プレイレポート
オープンワールドアクション「Days Gone」プレイレポート。文明崩壊後に待つ真の敵は,理性を失った感染者達か,それとも生きる人間か
本作は謎のパンデミックにより文明社会が崩壊し,理性を失った「フリーカー」と呼ばれる感染者が跋扈する中で,それでも生き延びようとする人間達をテーマにした作品だ。
プレイヤーは,美しいグラフィックスで描かれたオープンワールドをバイクにまたがって自由に移動し,あるときは凶悪なフリーカーと戦い,またあるときは他の生存者達と協力あるいは敵対しつつ,過酷な世界を生き延びていくことになる。
本稿では,そんな本作のプレイレポートをお届けする。プレイに使用したのはPS4 Proで,スクリーンショットは本体のSHARE機能を利用して撮影している。
なお本稿では,プレイの楽しみを奪わないために,極力ストーリーやゲーム中の展開に触れないよう努めているが,場合によっては画像や文章がネタバレになってしまう可能性がある点はご了承願いたい。また,Days Goneは「CERO:Z(18才以上のみ対象)」の作品ではあるが,本記事中には過激な描写表現は含んでいないので安心してほしい。
狂気のフリーカー,獰猛な野生動物,容赦ない野盗,凶悪なカルト集団……。崩壊後の世界は危険がいっぱい!
冒頭でも少し触れたが,本作の舞台となるアメリカは,世界的なパンデミックによって人間社会が崩壊しており,理性のない“フリーカー”となった大量の感染者達が,生きた人間を平然と襲っているような状態だ。
人類自体はまだ滅び去っていないものの,インフラや治安といったものはほぼ失われており,ある者は小さなコミュニティのフェンスの中で細々と生き延び,またある者は野盗としてそんな人々を襲うなど,かつての文明の面影は急速に姿を消しつつある。
人々の生き残る糧となるのは,かつての文明が残した物資だが,そんな宝が眠る場所はフリーカー達が居着いて住処としており,復興どころか生存すら危うい状態になってしまっているのだ。
主人公のディーコン・セントジョンは,そんな荒廃した世界で賞金目当てに放浪する「ドリフター」として生きる男だ。2年前に妻である「サラ」を亡くした彼は,半ば自暴自棄になりながらもスキンヘッドの相棒であるブーザーと共に,頼れる足であるバイクを乗り回し何とか生活していた。
プレイヤーはそんなディーコンを操り,さまざまなミッションをクリアしつつ,行動範囲を広げてパンデミックの謎に迫り,そして自らの過去にケリを付けるため,戦い続けていくことになる。
本作をプレイしていて感じるのは,この世界が本当に危険だらけということだ。前述のように物資がありそうなめぼしい場所には,大概フリーカーどもが居着き,近づく者に容赦なく襲いかかってくる。彼らはいわゆる“走るタイプのゾンビ”で,タイプにもよるが視覚に関しては比較的鈍感なものの,騒音や叫び声に関しては鋭いようで,戦闘状態になると雪崩を打って襲いかかってくるやっかいな相手だ。
銃は有効な武器だが,攻撃時には音が発生するし,そもそも弾丸の入手性が悪い。拾える近接武器は多いものの威力が低めで壊れやすいなど,正面から戦うのはそれなりに厳しい感じだ。とくに装備が劣悪な序盤は,時間はかかるがステルス状態から一撃で仕留めるか,あえて逃げるのも手である。
Days Goneではファストトラベルも可能だが,最初は使えない場所も多い。フィールドの至る所にフリーカーが「巣」を作っており,そういった場所で巣を除去してやっと使用可能になるものなのだ。フリーカーが支配する場所で資源を集めるなら,彼らを倒すのはもちろんのこと,同時に巣も破壊しつつ進んでいくことになるだろう。
巣は,藁や木材などの可燃物で作られており,小型のタイプは火炎瓶やガソリン缶といったアイテムを使えば破壊可能だが,昼間は巣で寝ているフリーカーが多いので,おおかた燃やした途端に中から次々と飛び出してくる。
逆に夜だと外で行動している数が増えるため,巣の中にいる数は減る。ただ,いずれにしても戦闘は避けられないので,十分に準備してから挑みたい。
また一部の場所はさらに規模の大きな巣窟となっていて,中からフリーカーが数え切れないほど出てくるので手に負えない。本作は発表時から「大量のフリーカーとの戦い」をフィーチャーしていたが,実際に目にするとそのインパクトは凄く,当然ながらぼーっと見ているとあっという間にやられてしまう。
真っ正面から戦っても勝機は薄く,地の利を生かす,可燃性のドラム缶などのトラップを使う,火炎瓶やグレネードを活用するなど,人間ならではの知恵と道具で乗り切るのがキモだ。
著者も初めてこの“フリーカーの大群”に出会ったときは,わけも分からずやられてしまったが,周囲を見渡すと地形が独特だったり,可燃物が多かったりと,クリアするための“何か”が用意されていた。きっちりセーブしておけばリトライは楽なので,あえて突っ込んでみて様子を確かめてみるのも,ひとつの手かもしれない。
だが,この世界で恐ろしいのは理性のないフリーカーだけではない。凶暴化してしつこく襲ってくる野生動物もそうだが,生き残った人間達も同じくらい,あるいはそれ以上に危険だ。
ディーコンが“賞金稼ぎ”として生きられるのも,賞金をかけられるような人間がたくさんいるからで,治安の悪さを如実に表している。ディーコンの拠点にもなる,各地の小さなコミュニティに住む人間はそれなりに友好的だが,それ以外の連中は小さな盗賊集団となって平然と強盗を繰り返したり,一部はカルト化して勝手に決めた教義に反する者に凄惨な拷問を加えたりと,どっちが“理性を失っている”のかわからない状態だ。
印象のみで前述の「大量のフリーカーとの戦いがメインだろう」と思っていたのだが,実際にプレイを進めると想像以上に人間同士で戦う機会が多く,「本当の敵は何だろう?」と考えるようになってしまった。いわゆる“ゾンビ作品”では,ゾンビ自体の恐ろしさもさることながら,人間同士の争いが重要なテーマになっているものも多いが,本作でもそれは踏襲されている印象だ。
道中で生存者を助ける機会も多いが,彼らを襲っている相手はフリーカーとは限らず,野盗であることも多々ある。あるときはフリーカー,またあるときは生き残った人間同士で戦わなければいけないディーコンの旅路は,中々に熾烈と言えるだろう。
ミッションをこなしてコミュニティの信頼を得れば,つらい旅も楽になる
初期のディーコンは,この終末世界を生き抜くにはかなり頼りないが,さまざまな要素によって強化できる。一番分かりやすいのはレベルアップで,敵を倒したり,クエストをクリアしたりすることで経験値が溜まっていく。
そうしてレベルが上がると同時にスキルポイントが入手でき,これを「格闘戦」「遠距離戦」「サバイバル」にジャンル分けされた能力に割り振ることによって,新たなスキルを身につけられるわけだ。
例えば,格闘戦なら近接武器をその場で修理できる「ベテランメカニック」,遠距離戦なら射撃中に時間をスローにして狙いやすくする「フォーカスショット」,サバイバルなら自分の撃ったクロスボウの矢を回収できる「リサイクル」といった感じだ。これらのスキルは一種のツリー構造になっていて,下位のスキルを習得することで上位のスキルが開放されていく。
装備を充実させることも忘れてはいけない。武器や素材はフィールドのあらゆるところで拾えるが,例えば近接武器は弱くて耐久力が低く,素材はそのままだと何の役にも立たない。これらは「クラフト」で“使える”形に作り替えてやる必要があるのだ。
ディーコンはかなり器用で,[L1]ボタンに割り当てられた「サバイバルホイール」から,ゲーム中のほとんどのタイミングで装備を変えたり,アイテムを作り出したりできる。
例えばフリーカーの巣を燃やすのに最適な火炎瓶は,灯油とビール瓶と布があればゲーム開始時点から作ることができるし,頼りない木製バットも釘とスクラップを用意すれば,世紀末の世界には欠かせない「釘バット」に早変わりだ。
これらのクラフト可能なアイテムは,各地のロケーションなどに置かれているクラフトマニュアルを入手すると増えていく仕組みになっている。クロスボウの矢や回復用の包帯などもその場で作れるので,アイテムの在庫が厳しくなってきたら,[R3]ボタンで発動できる「サバイバルビジョン」を使って,効率的に材料を探していくのも,サバイバルを生き抜く秘訣となるだろう。
さらに地元の生存者の協力を得るのも重要だ。地域に存在するコミュニティは一種の町のようになっていて,ファストトラベルの目的地になるほか,武器屋で新しい銃を入手したり,換金所でフリーカーを倒した証拠を渡して報酬を得たりできる。
これらのコミュニティには「信頼度」が設定されていて,クエストなどをこなすと上昇し,新たなアイテムが店に並んだりする。ディーコンと共に各地を駆け抜けるバイクも,ここでカスタマイズするという流れなので,スキルや体力だけでカバーできない範囲は,「金と信頼」で強化するというわけだ。
バイク自体は耐久度があって壊れると修理が必要となる。走ると燃料もきちんと消費するので,こまめにガソリンを見つけて補給しなければならないが,それでも,徒歩で歩き回るよりも格段に効率がよく快適な移動ができる。フリーカーや野生動物から逃げるのも徒歩だと厳しいことが多いので,旅の相棒を強化しつつ,冒険にのぞんでいきたい。
広大な自然の中でバイクを乗り回し,ガラクタからアイテムをクラフトして,ピンチは知恵と工夫で乗り切れ。厳しいサバイバルの先でディーコンを待つのは何か
本作のフィールドは広大な自然が広がっており,一見する限り平穏そのものだ。とくに高所からの眺めは最高で,とても文明崩壊後の世界には見えない。アクセル全開で気持ちよくバイクに乗っていると,なおさらそう思えてきてしまう。
だがそんな美しい風景とは裏腹に,Days Goneの世界は実に殺伐としている。クリーチャーとなった感染者が脅威であるのは間違いないが,そんな状態でも生存者達は決して一枚岩にはなれず,争いを続けている。
賞金稼ぎとなったディーコンなどは,まさにそういった社会の象徴的な側面もあるだろう。生き延びるためとはいえ依頼によって人間の拠点を叩きつぶしてしまったり,逆にそれによって結果的に資源や拠点を入手したりと,少し考えさせられてしまうシチュエーションもあったりした。
どこへ行き,どのクエストを進めるかなど自由度は高いし,戦い方はステルスメインはもちろん,その気になれば砦のような敵拠点相手に正面突破もできる。だがやはり,とくに序盤は弾丸を含めた物資がなかなか入手できないので,どのスキルを強化して,どうやってクリアしていくか,悩んでいくことになるかもしれない。
近接武器とそのスキルは弾がいらない反面,近づかないと攻撃できないので囲まれたりダメージを受けるリスクが高いし,逆に遠距離武器に頼りすぎると弾切れ時に何もできなくなる……といった感じで迷いがちだが,これはこれでまた楽しい。
また,敵がフリーカーか人間かによっても事情が異なってくるので,この辺りは自分の得意なプレイスタイルを見極めつつ,決めていくことになりそうだ。
さらにロケーションによっては爆発物や可燃物が多く設置されていて,あえて目立つ行為をして敵の注目を集めてから,一網打尽で解決を目指すといったシチュエーションもある。手持ちの物資やライフが少ないときは,誰かに助けを求められてもあえて無視する,といった厳しい判断も必要になるかもしれない。
最初は公式のムービーなどを見て「とにかく大量の感染者の山をなぎ倒すゲーム」という印象を抱く人が多いかもしれない。
だが,実際はそういった要素は一面に過ぎず,むしろ遠くからじっくり敵を観察して計画を立てて行動を起こしたり,死んでしまった後に問題点を考えて試行錯誤をしたりする機会の方が多いように思う。
ディーコンはサバイバル技術に長けていてタフであるが,決してスーパーヒーローのような超人ではなく,油断して敵に囲まれたりすると結構あっさりとやられてしまう“人間”だ。だからこそ,規模の大きな敵の拠点を攻略できると達成感も大きいし,逆に無理そうならほかのクエストやロケーションを優先するのも悪くない。前述のように,ディーコンを強化する方法はいろいろと用意されているのだから。
さらに本稿ではあえて触れていないが,ディーコンを軸に進むストーリーも,序盤からなかなかにハードな展開が続いていく。感染者だけでなく多くの人間も敵となる中で,ディーコンが何を体験していくことになるのか,それは自分の目でぜひ確かめてほしい。
「Days Gone」公式サイト
- 関連タイトル:
Days Gone
- この記事のURL:
キーワード
(C)Sony Interactive Entertainment LLC. Developed by Bend Studio.
- 【PS4】Days Gone 【早期購入特典】 バイクアップグレードパック /ドリフタークロスボウ早期アンロック をダウンロード出来るプロダクトコード (封入)
- ビデオゲーム
- 発売日:2019/04/26
- 価格:4377円(Yahoo)