,RPGファンならきっと満足できる作品だろう。これまでもリィンの物語を追ってきたというプレイヤーはもちろん,軌跡シリーズが気になっていたが触ったことがないという人にも,ぜひ本作をプレイしてほしい。
「英雄伝説 閃の軌跡III」公式サイト
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