インタビュー
「バイオハザード7」へと連なる「KITCHEN」が2016年10月13日にリリース。配信までの経緯や「7」との関係性を2人のキーマンに聞いた
しかし,長らく「KITCHEN」のスクリーンショットやトレイラーの類が公開されることはなく,その全貌を知っているのは,イベント会場で体験した少人数だけという状況だった。
そんな「KITCHEN」だが,このたび,PS VRの発売日(10月13日)に合わせてリリースされることが決定した(関連記事)。そこで,「KITCHEN」「バイオハザード7」のプロデューサーを務める川田将央氏,ジェームズ・バンス氏にインタビューを実施し,配信までの経緯や「7」との関係性などを聞いた。
「バイオハザード7 レジデント イービル」公式サイト
4Gamer:
本日はよろしくお願いします。
さっそくですが,PS VRのローンチタイトルとして「KITCHEN」がリリースされることになった経緯を教えてください。
ご存じのとおり,「KITCHEN」は「バイオハザード7」と深く関連するコンテンツですが,公開当時はあくまでも技術デモというスタンスでした。ただ,E3や東京ゲームショウ,体験会といった機会でしか公開していなかったので,PS VRが発売されるタイミングで,「バイオハザード7」ならではのVR体験をしてほしいと考えたんです。
川田将央氏(以下,川田氏):
その当時,商品としてリリースする予定はまったくありませんでした。開発中の「バイオハザード7」の素材をPS VRに対応させたらどうなるのか,それを試したかったという意味合いのものです。もちろん,皆さんの反応を見たかったという理由もありましたが。
4Gamer:
日本では100円(税込)でリリースされます。海外ではPS VRの同梱ディスクに収録されるとのことですが,なぜリリース形態が違うのでしょうか。
川田氏:
我々としては無料で体験してほしいという思いがあったのですが,CEROレーティングのZ(18才以上のみ対象)タイトルの配信にあたっては,よりしっかりとした年齢確認のため,ダウンロード時にクレジットカード決済が必須となり,無料配信ができないのです。不本意ではあるのですが,100円という値付けをさせていただきました。
バンス氏:
無料体験版として配信するためにCEROレーティングをDに下げると,プレイ体験そのものが変わってしまう。それならば,100円をいただくことになっても,現在のプレイ体験を変えずに提供したかったんです。
「バイオハザード7」がPS VR対応になった理由とは
4Gamer:
2014年2月に「バイオハザード7」のプロジェクトがスタートしたそうですが,当初からPS VR対応は想定されていたのでしょうか。
川田氏:
いえ,そうではなかったですね。シリーズ20周年を見据えていた「7」に関しては,大きな変革が必要だと考えていました。そこでカメラ視点に関しては,これまでの三人称視点ではなく,ダイレクトに恐怖と向き合えるアイソレートビュー(一人称視点)がいいのではないかと。
こうした考えが「7」開発チームの根底にある中で,新しい試みとして「VR対応」を考えるようになったんです。
4Gamer:
PS VRの基礎研究から始まり,その過程でデモである「KITCHEN」を作るという流れになったと。
川田氏:
ええ。VRを研究するのであれば,タイミング的にPS VRを題材にしたほうがいいでしょうし,PS VR向けの素材として,その時点で世に出せるものは「バイオハザード7」のものがメインでした。
そこで,先ほども触れましたが,「バイオハザード7」の素材を利用して「KITCHEN」を作ってみようという話になったんです。
4Gamer:
なるほど。
川田氏:
ただ,E3 2015で公開後,竹内※が「PS VR“完全”対応にしよう」と言い出したときは,チーム一同,騒然となりましたけどね(笑)。
※「バイオハザード7」の開発責任者,竹内 潤氏。
4Gamer:
PS VRに対応することは決まっていたものの,当初は完全対応の予定ではなかったという話でしたね(E3 2016のインタビュー記事)。
またとない機会ですので,現在配信中の体験版「ビギニングアワー」と「KITCHEN」の関係を教えていただけますか。
川田氏:
基本的に「ビギニングアワー」と「KITCHEN」の舞台は共通しています。ただ,体験版とVRコンテンツという違いがありますので,コンセプトやプレイ体験は異なるものですね。
バンス氏:
ちなみに,「ビギニングアワー」は体験版用に新しく構築したコンテンツですが,東京ゲームショウ2016に出展した「ランタン」は本編の素材を切り出して作りました。この2作品も,まるで位置づけが異なるものです。
4Gamer:
それでは,「ビギニングアワー」と「ランタン」の舞台(ベイカー邸)は同じではない?
川田氏:
そういうわけでもないんです。基本的に同じ世界設定なので,本編をプレイすれば,「ああ,こうなっているのか」と理解してもらえると思います。
これまでに公開しているデモは,あえて「バイオハザードらしくない部分」をお見せしています。その甲斐があり,「7」が持つ「恐怖」の部分を十分に感じてもらえたのではないかと思います。
ただ,「怖すぎるから,購入するのを止めよう」というご意見もあり,「これはマズイな」と(笑)。
4Gamer:
確かに「KITCHEN」を含めてホラーの要素を前面に押し出されている印象です。
川田氏:
「バイオハザード7」本編を遊んでもらえれば,ホラーだけではない「バイオハザードらしい作品だ」ということが理解していただけるはずです。「バイオハザード」としてのエンタメ要素も十分に含まれています。そこは,今後アピールしたい部分ですね。
バンス氏:
従来の「バイオハザード」と同じく,メリハリは効いていますよ。「バイオハザードらしさ」が損なわれているということはまったくないので,ファンの皆さんには安心してほしいです。
実際,最新トレイラーでは戦闘シーンと思しき場面もありました。ご覧になったプレイヤーの認識はだいぶ変わったのではないでしょうか。
「ビギニングアワー」のアップデートは
さらなる進化への前兆か
4Gamer:
先日(9月15日),「ビギニングアワー」のアップデート(「トワイライトVer.」)が行われました。これは「KITCHEN」のリリースと,何らかの関係がありますか。
川田氏:
まったく関係ないです(笑)。アップデートの意図としては,これまでのPlayStation Plus加入者限定だったものを,すべてのPS4プレイヤーに開放することで,より多くの人にアピールしたいということです。
4Gamer:
アップデート後のバージョンでは,内容に手が加えられていますね。
川田氏:
確かに,行ける場所が違ったり,新しいメッセージが出てきたりしていますね。我々としては,これからも「ビギニングアワー」を使って,何かを仕掛けたいと思っています。今回のアップデートは,その前兆のようなものだと捉えてください。
4Gamer:
分かりました。
「バイオハザード7」では,「グロテスクVer.」と題したCERO Z版の発売が予定されています。通常版(CERO D)とは別のバージョンを制作することにした経緯を教えてください。
川田氏:
実は,開発が進むにつれて「この表現のままでは,CERO Dでは発売できないのでは?」と思うようになったんです。ただ,「バイオハザード7」のコンセプトにより忠実な,ゴア表現を含んだバージョンもファンに提供したかった。そこで,弊社だけでなく,関係各位の方々が協力してくれて,なんとかCERO Z版を発売できることになりました。
4Gamer:
CERO D版を並行して発売する理由は?
川田氏:
CERO Z版に対して,「やりすぎだ」と思われる人もおられるでしょう。ゴア表現に対して苦手な人や求めていない人への選択肢として,CERO D版も発売することにしました。もちろん表現に違いがあるだけで,内容自体は一切変わっていません。お好きなほうを選んでいただきたいと思います。
4Gamer:
最後に,4Gamer読者へメッセージをお願いします。
バンス氏:
「KITCHEN」は,VRでしか味わえない臨場感の恐怖があるコンテンツです。PS VRを購入される方は,ぜひ「KITCHEN」を体験していただきたいですね。
「怖すぎる……」という人は,友達同士で体験するのもアリだと思います。
川田氏:
「KITCHEN」はいわゆる「プレイする」ものではないので,厳密に言えばゲームではないかもしれません。しかし,「VRを使えば,これだけの恐怖を体験できる」ということを感じてもらえるコンテンツです。
「バイオハザード7」についても,VRで体験してもらえる場を提供し切れていない状況なので,今後は店頭体験会をはじめ,もっと広げていきたいと思っていますが,まずは「KITCHEN」で「バイオハザード7」のVRプレイの一部を体験してもらえると嬉しいです。
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