インタビュー
「政剣マニフェスティア」の開発者インタビューを掲載。8月31日にキャラクターの魅力を掘り下げる新システム「町興(まちおこし)」が登場
本作は,可愛い女の子を育成しながら,タワーディフェンスの要領で戦うシミュレーションゲームだ。「こちら」のプレイレポートでも紹介しているが,今年の2月に事前登録もなく,ひっそりと正式サービスが開始されたにも関わらず,高いゲーム性が話題を呼び,サービスイン半年が経過した現在では,DMMのランキング上位に顔を出すほどの人気作に成長している。
今回は,本作の開発を担当するテクノード代表取締役の鎌田寛昭氏にインタビューを行い,最新のアップデート情報と,本作の基本コンセプトについて聞いてきたので,じっくりと目を通してもらいたい。
「政剣マニフェスティア」公式サイト
事前登録なしのスタートから人気を獲得。基本コンセプトは日本人に合うビジュアルのタワーディフェンス
4Gamer:
本日はよろしくお願いします。「政剣マニフェスティア」が正式リリースされたのは今年の2月ですが,それまで事前登録もなく,ひっそりとスタートした印象でした。
そうですね。リリース直前のギリギリのタイミングまで開発を行っていて,宣伝などに手が回っていませんでした。
4Gamer:
なるほど。目立った広報活動がなかったにも関わらず,気が付くと注目されていたように思います。そのあたりはご自身でどう分析されていますか?
鎌田氏:
DMMさんのプラットフォームの力が大きかったかったですね。現状ですと,スマホ向けアプリは供給が多すぎて埋もれてしまいがちです。そのため,タイトルの存在を知ってもらうことが難しいです。
一方,DMMさんのプラットフォームはタイトル数が絞られているので,リリースさえできれば存在を知ってもらえるので,我々のような零細企業は戦いやすいと思います。
4Gamer:
まずはゲームそのものを知ってもらわないと,遊んでもらえないですからね。ちなみに,鎌田さんは代表取締役ということですが,開発にも関わっているのでしょうか。
鎌田氏:
ええ。政剣マニフェスティアのリリースまでは,効果音や一部のステージを制作するなど,現場で実作業を行っていました。あと私は,お金の管理をしているプロデューサーに近い立場なのですが,制作の方向性はチーム全員で決めているので,役割は少し異なるんですよ。
4Gamer:
開発はすべてテクノードさんが内部で開発しているんですか?
鎌田氏:
イラストとBGM以外は,ほぼすべて内部で制作しています。
4Gamer:
では,本作の基本コンセプトを教えてください。
鎌田氏:
制作の動機は「女の子が出てくるタワーディフェンスを作りたい」でした。当時,タワーディフェンスは海外のタイトルが主流で,日本人に合うビジュアルのものは少なかったんです。それで制作し始めたのが,2013年あたりでしょうか。
4Gamer:
本作は,どちらかと言うと純粋なタワーディフェンスとはちょっと違っていますよね。
鎌田氏:
ええ。プロトタイプを作っている間に紆余曲折ありまして(笑)。最初は設置型の純粋なタワーディフェンスだったのですが,キャラクターを自由に動かせるようにしたり,アイデアの赴くままに試作を繰り返したりしていました。そんな苦労の末に,ライフをなくして,ライン上に限りキャラクターを動かせるようにするという,現在の基本システムにたどり着いたんです。
4Gamer:
タワーディフェンスというよりも,タワーオフェンスといった感じですよね。マップの構成を理解したうえで,戦略を練って速攻で敵の城を落としに行くという独特のプレイ感があると思います。
ところで,“政治”という,おおよそゲームタイトルでは扱わないであろうテーマを選んだ経緯も知りたいです。
鎌田氏:
弊社にとって,ブラウザゲームに初めて参入するタイトルでしたので,まずはインパクトの強いテーマで皆さんに存在を知ってもらいたいと考えました。企画の段階ではまったく違う題材だったのですが,同じようなテーマを扱ったタイトルが立て続けに出てしまって……。
4Gamer:
変えざるを得なくなったと。
鎌田氏:
ええ。そこで,プレイヤーがどんな立場にいることが多いのか人気のタイトルのテーマを分析してみました。提督だったり社長だったり,高い地位の肩書きが目立っていてたので,それを超えるのは……日本なら総理大臣しかいないだろうと。
4Gamer:
なるほど(笑)。それにしても,“ヤトー”と選挙で戦うだとか,設定が割とギリギリな気もします。
鎌田氏:
最初は結構まじめに政治ネタを盛り込んでいたのですが,まじめすぎるとむしろマズイことが多いということが分かって,あえてバカっぽいシナリオにしたんですよ。当然ですが,特定の団体を揶揄するようなことがないよう,細心の注意を払っています。
4Gamer:
ちなみに,プレイヤーの反響はどうだったのでしょう。
鎌田氏:
「とんでもないタイトルが出た」と言われることが多かったです(笑)。ですが,そこがとっかかりになって話題ができたことが良かったとも思いました。
4Gamer:
一見するとイロモノに感じてしまうタイトルですが,その実,ゲームシステムは硬派というか,しっかりと作られていますよね。
鎌田氏:
企画の段階から,ゲームとしてきちんと遊べるタイトルにしようと考えていましたから。ビジュアルで勝負するタイトルでは,どうしても資本力のある会社に太刀打ちできません。我々のような小さな会社であればあるほど,ゲームとしての面白さにきちんと目を向けないと。
4Gamer:
話を聞くだけでなんとなく低予算な雰囲気は伝わりましたが,それでも政剣マニフェスティアのグラフィックスは,全体的にリッチに作られているように感じました。
鎌田氏:
それは,コストを掛けるところと掛けないところを明確に分けて対応しているからですね。イラストはリッチに,しかし,気づきづらいところは極力コストを掛けない方向で調整しました。例えば,ギアに乗って戦うという設定自体が,バトル中のアニメーションにかかるコストをカットするための苦肉の策だったりもするんですよ。
4Gamer:
なるほど。実際のゲーム内容に目を向けると,オンラインゲームでありながら,ほかの人と対戦したり競争したりといった機能は入っていませんよね。
基本的に,ステージをどうやって攻略していくのか,戦略を練るのが楽しいゲーム,ひとりでまったりと進めていけるゲームを目指しています。ですから,ガチャで最高ランクのSSRを入手すれば攻略は楽になりますが,ゲーム内で入手できるキャラクターを育てるだけでも,どんどんステージを進められるバランスになっているんです。
もし対戦システムを入れた場合,何をどうしても高ランクのキャラクターがほしいという話になってきますし,そうなると我々の目指すバランスとはかけ離れてしまうと考えています。
4Gamer:
対戦のシステムはまったく考えていなかったのですか?
鎌田氏:
MOBAのような対戦を簡略化したものとか,ほかのプレイヤーと協力して戦うレイド戦のようなシステムを考えたことはありました。ただ,まったり遊んでもらいたいことと,世界に同じキャラクターは複数存在しないという世界観を理由に実装を避けています。
4Gamer:
分かりました。人気の要素としては,そうした「ゲーム性の高さ」に加えて「キャラクターの魅力」もあるのかなと感じていますが,いかがでしょうか。
鎌田氏:
キャラクターそのものに元ネタはないのですが……服装だとか,細かなところに小ネタを仕込んでいまして,気づいた人だけくすりと笑っていただけるのが良いかなと思っています。
4Gamer:
過去の政治家に関連したものを参考にしていくと,当然ですが数に限りがでてきますよね。
鎌田氏:
実在の人物,団体とは関係のないファンタジーですので(笑)。ですから,キャラクターはどんどん増やしていきますよ。
4Gamer:
どんな新キャラクターが出てくるのか,注目しています。
政霊の日常生活が垣間見れる新システム「町興」。スマホ版の展開予定も
ちなみにキャラクターについては,これまではそれぞれのキャラクターがしゃべる機会がなくて,物足りないという意見も多かったので,新システムを導入することにしました。
4Gamer:
その新システムについて詳しく教えてください。
鎌田氏:
8月31日のメンテナンス後から,新システム「町興(まちおこし)」を導入します。好評のキャラクター「政霊」ですが,政霊同士がやりとりするようなシーンは今までありませんでした。ですので,特定の政霊をシナリオに盛り込める要素として,この町興を企画したんですよ。
4Gamer:
メインシナリオは,ナビゲーターキャラのシノブやナイカクを中心とした会話で進行していきますが,町興はまったく違う展開になるのでしょうか?
鎌田氏:
会話中心なのは変わりませんが,出てくるのは自分が仲間にした政霊で,仲間にしていないと始まらないのが町興シナリオの特徴です。
4Gamer:
政霊ごとのシナリオというわけですね。
鎌田氏:
はい。具体的な進行方法は,政霊指定都市の施設を立派にすることを目標として政霊を派遣します。そうすると政霊の力によって施設がレベルアップし,条件を満たすとシナリオが発生します。
4Gamer:
施設にはどんな種類があるのでしょうか。また,特定の政霊を所持していないと施設がレベルアップしないといったことはあるのでしょうか。
鎌田氏:
施設自体は派遣によって成長していきますので,特定の政霊が必要ということはありません。その政霊を所持していると,シナリオが発生するだけです。施設の種類は,たわし工場や三百怨酒場,拳法の宿などがあります。また,派遣によって「かぶ」を集めるのも目的となっているので,何度も繰り返して遊んでほしいですね。
4Gamer:
イベントではなく常駐のコンテンツになるのでしょうか。
鎌田氏:
常駐のコンテンツです。シナリオ本編とは関係のないところで,もうひとつ軸になるコンテンツを入れたかったので。シナリオ本編は,ゲーム画面をしっかり見ながらプレイするタイプになっていますが,町興は画面を見なくても進行できます。政霊を派遣すると,一定時間後に戻ってきて結果が表示される形ですね。
4Gamer:
いわゆる探索型のコンテンツになるわけですね。では,9月以降の展開も,お話しいただける範囲で教えてください。
鎌田氏:
繰り返しになりますが,新キャラクターをどんどん追加していきます。あとは,スマホ版も展開する予定なんですよ。
4Gamer:
お,スマホ版ですか。それは嬉しい情報です。
実は,空いた時間にちょっと操作するだけで済む町興は,スマホでの遊びを意識しています。
4Gamer:
ああ,なるほど。スマホ版についての情報も期待しています。新しいステージやシナリオの追加についてはいかがでしょうか?
鎌田氏:
エンディングまでの構想があるので,まずはそれを完結させることを目指し,その後に続くシナリオを随時追加していく予定です。
4Gamer:
この手のゲームだと,延々とシナリオが続くケースが多いと思うのですが,エンディングが設定されているんですね。どのようなストーリーになっているのか興味深いです。
最後に,4Gamerの読者に向けてメッセージをお願いします。
鎌田氏:
政剣マニフェスティアは,これからもサービスを続けていきます。イロモノの題材を扱っていますが,中身はしっかりとしたゲームになっていますので,シミュレーションゲームが好きな方は,ぜひ一度本作をプレイしてみてください。
4Gamer:
本日はありがとうございました。
「政剣マニフェスティア」公式サイト
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