プレイレポート
シリーズ最新作「ソニックマニア」先行体験会レポート。飯塚 隆氏をはじめとする開発陣が“2Dソニック”の魅力を解説した
※PC版は8月30日にSOE(Sega of Europe)より配信開始予定。
近年のソニックシリーズは3Dグラフィックスのゲームデザインが主流になっているが,「ソニックマニア」はシリーズの原点であるドット絵の“2Dソニック”が躍動するシリーズ最新作だ。本作の開発陣には,アメリカやイギリス,オーストラリアなどから筋金入りのソニックファンが集まったという。
懐かしさが漂う横スクロール型アクションであることはもちろん,ソニックらしいスピード感や爽快感,広いステージからベストなルートを見つけてゴールを目指すといった内容も健在だ。メガドライブ版をリアルタイムで遊んでいた往年のゲーマーのツボを突くタイトルになっている。
「ソニックマニア」公式サイト
リバイバル収録となる各ゾーンのアクト1の途中までは発売当時のステージ構成を残しつつ,後半にかけては変化も増え,アクト2については,まったく新しいステージ構成に作り直されている。新しいルートやギミックも用意されており,懐かしさを感じつつも,新鮮な気持ちで楽しめるだろう。
一方,新規のゾーンには「ハード ボイルド へビーズ」(HBH)なるエッグマンのロボット5体が登場する。ストーリーの盛り上がりにも期待できそうだ。
おなじみの「スペシャルステージ」には,新たに3Dタイプのステージが用意されている。3Dと言ってもドット絵に合ったシンプルなものだ。画面の奥へ逃げていくUFOを追いかけるという内容で,ステージ内のボールを一定数入手するとソニックのスピードがアップし,制限時間内にUFOを捕まえればステージクリアとなる。
もちろん,クリアのご褒美はカオスエメラルド。7個揃えばスーパーソニックになれるだけでなく,エンディングにも何らかの影響があるという。しかし,これまでのシリーズ作品を考えると,全部集めるのは容易ではないだろう。
さらにスペシャルステージとは別に,「ボーナスステージ」も存在する。こちらは「ソニック・ザ・ヘッジホッグ3」「ソニック&ナックルズ」のスペシャルステージ「ブルースフィア」と同じルールで,球状のステージに配置されているブルーボールをすべて通過するとクリアとなる。
ボーナスステージをクリアすると入手できる「メダル」は,集めた枚数によって「サウンドテスト」や特別なモードなどがアンロックされていく。その中には「ぷよぷよ」も含まれている。
「ソニックマニア」で遊べる「ぷよぷよ」は,その名も「Mean Bean」。エッグマンが登場する北米版「ぷよぷよ」こと,「Dr. Robotnik's Mean Bean Machine」をモチーフにしたものだ。ゾーン2(Chemical Plant)のアクト2でプレイできるが,かなり面白い演出になっているので,ぜひ実際に確かめてほしい。
なお,スペシャルステージへはゾーンのどこかにある「ビッグリング」を入手することで行けるようになる。一方,ボーナスステージはリングを25個持った状態でチェックポイントを通過することで行ける。
プレイヤーキャラクターはソニックとテイルス,そしてナックルズから選択可能だ。ソニックは新アクション「ドロップダッシュ」(ジャンプ後,さらにジャンプボタンを押し続けると真下に着地してダッシュする)が加わり,アクションの幅が広がっている。テイルスはジャンプからの飛行,ナックルズはジャンプ後の滑空と壁登りが可能になり,探索の能力に優れる。
今回の取材では主にナックルズを選んでプレイしたのだが,あるゾーンではソニックでプレイしたときとはまったく違うルートが展開し,キャラクターを変更することの意義が感じられた。
また,ナックルズはメダルで開放される「NO SAVE」(セーブなしで進めるストーリーモード)では相棒として選べるようになっている。ナックルズを操作しつつ,相棒としてナックルズを連れていくという変則プレイも可能だ。
そのほか,ゾーン別の「タイムアタック」をはじめ,上下画面分割による懐かしい「対戦モード」,シリーズ作品のアクションをアンロックできる「シークレット」など,本編以外のモードも充実している。1800円(税別)という価格を考えれば,十分すぎるボリュームだろう。メガドライブ版を知っている人もそうでない人も,2017年に帰ってきた2Dソニックに触れてみてほしい。
飯塚 隆氏への合同インタビュー
ソニックシリーズの開発を統括している飯塚 隆氏は,昨年以降,アメリカを拠点として活動している。今回の体験会に合わせ,テレビ電話を通じて合同インタビューの機会が設けられた。その内容を以下にお伝えしよう。
――本作の企画経緯を教えてください。
飯塚 隆氏(以下,飯塚氏):
昨年,ソニックシリーズが25周年を迎えたことを機に,かつてソニックを遊んでいたけど,現在のソニックは遊んでいないというファンに向けて,何か新しい商品を届けられないかと考えました。そこから,スマートフォンに2Dソニックシリーズを移植したオーストラリアのプログラマー,クリスチャン・ホワイトヘッドと一緒に立ち上げたのが,「ソニックマニア」のプロジェクトだったんです。
最初は,シリーズ作品を移植するという話もありましたが,当時のファンが本当に求めているのは,記憶の中にあるステージで新しい体験をすることではないかと。そこで,過去のステージをリバイバルしつつ,新たなギミックを盛り込んだ,まったく新しいソニックになりました。
――制作を終えて,現在の心境は?
飯塚氏::
本作の開発には,先ほどのクリスチャンをはじめ,アメリカやイギリス,オーストラリアなどから,インディペンデントなソニックマニアが集結しています。こうした環境でソニックの新作を作ることは,私にとって初めてのことでした。
ソニックチームや大手開発会社と一緒にゲームを開発するときには,決められたスケジュールの中で決められたゲームを作るというのが常識です。しかし,「ソニックマニア」の開発陣はソニックの新作を作ることが好きで,とにかくいろんなものを作りたがりました。βバージョンができているのに,また新しいものを入れてきたりして,たいへん手の焼けるスタッフで(笑)。
ただ,それだけにゲームは隅々までこだわりの強いものになり,遊んだ方にもその熱意が伝わる内容になったと自負しています。
――海外拠点で開発されたということですが,ローカライズ面で気を配ったことはありますか。
飯塚氏::
近年の3Dソニックと違い,ボイスやヒントメッセージもなく,ローカライズの対応箇所も少ないので,そのぶん,多くの人達に届けられるようになるべく多くの国で販売できるように対応しています。
――今回,ソニックマニアの開発スタッフが集結したという話ですが,彼らの要望のうち,最も多かったものはなんですか。
飯塚氏::
完全新規のステージを多く入れたい,という要望ですね。キャラクターについても,3人のプレイアブルキャラクターは,アニメーションをすべて描き起こしています。例えばソニックが水中で泡を吸うアクションなどは,以前のものを流用してもいいのに,勝手にコマ数を増やしていましたから(笑)。
――「ソニックマニア」に収録される12ゾーンのうち,とくにオススメのステージを教えてください。
飯塚氏::
「ソニックマニア」では,それほどメジャーではないけど隠れた名作的なステージも取り上げるようにしました。例えば「FLYING BATTERY」は,「ソニック&ナックルズ」に関わっていたときからお気に入りのステージだったのですが,それをオリジナルよりもずっと面白い形で入れられたのは良かったですね。
新規ステージでは「MIRAGE SALOON」。ソニックを選ぶか,ナックルズを選ぶかによって,ステージ構成がまったく違うというギミックがあります。さらにソニックでプレイすると,新規ステージなのに遊んだ記憶があるような,過去シリーズのエッセンスがたくさん詰め込まれています。かなり面白いものになっていますよ。
――ストーリーのコンセプトを教えてください。
飯塚氏::
「ハード ボイルド へビーズ」と呼ばれるエッグマンのロボット達が自我に目覚め,彼らの目的のもとに動き出す。こうしたストーリーの内容は,開発スタッフからの提案でした。
それに加えて,新旧さまざまなステージが連続して登場するので,違う場所にあるはずのステージをソニック達がどうやって行き来しているのか。そのギャップを埋めるために,不思議な力を持った「ファントムルビー」という設定を新たに用意しました。
――ゲーム中で「ぷよぷよ」がプレイできます。どのような経緯でアイデアが生まれたのでしょうか。
飯塚氏::
海外で発売された「ぷよぷよ」こと「Dr. Robotnik's Mean Bean Machine」がソニックシリーズの一環という立ち位置なので,その要素をボス戦に入れたいという案を実現した形ですね。せっかく作ったのだから,「ぷよぷよ」単独でも遊べるといいだろうと,おまけ要素として追加することにしたんです。
――「ソニック・ザ・ヘッジホッグ3」に登場した「ブルースフィア」がボーナスステージになっていますね。
飯塚氏::
スペシャルステージを新規に作ることは決めていて,その実験段階でブルースフィアを移植してみたんです。せっかく動くものを作ったので,これをボーナスステージとして採用することにしました。
――スペシャルステージが3Dスタイルになった理由は?
飯塚氏::
「ソニックマニア」を作るにあたり,グラフィックスの表現を「メガドライブ以上,サターン以下」にすると定めました。その上限であるメガCDやサターンクラスの表現で作ったのが,あのスペシャルステージというわけです。
開発中の「ソニックフォース」ではハイエンドCGを採用していますが,「ソニックマニア」ではあえてそれを使わず,地形も2Dの拡縮回転で処理し,オブジェクトも解像度を上げないようにしています。当時の雰囲気を再現することを重視したものにしました。
――ソニックファンに向けてメッセージをお願いします。
飯塚氏::
2017年にドット絵の新作を出すということで,「ソニックマニア」はかなりチャレンジングな企画でした。開発を通じて,自分も懐かしさと楽しさが感じられた作品で,ソニックを遊んだことがあれば,必ずどこかで「この仕掛け,知ってる!」「こんなことになってるんだ!」といった,これまでにあまりなかった驚きを体験できますので,ぜひ遊んでいただきたいですね。
「ソニックマニア」公式サイト
- 関連タイトル:
Sonic Mania
- 関連タイトル:
ソニックマニア
- 関連タイトル:
ソニックマニア
- 関連タイトル:
ソニックマニア
- この記事のURL:
キーワード
(C)SEGA
(C)SEGA
(C)SEGA