締めくくりである第4回は2000年代以降,現在に至るまでのゲームブックの状況を紹介していく。1982年の「火吹山の魔法使い」から40余年,半世紀にも及ぼうとする時代の移り変わりの中で,熱狂から爛熟と衰退を経て,どこに辿り着いたのか。ここからどこへ向かっていくのか。そして国内の文化にどんな影響を及ぼしてきたのかを振り返っていこう。
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なお,本連載の再編集版を収録した書籍「主人公はキミだ!」は,2026年3月27日に発売となる予定だ。
原作者であるスティーブ・ジャクソン氏とイアン・リビングストン氏の半生とともに,「ファイティング・ファンタジー」(以下,FF)シリーズがどのようにして生まれ,世界に広がっていったかを記述した貴重な資料となっているので,予約した人は本が手に届くの楽しみに待っていてほしい。
■連載記事一覧
- 「火吹山」の上陸と,その衝撃。日本におけるゲームブックの受容史を繙く短期連載「『ファイティング・ファンタジー』とその時代」第1回を掲載
- ゲームブック戦国時代。短期連載「『ファイティング・ファンタジー』とその時代」第2回は,原作者の来日に沸き,ライバルが乱立した80年代中盤を振り返る
- ゲームブックブームの爛熟と終焉。短期連載「『ファイティング・ファンタジー』とその時代」第3回は,風向きが変わった90年代以降を辿る
「ファイティング・ファンタジー」とその時代
40 2000年代前半のファンタジー状況
2001年から2003年まで,J・R・R・トールキン「指輪物語」を見事なスケールで実写化したピーター・ジャクソン監督作「ロード・オブ・ザ・リング」3部作が評判となり,ファンタジーのリバイバル・ブームが起きた。ただし,FFシリーズのようなゲームと密接にリンクしたファンタジーは,その文脈に充分に組み込まれてはいなかった。
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ゲームブックは四六判,文庫はインディーズ出版で判型を合わせたものくらいしかなかった時期である。そして翻訳ファンタジーに,原作の雰囲気にそぐわないアニメ調の絵があてられることも珍しくなくなっていた。
なかでも象徴的な事例は,「ドラゴンランス戦記」の変遷だろう。
ゲームブックと同時期の潮流として,RPG小説の草分けだった「ドラゴンランス戦記」は,のちの「ロードス島戦記」などとともに1980〜90年代のファンタジーシーンを牽引する代表作であった。しかしそんな「ドラゴンランス戦記」も,21世紀が始まるころには一時の勢いをなくしていたのである。
その「ドラゴンランス戦記」が,詳しい注釈を添えたハードカバーの「ドラゴンランス」(安田 均訳)として,2002年にアスキー・メディアワークスで再展開が始まった。これは好評を博し,2003年からは富士見ドラゴンノベルズで出ていた「ダークエルフ物語」シリーズの前日譚,R・A・サルバトーレの「ダークエルフ物語」(笠井道子訳)の刊行もスタートしている。担当者編集者である工藤裕一氏の熱意も相俟って,「ダンジョンズ&ドラゴンズ」(以下,D&D)の小説は,息の長い展開を見せた。
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D&Dできちんと「ドラゴンランス」が遊べるようになるのは,ウィザーズ・オブ・ザ・コースト直轄となったD&D第5版で,「ドラゴンランス:女王竜の黒き翼」(日本語版2023年)が出てからである。このことからも分かるように,小説とゲームは必ずしもリンクしていなかった。
すでにD&Dを知っている層や,「ロード・オブ・ザ・リング」などを経由して“深堀り”したくなった人へは訴求できても,本来のターゲットであるはずの児童文学ファンタジーの分野では,“ゲーム”であることが足枷になっていた。
2009年には,新たに創刊された角川つばさ文庫で「ドラゴンランス」が展開された。アニメ調の装画とやさしい語り口で書き直された労作だったが,残念ながら3冊が出たのみで終わってしまっている。
41 ホビージャパンHJ文庫Gでの“萌え化”
FFシリーズは,2008年末から思いもよらない形で復活を遂げた。2007年に立ち上げられたゲーム系文庫メディア「ホビージャパン文庫G」で,“遊べるノベル”と題して,「デストラップ・ダンジョン」(「死のワナの地下迷宮」改題,2008年12月),「ハウス・オブ・ヘル」(「地獄の館」改題,2009年1月),「サムライ・ソード」(「サムライの剣」改題,2009年4月)の3冊が刊行されたのである。
このシリーズが読者の度肝を抜いたのは,その大胆なアレンジだった。イラストが完全に日本の“萌え系”ライトノベル調のものに差し替わっていたのだ。
改変はイラストだけではなく,内容にも及んだ。主人公には名前が与えられ,「デストラップ・ダンジョン」はフィリア,「ハウス・オブ・ヘル」はマキといった具合に,既製のキャラクターとしての設定が盛り込まれた。
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とはいえ,かような大胆なアレンジに先例がなかったわけではない。キャラクターの書かれた本を交換して対戦するゲームブック「ロストワールド」のキャラクターを,あられもない姿をさらしつつ戦う女戦士(美闘士)たちに置き換えた「クイーンズブレイド」シリーズが,まさにそれであった。
どちらも担当したのは,ホビージャパンの河原正信氏である。氏へ取材を行い,当時のことを聞いてみた。
河原氏は,自身もまたFFシリーズや「ソーサリー」に多大な影響を受けた1人であったという。しかしFFの復刻を,ライトノベル全盛だった書店で売り場を確保し,若い読者に手にとってもらうには,「オリジンのイラスト(またはそれに近いようなテイスト)で出す選択肢は100%ない」ため「割り切る」必要があると考えた。ゆえにライトノベルの文法に従った,大胆な改変を行わざるをえなかった。
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作品の選択については,「デストラップ・ダンジョン」は河原氏に思い入れがあったため。「ハウス・オブ・ヘル」も好きだったが,それ以上に最初の3作品は,ジャンルの異なるラインナップにしたかったという。一方で,「サムライ・ソード」はライトなイラストを乗せやすそうだったという理由で選ばれている※1。
翻訳は,「クイーンズブレイド」のアプリ版にも関わったデジタル・メディア・ラボ※2が,携帯電話で展開していた版に,アレンジを加えたものが採用された※3。とりわけ「デストラップ・ダンジョン」の主人公フィリアは,キャラクターフィギュアを発売することを視野に入れ,フィギュア映えするようなデザインを意識したという※4。
当然ながら,このHJ文庫G版FFは,読者のあいだでは賛否が大きく分かれるタイトルとなった。確かにこのシリーズをきっかけにFFを知る読者はいたし,若い読者の呼び水になると歓迎した古い読者もいた。一方で,この「割り切り」を良しとしない者も少なくなかったのである。
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その要因はさまざまに考えられるが,例えばゲームのコンセプトにこれを求めるなら,「クイーンズブレイド」は元々がキャラクターがメインのシリーズであり,クロスオーバーに抵抗が少なかったことが効を奏したのではないか。一方で,FFは「You are the Hero」という本書のタイトルからも分かるように,主人公=プレイヤーというのが首尾一貫したコンセプトである。
そもそも原作者であるスティーブ・ジャクソン&イアン・リビングストン両氏が,イラストが織りなす世界観を重視する作者なのだ。現在イギリスで展開されている,Scholastic版のイラストでさえも納得していないというこだわりぶり※4なので,もちろん許諾のうえとはいえ,“遊べるノベル”が取った選択が困難な道だったのは想像に難くない。
そう考えると,主人公を改変し,キャラクターを付け加え,また原作と大きく離れたイメージを添えるという挑戦自体が,シリーズのコンセプトを見失った,筋の悪い試みだったのかもしれない。
※1:河原正信氏の証言に基づく。
※2〜3:河原正信氏・佐野一直氏の証言に基づく。
※4:岡和田 晃「『火吹山の魔法使い』と『ELDEN RING』――伝説的ゲームブックの生みの親と宮崎英高氏が語る,ダークファンタジーの創り方【聞き手:安田 均】」,4Gamer.net,2023年2月22日。
42 アプリ版「ファイティング・ファンタジー」の登場
「ファイティング・ファンタジー」と聞くと,アーケードゲームのファンなら,ゲームブックより先に,1989年にデータイーストから出た2D対戦格闘ゲーム「ファイティングファンタジー」を思い浮かべる人もいるかもしれない。
殺伐とした世界観に,ドラゴンやサソリ人間,蛇女といったキャラクターが登場するなど,FFの影響を感じさせる面がないではないが,FFシリーズとはとくに関連がない。むしろ参考にしたのはAD&Dで,社内にファンがいたのだという※1。英語版のタイトルは「Hippodrome」であった。
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ただ同作については,季刊「R・P・G」の3号(2007年,国際通信社)に,「ゲームブックをのせたケータイの小舟,新たに荒波へ向かう」というフーゴ・ハル氏によるアプリ版FFのレポートが掲載されている。これを手がかりにして関係者を探し出して取材し,判明したことをまとめてみたい。
なお,「R・P・G」は国際通信社の「RPGamer」が15号で休刊したのち,付録ゲームをなくして価格を1000円に下げて再スタートを切った雑誌である。編集長は神保忠俊氏。TRPGを中心に,アナログゲーム全般を扱う方向に舵が切られている。
2003年10月に配信が開始された「デジタルゲームブック」(タイトー/デジタルスタジオ)は,月額300円(税込)でさまざまなゲームブック作品が楽しめる,iモード向けアプリであった。最初期に遊べたのは「火吹山の魔法使い」「バルサスの城塞」「地獄の館」「火吹山ふたたび」「ザゴールの伝説」の5タイトルで,D&D第3版の日本語版リプレイでイラストを担当した,日野慎之助氏による300点の描き下ろしイラストがウリであった。
続いて同年12月からは,「ソーサリー!」(デジタルアドベンチャー)の提供がスタート。ストーリーはそのままに,トレーディングカードバトルの要素が追加されていた。
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デジタルスタジオの社長であった佐野一直氏に,当時のことを証言してもらった。
「火吹山の魔法使い」に出会ってゲームブックに夢中となった氏は,その後も「盗賊都市」や「死のワナの地下迷宮」,さらには国産の「ゼビウス」などにも手を出し,イギリス留学中にはゲームブックを原書で購入し,遊んでいたほどの愛好家であったという。
一方,1980年代のアーケードのハイスコアラーが集うサークル「闘幻狂」(「ゼビウス1000万点への解法」の著者・うる星あんず氏や,「ストリートファイターII」のデザイナー・西谷 亮氏が在籍していたグループ)にも参加していた※2。
デジタルスタジオが「ファイティング・ファンタジー」の権利を取得し,タイトーと共同で配信する形でプロジェクトはスタートした。各キャリアへの窓口はパブリッシャであるタイトーが担当し,デジタルスタジオはデベロッパとして開発を担う。宣伝や集客,品質管理(デバッグ)はタイトー側の領分だ。
当時の携帯電話アプリは,リリースにキャリア側の審査を受ける必要があり,そのためには既に多くのアプリを配信しているタイトーと組むのが最適だったのである。タイトー側の担当者もゲームブック好きだったこともあって,この座組はスムーズに進んだ。翻訳は,TRPGに詳しいエルスウェアに委託したという※3。
とはいえトラブルもあった。関係者間の調整がうまくいかず,翻訳家・浅羽莢子氏の代理人から,「火吹山の魔法使い」のタイトルや訳文を無断使用したとの抗議があったのだ。このときはタイトーの担当者と佐野氏が浅羽氏の自宅へ赴き,謝罪する事態へと発展したという※4。
デジタルスタジオはその後,加賀電子のグループ会社,デジタル・メディア・ラボに統合され,業務が同社に継承されることとなる※5。こうして再スタートを切ったのが,2009年1月に配信がスタートした「ゲームブック・ラボR」(デジタル・メディア・ラボ)であった。
※1:堀内裕之氏(ラムダ・プランニング)のXポスト,2025年11月6日,2025年12月閲覧。
※2〜3:佐野一直氏の証言に基づく。
※4:佐野一直氏・関係者の証言に基づく。
※5:佐野一直氏の証言に基づく。
43 デジタル・メディア・ラボ版「ファイティング・ファンタジー」
デジタル・メディア・ラボの「ゲームブック・ラボR」では,以下の10タイトルが配信された。価格はそれぞれ500円(税込)であった。
- 「炎冠山の魔術師」 (「火吹山の魔法使い」改題)
- 「炎冠山に混沌が甦るとき」 (「火吹山ふたたび」改題)
- 「ザゴールの伝説」
- 「死のワナの地下迷宮」
- 「死の軍団」
- 「バルサスの城塞」 (「バルサスの要塞」改題)
- 「地獄の館」
- 「死神の首飾り」
- 「サムライの刀」 (「サムライの剣」改題)
- 「滅びを呼ぶ者、汝は怪物」 (「モンスター誕生」改題)
社会思想社では未訳だったタイトルが少なからず混じっているのには驚かされるが,セールス的に好調だったのは,むしろ「地獄の館」のようなタイトルだったという※1。
加えて日本のオリジナル作品として,フーゴ・ハル氏の「ミステリーアドベンチャー」シリーズ4作,「ショートアドベンチャー」シリーズ3作も配信された。
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リリースは最初の「炎冠山の魔術師」の公開が2009年1月19日。途中,間を空けながらも1タイトルずつリリースされた。開発が難航したり,配信元がサイバーフロントに移管されたりと紆余曲折はあったものの,2010年5月には全作が公開されている。
デジタル・メディア・ラボ側のスタッフとしては,プロデューサーに佐野氏が名を連ね,開発途中からは,熱心なゲームブック・ファンであり,フーゴ・ハル作品のデバッグも担当していたゲームプランナーの松浦正明氏が参加した。
また,モンスターの原画は,フーゴ・ハル氏(「サムライの刀」「滅びを呼ぶ者、汝は怪物」)が担当。ハル氏は,「ゲームブック・ラボR」の入口に登場する司書のデザインについても,佐野氏と打ち合わせを重ねていたという※2。
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それだけではなく,インディーでゲームブック制作や「トンネルズ&トロールズ」(以下,T&T)のソロアドベンチャーの発行,「ファイティング・ファンタジー」のファン活動をしていた杉本=ヨハネ氏,輝龍氏,カワラベ氏といった,FT書房の面々も開発に協力している。
FT書房の「F」は,「ファイティング」の略であるというくらい,彼らはFFへ傾倒していた。杉本氏と輝龍氏は全作品のバグチェックを行い,カワラベ氏が「バルサスの城塞」のイラスト原画を担当した。
今やロングセラーとなった“30分で遊べる1人用TRPG”こと「ローグライクハーフ」のデザイナーである杉本氏は,「Excelを駆使してバグチェックを行ったのですが,総チェック後のデータを見たとき,作品のリバースエンジニアリングをやりきった充足感に満たされたものです」と,当時のことを回想する。氏はゲームブック作家としても定評があるが,それはこうした実直な仕事によって培われたのかもしれない。
妖怪研究者で,FFシリーズの大ファンでもあるイラストレーターのカワラベ氏は,このときの仕事を感慨深げにこう語っている。
一方,公式のイラストに引きずられすぎないことにも注意しました。当時は,まだ神話やファンタジーの勉強が足りておらず,ゲームブックに限らず“ソード・アンド・ソーサリー”と呼ばれる世界が民話やトールキン,D&Dなどを通して緩やかな世界観の共有を行っていることも,あまり理解していなかった。なので余計に悩みました。
ガンジーと円盤人は,どう文章を解釈しても原作どおりにしかなりません。このときの悩みが,亜人的モンスターの歴史や表現を,私がいまだに追っかけている大きな動機となっています。
「ゲームブック・ラボR」で使用した訳文は,当初はできるだけ浅羽莢子氏のものを用いる方針だったが,氏が2006年に物故したことから,見送らざるをえなかった※3。
そこで新訳を用意し,「滅びを呼ぶ者、汝は怪物」と「炎冠山に混沌が甦るとき」は日向 禅氏が,残り8タイトルは「ドラキュラ城の血闘」の高橋 聡氏が翻訳を行い,いずれも松浦氏が監修している。
「地獄の館」に出てくる英語のアナグラムに気づかせるヒントを,原文に近い内容に改訳してもらうなどしたとのこと※4。
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クレジット表記上は,権利をデジタル・メディア・ラボが買い上げる形だったので,個別の名前は出ていないものの,「R・P・G」3号のフーゴ・ハル「ゲームブックをのせたケータイの小舟、新たに荒波へ向かう」で言及された日向 禅氏,同号でインタビューに参加している高橋氏の仕事がそのままベースになっているわけだ※5。
ゲームとしては,原作をそのままデジタル化した「オリジナル」モードのほかに,「アレンジ」モードを搭載しているのも面白い。アレンジモードでは,能力値がそれぞれ最大のキャラクターを用意することで戦闘の難度を大きく下げ,さらにパズル性の高いジャクソン作品では救済処置も用意されている。
一方,苦労したのはフラグ管理で,読者が無意識に処理している部分をデジタルに落とし込むのが大変だったと,松浦氏は回想している。
とくに「火吹山の魔法使い」のワイト戦が難産で,原書では攻撃をしてから自分の武器が何かを確認するのですが,デジタル版は装備品を変更できるので,最初からダメージを通すこともできてしまうんです。
佐野氏はゲームブックならではの“アナログ感”の表現にこだわったという。かなりの再現度ではあったが,佐野氏はそれでも納得いかない部分が残ったそうだ。なんでもページを捲ったり,分岐で指を挟んだり,手でダイスを振ったりといった感触まで再現したかったというが,デジタルではさすがに難しいだろう。
アプリ化そのものは,ジャクソン&リビングストン両氏とも好意的で,開発にあたっては有形無形の協力が得られたという※6。とくにどうしても足りないイラストは,ゲームの雰囲気に見合ったものをオリジナルで使用してはどうかと,ジャクソン氏側から提案されたとか※7。監修はスクリーンショットを送って確認してもらったそうだ※8。
ゲームブックの衰退の背後には,デジタルゲームの高度化があったとされるが,“原点回帰”を目指した携帯アプリ版の試みは,再評価されるべきではないだろうか。
※1:佐野一直氏の証言に基づく。
※2:フーゴ・ハル氏,松浦正明氏の証言に基づく。
※3:フーゴ・ハル「ゲームブックをのせたケータイの小舟,新たに荒波へ向かう」,「R・P・G」3号(2007年7月),国際通信社。
※4:松浦正明氏の証言に基づく。
※5:佐野一直氏の証言に基づく。
※6〜8:佐野一直氏の証言に基づく。
44 スマートフォン版,Nintendo Switch版の「ファイティング・ファンタジー」
携帯電話の主流がスマートフォンに移り変わり,デジタルゲームの主要なプラットフォームがNintendo SwitchやSteamとなった2017年には,また新たなFFシリーズのデジタルゲームが登場している。
Nomad Gamesがリリースした「ファイティング・ファンタジー・レジェンズ」(PC / Switch / iOS / Android)は,「火吹山の魔法使い」「盗賊都市」「バルサスの要塞」をベースにしながら,独自のカードシステムを加えて再構築したRPGだ。
翌2018年には,続編にあたる「Deathtrap Dungeon Trilogy」(PC / Switch / iOS / Android)も発売されており,こちらは「死のワナの地下迷宮」と「迷宮探検競技」,そして未訳の第36巻「Armies of Death」(1988年)がベースとなっている。
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どちらも日本語に対応し,とくに後者は本邦で公式に紹介されたことのない「Armies of Death」をプレイできるのはいいのだが,いかんせん翻訳がイマイチなのが残念である。それこそ「Deathtrap Dungeon」が,「死のワナの地下迷宮」ではなく「デストラップ・死の罠ダンジョン」となるくらいなので,機械翻訳レベルである。表記揺れや誤字脱字も甚だしいので,もしプレイするなら英語のままをオススメしたい。
また2019年にはTin Man Gamesの「火吹山の魔法使い」が,Switch向けにコーラス・ワイルドワイドから発売されている。PC版とiOS版も存在するが,こちらは日本語に非対応である。ミニチュアゲーム風の画面で迷宮を探索していく,独自のアレンジが施されていて楽しいが,こちらも翻訳には疑問が残る。
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総じて遊べないほどではないのだが,やはり元のテキストをきちんとした翻訳などで知っていればこそ,本末転倒に感じてしまうだろう。ローカライズには愛が必要なのだ。







































