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[GDC 2016]PlayStation VR用タイトル「Until Dawn: Rush of Blood」と「THE PLAYROOM:WANTED」を体験してきた
ジェットコースター系ホラーシューター
「Until Dawn: Rush of Blood」
タイトルに「Until Dawn」とあることから分かるように,同名のホラーミステリーアドベンチャーゲームの世界観をモチーフに制作されたガンシューティングゲームである。
トロッコに座らされたプレイヤーは,両手に拳銃を与えられ,不気味な雪山の山荘の奥に進んでいくことになる。
プレイヤーが銃として持たされるのはPS Move。それこそ,現実世界では,先端が光る棒を持っているようなスタイルとなり,ちょっとみっともないくらいの見映えなのだが,PSVRを被るとあら不思議。両手に持っているのはなんとも勇ましく黒光りする拳銃なのだ。
操作はPS MOVEのトリガーを引けば銃撃,天板側にあるボタンを押せばリロード。PS Moveを小刻みに振るアクションでもリロードになる。
プレイ内容はいたってシンプルで,プレイヤーが乗るトロッコの周辺に次から次へと出没するモンスター達をとにかく撃破すれば先に進んでいける。敵は敵で火炎瓶を投げてきたり,斧で斬りかかってきたりするので,そうした攻撃がこちらに到達する前に敵を撃破しなければならない。
この手のゲームでは「ありがち」な設定ではあるが,要所要所に置いてある可燃性のドラム缶やタンクなどを銃撃すれば大爆発。複数の敵を一気に仕留められる。トロッコのコース上に配置される障害物は銃撃で壊せないものもあり,それは身をかがめることで回避可能だ。
ステージで待ち構えるボスは,銃撃だけでは倒せない場合もあり,「考えるな,感じるんだ」といわんばかりにその舞台に設置された“仕掛け”を利用することで撃破ができる。
この作品,なんというか,テーマパークにあるような,ライド系お化け屋敷風の一人称シューティングなわけだが,意外にも酔うことはなかった。それこそ,「自分はジェットコースター(トロッコ)に乗っている」という自覚ができるのと,眼前に広がるレールによって,その先の自分の動きを想像できるからなのだろう。
本作は,製品版では5時間から8時間の総プレイ時間になる見込みで,VRゲームとしてはなかなかの大作になりそうだ。
開発期間は意外にも短く,このボリュームと品質で,現時点で1年も経っていないという。ほぼUntil Dawn完成後から開発が始まったプロジェクトらしいのだが,背景やキャラクタなど,ほぼすべての素材はUntil Dawnから流用しているそうだ。そうしたアセットの流用が,この品質の高さと開発期間の短さの秘密のようである。
ところで,Until Dawn本編は「幽霊,モンスターと見せかけて実はただの動かないマネキン」というような,あえての肩すかし演出があったが,それらも今作ではちゃんとグリグリ動き回っていた。ブースにいた開発元のSupermassive Gamesのスタッフも「本編ではただの背景物だった彼ら,彼女らに命を与える新たな機会ができて嬉しいよ」と述べていた。
犯人はお前だ! アナログゲーム的要素もある新感覚VR
「THE PLAYROOM:Wanted」
PSVRの事実上のバンドルソフトになった「THE PLAYROOM VR」の新作「Wanted」もプレイしてみた。本作は,PSVRを被ったプレイヤーと,テレビ画面を見るプレイヤーとで協力して遊ぶVRゲームだ。
プレイヤーが扮するのは,THE PLAYROOMシリーズのアイコンキャラクタであるARボットの一人(一体?)。ただし,愛らしいいつものARボットではなく,イカツイ出で立ちの賞金稼ぎARボットで,荒野の街中にある酒場に賞金首を探しに来たという設定だ。
PSVRを被っているプレイヤーは,賞金首を鉄砲で射撃して捕まえる役柄で,テレビを見るプレイヤーはその助手役を務める。助手役は,次から次へとやってくる手配書の内容を見て,そこに掲載されている賞金首となっているARボットの特徴を肉声(自分の言葉)でPSVRプレイヤーに伝えなければならない。例えば,「白い帽子をかぶっていて,青く丸い目をしていて,髭が生えていて……」といった具合だ。
PSVRプレイヤーからは手配書が見えていないので,助手役の生声による賞金首の特徴表現だけで,酒場にいるARボット達の中からターゲットを探し出して攻撃し,捕まえなければならない。PSVRプレイヤーが手配書通りの賞金首を撃破できれば次の手配書に進めて,何人の賞金首を捕まえられるかを競うのだ。
最初は手配書の賞金首の特徴もシンプルなものなのだが,「ヒゲ」も「細い髭」と「太い髭」が出てきたり,帽子も色違いだけでなく形状違いや,弓矢がささっているようなダメージ表現付きのものも出てきたりして,PSVRプレイヤーよりも助手プレイヤーの言語力の重要度が増していくようになる。
制限時間内に賞金首を見つけられない場合や,人違いのARボットを攻撃してしまうと即ゲームオーバーだ。かわいい顔してゲームルールはシビアなのである。
筆者は,このTHE PLAYROOM VRシリーズの開発者であり,あのPS Vitaの名作「GRAVITY DAZE」のプログラマでもある横川 裕氏(SCE JAPANスタジオ シニアプログラマー)に助手を担当してもらって挑戦しところ,14人の賞金首を捕まえることができた。15人目をミスしたのは,筆者のミスではなく,それこそ横川氏の特徴表現に問題があったため!
うまくいくと友情が深まるが,失敗すると「なんだよーそれー」という雰囲気が二人の間に漂う不思議な味わいのVRゲームである。 読者の皆さんがPSVRを購入した暁には,まず初めにWantedに挑戦して,筆者のスコアを打ち負かしてほしい。ちなみに,横川氏によれば,開発チーム内での最高得点は47人だとか。これも目安にして挑戦してみよう。
ちなみにこの作品では,PSVRプレイヤーが,ゲーム世界でもPS4のDUALSHOCK4を手にすることになるのだが,これがやたらリアルである。アナログスティック,ボタン,グリップ,スライドパッドの各部位の素材の違いまでが再現されているレベルだ。横川氏によれば,これこそが物理ベースレンダリングの恩恵だそうで,実際のDUALSHOCK4の素材と同じ材質パラメータ/反射率が設定されているという。ゲームの本質とは違うが,本作を体験したときには,仮想世界側の妙にリアルなDUALSHOCK4の見映えにも注目していただきたい。
- 関連タイトル:
Until Dawn: Rush of Blood
- 関連タイトル:
THE PLAYROOM VR
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