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  • Matagot
  • 発売日:2016/04/30
  • 価格:39.90ユーロ
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[SPIEL\'16]近未来を舞台にした潜水艦ボードゲーム「CAPTAIN SONAR」プレイレポート。勝利の鍵は,乗組員の連係にあり
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印刷2016/10/22 15:03

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[SPIEL'16]近未来を舞台にした潜水艦ボードゲーム「CAPTAIN SONAR」プレイレポート。勝利の鍵は,乗組員の連係にあり

画像集 No.009のサムネイル画像 / [SPIEL'16]近未来を舞台にした潜水艦ボードゲーム「CAPTAIN SONAR」プレイレポート。勝利の鍵は,乗組員の連係にあり
 Matagotが2016年に発売したボードゲーム「CAPTAIN SONAR」は,近未来を舞台にした潜水艦もののタイトルだ。Roberto Fraga氏Yohan Lemonnier氏によって生み出された同作は,「バトルシップ」のような敵艦の位置を推理する面白さと,「パンデミック」のような協力プレイの楽しさを兼ね備えた,贅沢なゲームと言える。

 潜水艦ものならではの緻密な情報戦と,協力プレイの楽しさをボードゲームの形で表現した本作は,海外の各種レビューでも高い評価を受けており,SPIEL'16でも初日から多くのギャラリーが集まる賑わいを見せていた。
 筆者も実際に会場でプレイしてきたので,その模様をレポートしよう。

「CAPTAIN SONAR」公式サイト(英語)

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役割分担が生み出す,協力プレイの妙味


 本作は,最大4名で構成されたチームによる,チームバトル形式のボードゲームだ。各チームはゲームスタート時に自分達の潜水艦をマップの任意の地点に配置し,その後1ターンごとに1グリッドずつ動かすことができる。ただしそのときには,動いた方角のみを相手チームに伝えなければならない。これがゲームの鍵となる。

画像集 No.001のサムネイル画像 / [SPIEL'16]近未来を舞台にした潜水艦ボードゲーム「CAPTAIN SONAR」プレイレポート。勝利の鍵は,乗組員の連係にあり

 両チームの間には仕切りがあって,お互いの手元を見ることはできない。伝えられた方角を元に敵艦が潜む位置を探っていき,位置が確定できたら攻撃。4ポイントのダメージを先に与えたチームの勝ちとなる。本作の基本はこれだけであり,至って単純である。しかし,これを実行するためには,チームの協力が不可欠となる。なぜなら本作には「艦長」「副長」「整備士」「無線手」の4つの役職があり,それぞれ担当する分野が異なるからだ。

  • 艦長(Captain):艦長の主な役割は潜水艦の針路を決めることだ。敵チームに正確な位置を悟られず,かつ敵艦を攻撃できる航路を選ばなければならない。同時に艦の各種兵装をいつ使うかの判断も行うことになる。
  • 副長(First Mate):副長が担当するのは潜水艦の兵装だ。潜水艦が装備する兵装のゲージは当初は空だが,潜水艦が1回動く度に1つのゲージをチャージでき,ゲージが一杯になることで発射準備完了となる。数ターン先に必要な武器を適切に選ぶためには,ほかの乗組員との協力が不可欠だ。
  • 整備士(Engineer):整備士の役割は,潜水艦を常に活動状態に保つことだ。潜水艦が動くと,移動した方角に対応したセクションに故障が発生し,特定の兵装が使用不能になったり,放射能汚染が進んだりする。このため,どの箇所に故障を発生させるかという「ダメージコントロール」が重要となる。
  • 無線手(Radio Operator):無線手は敵の艦長がコールした針路を記録していく役割だ。潜水艦は島の上を通過できないため,ある程度ターンが進むと,それまでの航路とマップとを突き合わせることで,敵艦の位置が明らかになっていく。なお今回の試遊では,筆者はこの役割を担当した。

左側が艦長,右側が無線手のボード
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無線手はクリアシート上に敵艦の航路を書き込んでいく。これを下に敷いたマップの上で動かしつつ,敵艦の位置を探っていく
画像集 No.003のサムネイル画像 / [SPIEL'16]近未来を舞台にした潜水艦ボードゲーム「CAPTAIN SONAR」プレイレポート。勝利の鍵は,乗組員の連係にあり 画像集 No.002のサムネイル画像 / [SPIEL'16]近未来を舞台にした潜水艦ボードゲーム「CAPTAIN SONAR」プレイレポート。勝利の鍵は,乗組員の連係にあり

こちらは副長のシート。どうやら魚雷の発射準備が整ったようだ
画像集 No.005のサムネイル画像 / [SPIEL'16]近未来を舞台にした潜水艦ボードゲーム「CAPTAIN SONAR」プレイレポート。勝利の鍵は,乗組員の連係にあり

 このように役割が明確に分かれているため,チーム内での議論は非常に活発なものとなる。
 例えばあるタイミングに艦長が敵艦を攻撃しようとしたなら,無線手が敵艦の位置を正確に掴んだうえで,使いたい兵装のチャージを副長が済ませており,かつ整備士がその兵装に故障がないようにしておかなくてはならない。

 潜水艦が備えている兵装もさまざまだ。4種類の基本兵装は攻撃用索敵用に分かれていて,1ターンにつき1つの兵装しかチャージできない。したがって副長は未来を予測をしながら,適切にリソースを配分していかなくてはならない。
 さらに各兵装の使い分けも重要になる。例えば魚雷は,相手が射程に入りさえすれば攻撃できる近接戦闘向きの兵装だが,下手に使えば自艦の位置を敵に知らせる結果にもなりかねない。一方で機雷は設置の手間はあるが,その後は任意のタイミングで発動できるので,こちらの位置を悟られにくい。ただし,敵が機雷に接近してくれないことにはお話にならないが。

 無線手としてプレイした筆者の視点で言えば,敵艦の位置を絞り込むため,ゲーム序盤で索敵用の兵装――点で索敵をするソナーと,面で索敵するドローン――を積極的に使用したかったが,こうした希望もきちんと味方に伝えておくべきだろう。このように,各プレイヤーのアクションが密接に絡みあい,チーム内のヒソヒソ話は熱を帯びていく。なにせ,敵チームに聞かれるわけにはいかないのだから。

今回の試遊では,マップが小型だったこともあって,実はドローンの出番はほとんどなかった。しかしより大きなマップなら,「ドローンで敵艦の大まかな位置を割り出した後に,ソナーで正確な探知を行う」といった使い分けが重要になると思われる
画像集 No.008のサムネイル画像 / [SPIEL'16]近未来を舞台にした潜水艦ボードゲーム「CAPTAIN SONAR」プレイレポート。勝利の鍵は,乗組員の連係にあり


潜水艦ものならではの情報戦と,協力要素が融合した傑作


 以上のように,CAPTAIN SONARは潜水艦ものならではの推理要素と,役割分担によって生まれる協力プレイ,そして対戦ゲームならではの緊張感が融合した,満足度の高いタイトルと感じられた。
 もちろん,4つの役割を1人でこなして遊ぶことも不可能ではない。事実本作において人数が足りない場合は掛け持ちして遊ぶことになってるわけだが,やはり本作の醍醐味を味わうためには,フルメンバーで遊ぶのが適切だろう。

右のチームの1番手前(筆者)のマップと,左チームの前から2番目(敵チームの艦長)のマップの航路に注目。筆者が見事敵艦を捕捉しているのが分かるだろうか
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 さらに付け加えるなら,本作の場合,ロールプレイを楽しみながら遊べるというのもポイントが高い。筆者が参加した卓のドイツ人プレイヤー達は,明らかに映画「Uボート」のマネしながら楽しんでいて,非常に楽しそうだった。さすがドイツでもあるが,潜水艦ものの映画や小説が好きな人にはとくにオススメだろう。まあ,潜水艦もののドラマでは,艦長にスポットが当てられがちだったりもするわけだが……本作をプレイすれば,それ以外の登場人物達にも,きっと目が行くようになるはずだ。

 役割やマップを変えることで,繰り返しのプレイでも十分に楽しめる本作。繰り返しになるが,参加メンバーが8人いた方が圧倒的に面白いので,それだけの人数を集められるボードーゲーマーには,ぜひ手元に置いておきたいタイトルだ。

会場では,ポスター型の盤面を使った,お手本プレイも行われていた。これはこれで楽しそう
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