アトラスが設立したスタジオ・ゼロの完全新作RPG
「メタファー:リファンタジオ」 (
PC /
PS5 /
Xbox Series X|S /
PS4 )。同スタジオのディレクター&クリエイティブプロデューサーである
橋野 桂氏 ,アトラス アートワークチームのデザイナー
副島成記氏 ,サウンドコンポーザーの
目黒将司氏 といった「ペルソナ」シリーズの開発陣が集結した注目作だ。
2024年10月11日に発売を控えた本作だが,前回のアトラスフェス試遊版(
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バンジージャンプで「王の資質」を磨け。寄り道の誘惑がそこかしこに潜む街
初めに降り立ったのは「マルティラ」だ。かなり高低差がある街並みになっており,街の奥にある高台には古城がそびえ立っている。なんともファンタジーを感じる街だ。
シナリオの流れとしては,「3日後に賊を討伐しに行くので,そこに備えていろいろ準備をしてください」という感じらしい。つまり3日間で,どれだけ完璧な準備をするかが問われているわけだ。戦なんてものは準備8割。いかな試遊とはいえ,真面目にプレイしてこそよいレポになるというものである。じゃあ,まずはこの街で情報を集めて……え?
この渓谷をひとっとび?
バンジージャンプだ。ファンタジーの街並みのなかに,バンジージャンプの施設が置いてある。
1回250リーブ。でも,これをやると時間が過ぎちゃうのか……
…………
イヤッホオオオォォォォォォオオオオウ!!
……さて,しょっぱなから謎のスリル遊具で時を過ごしてしまった。いや,古城の街にあんな楽しげな施設があればとりあえず行っちゃうでしょう。アトラスが悪いよ,アトラスが。
このバンジージャンプは,しっかり「時間を消費する行動」の1つ。本作では店で物を買う,人と話すといった基本的な行動で日数を消費することはないものの,一部の行動を行うと時間が進むようになっている。
しかし,なにもわざわざ時間という有限なリソースを使ってバンジーを飛んだだけ……というわけではない。この行動で主人公は「勇気」を手にすることができる。もちろん比喩的な意味ではなく,ゲーム内のステータス「王の資質」の1つだ。
勇気,見識,包容力,説得力,想像力の5項目が存在し,それぞれ成長に応じた5つの段階がある。包容力が1の王は「余裕がない」らしい
本作における大目標の1つとして,「主人公が王になる」というものがある。この王の資質は,そういった物語を進めるうえでとても重要なファクターとなっている。NPCとの会話における選択肢にも影響し,一定以上の段階に達していないと選べない(選んでも意味がない)なんてことも。
例えば,このNPCとのイベントを進めるには,想像力が2必要となる。せっかくなので街中を探索して,想像力を上げられる場所がないか探してみることに。
ちなみにこの時点で,メインシナリオを進めることはすでに頭から抜けている。人はおもしろそうなサブイベントの前に,無力なのである。
想像力を上げられるイベントを発見。老婆からのおとぎ話を聞いて……
無事,想像力が2になりました!
相手を信じ込ませるほどの想像力で,自身が王になったときの様子を語る
というわけで説得に成功。なにやら街の南にあるサブダンジョン「打ち捨てられた墓」という場所についての情報をもらえたので,折角なのでそちらへと進んでみることにした。
ちなみに現段階ですでにゲーム内時間は1日が経過しており,ちょうど「休息日」と呼ばれるお買い物が安くなる日になっていた。ついでに物資や集められるだけの情報を集めておこう。
街には風聞屋と呼ばれる情報通の男がいる。彼から次に攻略するダンジョンの詳細などを聞くことが可能だ。なにやら次に行くダンジョンには「カネを使った攻撃」に弱い敵がいるらしい
移動はファストトラベルで。ボタン1つで画面が呼び出せて,移動先も店ごとに設定されているため,移動に伴うストレスはほとんどない
鎧戦車で大移動。「仲間と旅をしている」感をしっかり味わえる道中のイベント
完全にサブクエストを進める方向に進みだした筆者。とはいえ,今回の旅程は約2日。明日の夜には街に帰れるので,メインクエストの進行にはギリギリ間に合う算段だ。試遊時間が1時間半で,すでに30分以上が経過しているという事実を除けば,だが。
移動には「鎧戦車」と呼ばれる,特殊な乗り物を使う
出発先を決めると,こんな感じのナレーションとともに出発。物語を紡いでいる,という感じがしてとてもよい
鎧戦車の中は居住スペースになっており,仲間が思い思いのやり方で時間を過ごしている。話しかけていっしょに時間を過ごすことで,彼らとの絆を育むことも可能だ。
せっかくなので,個人的にも気になっていたキャラクターである「ヒュルケンベルグ」といっしょに過ごしてみることに。
この赤い長髪がキレイな騎士のお姉さんがヒュルケンベルグ。個人的な趣向にぶっ刺さったのでいっしょに過ごしたいなと……
どうやらヒュルケンベルグは,旅をともにする貴族の男「ストロール」とともに剣の稽古をつけてくれるらしい。いかな旅途中の交流とはいえ,意外とのんびりしたものではなく真剣なものもあるのか……なんて思いながら話を進めて見ると……
こうなって
こうなって
こうなりました
四つん這いで甲板を歩かされ,プランクをさせられ,あげくの果てには剣の稽古で練習用の剣をブチ折られる始末である。まあまあふざけたイベントだった。ちょっと真剣さに身構えたあの気持ちを返してくれ!
剣は折られましたが,稽古は続行だそうです。さては脳筋だなこの人!?
交流の最中には,いくつか選択肢が出てくる会話も
ちなみに上記の選択肢から「もっと厳しく!」を選んだ。決してキレイなお姉さんに厳しく稽古をつけられたい,なんて他意はない。ちゃんと絆も深まったし,うん
絆を深めることで,さまざまな恩恵がある。今回は新たな「アーキタイプ」(本作のジョブシステムのようなもの。後述する)が手に入った
こういった絆を上げられる交流のほかにも,鎧戦車の中ではさまざまな時間の潰し方がある。帯同していた制作陣にオススメを聞いたところ,ほかのキャラクターといっしょに「料理」を作るのがいいのだとか。
というのも,料理で作れるアイテムはほかのものに比べて効果がかなり高い。これらをしっかり作っておくことが攻略においては非常に重要とのこと。
たしかに強い。食材などは街で購入が可能で,材料がたくさんあれば大量に作ることも可能らしい
今回はストロールといっしょに「兎の解毒焼き」を作った。お喋りしながらの料理,楽しい……!
おや……? 料理を終えたらなんか騒がしくなってるな……?
なんてのほほんと過ごしていると,唐突にイベントが発生。どうやらほかの鎧戦車に襲われているらしく,急いで甲板に出て対処にあたらなければならないらしい。
相手は主人公と同じく,王座を狙う対立候補者の人物であるようだ。なにか大声で喚き散らしているので,とりあえず話を聞いてみることに。
ん?
あ,はい
なんかとんでもない思想の人だった。
というわけで急遽戦闘へと突入。本作の戦闘システムは「プレスターンシステム」だ。詳しくは前回の記事でも説明しているのでざっくり言うだけに留めるが,要は「弱点をつけばつくだけ有利になる」というものになる。というわけで,いろいろな属性で弱点を探ってみる……のだが。
あれ? どれだけ殴ってもWeakの文字が見えないぞ?
まったく弱点が見つからない。どうやらいまのパーティでは,弱点を突ける属性を持っていないようだ。これだけでもかなり戦闘は厳しいのに,ゴダートはこちらの弱点である風属性の全体攻撃持ち。これでは勝ち目がない。
ちなみに敵にもレベルがあり,ゴダードの場合はレベル25。こちらは全員がレベル17なので,正直かなり格上である
弱点属性でぶん殴られると,敵に追加のターンが与えられてしまう。こちらも同じく弱点属性で殴れば追加ターンがもらえるのだが,この編成ではそれも叶わず
はい。あえなく全滅してゲームオーバーでございます。でもこれでいいのだ
ということで,一旦全滅してからパーティを組みなおすことに。本作はたとえ全滅してもその直前から始められるので,無理なら潔く諦めてパーティ編成を見直せばいいのである。
本作には「アーキタイプ」と呼ばれる,いわゆるジョブシステムのようなものが存在する。キャラクターごとにアーキタイプの設定が可能で,それらを切り替えることで使えるスキルや耐性などが変更できる。今回の場合,敵の使う属性は「風」ということが確定しているので,風で弱点を突かれないような編成を考えればいいわけだ。
アーキタイプを変更すると装備も変わる。装備は自動で入れ替えてくれるので,いちいち設定するような煩わしさもない
今回は,さまざまな属性が扱えて敵の弱点を探りやすい「マジシャン」と,強力な全体攻撃を凌ぐための「ヒーラー」,斬撃,刺突では効果がなかったので,まだ試せていなかった破壊属性での通常攻撃ができる「モンク」を用意。
さて,今度はどうなる……?
マジシャンの攻撃で弱点を発見! 追加ターンがもらえるので,一気に戦闘を組み立てやすくなった
全体攻撃もなんのその。ヒーラー,めちゃめちゃ頼もしい!
敵の弱点を看破し,無事撃破することに成功! 例えボスに敗北しても工夫次第で突破可能,という本作の絶妙なバランスにいたく感動する結果となった。それにしても,じっくり考えた編成がキレイにハマるのはめちゃめちゃ気持ちがいい。RPGの醍醐味という感じがする。
ゴダードはヤバい爺に見えるが,彼は彼でこの世界における長命種である「ローグ族」の代表としての責務を背負っていて……というけっこう深いバックボーンがあるらしい。めちゃめちゃ気になる
ジンテーゼでぶっ飛ばせ! 風聞屋の情報を活かしてダンジョンを探索
そんなこんなで「打ち捨てられた墓」へとたどり着いた。ちなみに前述のゴダードにまあ苦戦したため,試遊時間はあと15分ほどしかない。つまり今回での攻略はほぼ無理だが……,まあ行けるだけ行ってやろうの精神である。
あと単純にさっきゴダードを撃破したことでめちゃくちゃ楽しくなっており,一刻も早く次の戦闘がしたかった,というのもある。しかもこのダンジョンにはかなりお宝があるらしい。そんなの気になるじゃないの。
風聞屋いわく,このダンジョンには「宝のバケモノ」が出てくるらしい
宝のバケモノ……宝のバケモノ……?
ギャー! そういうことか!
まんまと宝箱に紛れた「模宝イミテック」に襲われてしまった。しかもこいつ,レベルが28と高い。さきほどのゴダードが25,主人公たちが17なので,いままで出てきた敵の中では一番強いのだ。もちろんそんなやつに,何の準備もなく挑んでしまえば……。
全員が眠らされ,さらに強烈な全体攻撃をくらってしまうハメに
というわけで,本日2度めとなるゲームオーバー。取材陣の中で一番この画面を見た自信があります!
まあ,こうなってしまうわけで。ただ先ほども説明したとおり,本作は直前からのリスタートが可能なので,あらためて準備をしてみる。そういえば風聞屋は,「カネを使った攻撃に弱い」とも言っていたはず。というわけで「ゴールドアタック」を持つ「ディーラー」を編成してみよう。
ディーラーはいわゆる商人的なアーキタイプで,装備する武器もソロバン。こういうトリッキーなやつ,大好き
ゴールドアタックの影響で,1ターン行動を無駄にさせられた。これはやれそう!
睡眠耐性の装飾品は持っていなかったので,光属性の攻撃を持つヒーラーとモンクを使ってターン数を稼ぎ,さらにゴールドアタックによる敵ターンの妨害を使って睡眠の試行回数を減らす戦法に。つまるところとにかく攻める,ただのゴリ押しである。
「ジンテーゼ」と呼ばれる合体必殺技も活用しつつ,とにかく攻める,攻める。
ディーラーのジンテーゼ,「フォーチュンスロット」は低命中率ながらも確定クリティカルの強力な技。スロットのような演出が面白い
これはモンクのジンテーゼ「気光波」。一流のモンクは拳からビームも撃てる。当然ですね
最後はモンクのスキル,「脳天落とし」がクリティカルになり撃破。風聞屋の情報が大いに役に立った戦闘だった。やはり情報を集め,しっかりと編成段階から対策を練る。それがこのゲームの戦闘においてもっとも重要な要素なのだろう。
それにしても,やっぱり狙い通りに戦闘が進むと嬉しい。
モンクをやっていたのはヒュルケンベルグさん。絆を高めたことで応えてくれたのだろうか。もちろんただの妄想ではあるけれど
ちなみに戦闘のあと,手に入ったアイテムは「くず鉄」というやっすい換金アイテムでした。許さねえ
その後はそのあたりを歩いているガイコツと「ファスト」を使って戯れる。ファストはいわゆるフィールドアタックだ。戦闘に入る前に攻撃を仕掛けることができ,うまくいけば先制攻撃をしながら戦闘に入れたり,レベル差があればそのままフィールド上で排除できたりする。
今回は向こうのレベルが高いため,ファストを当てても排除はできないが……
こんな感じでカットインが入って
華麗な先制攻撃を決めてくれる。さらに相手は1ターン動けなくなるので,とても有利に戦闘を進められるのである
逆に,敵がフィールドアタックを仕掛けてくることもある。食らってしまうと敵に有利な状況から戦闘が始まるので,それらをどう避けて,こちらの攻撃を叩きこむのか? というアクションゲーム的な楽しみ方もできる。アクションゲームがうまい人なら,格上の敵だろうと簡単に倒せる……のかもしれない。
強い敵はファストを数発当てただけでは耐えられてしまう。何度も攻撃を叩きこまないと,このように手痛い反撃をくらってしまうわけだ
そんなこんなでガイコツたちと戯れていると,終了の時間に。ダンジョンのボスまではたどり着けず,尻切れトンボのような結末だが……試行錯誤しながら格上の敵と戦う楽しさは,しっかりと感じられたので良しとしよう。
戦闘終了後の画面もスタイリッシュ
前回の限られたシチュエーションを遊ぶ試遊とは一変,今回はかなり自由度高く「メタファー:リファンタジオ」の世界に触れることができた。個人的にはその広さに圧倒されるばかりだ。とにかくやれることが多い。そして濃密で,先のゴダードについてもそうだが,背景に広がる世界観についても気になる部分がいくらでもある。
メインクエストを進めていない……からこそ,この世界はいくらでも遊ぶ余地があると,そう強く感じられた。これはあくまでも個人の思想ではあるが,「脇道が多いゲームはいいゲーム」なのである。
あと今さらだが,なんなんだ! あのバンジージャンプ。あんな感じの胡乱なイベントがいろいろな街にあるんじゃないかと考えるとワクワクしてしまう。ズルい。
街中を歩いていると,こんな感じで周囲の会話が聞こえてくる。物語を進めていくとこの部分もどんどん変わっていくのだろう。どのように資質を上げ,どんな王になるのか。プレイヤーによっても大きく分かれそうだ
街に置かれた,王の候補者たちの順位(支持率?)を示す顔石。ここに主人公が顔を載せる日も来るのだろうか
横には演説台が。今回は使わなかったが,どんな話をするのかは非常に気になる
それと,今回はフィールドを移動する機会がかなり多かったので,その快適さについても言及しておこう。本作はかなりいろんなところを移動する必要がある。街にはいろんな施設があり,情報を入手するために風聞屋に話を聞いて,その情報を元に対策するための店に行って……なんてことを恐らく何度もしなくてはならない。
しかし,先ほど紹介したように店ごとにファストトラベルができるため,実質の移動時間はそれほどでもないように思える。Rトリガー(Xbox Series X|S版)を押すだけで即座にファストトラベルの画面を呼び出せるのもありがたく,正直試遊のあいだにストレスを感じることはなかった。
もちろん,こういうものは継続してプレイすることで煩わしさを感じる部分ではあるものの,「この仕様であれば何百時間やろうと気にならないのでは?」というのが個人的な見解だ。
ファストトラベルを使えば,街中だけでなく「王都 グラン・トラド」にもいつでも飛べるとのこと。移動先の街で足りない物資は王都で補う感じになるのだろうか
ちなみに王都には装備を「浄化」できる教会があり,装備に秘められた追加効果を開放できる。浄化ができるアイテムはかなり多そうなので,何度もお世話になる予感がする
総じて,今回の試遊では「とにかく製品版を早く遊ばせてくれ」という感想に帰結した。この1時間半だけでは物足りなさすぎる。もっとこの世界に溺れたくなる,そんなひと時であった。
「メタファー:リファンタジオ」の発売は10月11日。あと1か月と少しといったところだが,まだ見ぬアーキタイプや敵,支援者などのキャラクターに思いを馳せながら,いち個人としてもしっかり最新情報を追っていきたい。