連載
「そうだ アニメ,見よう」第30回はダークファンタジー「ベルセルク」。18年ぶりのTVシリーズは3DCGとセルアニメが融合した意欲作
昨今のアニメ業界で注目を集めている“5分アニメ”。これまで,番組の間に挟まれる箸休め的なものという認識だったが,ここにきて話題となる作品が急増している。なかでも「僧侶と交わる色欲の夜に…」はいろいろな意味で注目度ナンバーワン。来期もこんな作品が登場するのか気になるところだ。
さて,第30回のタイトルは「ベルセルク」。原作は,三浦建太郎氏が「ヤングアニマル」で連載中の同名コミックだ。2016年7月に第1クール,2017年4月に第2クールの放送がスタートしている。制作はLIDENFILMS,監督は「ベン・トー」や「てーきゅう」の板垣 伸氏が務めている。
「ベルセルク」
そんな中,キャスカは魔女と勘違いされ,異端審問官に捕らえられてしまっていた。彼女を救うべく,イシドロ達と協力して,激闘を続けるガッツの前に,ゴッド・ハンドの1人,グリフィス(CV:櫻井孝宏)が受肉した姿で現われる。それは,人と魔が交じり合う,新たな世界の兆しでもあった。
キャスカを救い出したガッツは,安全な場所を求めて,妖精のパック(CV:水原 薫)の故郷である妖精郷を目指すことになる。その道中,ファルネーゼ達と合流した一行は,ふとしたことから霊樹の森の魔女シールケ(CV:斎藤千和)とその師フローラ(CV:島本須美)に出会い,近隣の村を襲うトロール退治を依頼されるのだった。
巨大な剣を背負い,運命に抗い続けるガッツ。彼の旅はいっそう過酷なものに |
ガッツは教皇庁から離反したファルネーゼ達と行動を共にする |
これまでにTVアニメ,劇場版アニメ,ゲームにと各メディアで映像化されてきた「ベルセルク」。1997年から1998年に放送された「剣風伝奇ベルセルク」は,主人公ガッツの少年時代から青年時代までを描いた黄金時代編(原作3〜14巻)のアニメ化作品だったが,今回は断罪編(原作14巻〜)以降が描かれた初のTVシリーズとなる。
この演出に関して,登場キャラクターが非常に多く,さらに激しいアクションシーンがウリの「ベルセルク」には,なかなか相性が良いと筆者は感じた。
というのも,激しい戦闘場面のなかで,ふいに挿入されるアニメ絵の美しさにハッとさせられることが何度もあり,原作での印象的なシーンが際立つように演出されていたからだ。第1クールの最終話で,混乱する戦場に舞い降りたグリフィスの神々しいシーンは,印象に残っている人も多いのではないだろうか。
受肉したグリフィス。本作では3DCGとセルアニメをシーンごとに使い分けている |
原作準拠のシナリオとハイテンポの演出
原作のボリュームを考えると,到底2クールでは収まらないと,ファンの間で心配されていたシナリオだが,フタを開けてみれば,それは杞憂だったようだ。本作のシナリオは,本筋と直接関係ない部分を少々カットしつつもメイン部分はしっかり再現した,原作準拠の内容となっている。
第1クールでは,断罪の塔でのルカ達のエピソードなど,脇を固めるキャラクターの部分もちゃんと描きながら,ハイテンポの進行できっちりと断罪編を終了させていた。
第2クールもファルネーゼとセルピコの幼年時代,イシドロの葛藤といったサイドストーリーを丁寧に描き,原作のテイストを損なわないように配慮されている。演出のせいなのか,久しぶりに30分が短く感じたほどだった。
セルピコとファルネーゼの複雑な関係もしっかりと描かれている |
キャスカとの再会シーン。こうした名場面の再現はファンにはうれしい配慮だ |
デフォルメされた“栗パック”もしっかり再現
原作は,ダークファンタジーと謳われるとおり,シリアスなシナリオがメインとなる。しかし,黄金時代以降では,パックやイシドロのコンビによるコミカルな部分が徐々に増え,ハードな世界観の中で一服の清涼剤となっている。
アニメ化にあたって,この部分はそのまま採用されている。パックに翻弄されるイシドロ,それにシールケの相棒であるイバレラ(CV:新井里美)が加わり,画面の端っこでちょろちょろと動き回る。「このあたりは削ってもいいのでは?」と思われるシーンもしっかり入れているあたり,制作陣が彼らの魅力を視聴者に伝えたいと考えているのだろう。
ただ,あのデフォルメされた“栗パック”に注意を向けていると,肝心のお話がおろそかになってしまうこともあるので,録画しての視聴をオススメする。
栗パックはイシドロといいコンビだ |
大人気コミックの久々の映像化作品だけに,本作に対するファンのハードルは相当高めに設定されていた。その期待に,監督の板垣 伸氏は“ハイテンポの演出による原作準拠”という王道の手法で,しっかり応えている。
ファンはもちろん,ここから「ベルセルク」に入ったという人も十分満足できる作品に仕上がっているのではないだろうか。なお,公式サイトでは,約25分もの第1期ダイジェスト映像が公開されているので,見逃したという人はチェックしておこう。
現在,第21話まで放送されているが,今後ガッツ達一行はどうなるのか? 狂戦士の鎧を手に入れたガッツだが,立ふさがる使徒達は強敵揃い。グリフィス達「新生鷹の団」やクシャーンとの戦いがどこまで描かれるのか,残りの放送回に期待したい。
「ベルセルク」公式サイト
放映データ |
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第2クール 2017年4月〜 |
全12話 |
キャスト | |
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ガッツ:岩永洋昭 | パック:水原 薫 |
ファルネーゼ:日笠陽子 | セルピコ:興津和幸 |
イシドロ:下野 紘 | キャスカ:行成とあ |
シールケ:斎藤千和 | イバレラ:新井里美 |
フローラ:島本須美 | ゾッド:三宅健太 |
ソーニャ:南條愛乃 | グリフィス:櫻井孝宏 |
髑髏の騎士:大塚明夫 | ナレーション:石塚運昇 |
スタッフ |
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原作・総監修:三浦建太郎(スタジオ我画)(白泉社ヤングアニマル連載) |
監督:板垣 伸 |
シリーズ構成:深見 真 |
シリーズ構成協力:山下 卓 |
メインキャラクターデザイン:阿部 恒 |
音楽:鷺巣詩郎 |
劇中歌:平沢 進「灰よ」「Ash Crow」 |
オープニングテーマ:9mm Parabellum Bullet「サクリファイス」 |
エンディングテーマ:南條愛乃feat.やなぎなぎ「一切は物語」 |
制作:LIDENFILMS |
アニメ制作:GEMBA/ミルパンセ |
■Blu-ray情報
Blu-ray 第3巻
発売日:7月21日(金)
品番:GNXA-1863
価格:¥22,500+税
収録話:規制解除版 第13話〜第18話
<第3巻 初回限定特典>
・三浦建太郎 描き下ろし イラストボード(B5サイズ)
・キャラクターデザイン阿部 恒 描き下ろし特殊パッケージ仕様
<第3巻 映像特典>
・第1期シリーズ特別ダイジェスト映像
Blu-ray 第4巻
発売日:9月21日(木)
品番:GNXA-1864
価格:¥22,500+税
収録話:規制解除版 第19話〜第24話
<第4巻 初回限定特典>
・三浦建太郎 描き下ろし イラストボード(B5サイズ)
・キャラクターデザイン阿部 恒 描き下ろし特殊パッケージ仕様
(C)三浦建太郎(スタジオ我画)・白泉社/ベルセルク製作委員会
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(C)三浦建太郎(スタジオ我画)・白泉社/ベルセルク製作委員会
(C)コーエーテクモゲームス
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